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「神の領域」踏み込む 新技術で生まれる子ども 「ネオ・ヒューマン 20××年の未来」

2017年07月27日 23時48分50秒 | 医療情報
「神の領域」踏み込む 新技術で生まれる子ども 「ネオ・ヒューマン 20××年の未来」
2017年7月27日 (木)配信共同通信社

 私たちの赤ちゃんが半透明のカプセルを満たす羊水の中で育っている。がんで子宮を摘出した時は子どもを持つのを諦めかけたけど、実用化されたばかりの「人工子宮」の技術を試してみて良かった。高い知性と青い色の目を実現する「デザイナー遺伝子」も受精卵に組み込んだ。この子にはきっと素晴らしい人生が待っているはずよ。
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 「何としても子どもを持ちたい」との思いに応えてきた生殖医療。日本でも体外受精による不妊治療で多くの子どもが生まれるようになった。一方で人工子宮による新たな出産や、遺伝子操作による「デザイナーベビー」の可能性も見える。人類は命の創造という新たな領域に踏み込もうとしている。
 「20~40年後にはベッドで子づくりをする夫婦は劇的に減る」と予測するのは米スタンフォード大のヘンリー・グリーリー教授だ。米国のチームは羊の赤ちゃんを袋状の人工子宮で育てることに成功。将来は母親のおなかではなく人工子宮の中で過ごす赤ちゃんが増えるかもしれない。宮城県立こども病院の三浦雄一郎(みうら・ゆういちろう)新生児科部長は「治療のために神の領域にどこまで手を伸ばすのか。技術と倫理の兼ね合いになる」と話す。
 同性のカップルが血のつながった子どもを持つことも夢ではない。すでに研究者は、マウスの胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)から精子や卵子をつくって子どもを誕生させるのに成功。人の皮膚細胞からiPS細胞を培養し、卵子や精子をつくって体外受精し人工子宮で育てれば、生まれ持った性を超えた生殖が現実になる。
 子どもが先天性の病気になるのを避けるため、受精卵の段階で治療する試みも始まった。英国はミトコンドリア病を予防するため卵子の細胞質を入れ替える治療を承認。米科学アカデミーは子どもの病気を予防する目的なら、受精卵の遺伝子をゲノム編集で改変することは将来容認されうるとの姿勢を示した。
 ただ改変した遺伝子は次世代にも受け継がれ、人類という種を永遠に変えてしまいかねない。米ハーバード大の研究者らは昨年、望ましい遺伝子を人工的にデザインする「ヒトゲノム合成計画」を提案して批判を浴びた。「良い遺伝子」を選んで「悪い遺伝子」を排除する思想には危うさが伴う。
 国立成育医療研究センターの松原洋一(まつばら・よういち)所長は「ゲノムには人類の歴史が刻まれている。私たちの浅はかな知恵で手を加えるのは非常に危険だ」と警告する。
 ※生殖医療
 世界で初めて体外受精による子どもが誕生したのは1970年代後半。90年代には妊娠率を高めるため状態の良い精子を選ぶ顕微授精が始まった。日本では2014年までに43万人がこうした手法で誕生。親でなく他人の卵子や精子を使う例も出てきた。受精卵を子宮に戻す前に病気の有無を調べる遺伝子検査も始まり、命の選別につながるとの懸念も出ている。

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