極樂ではいつも自然に、聞いてうっとりする素敵な音楽が鳴り響いています。大地は黄金に輝いて眩いばかり。そこへ昼と夜と朝に何度も、仏を讃えるために、美しい曼陀羅華の花が降り注いで来ます。ここは悟りに達した人たちの清らかな道場となっているのです。
彼仏国土 常作天楽 黄金為地 昼夜六時 而雨曼陀羅華 「仏説阿弥陀経」より
ひぶっこくど じょうさてんがく おうごんいじ ちゅうやろくじ にうまんだらばーけ
彼の仏国土は、常に天の楽を作(な)し、黄金は地を為し、昼夜六時に、曼陀羅華を雨(ふ)らせり。
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わ、いいなあと思います。行きたくない行きたくないと鳴き叫んで来た割には素晴らしいところのようです。そんなふうに「阿弥陀経」には描かれています。よく、「死んで生き帰って来た者はいない」などと言いますから、嘘八百に聞こえてしまいそうです。でも、阿弥陀経はそう描いています。天楽は自然に奏でられている音楽です。どんな音楽なんでしょうね。大地は黄金だとすれば、滑りそうですね。えも言われないほど美しい花々が雨のように降り注いでお浄土を荘厳します。そこへわたしたちは正客として招かれて行きます。死後、行くところがあってよかったなあとわたしは思います。しかもそこは、わたしたちが行ってがっかりしないようにしてあります。準備万端に整えられています。なかなかいいところのようです。
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曼陀羅(まんだら・まんだーら):
梵語マンダーラで道場、壇、本質、輪円具足などと訳す。諸尊の悟りの世界を象徴するものとして、諸仏・菩薩及び神々を網羅して描いた図を指す。
曼陀羅華(まんだらけ・まんだらばー):
梵語マンダラバーの音訳。天上に咲く華。見る者の心を喜ばせる花。ムラサキケマンの別称。
天楽:
天上界の音楽。天人の奏でる音楽。
六時:
印度式の時刻計算方法。一昼夜を6分轄した時刻。晨朝、正午、日没、初夜、中夜、後夜を指す。
(以上 電子辞書を引きました)
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何度も言いますが、死後、行くところがあってよかったと、わたしは思います。阿弥陀経を読むと、だから、安心します。わたしたちは就中(なかんづく)、正客として迎え入れられるのです。しかも、仏・菩薩・神々から手厚い歓迎を受けるのです。仏教の経典は死後の世界のガイダンスになっています。行って見たら、ああ、やっぱりそうだったのか、嘘じゃなかったんだと肯ける、だといいですね。
「鰯の頭も信心から」といいます。「信じた通りになって行く」ということでしょうか。信心の世界は意識・無意識の世界です。
(わたしはこうやって自分を安心させようとしています。そういう努力をしています。これはわたし流です。でも阿弥陀経はわたしを安心させるためだけの説法集ではありません。万人を安心させようとしている経典です)