「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再びタッグを組み、スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を映画化。2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞し、第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞ほか計11部門にノミネートされた。
不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。
プロデューサーも務めるストーンが純粋無垢で自由奔放な主人公ベラを熱演し、天才外科医ゴッドウィンをウィレム・デフォー、弁護士ダンカンをマーク・ラファロが演じる。「女王陛下のお気に入り」「クルエラ」のトニー・マクナマラが脚本を担当。(映画.comより)
<2024年1月28日 劇場鑑賞>
この映画の監督、あんまり覚えてなかったけれど、実は「女王陛下・・・」だけではなくて「ロブスター」も見てました。もっと言うと、まったく知らずに「聖なる鹿殺し」も先日見ました。なぜかリバイバル上映されていたのですが、今から思えば「哀れなるものたち」が公開されたから上映されていたのかもしれません。
結論から言えば、とてもおもしろかったのです。凡人な私は、監督の世界観の中で完結している不条理劇などは苦手で、理解できないことも多いのですが、この作品はそもそもありえない設定でありながら、なぜか楽しめました。
主人公のベラは冒頭で自殺します。投身自殺です。しかし「ゴッド」と呼ばれる天才科学者が彼女を救います。妊娠していた彼女の、お腹の中の赤ちゃんの脳を彼女の遺体に移植し、蘇生させるのです。よって「見かけは大人の女性、頭は赤ちゃん」の女性が誕生します。話に関係ないのですが、体が大人ですから、生理などはどう処理するのか心配していたのですが、そういうシーンは一度もない上、ありとあらゆる男とセックスしても妊娠していなかったようなので、ゴッドが蘇生させるときに子宮を取ってしまったのかもしれません。そんなことも考えました。この映画、R18ですし。
彼女は美人なので男にモテるのですが、知的吸収が早いとはいえ、基本は赤ちゃんですから、自由奔放、社会生活は成り立たないレベルです。でも、そんな彼女に男たちは振り回され続けるのですね。誰一人として彼女を放り出す人はいないのです。不思議ですね。若い美人だからこそ許されるのでしょうが、わきまえのある賢い女性より、手の焼ける幼い女性が男の本能をくすぐるってことですね。
ゴッドは、優秀な博士なのですが、父親が優秀過ぎる研究者だった故、実験台にされ続け、体自体がいびつになっています。たとえば胃酸が作れないから食事は何かと連結して行い、食後は大きなバルーン状のげっぷをする、とか。事程左様に、いちいち変なのですが、みんな素知らぬ顔をして物語は進んでゆきます。
元々はベラも博士の被検体。なので、研究の助手だったマックスとベラは結婚します。でも、外の世界を見て見たかったベラは、あっさりと他の男と駆け落ち。これがマーク・ラファロです。裕福な彼は、最初こそベラを豪華客船でもてなしたりしますが、奔放な彼女に振り回されるうちに彼女の虜になり、彼女に捨てられても、金銭に行き詰まっても、執拗に彼女にまとわりつきます。みっともないですね。
後半には、彼女の過去が徐々に明らかになります。誰と結婚してたか、とか。それが案外家父長的な男だったり。でも、ネタバレになるので書けませんが、ラストは大団円。そう来るか~と思いました。感心しました。監督、やっぱりタダモノではないですね。自分はそのあとに「聖なる鹿殺し」を見たので、同じ監督と知った時は驚きでした。何も知らずに同じ監督の映画を続けて見たということは、縁があるのかもしれません。これからも注目していきたいと思います。
エマは次作も出演決定だそうですから
今度はどう料理されるのか不安?(笑)