ザ・フューチャー（The Future）

 

 

　現代美術や小説、音楽、パフォーマンスなど多方面で活躍するマルチアーティストで、初の長編作「君とボクの虹色の世界」（2005）も高い評価を受けたミランダ・ジュライが、大人としての責任に向き合い、新たな生き方を模索していく女性の姿を描いた監督第2作。同棲4年目を迎えた35歳の女性ソフィーと恋人のジェイソン。ある日、2人は怪我をした小さな猫を見つけ、パウパウと名づけて最期を看取ると決める。そのことをきっかけとして2人の心境や生活はゆるやかに変化していく。お互いやりたいことをやろうと、仕事を辞め、インターネットを解約して、自分の内なる声に耳を傾けて生きようと決意する。（映画.comより）

 

 

 

 

 

 2011年の映画。録り置きです。

 

　不思議な映画・・・。マルチアーティストかなんか知らんけど、やっぱすごいね。時間やヒトの能力まで超越した話の展開。「な、なんなんだ」と戸惑っていながら見て、最後まで至っても、説明もなし。もちろん、人生に明確な「答え」なんてないんだけれど。

 

自分はどうあるべきか、あるいはもっと違う人生があるはず・・・それはヒトにとって、永遠の課題だけれど、この主人公たちは35歳にしては少々幼い感じもします。

 

「5年後に自分たちは40歳。40はもうほぼ50歳。そしてその後の人生には・・・微妙な変化しかない」と焦る主人公たち。若い人たちには、こんな言われ方するのね。少し意外でもあり、不快でもありました。確かに、若いことは財産であり、可能性の宝庫でもあり、「おばさん」なんてもっとも見下される人種（と、自分で思う）だけれど。

 

「だから、人生がほぼ終わってしまう。今、手を打たなければ」と、行動の発端はここ。そうなんだね。ふぅぅぅぅん、って感じでした。

 

で、「何かしなければ」って、新しい「何か」をするにあたって、まず仕事を辞める。安易な発想（笑）。それなのに、彼は「な、簡単だろ。」と希望一杯の表情。

 

あのね、仕事なんていつでも辞めれるの。自分の替わりなんていくらでもいるんだから、簡単なのは当たり前。自分が生活に困るだけ。そんな簡単なことがわからずに、なんであんなに希望一杯になれるんだろう。

 

で、翌日から行き詰ります。当たり前です。明確な目標も指標もなしにやめたんだから。「30日で30個のダンスを創る」と決めた彼女も、早々にギブアップ。彼は、道で偶然呼びかけられた「地球温暖化に反対しませんか」という運動に加わって、木の苗を売り始める。そんなことがうまくいくはずがない。でも、もうやめさせてもらえません。いつしか彼は、温暖化の話をするつもりで訪ねた”広告でドライヤーを安く売ってたおじさん”の話術にハマり、なすすべもなくおじさんに捕らわれてゆきます。

 

挫折してヒマしていた彼女は、彼が買った絵の裏に書いてあった作者に連絡し、なぜか彼とお付き合いし始めます。女の子が一人いる中年おじさん、そりゃこんな若い女の子が積極的に関わって来たら拒みません。

 

ということで、「なんでそうなるの」と言う方向へ（とは言いつつ、彼はおじさんの話から得るものがあったのかもしれないし、彼女は愛されて満足だったかもしれないけれど）と話は向かい、彼女は家を出て”絵の作家”と住むことに。でもなんか、違う気がずっとしています。

 

でも、そこからまだ”時間が止まった”り、”ありえない早さで周りの時間が早く進んだ”り、”いくつもの時間が並行して存在”したりと、難解な展開が繰り広げられます。

 

結局、よくわからないまま、そして誰も満足しないまま映画は終わってしまいます。彼らはこの先、どうなるのでしょうか。あるいは、彼もたくさん木が売れて成功するのかもしれませんし、素敵な彼女が新たにできるのかもしれません。でも、もしかしたら、そこで「これを求めていたのではない」とまた思うのかもしれませんし、「人生は40歳で終わりなんだから、もういいや」と思うのかもしれません。

 

彼女は・・・もう、わかりません。これほどの”不思議ちゃん”は、「500日のサマー」よりすごいかもしれません。凡人には理解できません。感性でわかる人にはお勧めです。

 

でも、ヒトはさ迷うもの、人生はどこまでいってもよくわからないもの、なにがよかったのかは一生わからないもの、そういうコンセプトには賛成します。