田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

遺灰は語る(Leonora addio)

2024年06月02日 16時22分55秒 | 日記

LEONORA ADDIO (Paolo Taviani) • Sale della Comunità

Leonora addio' Review: Paolo Taviani's Slight Farewell to His Brother

Leonora addio (2022) - IMDb

 イタリアの名匠タビアーニ兄弟の弟パオロ・タビアーニが兄ビットリオの死後初めて単独でメガホンをとり、ノーベル賞作家の遺灰を運ぶ波乱万丈な旅の行方を、美しいモノクロ映像と鮮烈なカラー映像を織り交ぜながら描いたドラマ。

1934年にノーベル文学賞を受賞した文豪ルイジ・ピランデッロは自分の遺灰を故郷シチリアへ移すよう遺言を残すが、独裁者ムッソリーニは彼の名声を利用するため遺灰をローマに留め置いてしまう。戦後、ピランデッロの遺灰はようやくシチリアへ帰還することになり、シチリア島特使がその重要な役目を命じられる。しかし、アメリカ軍の飛行機に搭乗拒否されたり、遺灰の入った壺がどこかへ消えてしまったりと、次々とトラブルが起こり……。

エピローグには、ピランデッロの遺作「釘」を映像化した短編を収録。2022年・第72回ベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した。(映画.comより)

 

 

<2024年4月23日 録画鑑賞>

 タビアーノ兄弟なんて言うと、とても昔な感じがして、しかも白黒で撮られてある映画だから、てっきり古い映画の再上映だと思っていました。和歌山でも、あらゆる映画を上映している新進気鋭のミニシアターでの上映だったので、いわゆる”名画座”かな、と。でも、違うんですね。新作だったんですね!

 ということで「遺灰は語る」です。要は、シチリアの有名作家の遺灰が、故人の遺志に逆らって留め置かれていたローマから、戦後無事にシチリアへ帰ることになった。しかし、それがなかなか一筋縄では行かなかった、と言う話です。

 突拍子もない話ながら、なかなかにおもしろかったです。大作家はやっと故郷へ帰れることになったというのに、アメリカ軍の飛行機に乗せてもらったらもらったで、他の乗客に気色悪がられて結局飛ばなかったり、汽車に乗れば乗ったで、目を離したすきになくなるし(結論から言うと、頃合いのいい大きさだったので、ゲームの台に使われていた)、やっとシチリアについても、棺が子供用しかなかったり、神父さんたちに宗派の違いで難色を示されたり。もう、踏んだり蹴ったり。果たして作家は嘆いているのか、ウケて笑っているのか。遺灰になっている以上、わかりませんね。

 そして、第二部は突然カラーに。今度は例の”遺灰”作家の短編小説「釘」を映画化したものです。こちらは不思議な話でした。アメリカはブルックリンに住むシチリア移民の親子。息子(少年)は、父が営むイタリア料理店のランチが終了した後、広場で座っています。すると少女二人がつかみ合いの激しい喧嘩を始めます。どちらも一歩も引きません。が、そのうち赤毛の少女が倒れました。すると少年は、先ほどの馬車が落としていった釘を拾い、少女を刺してしまうのです。当然捕まりますが「定めだった」としか言いません。愛くるしい若さで、お店で愛嬌を振りまいていた少年は、刑期を務めた後も少女の墓参を欠かさないのでした。(違うかもしれませんが、この辺は、少年が赤毛の少女をずっと恋慕しているようにも見えました)

 凡人の私には、「遺灰は語る」の方が楽しめました。カラーの短編も何かを示唆しているのでしょうが、私にはわかりません。

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