田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ミモザの島に消えた母(Boomerang)

2016年08月14日 10時21分04秒 | 日記

Boomerang poster.jpg

 「サラの鍵」の原作者タチアナ・ド・ロネの小説を映画化したサスペンス作品。冬に咲く小さな花から、「ミモザの島」と呼ばれるフランス大西洋にある島。30年前にこの島の海で若い女性が謎の死を遂げた。女性の息子であるアントワンが家族に母の死についてたずねると、誰もが頑なに口を閉ざし、母の死について語ろうとしなかった。母の死の真相を突き止めるため、アントワンはミモザの島を訪れるが、彼はそこで自分が知らなかった母のもう一つの顔を知ることとなる。アントワン役に「ムード・インディゴ うたかたの日々」「クリムゾン・リバー」のローラン・ラフィット。アントワンとともに真相を追う妹役に「人生はビギナーズ」「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロラン。(映画.comより)

 

 

 

 「サラの鍵」は、かなりの衝撃を持って見たのを覚えています。あらゆる意味で。いくらタブーだからって、(家の)所有者が変わっているのにタンスを開けないでいることって、ある?とは思ったけれど。

さて、今回は兄10歳、妹(多分5歳くらい)のときに亡くなった母についてです。ほとんど記憶がない妹に比べて、あやふやだけど母の記憶を持っている兄。ミモザの島でアクシデントにより溺死したとされている母はしかし、その後家族間の会話としてはタブーとされ、父も祖母もまるで母が存在しなかったかのようにふるまってきました。

しかし、やっぱり母の記憶(父でもそうだと思いますが)は人間の根幹なのだと思うのです。それがどんなに出来損ないの親だったとしても(今回がそうだと言っているのではありません。あくまで一般論です)、自分のルーツをよく知っていることは人間形成の基本だと思うのです。もちろん、やむを得ない事情で親の顔を知らない人もいらっしゃるでしょうし、知らなくても立派に成長する方もたくさんいらっしゃるでしょうけれど、やっぱりみんな結局は、ある時点で知ろうとすると思うのです。

今回の兄も、やり過ごしてここまで大きくなってきたわけですが、やはり人生のいろんな場面で行き詰まるようになってきます。「なんで僕の母なのに、みんな知らん顔するのだろう」・・・ここをしっかり知ると人生、一歩前へ進めるような気がするのですね。それがたとえ現実逃避に過ぎなかったとしても。

ここでは、「ミモザの島」が、満潮時には道路が冠水し孤島になるというところがミソになります。島が美しいからって、そんな不便なところに別荘を持つんですね(笑)。

 

結論から言うと、見たこともない斬新な展開、ということはなく、まぁあるだろう、的なお話に帰結するわけですが、やっぱり時代のものですね。今ならさほど抵抗のないことでも、当時は許されなかった。そしてその価値観を頑として信じている以上、どんな手を犯そうと「自分は正しいことをした」と信じて譲らない人がいたということです。それは今でもそうなんでしょうけれど。

犯した罪より、それを認識できないことの方が怖いと思った映画でした。

コメント
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