映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

ワールド・オブ・ライズ   BODY OF LIES

2008-12-28 | 映画 わ行
今の世の中グーグルアースやストリートビューを使えば、私達のような一般人でも
世界中の場所をかなり詳細に見ることが出来ます。
フィクションである映画の中で個人を特定するくらいの精度ってことは
本物の諜報活動をやっているCIAのような組織は、どの程度まで情報を得ることができるんでしょう?
空恐ろしい気がします。



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      ワールド・オブ・ライズ   BODY OF LIES

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何だか、アラブ=イスラム教徒=テロリストみたいなイメージないですか?

そもそもアラブ人の定義って御存知ですか?
アラブ人とは、「アラビア語」を第一言語として話す人で、人種を指すわけではないそうです。
イランはペルシャ語を、トルコはトルコ語を話すのでアラブ人にはなりません。
映画の中でアラビア語の得意な主人公フェリスのことをジョークでアラブ人と言ってました。

アラブ人の大多数はイスラム教徒ですが、クリスチャンも数百万人、ユダヤ教徒も数千人いるそうです。
因みに「アラブ世界」とは、中東と北アフリカの22カ国を指します。

「中東」とはエジプト東部からペルシャ湾に及ぶ地域のアラブ諸国とイスラエル、トルコが入り、
トルコはときに中東、ときにヨーロッパの一部とみなされるそうです。

世界には推定12億のイスラム教徒がおり、イスラム教徒人口が多い国順は、
インドネシア、パキスタン、バングラデシュ、インド、トルコ、イラン、エジプト、
ナイジェリア、中国。 上位9カ国中「アラブ」はエジプトのみ。
「アラブ人」のほとんどがイスラム教徒だけれど、
イスラム教徒のほとんど、12億のうち少なくとも8億は「アラブ人」ではないということにビックリです。

刷り込まれた「アラブ」「イスラム」のイメージが強く、
知っているようで如何にしらないか、間違ったイメージに踊らされている気がします。


 < ストーリー >
ロジャー・フェリス(レオナルド・デカプリオ)はCIAの現地工作員。
死と隣り合わせの彼に任務の命令を下すのは、遠く離れたアメリカの安全な場所にいる
ベテラン局員エド・ホフマン(ラッセル・クロウ)。
時には子供の世話をしながら、ときにはジャンクフードを食べながら。
彼らの目的は、欧米各地でテロを起こす爆破テロ組織のリーダーアル・サリームを捕まえること。
ヨルダン情報局のハニの協力を仰ぎ、反目し合いながらも協力し、
架空のテロ組織をでっち上げ、サリームをおびき出そうと試みるが……。
フェリス、エド、ハニ、夫々の駆け引き、嘘と信頼が交錯する。
テロのリーダーを捕まえるのは、いったい誰なのか…?

     

原題は「BODY OF LIES」
「BODY」っていろんな意味があるのですね。
誰もが知ってる、ナイスバディ!の「体」や「本体」の他に、
「組織・機関」、果ては「死体」という意味まで。

この題名は「一連の嘘」とか「嘘だらけの組織CIA」「嘘の果てに」といった意味でしょうか。

キャッチコピーは、「誰も信じるな!」「みんなを騙せ!」


だいたい、クロウ演じるエドは全くもって傲慢な奴。
ハイテクを駆使する「未来人」たる我々には、ローテクの彼らを理解できないとかなんとか・・・
めっちゃ上から目線です。
今やたった一人で、遠く離れたところから、
コンピューターを駆使して偽テロ集団を作り上げたりすることもできるんですね。
恐ろしや~。
そんなものに巻き込まれて知らないうちにテロリストにされたあの方、気の毒すぎます。

でも、「現場に足を運ばなくても、衛星からの映像ですべてお見通しさ~」なのかと思ったら、
土煙で煙幕張られたらお手上げってなんともお粗末。
やっぱりハイテクに胡坐をかいたらあきません。結構脆弱よ~。
最後はローテク、アナログ、人と人との信頼関係を侮ったらいかんぜよ!ってことですか。

色んな国の思惑や、テロ組織同士の派閥、同じ組織内での考え方の相違などが複雑に絡み合って、
「敵の敵は味方」みたいな単純理論はなりたたないねぇ。
嘘と嘘、嘘と真実が入り乱れ、み~んな疑心暗鬼です。

唯一の真実は、看護婦アイーシャとの恋、ってこんな大変な時に何してんのよ!
映画だから、デカプリオだから、恋愛話でほっと一息かもしれないけっどー・・・
彼女がウイークポイントとして巻き込まれるのはお約束。
やり手の工作員ならこんなことはせえへんよ。
アイーシャを演じるイランの女優さんは、気品があってと~ってもお美しい!


世界各国(日本はいない?)に
スパイとか、秘密工作、諜報活動に従事している方々がいらっしゃると思いますが、
一体何が彼らをあんな危険な仕事に駆り立てるのか?
文武両道、インテリのうえ体力・腕力にも自信アリって、他の分野でも大成功できるだろうに・・・
国家のため?世界を救うため?
作戦が成功しても、功績を公にできず、ことによっちゃぁ拷問のうえ野垂れ死にって事もあるのに・・・。
テログループに捕らえられ、あんな経験をしたら間違いなくPTSDでしょうが?
日本のために日夜暗躍する日本人工作員、・・・は、いないよなぁ~。


レオナルド・デカプリオは「ブラッド・ダイアモンド」以降良くなりましたねぇ~。
童顔だったのに、貫禄が出てきて、後10年位したら悪役のボスなんかもいいんじゃな~い。

        
ラッセル・クロウは20キロ体重を増やしたとか。
以前タバコ会社の内幕を暴いた「インサイダー」でも体重増に挑んだように記憶しています。
今回は安全な所から、子供の世話をしながら食べながら、無茶な指令を出すメタボな上司。
現場で起こっていることや命がけの現地工作員のことなんかお構いなしのふてぶてしい役どころ。
お似合いです。
しかし、あれで「ヘアアーティスト」や「コスチューム担当者」はいらんでしょう?

ヨルダン情報局のボス、ハ二を演じるマーク・ストロングはダンディーでクール!

テロリストのリーダー、サリームを演じるのはイスラエル俳優アロン・アブトゥブール。
イスラエル人でイスラムのテロリストを演じることに葛藤はなかったのでしょうか?


オランダでの無差別テロで犠牲になる通行人アジアン観光客夫婦。
エンドロールでわざわざ「Japanese Tourist」になってたけど、
どうみたって風貌も名前も日本人じゃあないぞ!
Japaneseと特定する意味がわから~ん!

今、こうしている時にも、世界のどこかでテロ行為を阻止する為に
こんな風に戦っている人たちがいるのかなぁと思うと・・・複雑な気分です。



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 ***** 今週 見た 映画 *****

12月19日 「さようなら。いつかわかること」DVD

12月22日 「ワールド・オブ・ライズ」@109シネマズMM横浜

12月23日 「フォグ・オブ・ウォー マクナマラ元国防長官の告白」DVD

12月24日 「Sweet Rain 死神の精度」DVD 金城武、小西真奈美主演

12月25日 「ベガスの恋に勝つルール」DVD キャメロン・ディアズ主演

12月26日 「ブルースとロイド OUT OF CONTROL」DVD マシ・オカ主演
         「ゲット・スマート」の秘密兵器担当二人のスピンオフコメディー

12月27日 「タクシデルミア TAXIDERMIA ある剥製師の遺言」DVD ハンガリー映画


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10 コメント

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意外と知らないアラブ (kira)
2008-12-28 23:56:12
こんばんは!
イスラム教徒の8/12が、アラブ人ではないって、
目から鱗のお話でした!
アラビア語の得意なフェリスに言ったセリフはやはり好意的なジョークだったのですね。

得意の電波ジャックも通用しないテロリストに
煙に巻かれるシーンは「レッドクリフ」を思い出させましたが
CIAが悪とも間抜けとも取れる内容で、
アメリカでの苦戦が頷ける作品ですが、
レオの出演作には心に響くものが必ずあり、いつも惹かれます
こんばんは~! (kiraさんへ(ryoko))
2008-12-30 23:15:44

中東イスラム世界のことって、わからない事だらけですね。ある講座で「アラブの定義」等を聞き、ビックリでした。

こそこそ謀をするより、堅実な信頼関係を築くことこそが大事ってことでしょうね。

最近のレオは骨太・社会派で、逞しく、頼もしくなりましたね~
次回作も楽しみです
Unknown (あん)
2009-01-01 23:55:34
>今の世の中グーグルアースやストリートビューを使えば、私達のよう>な一般人でも世界中の場所をかなり詳細に見ることが出来ます。
一般人でもそうだから、CIAとなるとかなりの情報も得ているんでしょうね。どこまで本当か?は分かりませんが、CIAの暗部も見せてくれましたね。ただ、一概にどうとも言えない複雑な問題ですね...。

3人のキャラが、対照的で面白かったです。見応え、ありましたね。
レオが成長して、いい俳優になったのが嬉しいです。
ラッセルは、普段はもっと素敵なんですが(涙)...酷く描きましたが(笑)

リドリー・スコットの狙い (mezzotint)
2009-01-04 10:42:37
ryokoさま
明けましておめでとうございます
本年も昨年同様、宜しくお願い致します。
監督が描こうとした想いと観客の受け止め方とは
随分違いがあるし。観客の想いもそれぞれ違いますね。まあ色々な観方が出来るのが、映画の良さ、魅力なのではないかと思いました。今年も素敵な作品に
出会いたいものですね。またお邪魔しますので、宜しくです!
コメントありがとうございます。 (あんさんへ(ryoko))
2009-01-08 22:42:21

レス遅くなり申し訳ありません。
見応えありで、面白かったですね。
童顔で苦しんだレオでしたが、年相応の貫禄が出てきて良くなりました。私も嬉しいです。
ラッセル・・・めっちゃ演技派だけれど・・・ちょっと苦手です
元の体型に戻れるのでしょうか?他人事ながら心配です。
Unknown (mezzotintさんへ(ryoko))
2009-01-08 22:49:51
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

あのラッセルのメタボ振りとふてぶてしさで、監督の意図するプライベートも無いほど忙しい…はやっぱり伝わりにくいのでは?と思っちゃいました。
硬派の見応えある映画でした。
今週末から続々封切られる映画、楽しみですね。

こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
そうか~・・・ (メル)
2009-05-12 17:55:38
ryokoさんの記事を読んで、イスラム教徒のうちの大多数がアラブ人じゃないんだよなぁ~・・と改めて思い至りました。
偽りの組織・嘘だらけで騙し騙されの世界が
上手く描いてあったなぁって思いました。
でも、こういう題材に少し飽きてきてる自分がいます(^_^;)
その割にはしっかりわかってる訳じゃないんですが(^^ゞ

ラッセル・クロウのあの体型にはビックリでしたが、あれで安穏と子育てをしながら自国で指示してるCIAの上層部というのが良く現れてたなぁって思いました。
私だったら太るのは簡単だけど、二度と痩せられなくなりそう~(笑)
俳優さんたちって凄いですよね~。

このようなことが今でも世界中で繰り広げられてるんですよね~・・
そういうことを考えると、こういう風に日本で
平和にそれこそ安穏と暮らしてる自分がとても幸せ者なんだなぁってつくづく思います。
こんばんは~! (メルさんへ(ryoko))
2009-05-13 21:32:01
コメント、いつもありがとうございます。
日々の生活からは想像もつかない世界があって、日夜世界のど~こかで~誰かが~、命を懸けて騙し騙されってことを繰り広げているんでしょうね。
旅行先で巻き込まれたり、自分の知らない所でテロリストに祭り上げられていたり・・・離れた場所からあんなことができるなんてショックです。
これまた離れた所から子どもの世話をしながら支持するCIAの上層部に、「人を何だと思ってんだ!いい加減にせんかい!」とあつくなってしまいました。

ところでラッセル・クロウは痩せたんでしょうか?
太るのは簡単だけれどなかなか痩せません体に悪いもの、太るものって、何であんなに美味しいんでしょう?
Unknown (CD)
2009-06-29 13:46:20
ryokoさん、こんにちは!
冒頭の、ryokoさんからのアラブに関する情報、知らないというか
誤解だらけだったので、すごく為になりました。
まずは、関心を持って正確な知識を得るということが
すごく大切だと思いました。

アイーシャとの恋、私も必要ないというか違和感を感じたんですけど、
この手の映画には必ず出てきますよね。
ということは、ハリウッド映画にとっては必要不可欠ということ
なのかな?
こんにちは! (CDさんへ(ryoko))
2009-06-30 09:24:51
アラブとかイスラム教って、間違った過激なイメージが出来上がっていますよね。
私も知った時には驚きました。受け売りです。

アイーシャは本当に美しいんだけど、そんなことしてる場合か?!と突っ込みを入れてました。
恋話、女優さんのヌード、濡れ場、派手な追っかけ合いっていうのは興行成績を上げる必須項目だと思っているんでしょうね。
テンプレ過ぎて引いてしまうこともあるのに・・・。

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