映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

この自由な世界で・・・  イギリスって言っていいの?

2008-10-26 | 映画 か行
わたし、英国に行ったことがありません。
そして今日に至るまで、大きな認識違いをしておりました

英国と聞いて何を思い浮かべますか?
 王室、女王、お城、サッカー、テニス、シェークスピア、ガーデニング、パンクにミニスカート、
タータンチェック、ハリー・ポッター、等々。
英国映画と聞いて何を思い出すでしょう?
 「マイ・フェア・レディー」「アラビアのローレンス」「007シリーズ」「日の名残り」
「ノッティングヒルの恋人」「プライドと偏見」「ブリジット・ジョーンズの日記」「クイーン」「リトル・ダンサー」
こんなのを思い浮かべるのではないでしょうか?

そもそも、国名をイギリス、人をイギリス人と呼ぶこと自体が大きな間違いだというのです。
以前英国出身の男性に「イギリス人?」と聞いて、えらく叱られました。
彼曰く「まったく日本人は・・・。僕はスコットランド出身だからイギリス人じゃない!」とのこと。
えっ?じゃあ、何て言えばいいのよ
イギリス即ちイングランドはロンドンを含む地域のみを指しており、
英国すべてを指しているわけではないということでした。
無知でごめんなさ~いと日本人を代表して謝っておきました

正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」。
社会科のテストでもない限りこんな正式名称聞くことないよねぇ。

一般的にはUK(ユナイテッド・キングダム)で、
イングランド、ウエールズ、スコットランド、アイルランドからなる。
それぞれ出身者をイングリッシュ、ウエルシュ、スコティッシュ、アイリッシュと呼び、
まとめてブリティッシュというそうな。(スコティッシュやアイリッシュは好まないらしいけれど…)
それ以来、「イギリス」と言うのは止めました。「英国」「UK」と言うようにしています。

そしてUKはアメリカ同様、「人種のるつぼ」だなんて・・・。
そりゃぁ、旧植民地出身のインド系(印僑)、アフリカ系、アラブ系や華僑の方々が多いのは想像はつきますが、地域にもよるでしょうが、実際通りを歩いていてそんなに「多民族国家」を感じるのかなぁ~?
前出の映画を見る限り、あまり感じなかったなぁ~。

ところが最近の映画を見ていると、舞台はロンドン?と言いたくなるような映画に
頻繁にお目にかかるのです。
「イースタン・プロミス」では英国のロシアンコミュニティーを描いていましたが、
「こわれゆく世界の中で」では主人公ジュード・ロウとビジネスパートナーの友人はブリティッシュながら、
妻はスエーデン人、出会うのは旧ユーゴ、サラエボ出身の移民、周りにはアフリカ系、
中国系などなど。
そしてケン・ローチ監督の「この自由な世界で」を見て、ちょっとビックリ!
英国ってこんなことになっていたんですね。



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    この自由な世界で    IT'S A FREE WORLD・・・

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 < ストーリー > goo映画さんより
シングルマザーのアンジーの仕事は、外国へ行き労働者を集める事。
ある日突然クビを告げられた彼女は、今までのノウハウと経験を生かして、
自分で職業紹介所を立ち上げる。
親友のローズを共同経営に、二人は移民労働者たちを集めて仕事の斡旋を始めた。
アンジーの努力もあり、仕事は増えていくが、やがてトラブルが出始める。
会社の賃金未払いのため、移民たちにお金を払えなくなった事から、彼女は道を踏み外していく…。

        
恥ずかしながら、ケン・ローチ監督の映画初めて見ました。
監督は弱い立場にいる人たちを好んで描かれるそうで、
この映画の主人公アンジーもシングルマザーで学歴・キャリアなし、弱い立場のひとりです。
ポーランドでリクルート手腕を発揮しても、セクハラにあい、非難するとあっさりクビに。
低賃金でこき使われ、何か起こると真っ先に切り捨てられる移民労働者とそうは変わらない。
そんな状況から脱するために一念発起、人助けにもなるからと自ら移民専門の職業紹介所を立ち上げる。

元々多民族国家であった上に、2004年東欧のEU加盟国の労働者を受け入れたことで
2005年までに政府の予想をはるかに超える32万9千人が流入、
そのうちの59%はポーランド人でダントツだそうな。
違法移民もいるだろうから、実際の数字はこれを上回るとんでもない数ですね。
言葉の問題もあり、自国ではインテリでも英国では単純労働の需要しかないし、
朝早くからならんで移民同士で職を奪い合うことになる。

  

資本主義の下では各々の利益をめぐって、少しでも高い賃金を求める労働者と、
少しでも人件費を抑えたい資本家とのせめぎ合いが起こる。
強い立場の雇用側は続々とやってくる移民の労働力を背景に足元を見てこき使い、
搾取し果ては首にする。
皮肉なことに、企業の側ももはや低賃金の移民労働者失くしては立ち行かない。
雇用側と移民労働者を結びつけるアンジーは、
その狭間で自分の利益を確保する為労働者の賃金をピンはねをし、
友人を裏切り、違法なことにも手を染め、どんどん嫌な人間になっていく。
必死に頑張れば頑張るほど、どんどん追い詰められ、弱い立場の人たちを踏みつけにする。
息子を引き取って、もう少し良い生活をしたいと望んでいただけだったのに・・・
そんな彼女を冷静に見つめ、孫の世話を引き受けている父は、
「自分の幸せのために、他人を踏みつけにしてもいいのか?」と問う。
  

行き過ぎた資本主義、拝金主義とグローバル化の波が押し寄せる中、
父親世代とアンジーの世代の間に、労使関係や労働に対する意識や倫理感といったものが
英国だけでなく日本を含め世界中で大きく変わってしまったと言えるでしょう。
ホリエモンや村上ファンド代表の「お金儲けして何が悪い」という発言を思い出します。


アンジーが徐々に変わっていく過程に怖いものを感じると共に、
自分もそんな流れの中に飲み込まれるかも知れないという不安を感じました。

彼女をそんな風に追い詰め、変えてしまった今の社会のシステムや
「しょうがないじゃない」という風潮、
欲しいものに直ぐ手が届く便利なスピードアップした日々の中、
「心の余裕」を失くしてしまっているような気がします。
この自由な世界で、果たして本当の自由って何なんでしょう?


外国人労働者・移民を受け入れるかどうかは日本にとっても大きな問題です。
最近インドネシアから看護士さんや介護士さんが来日し、
今後フィリッピンからの労働力も期待されているようです。

でもあまりにも人数が増えると、
移民労働者に仕事を取られたという不満や、言語や文化の違いからくる軋轢から、
排斥の動きが起こることが考えられるし、、
2世代3世代の子供たちは現地語で育ち両親との会話に支障が出る等々
外国人労働者を受け入れるか否かには、まだまだ考える余地がありそうですね。



話は変わりますが、英国アクセントはアメリカでめっちゃもてるらしい。
「ラブ・アクチュアリー」の中でもてない男がアメリカへ行き、モテモテで帰ってくるシーンをあって、
ありえな~いと思っていたが、
本当にアメリカ人は英国アクセントをキュートと感じるそうです。
英国アクセントが苦手な私には、これも大いなる誤解でした。




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 ***** 今週 見た 映画 *****
 10月24日 「隣のリッチマン ENVY」DVD ジャック・ブラック、ベン・スティラー主演

         「やわらかい手」DVD

         「ジェーン・オースティンの読書会」DVD   



   

僕らのミライへ逆回転  BE KIND REWIND

2008-10-19 | 映画 は行
久々に21:15からのレイトショーに海老名TOHOシネマズに行ってきました~。
鷹の爪団のマナーアニメが新しくなってる~・・・最後の数分しか見れなかった
もう少し早く入ればよかったってそんな大層なもんやないけど結構好きです。
そ・れ・に・・・今回はヘルニア、いえプレミアシートスクリーン!(鷹の爪団の小ネタです
2階にこんな場所があるの知らんかった~階段を上がるとそこはプレミアラウンジ。
      
        プレミアスクリ~ン  
ゆったりリクライニングシートで楽~チン

前回に引き続き、今回もコメディーではありますが、全く趣の違う映画です。
真面目なコメディアンに対抗するは、表情豊かで切れキャラがピッタリのジャック・ブラック。



               

  僕らのミライへ逆回転  BE KIND REWIND

               


 < ストーリー >
再開発で立ち退きを迫られる街角のレンタルビデオ店。
スクラップ業を営むトラブルメーカーのジェリー(ジャック・ブラック)と
この店の店員マイク(モス・デフ)の二人。
ある日、店長(ダニー・グローヴァー)は旅行に出かけマイクが店を任される。
張り切るマイクだったが、強力な電磁波を浴びたジュリーのせいでビデオの中身が消去され
続々とお客さんからクレームが…。
追い詰められた二人はビデオカメラを使って消えた映画を自作自演でリメイク!
ところが、その手作り映画が大好評で、たちまちお店は大繁盛!
リクエストに応えて、次から次へと勝手にリメイクし、町の人々も出演し
主演のジェリーはすっかり人気者に。
ビデオの収益で、店の建て直しに後一歩のところで、著作権侵害の強制執行で、
リメイクはおろか、作ったビデオはローラーで廃棄処分に。
店の存続はどうなるのか?



DVDが主流で、ブルーレイに移行するのか?という今日この頃、
舞台はVHSビデオしか扱っていない、立ち退きを迫られている街角の小さなビデオショップ。
原題の「BE KIND REWIND」は「ビデオを返却する時は巻き戻してくださいね」という
ビデオ屋さんのお願いフレーズ。

磁気を帯びたジェリーのせいで、店のすべてのビデオテープが観れなくなり、
苦し紛れに自分たちでリメイク?を作ってその場をしのごうとする。

CG全盛のこの時代に、超アナログ、これほどの手作り映像はかえって新鮮です。
ある意味CG技術でどんな映像でも作れてしまうということに対する『アンチテーゼ』ってやつでしょうか?
製作費***億円!な~んて、お金さえかけたらいい映画ができるんとちゃうよ~。

二人が作る手作りリメイクのチョイスが面白い~!監督さんの趣味でしょうか?
「ゴースト・バスターズ」・・・アルミホイルを服に巻いて図書館に出没。

「ロボコップ」・・・ガラクタを集めてロボットもどき?
         
                      「キングコング」・・・口につけたのはオモチャの車?

「ライオンキング」・・・アニメのリメイクって?
            紙だか布だか、まるでNHK教育の「わくわくさん」の創作世界です。

「キャリー」・・・この映画メジャーなのかな?何故か、私が映画館で見た唯一のホラー映画。
         シシー・スペイシク主演で、ラストでプロム女王に祭り上げられたキャリーは
         頭からブタの血をぶっかけられて、超常現象が!ってところがケチャップに。
         スティーブン・キングが原作だったんだぁ~! 

「2001年宇宙の旅」:360度歩いて回る有名なあのシーンを再現!

「ドライビングMissデイジー」・・・ジャック・ブラックがミス・デイジー役って、
                 ジェシカ・タンディーが怒っちゃうよ。

「メン・イン・ブラック」・・・あんなに車がひしめいていたっけ?

「ラッシュアワー2」「ブギーナイツ」「シェルブールの雨傘」等など。

みんなでワイワイ、お金をかけずに、限られた素材や手法を使って手作りする映画の制作過程が
と~ても楽しそう

この映画がきっかけで、
手作りリメイク映画のことを「スウェード版 SWEDED」と言うようになったらしいです。

え~っ、ニューヨークからわざわざ車を飛ばして噂のビデオを借りに来たって、口コミですか?
でもでも、勝手にリメイク作ってレンタルしてたら唯ではすまんよなぁ~。アメリカよ~。
ここで登場する弁護士?強制執行官?が「シガニー・ウィーバー」
彼女は「ゴースト・バスターズ」でゴーストの親玉みたいなのに取り付かれるヒロインやったよね。

さあ、どうするよ?
リメイクがダメならオリジナルを作ればいいじゃん!てなわけで、
この街出身の尊敬すべきジャズ鍵盤奏者、ファッツ・ウォーラーの映画を作ろうってことになる。
ピアノの鍵盤が手!芸が細か~い! ダンボールの張りぼてで自動車が・・・
     
最後は「ニューシネマ・パラダイス」を髣髴とさせるようなホロリとさせられる感動シーンで終わる。

監督さんは、本当に映画が好き、それも昔風の手作りが好きな方なんだろうなぁ~。
あったか~い映画でした


お久しぶりのミア・ファーロー、「フォロー・ミー」好きでした。
モス・デフって、「16ブロック」でブルース・ウイリスとバスジャックして走り回っていた
あの人だったんですね
個性、いえアクの強いジャック・ブラックに押され気味ではあったけれど、
なかなかいいコンビでした。
人気ビデオ店にリサーチに行くダニー・グローバーが笑えます。


日本語タイトルの「僕らのミライ・・・」って未来をカタカナにする意味は何なんでしょう?
「ミライ」が「ミイラ」に見えるのは私だけ???




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***** 今週 見た 映画 *****

 10月 13日 「ゲット・スマート」@109シネマズMM横浜

 10月 15日 「地上5センチの恋」DVD フランス映画 

 10月 16日 「ここに幸あり」DVD フランス映画

 10月 18日 「僕らのミライに逆回転」@TOHOシネマズ海老名

ゲット スマート  GET SMART

2008-10-17 | 映画 か行
わたし、スティーブ・カレルの大ファンです。

コメディアンのタイプにもいろいろあれど、
無表情で笑わせるバスター・キートン、チャーミングな笑顔のチャップリン。
そして、
スティーブ・カレルは大真面目な顔で、ニコリともせず笑わせる、スーツが似合うコメディアンです
結構ハンサムだし、シリアスな役も合いそうなのに・・・コメディー。
そのギャップがいいのかも

他人がやっていることは、その人が一所懸命、真面目にやればやるほど、
それを見ている第三者にとっては滑稽でおかしいものなのかもしれません。
そういう意味では、スティーブ・カレルの笑いは王道なのかも?
その上、ハンサムでそこまでやるか?という意外性も加味されるしね。

「リトル・ミス・サンシャイン」の自殺願望のあるゲイのおじさん役に、
「40歳の童貞男」「エヴァン・オールマイティー」とひたすら真面目に笑わせるんです。
ハチャメチャに表情豊かに笑わせる「ブルース・オールマイティー」のジム・キャリーとは対照的やね。


              

 ゲット スマート   GET SMART

           
        
            電話の受話器投げてます。

 
むかし懐かしい?「それ行け、スマート」。
タイトルだけは覚えているけれど、それ以外は・・・?
映画を観て主題歌は記憶にある、ある、ある
でもひょっとしてCMなんかで使っていたのかも?
う~ん、思い出せない

という訳で、Youtubeをチェ~ック!
昔のテレビの映像を見ても、主演のドン・アダムズもエージェント99も全く記憶に無かった

な・の・に・・・おぉぉ!、何故かチーフの顔に身覚えが
主役やなくて何で脇のチーフやのん???ちなみにエドワード・プラットさんで、
よほどインパクトのあるお顔だったのか?
いえいえ、「北北西に進路を取れ」とか「理由なき反抗」などに出演しておられたから
見覚えがあったのかも。

そういえば、扉が次々開くシーンや電話ボックスからシュッと降りていくところとか
おぼろげながら、断片的に、いやなんとなく・・・ってやっぱりアッカ~ン

懐かしのスパイ物0011ナポレオンソロやアンクルの女だったら、よ~くおぼえているのになぁ~。


 < ストーリー >  goo映画より

極秘諜報機関「コントロール」で情報分析官を務めているスマート(スティーブ・カレル)の夢は、
エージェントとなって活躍する事。ある日「コントロール」本部が犯罪組織「カオス」に襲われ、
すべてのエージェントの身元が知られてしまう。
そのため、顔が知られていないスマートはエージェントに昇格。
整形した美人エージェント99(アン・ハサウェイ)と組んで、カオスの陰謀を暴く使命を受ける。
張り切るスマートだが、失敗の連続。しかしついに敵ボスの居場所を突き止める。


1960年代のオリジナルTVシリーズを制作したのはメル・ブルックスだったのね!
そういえば、笑いが似ている~。
監督にして脚本家、作詞作曲も手がけ俳優もする、
アカデミー賞、エミー賞、トニー賞、グラミー賞を獲得したとんでもない方ですわ。
一時期「ヤングフランケンシュタイン」「サイレントムービー」やヒッチコックのパロディー
なんかを見まくりました。
数年前にヒットしたミュージカル「プロデューサーズ」のオリジナルもメル・ブルックスです。
こんな筋金入りのお笑い系なのに、
奥様は「卒業」でミセス・ロビンソンを演じた名女優、故アン・バンクロフトです。

オリジナルへのオマージュがあちこち散りばめられているらしく、
TVシリーズを知っている人は2倍3倍楽しめるらしい・・・残念
でも、私のようにTVシリーズの主題歌しか覚えていない人でも、大笑いして楽しめるうえ、
ハリウッド映画らしいアクションもた~っぷり、
エージェント99のアン・ハサウェイがセクシーでとってもキレイ

TVシリーズ「ヒーローズ」でアメリカで一番有名な日本人になったマシ・オカがスパイ道具開発者で
ここでもオタクっぽい役どころです。
アメリカ大統領役でジェームス・カーンがちょこっと出演。
小学校で本を読み聞かせするところは911発生時のジョージ・W・ブッシュを思わせる。

「ウォンテッド」に引き続き、本作にもテレンス・スタンプ登場。ダンディでございます。
しかし、ビル・マーレーはなんであんなカメオ出演なの?それは見てのお楽しみ

ギャク満載、アクションもなかなかの、めっちゃ笑える楽しい111分

笑う門には福来る、
笑いは心のビタミン剤~ですよん


靴を通信手段にするって、オリジナルにあったのね


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イントゥ・ザ・ワイルド  INTO THE WILD

2008-10-12 | 映画 あ行
ロシア映画「12人の怒れる男」公開の最終日、折角銀座まで遠出したので
帰りにこれまた見たかった本作を109シネマズ川崎で鑑賞。
「12人の・・・」は2時間40分、本作は2時間28分、トータル5時間超え
ちょっと無茶をしてしまいました。
私の無謀はこの程度・・・


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     イントゥ・ザ・ワイルド   INTO THE WILD

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 < ストーリー >
大学を優秀な成績で卒業したクリス(エミール・ハーシュ)は、両親からの新車の卒業祝いを断り、
学費として貯めていたお金も全額寄付し、放浪の旅に出る。
途中乗りなれた車を捨て、クレジットカードもIDカードも捨て、
農場で働いたり、カヤックでコロラド川下りをしたり。
旅を通して、様々な人との出会いと別れを繰り返し、アラスカへ。
そこで捨てられたバスを根城に生活をはじめる。
実話ですがドキュメンタリーではありません。

映画のコピーは
「そして僕は歩いて行く、まだ見ぬ自分と出会うため」 I NOW WALK INTO THE WILD.
「彼がすべてを捨てて旅立ったのは、物質社会から脱出して新たに生まれ変わり、
いかなるルールにも縛られない自由を得るためだった。」


若さゆえ~ 苦しみ~ 若さゆえ~ 悩み な~んて歌がありましたっけ。
苦しみ、悩むのは若さの特権だなんて思わないけれど(この歳でもいっぱい悩んでますもん)、
若い時って、何て純粋で向こう見ずなんでしょう。

昔から「かわいい子には旅をさせよ」とは言うけれど、
一人ぼっちでアラスカでのサバイバル生活は過酷過ぎる。

映画の中で彼は言う。
人生において必要なのはー実際の強さより強いと感じる心だ
一度は自分を試すこと
一度は太古の人間のような環境に身を置くこと
自分の頭と手しか頼れない
過酷な状況に一人で立ち向かうこと

何て純粋でストイックなんでしょう。
文学好きで体力もあり、意志が強く、孤独にも耐えられる精神力もある。
今どきこんな好青年がいるだろうかと思うほど。

誰にも何にも干渉されない自由な生活って憧れもするけれど、なかなかそんな勇気は無いなぁ。
誰にも会わない一人ぼっちの生活なんて、3日もしたら「誰か、かまって~」と叫んでしまいそう。
    
実際自分の力を試してみたいとか、広い世界を見てみたいと出かける若者は多いし、
バックパック一つでヒッチハイクをしながらなんてTVの企画もいっぱいありましたっけ。
若い男の子は特にそういう気持ちになるんだろうなぁとは思うけれど、
アラスカの荒野って・・・
ここまで彼を駆り立てたものは、一体なんだったのだろう?

       

映画の中で、
両親の不仲や父親の母への暴力を見ながら育ったことや、複雑な家庭環境、
世間体を気にし、お金で解決しようとする両親が描かれるけれど
そんなことは理由にはならないでしょう。

文学好きで、トルストイやバイロン、
ソロー(森の生活)やジャック・ロンドン(野生の叫び)の影響を受けたといっても
何でアラスカ?

彼が使った仮名「アレクサンダー・スーパートランプ」。
トランプ(tramp)は英語で放浪者とか無宿者の意味。
スーパートランプ(Supertramp)は、詩人で作家の英国人ウイリアム・ヘンリー・デービスの
アメリカでの放浪を描いた「スーパートランプの自伝(1908)」からとったのでしょうか。

それにしてもアメリカの大自然はスゴイ是非とも大スクリーンで見たい風景です。
あんなとてつもなく過酷な大自然を身近に感じているアメリカ人の自然観は
日本人のそれとは当然違うんだろうな。

カリフォルニアの北部、ジャイアントレッドウッドの森に行った時は
自分が小人になったような錯覚を覚えた記憶がある。
そりゃ、ディズニーの「小人の森の物語 The Gnome-Mobile」なんて
コロボックルみたいな妖精?が出てきてもおかしくないなぁと思えました。
今でも主題歌が歌えるほど好きだった映画です。
走れ、走れ、ノームモビール・・・知りませんよね?
ちなみに、この映画の主人公を演じているのは「メリーポピンズ」の子供たちです。
        
    私ではありません、カリフォルニアのガイドブックより


デスバレーの入り口では「しっかり準備をして、自分の命は自分で守りなさい」
といった趣旨の骸骨の絵のついたパンフレットをもらいました
360度何も誰もいない岩と果てしない平原、ヒュ~という風の音以外何も無いところで、
ガス欠になったら終わりだなぁと小心者の私は怖くなりました。
*当時携帯は普及してませんでした



アメリカ在住の作家冷泉彰彦氏によると、
アメリカ人にとって、
『自然は穏やかに自分を包み込んでくれるものでもなければ、
人間の知恵と力でコントロールできるものでもない。
畏敬ではなく畏怖。自然は恐れの対象なのだ』そうです。
そんなアメリカ人にとって、北のはずれの「アラスカ」はどういう場所なのでしょう?
自然と相対峙する究極の場所なのかもしれません。


クリスは旅の途中、
狩りの心得を聞き、体力をつけるためトレーニングをし、
食用植物の図鑑を手に入れたりと、ただの思いつきでなく準備はしていたんだけれど・・・
残念だなぁ・・・もしあの川が増水していなくて、渡ることができていたなら・・・、
旅で出会った人たちと、影響を与え、与えられ、人との関わりの大切さも学んだし、
最後に「幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合った時だ」と気づいたのに・・・
きっとこの旅を通して一回りも二回りも大きくなって、
とても魅力的な人になっただろうし、素晴らしい旅行記も書けただろうに・・・



この映画でアカデミー助演賞にノミネートされたハル・ホルブルック。
山に登る途中で足を踏み外したり、心臓発作を起こさないかと心配しましたよ。

主演のエミール・ハーシュを始めて見たのは「卒業の朝 Emperor's Club」。
この映画に高校生で出演していたのは他に、今売り出し中の
ポール・ダノ(リトル・ミス・サンシャイン、ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)
ジェシー・アイゼンバーグ(ハンティング・パーティー)。

最後に食べるものが無くて痩せこけたハーシュの姿は、かなりの減量に取り組んだようで
目を見張りましたどうしたらあんなに減量できるのか…是非知りたい。

アメリカ映画でよく見かける、貨物列車に飛び乗って旅をするホーボーって、
見つかったらあんなにボコボコにされちゃうんですね
*良い子は真似をしないでね。


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 ***** 今週 見た 映画 *****

 10月 7日 「スルース SLEUTH」DVD
        ジュード・ロウ/マイケル・ケインの息詰まる二人劇、
        ローレンス・オリビエ/マイケル・ケインオリジナルのリメイク

        「幸せな食卓」NHK BS2 日本映画

 10月10日 「落下の王国」@シネスイッチ銀座

 10月11日 「暴力脱獄 COOL HAND RUKE」DVD ポール・ニューマン主演
  

     

アイアンマン  IRON MAN

2008-10-04 | 映画 あ行
毎月1日はサービスデー!
朝10時過ぎだというのに長蛇の列!2階のチケット売り場に行くのに1階から警備員さんも出動
       
ファーストデイは見逃せんよなぁと、朝一番にネットで買っておいてよかった

それにしても、運動会の代休だか何だか・・・平日になんでガキンコがこんなにいるの?
隣には中学生とおぼしき少年ふたり、
Lサイズのポップコーンを頬張りながらぽろぽろこぼす・・・拾わんかい!
エンドロールが始まったとたんしゃべるしゃべるじゃかましい~!
っと、わたくし少々キレそうになりました


     ***************

       アイアンマン IRON MAN

     ***************


       
   豪華商品が何かも知らぬうちに「はずれ」の文字が・・・



 < ストーリー >
巨大軍事企業の社長で天才発明家のトニー・スターク(ロバート・ダウニー・ジュニア)は、
アフガニスタンで新型兵器「ジェリコ」の実用テスト中、
テロ組織に拉致されジェリコの制作を強要される。
先に拉致されていたインセン博士の助けを借り、
ジェリコ開発と見せかけて密かにパワードスーツを開発し脱出に成功する。
自社の兵器をテロ組織が所有していることにショックを受け、
軍事産業からの撤退を決意、
テロと戦うため自ら最新技術を搭載したパワードスーツをつくりアイアンマンとなる。



ニューヨークに本社を置くマーヴェルコミック出版社はヒーローの宝庫です。
映画化されただけでも、
スパイダーマンXーメンハルクファンタスティック4
デアデビル(ベン・アフレック)ゴーストライダー(ニコラス・ケイジ)
そして今回の「アイアンマン」。アイアンと言いながら鉄じゃないぞーって、
それはコミックのアイアンマンがベトナム戦争を舞台に1963年に初登場だからしゃあないなぁ。
今では金とチタンの合金ですって。
それにしても、マーヴェルのヒーローはみんなちょっと暗いというかダークなトーンが同じです。
カラッと明るくないのね。

冒頭、ラスベガスのシーザスパレスでの何たら賞の授賞式に
若いオネエチャンを連れて登場しているジイちゃまは、
誰あろうマーヴェルのヒーローズの生みの親スタン・リー氏その人です。
これだけのヒーローズを生み出したって凄い!方です。
トニーはプレイボーイ誌のヒュー・へフナーと間違ってたみたいだけど・・・。


トニー・スターク(アイアンマン)はブルース・ウェイン(バットマン)同様、戦う大企業の社長!
モデルは、レオナルド・デカプリオ主演の「アビエイター」ハワード・ヒューズ氏だとか。
運動神経は良いだろうけれど、特殊能力を持たない、最新技術で武装して戦うヒーローです。
本作はマーヴェル・パラマウント映画ですが、バットマンはワーナーブラザース。
ダークナイトのと~んでも大ヒットでワーナーも傘下のDCコミックの映画化に乗り出すらしい。
日本でも有名なDCコミックキャラはバットマンの他には、スーパーマンワンダーウーマン
日経エンタテインメント!によると、
今後「ザ・フラッシュ」「グリーン・アロウ」「グリーンランタン」、
そしてヒーロー総出演の「ジャスティス・リーグ」などが計画中ですって
こんなに沢山ヒーローっていたんですね~。

これから当分、パラマウントワーナーブラザース、ヒーロー大決戦が勃発するわけですね。
そんなにヒーローばっかり登場せんでも、この世の悪は知恵と話し合いとみんなの力を結集して
何とかならんもんでしょうか?
みんなの力・・・って、そうだ、日本にはスーパーヒーローアンパンマンがいるじゃないか!


アイアンマンのボディーはカッコいいけれどお顔が・・・ちょっと、いえ、かなりブサイク。
鼻がないし・・・
何故だかディズニーの「ロケッティア」を思い出してしまいました。



最後「エンドロールの後に続きの映像があります」のメッセージ
あらっ、御丁寧に痛み入ります~。
それでもさっさと席を立つ人あり。そんなにお急ぎなんですか?

な、なんと、ある有名俳優がアイパッチで「アベンジャーズで一緒に戦おう」って?
折角最後まで見ても、何のこっちゃ?
とりあえず、続編予告ですね

「アベンジャーズ」とは?
マーヴェルコミックスの「キャプテン・アメリカ」「ソー」「アイアンマン」が中核をなす
ヒーローグループのこと。
超人ハルクもこのメンバーなのね。
オバマ氏が大統領になったらウィル・スミスにキャプテン・アメリカ役をなんて声もあるらしい。

いよいよ、ワーナー「ジャスティス・リーグ」パラマウント「アベンジャーズ」で
ヒーローだらけの興行収入争いになるわけだ熾烈~。


正直なところ、何で今さらロバート・ダウニー・ジュニアがヒーロー役なのかと不思議でした。
     
もっと若い売り出し中の俳優さんはいなかったのかなぁ?なんて。
でも鬚を生やして、ちょっと悪役っぽいお顔立ちが、アイアンマンに結構合っておりました
やるねぇ~、中年ヒーロー。


父の友人でスタークの後見人、スターク・インダストリーの最高幹部オバディアを演じるのは
ジェフ・ブリッジス  
ミュージカル「アニー」のウォルバックスみたいな剥げ頭に恰幅のよさ(太ったとも言う)。
「マンハッタン・ラプソディー」の頃はカッコ良かったのに・・・まるで別人

お坊ちゃまで天才肌のトニーを支え、「死の商人」とも呼ばれる軍儒企業の経営を
一手に引き受けてきたオバディア。

トニー、自社の武器がテロリストに渡っていることにショックって・・・そりゃナイーブすぎるよ
どちらの側も最新の強力な武器が欲しいもん。
武器商人にとっちゃぁ、どちら側もお客様だもんね。
天才なのにそんなことも気がつかんかったの・・・。
現政権ブッシュの側近の多くも、軍需産業に関与しておられましたっけ。
戦争が始まれば会社は儲かる訳ですね。
自分が作った兵器をすべて破壊するために」自ら立ち上がり、テロをやっつけるっていうことを
自らの使命としてパワードスーツを製作するんだけれど・・・
トニーのこの発想、とってもアメリカ的な気がします。
対ソ連でアルカイダを支援したのに(「チャーリー・ウイルソンズ・ウォー」)、
苦しんでいる人達を救うだの
民主主義を教えるだのと戦争を仕掛ける、似てると思いませんか~?
あんなスーツができたら羨望の的、誰だって、テロリストならずとも欲しい~よね。
やっぱり~、そういうことに・・・、
最後はまるで「何とかレンジャ」ーや「トランスフォーマー」のようなバトルでした。



武器って犯罪の手口と同じで、イタチごっこです。
より強力で、より精度が高く、被害が最小限に抑えられるリモートコントロールへと、次々進化中。
歴史を振り返れば、武器の開発イコール科学技術の進歩といっても過言ではなく、
今の便利な生活も、そういう進歩の成果と言えるんでしょうね。

そもそもベトナム戦争時1963年に作られたこのコミック、
冷戦下の対共産主義から、湾岸戦争、そして舞台はアフガニスタンへ。
アメリカの歴史と共に歩み続けているアイアンマンよ、
これから先はどこへ行く?



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 9月 30日 「12人の怒れる男」@シャンテシネ2

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