映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

モンテーニュ通りのカフェ

2009-02-22 | 映画 ま行
最近アメリカ以外の映画に魅かれています。

かつてはフランス映画、イタリア映画の全盛期があり、
ドロンやベルモンド、ドヌーブにジャンヌ・モロー、マストロヤンニにカルディナーレ、ローレン
などのヨーロッパ俳優が毎月映画雑誌の表紙を飾っていたものです。
何せフランスは映画を発明した国、60年代にはヌーヴェル・ヴァーグ。
イタリアでは、社会派映画やコメディーに、マカロニウエスタン。
豪華絢爛のビスコンティ映画も人気だったのに・・・、
一体いつからハリウッドに席巻されてしまったのでしょうか?

評判の良さそうな非アメリカ映画が公開されても、東京のミニシアターだとなかなか行けませんが、
横浜東口で品揃えの良いレンタルショップを見つけてからDVDでぼちぼち鑑賞中です。

ハリウッド映画のような派手さはないし、
誰もが知ってる俳優さんたちという訳ではないけれど、
だからこそ、ほんわか心が温まるような、胸に染みる映画になるのかもしれません。

こういう映画が良いなぁ~と思えるってことは、私も成長した(歳をとった?)ってこと?
(流石にもうわからなアカン!いや、わからんでどないする?って歳でした。)



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  モンテーニュ通りのカフェ  FAUTEUILS D'ORCHESTRE

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 < ストーリー >
田舎からあこがれのパリに出て来たジェシカ(セシール・ドゥ・フランス)は
モンテーニュ通りの「カフェ・ド・テアトル」でギャルソンとして働くことになった。
カフェには、著名なピアニストや自分の生涯のコレクションを競売にかける美術収集家、
舞台の初日を迎える女優ら有名人が客として現れる。
成功を収めながらも人生に迷いを感じている彼らの姿を、ジェシカを軸に描く。

 
チラシのイラストがおしゃれ~
このチラシと、「地上5センチの恋心」に出演していたアルベール・デュポンテルに魅かれて
本作を鑑賞。
ジェシカを演じるセシール・ド・フランス(フランス人のフランスさん?フランスのセシールさん?)が
「勝手にしやがれ」のセシール!(ジーン・セバーグ)のようなベリーショートのヘアスタイル
(セシールカット)でとってもチャーミング


フランスに行ったことはありません。
パリ8区、モンテーニュ通りの一画って有名ブランドが建ち並ぶ豪奢なエリアだそうです。
映画の舞台になったカフェは実際に存在し、
まわりにはコンサートや演劇、オークションなどが開催される劇場、スタジオが隣接し、
美しく聳えるエッフェル塔が花の都パリの雰囲気を盛り上げます。

ジェシカはそれぞれの場所に出前を配達し、
著名なピアニスト、ジャン=フランソワ・ルフォール
昼メロの有名女優、カトリーヌ・ヴェルセン
タクシーの運転手から身を起こし富豪になった男性、グランベールらと出会う。
       
 富豪グランベール       ギャルソン姿のジェシカ   ピアニストのジャン=フランソワ

     
引退直近の管理人クローディ   ジェシカの祖母ちゃん    女優のカトリーヌ

映画出演に賭ける昼メロの女王は、欲しいものは手に入らないと嘆き、
ピアニストは形式ばったクラシックに嫌気が差し、妻との関係に苦悩する。
他人がうらやむような成功を修めていても、現状に満足できず満たされない二人。

富豪は癌で余命を悟り、身の回りを整理する為オークションを開く。
息子やピアニストに経験から身に着けた人生訓をさり気な~く話す。
このおっちゃんの台詞、深いなぁ~。

そんなところへ、太陽のように明るいジェシカが現れ、彼女と触れ合うことで何かが動き出す。

女優が漏らしたこの言葉、
観客は、舞台のより良い席を求めて少しでも前の席を取ろうと頑張る。
ところが照明が落ちてから、近すぎると何も見えないことに気づくのよ
は、劇場の座席の取り方に生きるヒントを重ね、原題「オーケストラ・シート」のもとになってます。

人間って、どんなことでも慣れて飽きてしまう欲深い生き物なんでしょうか?
でもそれこそが、上昇志向というか、進歩・向上しようというエネルギーですよね。


「しあわせ」ってとっても主観的なもの、
毎年幾つかの団体が「世界幸福度調査」なるものを実施していますが、
昨年夏のある調査で日本は97カ国中43位。一位はデンマーク。
他にも、どう見ても幸せ度が高いと思えない国々が日本より上位にランクイン。
何せ43位だもんなぁ・・・
他の国に比べれば、かなり便利で生活水準は高いと思うけれど、如何せん満足度は低いようです。
日本人は悲観的?
もっともっと、と強欲なのか?
物質的な豊かさは幸せには繋がらないのか?
はたまた、
「幸せですか?」と問われた時、大した不満が無くても気恥ずかしくて「幸せです」と答えられないのか?
勿論、今年の調査ではどの国の幸せ指数もかなり落ち込むことになりそうです

ジェシカは「近すぎず、遠すぎず」の場所を探すと言う。
そう言うジェシカに、な~るほど、流石「おフランス~」と思わせる粋な台詞を返すクランベールの息子。

他にもアメリカ映画には出ないなぁ~?と思われるようなシーンがあちこちに。
「見てると恋をしたくなる」石像や、ジェシカ流、携帯に見る人間の分類法。
「ボーボワールとサルトル」の関係についての斬新な解釈 などなど。

引退直近の劇場管理人の女性、クローディはええ味出してます。彼女が聞く音楽もいいですよ。

ジェシカのお祖母ちゃんの言葉で始まり終るこの映画。
幸運の女神に微笑まれようが、疎まれようが、結果はどうあれ、人は現状に満足はしないもの。
でも『恐れずに前に一歩踏み出すことが大切よ。それで私の人生は輝いたのよ』
とお祖母ちゃんに背中を押される映画でした。


この映画の監督ダニエル・トンプソンは
「シェフと素顔と、おいしい時間」の監督さんだったのねー
「シェフと素顔・・・」はジャン・レノとジュリエット・ビノシュ二人の舞台劇のようなお話で、
本作同様、と~っても素敵な映画でした


昨年亡くなった監督シドニー・ポラックが俳優として出演しておられます。
また、ジェシカのお祖母ちゃんを演じられたシュザンヌ・フロンさんも亡くなられたそうです。
御冥福をお祈りします。



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***** 今週 見た 映画 *****

 2月14日 「エイジ・オブ・イノセンス」TV ダニエル・デイ=ルイス、ミッシェル・ファイファー主演

 2月15日 「ノー・ラブ ノー・ライフ The Perfect Day」DVD ロブ・ロウ主演

アフタースクール

2009-02-14 | 映画 あ行
公開時、面白いという評判ながら見逃してしまい、DVDにてやっと鑑賞。

主演のお三人、佐々木蔵乃介さん、大泉洋さん、堺正人さん。
三人とも好きな俳優さんです。

     

何を隠そう、特に大泉洋さんのファンなんです。
TVドラマはあまり見ないのですが、「ハケンの品格」みてました。


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      ア フ タ ー ス ク ー ル

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 < ストーリー >

母校で教鞭をとる中学教師、神野(大泉洋)のもとに、かつての同級生島崎だと名乗る
探偵(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。
同じく同級生で今は一流企業に勤める木村(堺雅人)の行方を追っていた。
いつの間にか木村探しに巻き込まれ行動を共にするうちに、神野の知らない木村の姿が明らかになり
誰もが予想もしない方向に事態は展開していく。


しか~し、この映画なんだか騙された・・・感が拭えません。

だって~・・・最後のネタ晴らしを見て「えっ?!」
今までの思わせ振りなシーンに台詞、人間関係など、
佐々木蔵乃介さん演じる探偵島崎と共に、観客も同時に騙されてたってことじゃないの?!
最初から「さあ、騙すよ~」って仕掛けがはり巡らされていて、
ここまでやられると「いやぁ~、やられた、やられた~」っていうより
「これって反則じゃない?!」という気持ちの方が残ってしまったのは私だけ???

「だって、あのシチュエーションじゃあそう思うよね~」とか、
「えぇ~、あの人ってそういう役どころだったの?!」って人がた~っくさん。

        
「甘く見てると ダマされちゃいますよ」のコピーが!
甘く見てたわけじゃないけど・・・、完全に騙されました  

見終わって、振り返ってみると・・・、
そういやぁ「別にそんな情報与えてないでしょ。そっちが勝手に勘違いしたんだよ」
って、ニヤッと笑われている感じ

そうか!先にこのコピーを見て「騙されないぞー」スタンスで警戒しながら見てれば
謎解きで楽しめたかも?

てっきりファンタジーだと思って「パンズ・ラビリンス」を見に行った子供、
恋愛映画だと思って「レボルーショナリーロード」を見たカップル状態だったのね。

まぁ、騙しっぷりに敬意を表して、実生活では「オレオレ」とかに騙されないように気をつけよ~っと


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マンマ・ミーア

2009-02-13 | 映画 ま行
ギリシャの碧い海、青い空、白い建物にまぶしい太陽
文句なし、最高のロケーション!
ギリシャー、行きた~い!」と叫びたくなりました

タイトルの「マンマ・ミーア」って?・・・イタリア語ですよね?
昔、サッカーの三浦カズも叫んでいたような。
直訳は「私のお母さん」。
英語の「Oh! My God!」と同じで、「なんてこった~」という意味らしい。
マンマ大好き、マンマを大事にするイタ~リアらしい言葉でしょうか。

前回の「レボルーショナリーロード」を見て、どんより深刻な気分の後に鑑賞。
すっかり元気を取り戻して家路に着きました


                   

        マンマ・ミーヤ! Mamma Mia!

          


この映画は、「オバサンの、オバサンによる、オバサンのための映画」です。
まさに中年女性への応援映画と言って過言ではないでしょう。
ストリープを始め、友人役のジュリー・オルターズとクリスティーン・バランスキーもノリノリで
ピッタリ・フリフリ・キラキラ衣装を着こなして踊りまくりです。
ジュリーは「リトル・ダンサー」のバレエの先生、
バランスキーは「シカゴ」で新聞記者役で歌って踊っておられました。

     
  ストリープキレ~イ! エーゲ海の青い海に映えるブロンド

主役は結婚を控えた娘というより、娘の母親と友人二人。
父親かもしれない三人の男性は お・ま・け です。

 < ストーリー >
エーゲ海に浮かぶギリシャの小島。
小さなホテルを営むドナと結婚を間近に控えた20歳の娘ソフィ。
父親を知らずに育ったソフィは母の日記を盗み読みし、
父親の可能性のある昔の恋人3人を母に内緒で結婚式に招待するが・・・。

父親候補はこの3人。
  
    サム          ハリー             ビル
5代目007プロズナン  Mr.ダーシーのファース   画家ゴヤのスカルスガルド
                               
ストーリーは至ってシンプル。
アバの音楽にのって楽しく、見終わって元気をもらえる映画です。
景気が悪く沈みがちな時は、こういう無条件に楽しめるノー天気な映画がピ~ッタり。

ABBA世代より少し後?、踊りが苦手な私はディスコを敬遠していたし・・・、
そんな私でも「あぁ、この曲」と聞けば結構知ってるし、ちょっとなら歌えます。
置いていかれなくてよかった~
な~んにも考えずに音楽に乗れればね。

ストリープは歌って踊って大活躍!体は柔軟だし、歌がホントに上手い!
あのアカデミー賞常連のシリアス女優が、
ジーンズにデッキシューズ?で思いっきり弾けていてビックリです。

  

たまたま朝のNHKのニュースを見ていたらストリープ登場!
この映画についてインタビューを受けておられました。
911の後、街中が沈んだ暗い気分でいた時、娘さんの誕生日祝いにブロードウェーで上演中の
ミュージカル「マンマ・ミーア」を見に行ったところ、みんなノリノリで幸せな気分になれたとか。
この映画のオファーがきたときには喜んで引き受けたそうです。
女優としての初仕事はミュージカルだったとか、今までは歌う機会がなかったと。
いやぁ~、これからはドンドン歌っていただきたい。

ハリー役のファースは結構歌がお上手だったけれど・・・
プロズナンは声の質が悪い!何で彼がストリープとデュエットすんの?
誰か止めなきゃ~。

ラストは中年男女6人が目にも眩しいギンギラ・ピッタリ衣装で揃い踏み。
体型なんてなんのその。
弾けっぷりに
ABBAメンバーのお顔もあったような。

舞台の「マンマ・ミーア!」も見たいなぁ~




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レボリューショナリーロード 燃え尽きるまで

2009-02-11 | 映画 ら行
この映画の予告編を見て、1979年の「クレイマーVSクレイマー」を思い出しました。
当時若かった私は、
メリル・ストリープ演じる妻に「この母親、なんなんだ~?」と憤りを感じたのでした。
同じ路線か?と多少躊躇したものの、最近とみに男振りが上がり貫禄の付いてきたデカプリオと、
ゴールデングローブ賞で主演・助演女優賞をダブル受賞したウインスレット見たさに
映画館へGO!

でも・・・、「タイタニック」よ再び~なんて気分で見に行ったらビックリじゃない?
恋愛ドラマと思って結婚間近のカップルなんかで行ったひには・・・。
結婚前のカップルはご覧にならない方が良いかと思います。


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   レボリューショナリー ロード  燃え尽きるまで

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 < ストーリー >
1955年、NY郊外コネチカットの新興住宅街「レボルーショナリーロード」に
住むウィラー夫妻。
こぎれいな郊外の家に、二人のかわいい子供たち。はためには理想の夫婦に見える。
NYの機械メーカーの社員であるフランクと、女優になる夢を諦めたエイプリル。
ともにこんなはずではなかったと不満を感じる日々。
そんな時、フランクの誕生日にエイプリルが「パリで暮らしましょう」と提案するが・・・。

         
本作は結婚や家族に対する文化の違いや、世代の違い・性別の違いで、捉え方が全く違うんではないでしょうか。
アメリカの若者なら「そんな~時代も、あったねと~」思うのかも、
日本の若者の感想はどうなんでしょう?

この半世紀の世の中の変化は、歴史上最も急速だったのではないでしょうか?
この映画を理解するには
1950年代のアメリカの社会状況を知らないと、今の感覚では難しいでしょう。
当時のアメリカは、冷戦の中、経済が復興し大量生産・大量消費の時代に突入。
コンピューターの黎明期で電化製品普及し、1954年には家庭のテレビ普及率が50%を越える中、
マッカーシーの赤狩りや市民権運動が起こる。

戦争中女性が担っていた職場を帰還兵に戻す為、
政府は「アメリカのよき伝統は、女性は家庭で子育てをし、外で働く夫のために家庭を守る」
というキャンペーンを行ったらしい。
男女の役割分担が明確で、「男は外で、女は家を守る」という他に選択肢はなかったようだ。
女性は家庭という枠の中で、良妻賢母たれと、息を詰まらせ、ストレスを溜め込み苛立つ。
郊外の一軒家で、子育て・家事にガーデニングの毎日。
ふと「~になりたかったのに・・・」と夢と現実のギャップに溜息をつく。
繁栄の中、貧困とは無縁だが、社会との関わりや生きる手応えを失ってしまった女性たち。

        悩むエイプリル、美しい!

1998年製作の「カラー・オブ・ハート」は主人公の二人が1950年代のTVドラマ
「プレザントンヴィル」の中にタイムスリップする話でした。
絵に描いたような何の不満もない単調な日々。
カレン・アレン演じる母親が二人の影響を受け、空虚な日々に疑問を持ち、
そんな日々をぶち壊し生きているという手ごたえを感じたことでモノクロがカラー映像になったのでした。

疑問に思わなかったり、生活に追われて疑問を持つ余裕もない場合には波風は立たません。
電化製品が普及し時間の余裕が出来たことも女性が悩みを持つに至った一因かも?
外から見れば「一体何の不満があるの?」と思われるが、そう言われれば言われるほど、
不満をもつ自分を責め、閉塞感に身動きが取れなくなる。
贅沢といえば贅沢な悩みです。
ウーマンリブ運動はこんな時代を経て、1970年代に開花したのですね。

日本だってほんの少し前までは、
結婚したら仕事は止めて家庭に入るというのは不文律のようなものでした。
私もプロジェクト開始時に「結婚の予定はあるか?」と上司に聞かれた記憶があります。
「~さんの奥さん」や「~チャンのお母さん」としか呼ばれない私って何?
「私にだって名前はあるのよ」と専業主婦なら誰しも思うのじゃないでしょうか。


エイプリルは、「パリに行けば生きている実感を味わうことができる」と信じる。
彼女にとって「パリ」は暗闇の中の一条の希望の光。
政府機関で私が家計を支えるから、あなたは自分の生きがいを探して頂戴とフランクに提案。
そんなに簡単に仕事は見つかるの?
突然「生きがいを見つけて」って言われても・・・ねぇ。それはそれで、うろたえるよね。
一度はパリ行きに同意するが、上司に昇進の話を持ちかけられ現実的になるフランク。
職場でチャンスを掴んだ30歳前のフランクには、パリ行きの冒険は色褪せるよね。
でもあの話がなかったら本当に彼はパリに行ってたんだろうか?
       
不動産屋の女(キャシー・ベイツ)が二人を「理想的なカップル」「あなた達は特別」
と持ち上げたことで、エイプリルは暴走し、「パリに行く」と告げ優越感に浸る。
隣人も会社の同僚も「パリ行き」を聞くと一様に驚き、
突飛な選択に「何を考えてるんだ、うまくいくわけない」という思いと同時に
「羨ましい」という嫉妬も混ざる。
計画が頓挫と聞くと、「そりゃそうだよな」と一様に安堵の表情を浮かべる。


ここにいけば・・・なんて夢の場所なんてないし、
ここで見つけられないものは他の場所でも見つけることなんてできないんじゃないのかな。
この時点でエイプリルは病んでいる。唯一の出口を閉じられたことで壊れていく。
それほどあの素敵な家が、街が、彼女には無意味で空虚だったのね。
「悩み」と「病み」は紙一重。

不動産屋の精神を病んでいる息子が一番正直。
だからこそフランクの心変わりを責め、痛いところをつかれたフランクを怒らせる。


ここでアメリカ人と日本人の根本的な違いが出ていたように思います。
何かのテーマで話をすると、意見が違って当たり前。
双方自説を曲げず口角泡を飛ばして議論するが、その話が終ると仲良く付き合えるアメリカ人。
一方、日本人は少々意見の対立があっても、空気を読んで落としどころを探す。
議論の後も尾をひいて関係が悪くなるといけないから、なかなか本音を出さない。

夫婦間でも同じようなことがおこる。
アメリカ人は夫婦喧嘩でも「しゃべるしゃべる」これでもかと思いの丈をぶちまける。
日本人はどちらかというとダンマリで、時が解決するのを待つ。そんなことないですか?
日本人から見れば二人の喧嘩は「それを言っちゃぁ、おしまいよ」までいっちゃってる。
子供もいることだし・・・って、そういえばいるはずの二人の子供はほとんど登場しません。
一体何処行っちゃったの?

愛がさめたら子供がいようが関係ない。
ましてや、パリ行きの足かせになったと信じるエイプリルにとって、お腹の子供は・・・
今もって妊娠中絶が大統領選挙の争点の一つになるお国柄、当時許されるはずもなく悲劇が起こる。
「スリーウィメン/この壁が話せたら」でデミ・ムーアが演じた女性も50年代、エイプリルと同じ結末でした。

50年代のエイプリル、30年後のクレイマー夫人、現代なら・・・さっさとお別れ?

現代アメリカ家庭の病理を「アメリカン・ビューティー」で描いたサム・メンデス監督は、
50年代に舞台を移して何を描きたかったのでしょう?
ラストシーンは長年離婚せずに夫婦関係を続けるテクニックはこれだよといわんばかり。
不動産屋の夫は補聴器の音量を落とす。
やっぱり真っ向勝負はアカンよね?


ゴールデングローブの授賞式で左にデカプリオ、右に夫のメンデス監督と座ったケイト。
ダブル受賞の発表後、最初に抱き合ったのは夫ではなくレオ!
その後思い出したように夫とハグ・・・。
ケイト~、大丈夫?
デカプリオの演技も凄かったけど、アカデミー賞はノミネートもなし?



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 ***** 今週 見た 映画 *****

 2月 1日 「モンテーニュ通りのカフェ」 DVD

 2月 3日 「レヴォリューショナリーロード」@TOHOシネマズ海老名

        「マンマ・ミーア!」@TOHOシネマズ海老名

 2月 6日 「アフタースクール」DVD

 2月 7日 「春のめざめ」DVD アレクサンドル・ペトロフ監督のロシアアニメ
          ルノワールの絵画のような不思議なタッチの文学アニメ

 

チェコの映画 「プラハ」と「英国王 給仕人に乾杯!」

2009-02-02 | 複数の映画
先週、たまたま2本のチェコの映画を見ました。

チェコと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
私は1964年の東京オリンピック、女子体操のベラ・チャスラフスカさんです。
というか、他に何も思いつかないほど、
チェコ共和国(1993年にスロバキアと分離)やチェコスロバキアのことを知らないのでした。
彼女は当時22歳、お若かったんですね~。もっと年上かと・・・
美しかったこと、金メダルを獲得されたことだけ記憶に残っています。
次の1968年メキシコオリンピックは、まさに民主化運動「プラハの春」を抑える為に
ソビエトがワルシャワ条約機構の国々とともチェコスロヴァキアに戦車で侵攻した直後、
出場し金メダルを獲得するも、民主化を押していた彼女にとって
帰国後は過酷な人生であったようです。


鑑賞した2作は
 ・「プラハ! REBELOVE」2001年製作 2006年公開 DVD
 ・「英国王 給仕人に乾杯!」@日比谷シャンテシネ2  です。

「プラハ」はレトロでポップ、キュートでカラフルな青春ミュージカル。
予告編を何度か見て「見たい!」と思っていましたがかなわず、DVDも近所の店では入荷せず・・・。
横浜のレンタル店で発見!早速鑑賞

        
 高校生には見えん!美人です。

< ストーリー >
高校卒業間近の女子高校生テレザ、ブギナ、ユルチャの3人は、恋愛の話題で持ち切り。
そんな時、自由を求めてアメリカへ亡命しようと軍隊を脱走した3人の若者シモン、ボブ、エマンに出会う。
国境越えの貨物列車を待っているのだが、テレザとシモンは、一目で恋に落ちてしまう。
3組で楽しいデートを重ねるが、脱走は重罪で警察の追っ手が迫る。
そんな時、ソビエトの軍事介入が起こる。彼らの運命は・・・?

1968年「プラハの春」といわれる民主化の中、社会主義国とはいえ自由でのどかな雰囲気。
眩しい弾けるような若さを「恋のダウンタウン」「花のサンフランシスコ」などの曲に乗せ歌い踊る。
「雨に歌えば」や「パリのアメリカ人」のようなレトロでポップな衣装に演出。
古い町並みとのコントラストが素敵です。

ソ連の軍事介入でのどかな町に突如侵入する戦車。
それまでのムードは一変し、テレザとシモンの淡い恋は引き裂かれ、
チェコスロバキアは密告が横行する警察国家となる。
1989年の「ビロード革命」によって共産党体制が崩壊するまでの約20年、
どのような人生を歩んだのかに思いを馳せると胸が痛む。

テレザのお父さんがイイおとうちゃんなんです。
男手一つで育てた娘を信頼し、彼女が選んだ男なら間違いないと。
この俳優さんはどこかマシュー・マコノヒーに似てなかなかダンディーです。



もう一本の「英国王 給仕人に乾杯!」は
ヤンという一人の男の波乱万丈の人生をユーモアを交えて描く。

   
       若いヤン                 年老いたヤン
国境を越えれば隣の国、言葉も人種も宗教も違うという緊張感は、
国境を接することがない島国である日本人にはなかなかピンとこないけれど、
ポーランドやチェコの歴史を見てみると、大国の思惑で人の運命も簡単に変わってしまう
怖さを実感。

第一次大戦後チェコスロバキア建国から第二次大戦までのよき時代を経て、
ヒトラーによるズデーテン侵攻、ドイツの保護国となり地図から消え、戦後国の復活、
共産主義となり・・・という国家の変遷に彼の運命も翻弄される。
「幸運には不運が、不運には幸運が、いつもドンデン返しで待っていた」というナレーション通り、
一貫して給仕という仕事ながら、
ユダヤ系の行商人の「お前は小さな男、小さな国の人間、それがお前の血だ。
それを忘れなければ人生は美しくなる!」という教えに従い長年の夢を叶える。
しかし、時代の流れの何と残酷なこと・・・。

この映画も
豪華な建物や調度品に、
スローで切手が画面一杯舞ったり、
ドイツ人の保養所でのプールのシーンなど、他の国の映画にはない独特の雰囲気がある。

タイトルは、戦争中ドイツ人に屈することなく毅然とした態度で臨んだ、
ヤンの尊敬する「ホテル・パリ」の名給仕長への賛辞です。
    左の方が尊敬する給仕長



時代の大きな流れの前では、人の幸せなんて儚いもんですねぇ。
どちらもそれを爽やかに、歌と踊り、そしてユーモアでさらりと描いているところがいいです。
この2本の映画で、ちょこっとチェコの歴史がわかるようになりました。


チェコは、どうも人形劇が有名らしい。
そういえば先週見た「チェブラーシュカ」はロシアの人形劇、
昔々に見たロシアの「森は生きている」も人形劇だったような、
社会主義・共産主義の国は人形劇がお得意なんでしょうか?




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 ***** 今週 見た 映画 *****

 1月28日「英国王 給仕人に乾杯!」@日比谷シャンテシネ2

 1月30日「プラハ」DVD