仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

カーストという差別の根拠

2017年09月13日 | 仏教とは?
お釈迦さまの誕生は、ルンビニ園で妃の脇腹より生まれたと釈尊伝にあります。このことについて『月間住職』(2017.9月号)に山口県立大学の鈴木隆泰教授が「四姓制度の差別を開放する教えがインドで興隆し得ないわけ」を執筆されていました。執筆を読んだ私の結論からいえば、お釈迦さまがわき腹から生まれたということが、カーストという差別の根拠になっているのであれば法話等で、積極的に「わき腹誕生説」を告げることは遠慮する必要があるのではないかということです。参考になるところだけ抜粋してみます。


「四姓制度」の原語、「ヴァルナ(色、肌の色)」とは、支配階級であったアーリア人と被支配階級であったインド先住民との、肌の色の違いに由来していました。アーリア人がインドに定住し、先住民との混血が進むようになると、肌の色の差違は外見上はなくなっていきました。
しかし、そうなった以降も「ヴァルナ」という語は「身分、階級」を示すことばとして、現代インドに至るまで用いられ続けているのです。その最大の理由は、インド最古の宗教聖典である「リグーヴェーダ」(紀元前千二百年頃を中心に成立)において、ヴァルナ制が権威付けられているからです。「リグーヴェーダ」は「神々への賛歌集」です。そのなかに「プルシャ賛歌」という参加があります。…


「プルシャ讃歌」におけるプルシャは普通名詞ではなく、世界の最初に存在していたとされる「万物の元となる原人」を表す固有名詞です。この原人プルシャは千個の眼、千個の頭、千本の足を持つ巨人とされています。世界の始まりに、神々がこの巨大な原人プルシャを祭祀の供物として分割しました。するとプルシャの思考器官から月が、眼から太陽が、口からインドラとアグニ(火神)が、気息から風が、臍から空か、頭から天が、両足から大地が、耳から方位が生じ、そうしてこの世界か形成されたとされます。すなわち「プルシャ讃歌」は。 『リグーヴヱーダ』における「世界創造神話」の役割を担っているのです。…

「リグーヴエーダ」の世界創造神話である「プルシャ讃歌」において特筆すべきは、プルシャを分割した結果、
 ・口がブラーフマナ(バラモン。婆羅門)
 ・両腕がクシャトリヤ
 ・両腿がヴァイシャ
 ・両足がシュードラ
 になり、四つのヴァルナが生じた、と説かれていることです。
そうなのです。インドにおけるヴァルナという身分制度はこの神話の存在によって、世界創造の時点においてすでに決まっていた、ということになっているのです。…

口から生じたブラーフマナはヴェーダ聖典を唱えて祭式を実行し、腕から生じたクシャトリヤは武力・腕力をもって国を統治し、腿から生じたヴァイシャは生産の屋台骨を支え、そして足から生じたシュードラは上位三階級に奉仕する、という役割分担です。(以上)
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