仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

心は丸く、腹立てず

2016年03月31日 | 日記
「気は長く、心は丸く、腹立てず、人は大きく、己小さく」、真宗のお説教では、「教えは良いが、実際にできるものではない」という例え話で、面白おかしく語られます。

昨日、民営の公園墓地に出勤すると、この言葉を刻んだ墓石がありました。聴けば、刻んだ人(故人)は、学校の先生だったという。「先生という職業柄、死んでからも教えたいのかなー」と思ったことです。
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インクルーシブ教育

2016年03月30日 | 日記
2日前のインクルーシブ教育の続きです。

インクルーシブ教育の本質は障害うんぬんじゃなく、一人一人,誰もが「違う」ことを前提とした教育で、障害のある子が困らないようにすることだけを考えるんじゃなく,「誰もが違うこと」を前提とした教育の在り方そのものを考えていく必要があるという。

本願寺派宗報2016.3月号に、文部科学大臣補佐官の鈴木寛氏が「教育の現状と今後―公教育における宗教知識教育についてー」の講演録が掲載されていました。示唆さしに富んだ内容でした。

その中で今後の大きな課題だと思った点は、次の論旨です。


今、日立にしても、パナソニックにしても従業員の半分は外国人です。今度はその人たちが上司にも部下にもなります。まさに、さまざまな宗教と文化、すべての大陸の人たちの一緒に仕事をしていく。そうした複雑多様な時代を生きていくことになります。
 そうすると、何か起こるかというと、ジレンマ、衝突、取引が続出します。結局、私か申し上げているのは、さまざまな板挟みに会い続ける人生を、これからの子どもたらは歩んでいかざるを得ないということです。(以上)

21世紀を生きる力
フランス政府からは、2018年にはGlobal Competencyを加えてほしいという提案を受けました。まさに、異宗教・異文化・異民族がどうやって共生をしていくのかということです。21世紀を生きる大変大事な共生する力を、Global Competencyとして定義し、その測定方法を議論しようという提案です。議論を経て、34力国はじめ全世界に対してGlobal Competencyの重要さについて、メッセージを発してくれという提案が、フランスから来ていました。
 今回、フランスーパリで同時多発テロが発生しました。このような状況の中、世界の人が共生する力(Global Competency)は、ますます重要になってくると思います。
 私は、慶應大学助教授時代マサチューセッツエ科大学と共同研究を行っていました。そのときの研究テーマが「Collaborative Creative Artwork」です。
Collaborativeは作業を一緒にすることですが、違う文化や能力、才能を持った人だちか、チームを組んで試行錯誤しながら問題解決していくことをcollaborationといいます。Artworkは芸術のことだけではありません。人びとが一期一会でつくり上げていく価値、こうしたことを全部artworkと呼んでいます。教育はArtworkです。
 この世に一人しか存在しない子どもに、そのときの最善の教育は何かを考える。そして、その最善の教育は、昨日と今日、明日では変わります。例えば2人で非行したときに、A君は叱るけど、B君はそっとしておこう。これが教育です。法律は、A君もB君も同じ非行をしたら同じ処罰を下しますが、教育は法律ではありませんから、まさにartworkです。 医療も介護もそうです。昨日と今日の病状は違いますし、心のありようも違います。まさに、この世に、一つしかないことにどう向き合えるか。それを最善のものにするためにそれぞれのTPOで合わせていく。(以上)


インクルーシブ教育の目指ざす本質は、これからの世界に教育の基本のようです。このインクルーシブ教育に実践的立場で浄土真宗のどう関わっていけるかが問題です。
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人工知能社会

2016年03月29日 | 現代の病理
人工知能の記事が「週刊新潮」「週刊文春」などの雑誌、新聞に毎日のように掲載されています。

現代人の生き方の理想が、人工知能のダブります。ミスもなく苦しみもなくうまく生きる。しかし人間の生きれいる世界は、愚痴や怒り、ねたみ、悲しみという割り切れない現実を生きています。そうした、いわゆる苦悩の現場に、人工知能がどれだけ介在してくれるか。

可能性としては、近い将来、コンピューターが、先輩や高僧の法話をマスターして、時と場所に応じて、語りかけてくれるということもあるでしょう。人間の布教使とコンピューター布教使が、その技と内容を競う、そんな時代が来るかも知れません。

人工知能の発達によって、コンピューターでは代用の利かないものが、ますます尊重されていく。そのことが重要でしょう。
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ゴミ拾い競争

2016年03月28日 | 苦しみは成長のとびら
昨日、午後から築地本願寺で講義。車で向かっていると東京第一放送のニュースで「拾ったごみの量を競う大会」を紹介していました。

ネットのNHKニュースから拾うと下記の通りです。
03月27日 11時59分

道路脇などに捨てられたごみを拾いながら、その量を競う大会が東京・大田区で行われました。
この催しは楽しみながらごみ拾いを行って街をきれいにしようと、大田区で青少年の育成に取り組んでいる団体などが企画しました。
7回目となる今年の大会は、大田区の町内会や企業など43の団体、200人以上が参加しました。
大会は1チーム3人から5人で行われ、1時間以内に決められたエリアの中でごみ拾って▽燃えるごみは100グラム10点、▽燃えないごみは100グラム5点など、ごみの種類によって決められた点数を競い合います。
参加した人たちは道路わきに捨てられた吸殻などを拾ったり植え込みの中を探したりして次々にごみ袋の中にごみを集めていました。
そして集合場所の小学校に戻り拾いあつめたゴミの重さを計っていました。
参加した小学校3年生の女の子は「思ったよりも多くのごみが落ちていました。ごみを拾って町がきれいになってすっきりした気持ちです」と話していました。(以上)

ゴミ拾い競争は、“恒例”ゴミ拾い甲子園!など、他にもイベントとして企画されているようですが、おもしろい企画です。ゴミ拾いという
歓迎しない仕事を競争として競う。ゴミ拾いが楽しいに違いありません。他にも、人が嫌がる仕事を競争として取り組むと面白いかも知れません。

以前、知人の葬儀社主催の新年会に参加した時、余興で落語家が登場し、枕の話で「○葬儀社新年会へようこそ。今日の参加者限定で、先着3名まで、葬儀料金は無料にします」と言って笑いを取っていました。

死という歓迎しないことをどう受け入れるか。浄土真宗は、往生として受け入れるのですから、考えてみるとすごい教えです。
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ダウン症児のいる通常学級

2016年03月27日 | 苦しみは成長のとびら
今日(28.3.27)の『読売新聞』“あすの安心”に「アイちゃんと学んで卒業―ダウン症児のいる通常学級の6年」が一一面に掲載されていました。

障害のある子とない子が一緒に学ぶって、実際はどういうことだろう。そんな思いで仙台市に住むダウン症の武田愛さん(12)が小学校の通常学級で過ごす日々を6年間、追いかけてきた。一緒に過ごした子どもたちは、アイちゃんも自分もみんな、得意なこともあれば苦手なこともあることを、言葉や理屈ではなく体ごと理解していった。(高倉正樹)

とあり、「同級生の言葉」が紹介されていました。

近藤真翠(まなみ)さん
  
アイちゃんは私たちと基本的に同じだと思う。でも、頑張ってもできないことが多いから・どうカバーするかをみんなで考えた。いない方が大縄跳びやサッカーはうまくいくだろうけど、そこで逃げたらさん 周りは成長できない気がする。

谷川彪(ひょう)くん

アイちゃんは「自分は特別」っていう甘えがある。もっとできると想うから、あそこは直した方かいい。でもクラスはアイちゃんがいたことで、自分だけが楽しむんじゃななく、全体で協力しながら達成する楽しさを学んだ。

黒川凌宇(りょうう)くん

いろいろ違う人がいる方がクラスとしてはいいと思う。同じような人ばかりだと、何でもすぐ決まっちゃう。アイちゃんみたいな人がいれば、失敗して、悔しい思いをして、みんなで話し合う。6年間一緒で、意外と楽しめました。(以上)

こうした教育を「インクルーシブ教育」というそうです。
新聞に次のような説明がついていました。


障害のある子どもとない子どもが共に学ぶ「インクルーシブ(包括的な)教育」は国際的な潮流だ。日本か2014年に批准した国連の障害者権利条約にもうたわれている。障害者差別解消法は今春、障害児も一緒に教育を受けるための配慮を学校に義務づける。
 教育の場は、なぜ包括的である必要があるのか。政府の推進会議は「互いの多様性を認め合い、尊重する土壌を形成し、障害者のみならず障害のない人にとっても生きる力を育むことにつながるjとしている。(以上)

参考
「アイちゃんのいる教室」
ぶん・しゃしん 高倉正樹
偕成社 本体1200円

http://hobbit-elf.cocolog-nifty.com/book/2013/05/post-2e82.html
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