浄土真宗本願寺派の『宗報』(2013.4月号)に、本願寺伝道院で開催された「宗門教学会議」のことが掲載されていました。宗門の今度のことについて学識者が提言したという内容です。
1つ1つの提言について、宗門人は、どう答えていくかが。問われています。
宗門外の提言者、横山氏は「東日本大震災」、島薗氏は「現代社会と宗教ー思想・哲学からー」、金氏は「公共哲学・社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」について発題があったというものです。後日、書籍として出版されるとのことです。
ますは提言をご紹介します。
横山禎徳氏 (よこやま よしのり)
東京大学エグゼクティブ・マネージメント・プログラム企画・
推進責任者。
国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員
現代社会における思想、 哲学の重要性と宗門の責務
横山氏は、過去の時代にもまして、現代社会には思想あるいは哲学が必要になっているという。たとえば束京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告書(五九〇頁)に、横山氏の委員としての思いが書かれているが、その中心は原子炉を守るのではなくて、「人のいのちを守る」という思想・哲学から発想すべきだということであった。氏は被災者、放射線の被害を受けた人たちの、その後の生活などの調査を担当したが、全面的に表現を被災者の視点に書き変えられたという。それまで、報告書ではそのような考えがもたれていなかったのである。
トランスサイエンス
「トランスサイエンス」という言葉がある。科学が問いを発することができるが、科学のみが答えることのできない領域をいう。3・11以降、現代社会はトランスサイエンスの方向に転換する必娶が出てきた。先の事故調の例のように、原子力科学、生命科学、情報科学など、最先端の現場にこそ、科学の知だけでなく、しっかりした思想や哲学が必要になっているという。
そして氏は、これらの社会的要望に対して、浄上真宗は向き今ってきたのかと問う。最先端の宇宙観とか人間観に関係することに対して、仏教はしっかりと向きあいどう考えるのか示すべきだというのである。このように、氏は宗門に、まず現代社会に向き合い、普遍的な思想を提示することを求められた。
課題克服への三層構造
組織改革は、単に組織を変えるだけではなく、人の意識や行動を変えるものである。組織が変わっても、人の行動が変わらなかったら、それは組織を変えたことにならない。本願寺派のような理念迫求型の組織には、それなりの必要な枠組みがあるという。
それは「基本理念、果たすべき使命、行動指針」の三層構造である。すなわち、現在のような行動指針を有するだけでは不十分で、組織として全体を統括する思想と、今の時代に果たすべき使命とが明確にならなければならないという。全体を統括する思想とは数百年から千年以上持つもの、果たすべき使命というのは、数十年から百年ぐらい、行動指針は毎日のことに対するものとなる。宗門のような組織はこの三層構造に基づく構造的な対応が必要で、それを全体へ浸透させなければならない。
このように氏は、長期的視野と思想で創造的に運用するための技術科学や、評価対策など、方法論をきちっと学び徹底するということが、組織としての本願寺派の喫緊の課題と述べられた。 (報告担当・坂原)
提言を読んだ感想です。
「現代社会に向き合い、普遍的な思想を提示す」とありますが、これからの浄土真宗僧侶は、何か1つ「自死問題」や「ビハーラ」「ホームレス」といった社会問題に関わることが常識となるよう育成段階で取り入れていかなければならないとおもいます。
浄土真宗という普遍的な思想は「愚の自覚」です。それは思想、科学といった人が作り出すものには、絶対なものはないということであり、常に相対化させていくことが重要になります。たとえば生命科学でいえば、生命科学の中にある愚かさを明らかにしていくことでしょう。社会生活の中で「愚の自覚」を明らかにしていく活動が求められます。
1つ1つの提言について、宗門人は、どう答えていくかが。問われています。
宗門外の提言者、横山氏は「東日本大震災」、島薗氏は「現代社会と宗教ー思想・哲学からー」、金氏は「公共哲学・社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」について発題があったというものです。後日、書籍として出版されるとのことです。
ますは提言をご紹介します。
横山禎徳氏 (よこやま よしのり)
東京大学エグゼクティブ・マネージメント・プログラム企画・
推進責任者。
国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員
現代社会における思想、 哲学の重要性と宗門の責務
横山氏は、過去の時代にもまして、現代社会には思想あるいは哲学が必要になっているという。たとえば束京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告書(五九〇頁)に、横山氏の委員としての思いが書かれているが、その中心は原子炉を守るのではなくて、「人のいのちを守る」という思想・哲学から発想すべきだということであった。氏は被災者、放射線の被害を受けた人たちの、その後の生活などの調査を担当したが、全面的に表現を被災者の視点に書き変えられたという。それまで、報告書ではそのような考えがもたれていなかったのである。
トランスサイエンス
「トランスサイエンス」という言葉がある。科学が問いを発することができるが、科学のみが答えることのできない領域をいう。3・11以降、現代社会はトランスサイエンスの方向に転換する必娶が出てきた。先の事故調の例のように、原子力科学、生命科学、情報科学など、最先端の現場にこそ、科学の知だけでなく、しっかりした思想や哲学が必要になっているという。
そして氏は、これらの社会的要望に対して、浄上真宗は向き今ってきたのかと問う。最先端の宇宙観とか人間観に関係することに対して、仏教はしっかりと向きあいどう考えるのか示すべきだというのである。このように、氏は宗門に、まず現代社会に向き合い、普遍的な思想を提示することを求められた。
課題克服への三層構造
組織改革は、単に組織を変えるだけではなく、人の意識や行動を変えるものである。組織が変わっても、人の行動が変わらなかったら、それは組織を変えたことにならない。本願寺派のような理念迫求型の組織には、それなりの必要な枠組みがあるという。
それは「基本理念、果たすべき使命、行動指針」の三層構造である。すなわち、現在のような行動指針を有するだけでは不十分で、組織として全体を統括する思想と、今の時代に果たすべき使命とが明確にならなければならないという。全体を統括する思想とは数百年から千年以上持つもの、果たすべき使命というのは、数十年から百年ぐらい、行動指針は毎日のことに対するものとなる。宗門のような組織はこの三層構造に基づく構造的な対応が必要で、それを全体へ浸透させなければならない。
このように氏は、長期的視野と思想で創造的に運用するための技術科学や、評価対策など、方法論をきちっと学び徹底するということが、組織としての本願寺派の喫緊の課題と述べられた。 (報告担当・坂原)
提言を読んだ感想です。
「現代社会に向き合い、普遍的な思想を提示す」とありますが、これからの浄土真宗僧侶は、何か1つ「自死問題」や「ビハーラ」「ホームレス」といった社会問題に関わることが常識となるよう育成段階で取り入れていかなければならないとおもいます。
浄土真宗という普遍的な思想は「愚の自覚」です。それは思想、科学といった人が作り出すものには、絶対なものはないということであり、常に相対化させていくことが重要になります。たとえば生命科学でいえば、生命科学の中にある愚かさを明らかにしていくことでしょう。社会生活の中で「愚の自覚」を明らかにしていく活動が求められます。