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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

グリーフサポートと死生学①

2024年05月10日 | 苦しみは成長のとびら
『グリーフサポートと死生学』 (放送大学教材・2024/3/20・石丸彦・山崎浩司著)からの転載です。
1。クリープとは
(1)喪失体験に起因する多様な反応の総体
 グリーフとは,大切な人やものを喪失することで起きる多様な反応の総体である。原語のgriefは大きな悲しみを意味し,一般的に「悲嘆」と訳される。このことからわかるように喪失体験により生じる多様な反応の中心は悲しみなどの感情的・心理的反応だが,それに限定されるわけではなく,睡眠障害などの身体的反応,引きこもりなどの社会的・行動的反応,さらに生きる意味の喪失といったスピリチュアルな反応として表出することもある。
 日本では,グリーフといえば死別悲嘆を意味することがもっぱらだが,本来グリーフは死別だけでなく,あらゆる種類の喪失体験によって生じうる反応である。つまり,グリーフを引き起こす喪失の仕方も対象も実に多様であり,ときには喪失の事実が明確でない(あいまいである)場合でもグリーフが生じることがある。
 たとえば,大切な大が何らかの原因で行方不明になってしまった場合,どこかで生きているに違いない,いつか帰ってくるだろうとその人の存在を感じつつ,物理的にはここにいないという現実に直面して苦しむことがある。また,たとえば,家族が重度の認知症になってしまった場合,その人は傍にいるのだけれど,私のことを忘れてしまって,もう家族として接してもらえず悲しくなることもある。これらはあいまいな喪失(ambiguous loss)の典型で,前者は,喪失の対象が身体的には不在であるが,心理的に存在していると認知されることで経験され,後者は,逆に身体的には存在しているが,心理的に不在であると認知されることで経験される(第8章)。
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