『読売新聞』夕刊(2023.7.29)に、―桜井義秀・北大教授『統一教会』刊行―という記事が出ていました。後半部分だけ転載します。
旧統一教会の問題に関連して高額寄付被害を救済・防止する新たな法律が成立し、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)や宗教研究者らが声明を出した。2世信者も意見を発信するなど、大きな動きが続く。
一方で、文部科学省の宗教法人法に基づく質問権行使は長期化している。
「宗教不信は深刻なほど高まっている。オウム真理教事件の時は十分な批判ができなかったからこそ、旧統一教会問題では宗教者や宗教学者が社会との関係について声を上げ続けてきた」と語る。
戦前の国内では、新宗教に対する大弾圧が起こったこともある。時間がかかっても、様々な手続きは法律にのっとる必要があると説く。30年以上にわたって旧統一教会の実態や被害を研究した経験を踏まえ、「これまでになかったほど状況は進展している。だが、『解決』という結果が出なかったとき、どうすればいいのかを提示しないといけない」と述べる。
宗教リテラシーや大きな歴史認識を持つことが必要だという。日本の植民地支配に対する贖罪として、韓国への送金や女性信者と韓国人男性の国際結婚をさせてきた旧統一教会の教説には、「宗教が常識に縛られないことを認めるにしても、人権侵害に至る教説には批判が必要だ」と断言する。
過去の歴史上、各種の宗教教団は、個別の教えには批判や議論があっても、大きくなる過程で社会に適応してきた。旧統一教会はそうした変化はないという。
社会調査で、宗教への期待感が全くないことや、公共の場で宗教は語られるべきではないと考える人が増えたことを危惧する。「距離をとるだけならリテラシーがさらになくなっていく。宗教者も人権や社会の福祉への意識を鋭敏にして、宗教への信頼回復に努めるべきだ」(以上)
旧統一教会の問題に関連して高額寄付被害を救済・防止する新たな法律が成立し、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)や宗教研究者らが声明を出した。2世信者も意見を発信するなど、大きな動きが続く。
一方で、文部科学省の宗教法人法に基づく質問権行使は長期化している。
「宗教不信は深刻なほど高まっている。オウム真理教事件の時は十分な批判ができなかったからこそ、旧統一教会問題では宗教者や宗教学者が社会との関係について声を上げ続けてきた」と語る。
戦前の国内では、新宗教に対する大弾圧が起こったこともある。時間がかかっても、様々な手続きは法律にのっとる必要があると説く。30年以上にわたって旧統一教会の実態や被害を研究した経験を踏まえ、「これまでになかったほど状況は進展している。だが、『解決』という結果が出なかったとき、どうすればいいのかを提示しないといけない」と述べる。
宗教リテラシーや大きな歴史認識を持つことが必要だという。日本の植民地支配に対する贖罪として、韓国への送金や女性信者と韓国人男性の国際結婚をさせてきた旧統一教会の教説には、「宗教が常識に縛られないことを認めるにしても、人権侵害に至る教説には批判が必要だ」と断言する。
過去の歴史上、各種の宗教教団は、個別の教えには批判や議論があっても、大きくなる過程で社会に適応してきた。旧統一教会はそうした変化はないという。
社会調査で、宗教への期待感が全くないことや、公共の場で宗教は語られるべきではないと考える人が増えたことを危惧する。「距離をとるだけならリテラシーがさらになくなっていく。宗教者も人権や社会の福祉への意識を鋭敏にして、宗教への信頼回復に努めるべきだ」(以上)