仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

「男らしさ」というストレス

2019年07月31日 | 現代の病理
「2018年の日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳で、ともに過去最高を更新した」と本日の報道にありました。17年に比べて女性は0.05歳、男性は0.16歳延びたとのこと。男女差の少し縮まったようです。

1891(明治24)年男性42.8、女性44.3で1.5歳違いです。平均寿命の推移を見ると男女差が開いていくのは昭和に入ってからです。女性より男性の方がストレスが高い社会となったという事でしょう。

平成29年の自殺者数21.321人で中男性14.826人、女性6.495人で男性は女性よりも2.3培です。

平成29年日本人の死亡原因の第1位が「悪性新生物(がん)」(27.9%)、第2位「心疾患」(15.3%)、第3位「脳血管疾患」(8.2%)です。

少し古い資料ですが、平成12年の死亡率をみると、人口10万人対して、悪性新生物は男214.0,女103.5、心疾患は男85.8,女48.5、脳血管疾患は男74.2,女45.7となっています。やはり男性は女性の倍です。

何が言いたいのかと言えば、現代の日本社会は、男性が「男らしさ」というストレスを抱えている時代だという事です。
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築地本願寺倶楽部

2019年07月30日 | 都市開教
送られてきた宗教業界新聞『中外日報』(2019.7.26日号)「人生に寄り添うサポート充実
条件緩和で会員拡大へ 築地本願寺倶楽部」の紹介記事が出ていました。以下転載


 浄土真宗本願寺派の築地本願寺(東京都中央区)は7月から「築地本顔寺倶楽部」の会員となる条件を緩和し、その拡大を図っている。僧侶に相談できる「心のサポート」など、各人の人生に寄り添ったプランを用意し、より開かれた寺院を目指す。
 同寺は2017年11月から「『寺と』プロジェクト」を始動させた。仏教や法事に関することだけでなく、寺院がかつて地域のコミュニティー機能を担ったように、同倶楽部が様々な人の人生に寄り添うサポートを提供する。入会することで「築地本願寺合同墓」の申し込みができるようになり、「心のサポート」「生きがいサポート」「終活サポート」「医療サポート」の四つのサービスが利用できる。入会費、年会費は無料。
  「生きがいサポート」は銀座のサテライトテンプル「KOKORO ACADEMY」(アカデミー)の講座を受講できるもので、仏教や歴史などの座学のほかに、ヨガやマインドフルネスなど体験型もある。「終活サポート」は法律のことや死後に行う事務手続きなどを相談できる。
 これまでは「寺と」プロジェクトと同時期にオープンした合同墓の契約者のみ会員になれたが、これからは「宗派の教義を尊重」すれば誰でも入会できるようにした。
 現在、会員は約7千人だが、これらのサポートに先だち3年前から独自に募ってきたKOKOROアカデミーの会員も約6600人おり、統合を進めることで年度内に1万人は超えると予想される。10万人の入会を目標としている。
 同倶楽部担当の干葉能宏氏は「これまで合同墓の契約者に限定していたのは大量の申し込みがあった場合、対応しきれないというシステム上の問題。整ったので7月からは浄土真宗の教義を尊重する人なら誰でも入会可能にした。まずは築地本願寺を知ってもらい、そして頼ってもらい、さらに教義に触れてもらえたい」と入会を呼び掛けている。   (赤坂史人)以上



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絆ストレス 「つながりたい」という病

2019年07月29日 | 現代の病理
「~という病」関連の本で『絆ストレス 「つながりたい」という病 (青春新書・香山リカ著)、2012年10月発刊なので、東日本大震災以降、絆という言葉が流行、本当に世の中で言われてるほど「絆」が必要なのかを説いている本です。結論は、「緩やかな絆」を提案しています。その部分を転載して紹介します。


 ここはやはり、知恵を働かせ、なんとか人を締めつけすぎず、でもいざというときには役に立つ「ほどよい絆」とはいったいどんなものなのか、を頭を使って考えるべきだと思う。そして、「絆」というからには「何かあっても裹切らない、離れない」のではなくて、「私とあなたは『絆』がある間柄だけど、ごめん、今日は無理なんだよね」と融通がきいたり、TPOで強くなったり弱まったりという「都合のよい絆」も認める、という妥協も必要だ。
 そのためには、先述したように、「絆」を薄く広く結んでおく、というのも一案だ。
100人も「絆候補者」がいれば、誰かがダメでもほかの誰かに頼める、という場合もあるだろう。
 また、「プロとの絆」を大切にするという解決策もある。たとえば、警備会社と契約している人は、近所との絆はそれほど強くなくても、不法侵入者から自宅を守ってもらえる。(以上)

結論はこれだけ?と言った本でした。いや、こうした軽い本が読まれるのかも知れません。
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自己肯定感

2019年07月28日 | 浄土真宗とは?
『最上のほめ方 自己肯定感を高める4つのステップ』(八田哲夫, 原邦雄著)を借りてきました。自己肯定感に興味があったからです。「阿弥陀仏の本願によって開かれる自己肯定感に勝るものはない」。そうした思いがあるので、阿弥陀仏を味わうヒントがあればと思い借りてきました。子どもの褒め方の本で参考になるところはありませんでしたが、次の文言は、考えさせられます。

心理学の言葉に、次のようなものがあります。
 「自分を認める程度にしか相手を認めることができない」
 私はこの言葉を本当に大切にしていて、私が理事を務めるほめ育財団でも、このことを出会ったすべての人に伝えています。(以上)

自分を認めることと相手を認めることは比例しているというのです。仏説無量寿経「もし生まれずんば聖覚を取らじ」と阿弥陀仏の本願が説かれています。阿弥陀仏の覚りは、「この私を摂め取って仏にする」いう覚りです。すこしこじつけの感じが残りますが、すべての人を認めるという如来は、自身においても、自身のすべてを認めるという覚体そのものであるという事でしょう。

内容が少し変わりますが、H・エリクソン(1902―1994)が「最も豊かな人間関係とは、相互に与え合うものが等しい価値をもっていると双方が実感できる関係」といっています。与えるものと得るものが等しい関係、相手を肯定することと自分を肯定することが等しい。何か深いものがありそうです。
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自己愛モンスター「認められたい」という病

2019年07月27日 | 現代の病理
神科医の片田珠美による書籍『自己愛モンスター「認められたい」という病』(ポプラ社・片田珠美著)、著者は精神科医です。

京アニ放火から一週間が経ちました。実行犯も自己愛モンスターであったのかも知れません。自己愛モンスターたちの心の奥底には「自分は特別な存在である」というある種の特権意識が潜むという。

著者によれば、自己愛の肥大化は欲望をかき立てる「欠乏感」から来るという。その「欠乏感」は、過去の自分と比較すること。それを回避するためには、「あきらめる」という勇気を持つことあります。気になった点を転載します。

小さな子供は自己愛的万能感にあふれていて、「自分は何でもできるすごい存在だ」と思い込んでいる。しかし、成長するに従って、決してそうとばかりは言えない出来事をいくつも経験し、次第に「現実の自分」を受け入れていく。 ところが、子供の頃の万能感から抜け出せず、現実の自分、すなわち「何でもできるわけではない私」「これしかできない私」を受け入れられないまま成長してしまう人もいる。そうした人にとっていちばん楽な解決法は、他人に責任を転嫁することである。(以上)

何にでもないようなことですが、以前、「ひきこもりの文化論」で、次のようにあります。


精神分析における「去勢」は、一つの鍵概念として扱われます。というのも、「去勢」は男女を問わず、すべての人間の成長に関わることであるからです。「ベニス」は精神分析において「万能であること」の象徴とされています。子どもは成長ともに、父親をはじめとする他者との関りを通じて、「自分が万能ではないこと」を受け入れなければなりません。この万能性の断念が「去勢」と呼ばれています。ですから去勢とは、筒単に言えば「あきらめを知る」ということになるでしょう。幼児的万能感は去勢を経ることによって、より現実的・社会的な欲望へと変換されなければなりません。これもまた「成熟」の一つの側面です。
(以上)

自己愛モンスターもひきこもりも、原因は幼児的万能感にあるという事でしょうか。ともに「あきらめる」ことにポイントがあるようです。
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