【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

フェルメール

2011-09-19 18:42:18 | Weblog

 この前の平日休日に、京都に行ってきました。目的は「フェルメール」。7月にはガラガラだった、と聞きましたが、今回は、館外に行列はありませんでしたが、中には人が充満していました。平日で良かった。休日だったらきっとすごい人出だったことでしょう。
 たった3枚の絵(「手紙を書く女」「手紙を書く女と召使い」「手紙を読む青衣の女」)で、どうやって展覧会を組み立てるのだろう、と思ったら、「手紙」「フェルメールの時代のオランダ」というテーマで他の画家の絵も並べていて、これはこれで楽しめるものでした。学芸員の“センス”も重要ですね。当時のオランダで「手紙」が「新しいメディア」として流行していたことも私には新鮮な知識でした。
 まるで映画のストップモーションのように、個人または群像が何かをしている途中でぴたっと止まったかのような瞬間を切り取って描くのも、それからその構図の中に光と陰を持ち込んで画面に集中と広がりを持たせるのも、当時の流行だったのですね。
 ただ、フェルメールの描く「光」は、他の画家とは違って独特です。言葉にしにくいのですが、そうだなあ、単に明るい暗いではなくて、チンダル現象が見えるような描き方、と言ったらいいかな、あるいは色温度が他の画家よりも低い感じ。ふわっとふくらみを感じる光(と陰)なのです。今回復元された「手紙を読む青衣の女」では、ただひたすら平面的に明るくなっていて、その「独特の光の感覚」が失われていたのが残念でした。

【ただいま読書中】『フェルメールからのラブレター展(カタログ)』1500円(税込み)(現時点では一般には非売品)
 現在は京都市美術館で開催されていますが、今年10月末から宮城県美術館、12月末から東京のBunkamuraザ・ミュージアムで開かれる展覧会の会場でしか手に入らないものだそうです。こういったカタログ、写真と実物が違うのはわかっているのですが、ついつい買ってしまうんですよねえ。ただ、アップの画面がじっくり眺められるのはありがたいことです。会場ではなかなかここまで接近はできませんから。それと、「手紙を読む青衣の女」の復元前のX線写真や紫外線写真があるのがなかなか面白く“読む”ことができました。