亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

抑えられている?米長期金利の上昇

2021年02月10日 21時17分48秒 | 金市場
先週の急落から反発したゴールドだが、1850ドルに接近するものの心理的節目の水準を抜くことが出来ずに押し返される展開が続いている。一方、前日に4年半ぶりの高値水準となったプラチナは4営業日続伸の1194.40ドルで取引を終了。一時は1206.40ドルまで買われたが、これはNY先物価格としては2015年2月以来の高値水準となる。このところのシルバーの高騰などから出遅れ感が指摘され、目先筋も参入しているとみられる。

このところ金市場を見る上でも目が離せない、米10年債利回り。前日には一時、昨年3月以来の高水準となる1.200%まで付けた後に水準を切り下げ1.168%で終了。9日は一時1.4%台まで落ちたものの前日の水準近くの1.161%で終了。同じく30年債利回りも8日は、昨年2月下旬以降で初めて2.00%を上回ったものの、この日は1.956%で終了。9日は1.950%となった。前週末から目立つのは、水準が急速に切り上がると(債券相場は下落)、買いが入り利回り水準が押し下げられること(添付チャート参照)。

推測の域を出ないが、米連邦準備理事会(FRB)は月間800憶ドルの国債の買い入れを行っており、その矛先が長期債に回るとの憶測が債券トレーダーの動きに反映されているのかもしれない。あるいはNY連銀の動きそのものか? 足元で今週も米国債の大量入札(新規発行)が実施されている。ちなみに米財務省は9日に3年債580憶ドルの入札を実施。本日10日は、10年債410憶ドル、11日に30年債270憶ドルの入札を予定している。米国財務省は、昨年秋以降これまでの短期債中心の資金調達から、長期債に比重を移している。異例の低金利環境を利用しようという意図は、指名承認の公聴会でのイエレン財務長官の発言からもうかがえた。ちなみに9日は、長期金利の水準が押し下げられたこともあり、為替市場でのドル買いの動きは沈静化し対ユーロ、対円を中心に反落となった。

本日は、パウエルFRB議長の講演が予定されている。NY経済クラブのイベントでのWeb講演で米国労働市場の状況がテーマとなっている。市場は広く横断的に手掛かり難に陥りかけており、今後の政策スタンスを見通す上で発言内容への関心が高い。後はCPI(消費者物価指数)だが、こちらはスルーという感じか。



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