亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

制限のある時間の中で政治的落としどころを探るギリシャ問題

2015年02月02日 23時56分25秒 | 金市場

先週末の米10-12月GDPが2.6%と前期の5.0%から大きく減速となったことは、市場予想が3.0%となっていたことから見ても、想定はされていたもの。問題は、内容・・・程度の問題だった。原油の急落が影を落としたと見られるが、それが企業サイドでは石油関連企業の投資中止や延期というかたちで企業の設備投資に影響を与える一方で、ガソリン価格の大幅な下げが個人に余裕を与えて消費を後押ししたと見られる。これを、思った以上に設備投資に影響を与えたと見るか、思った以上に個人消費を押し上げたと見るか、その立ち位置で解釈が変わってくる。

ただ、この結果が先週末のNY金価格を大きく押し上げたとする解説は、割り引かないといけない。というのも、結果が明らかになってしばらくは、金価格はそう反応はしていなかったからだ。

実際には、株が取引を開始し、徐々に下げ幅を拡大するに従い金市場も上昇幅を上げて行った。週末と月末のポジション調整という側面も強かったと見られる。

その前に、(欧州連合=EU、IMF、ECBという)トロイカとは交渉しないというギリシャのバルファキス新財務相の発言があり、ギリシャの債務問題に懸念が広がっていたことが伏線にあった。

ギリシャでは、金融支援の条件として緊縮策が要求され、その履行が間違いなく行われているか、チエックするのがトロイカであって、主導権を握るドイツに対する“隷属”であり、それを“屈辱”と捉える国民感情があり、その声に後押しされているのが急伸左派連合となっている。もともとその名のとり旧ソ連の共産党にシンパシーを抱く幹部が多く、港湾施設の民営化で中国への売却が決まっていたものを、ロシアに変更する動きも見られるとされる。また、ウクライナ問題にからみロシアへの制裁にも一線を置こうとしているようだ。でありながら、ユーロ圏からの脱退は考えないという、方針とされる。

ユーロ圏にしても、下手に妥協をはかり前例を作るとその後の運営が難しくなることから、当面政治的な落としどころを探ることになるが、如何せん時間に制約がある。支援策を延長するか否かに始まり、実際のギリシャ政府の資金繰り問題、また財政危機への懸念が高まるにつれ既に起きている銀行からの資金流出からECBのバックアップなしに金融機関が立ち行かなくなっていることなど、すでに切迫している問題もある。空手形の乱発のような形で発足したチプラス新政権は、公約実現の基盤が既に崩れており、崩壊の際のコストはどの程度になるか。結局は、どの程度の混乱で抑えることができるかに掛ってくるのではないか。体面を維持する要になっているのが、ECBの量的緩和策という感じだ。それにしても、ついにドイツ債は日本国債の利回りを下回り始めた。

間もなくISM製造業景況指数。

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