亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

FRBはどう判断する

2012年06月18日 23時07分57秒 | 金市場
さてギリシャの選挙だが、報じられているように新民主主義党を中心に緊縮賛成派が主導権を握ることになった。一気にユーロ離脱に向け流動化という最悪の事態は回避されることになった。ただしここに至る預金引き出しや、海外資本の引き上げなど、この間にギリシャ経済はさらに疲弊しており、2ヵ月前よりは状況が悪化しているのは否めない。つまりここに至って事態は変質しつつある。そもそもギリシャ国内での“預金引き出し” だが、増えているという報道はあれ、“取り付け騒ぎ”とは報じない。勝手な推測だが、こうした場合、預金者の要求に応じてどんどん払い戻して来たのだろう。ECBから資金調達をしたギリシャ中銀が懸命に資金供給をし、引き出しに応じた・・・というより、応じざるを得なかったのだろう。したがって引き出された額は報じられたものを遥かに超えるのではないか。なぜなら、ある銀行の支店で資金が枯渇し“引き出しに応じられない”となると、その話は瞬く間に広がり、正真正銘、取り付け騒ぎになるからだ。仮にそうなればスペイン、イタリアへと広がったろう。つまり報道には載らない「パニック」を起こさせないための対応が裏で進んでいたと思われる。

金市場の場合、今朝グローベックスの取引開始とともに、このギリシャの選挙結果を映すかたちで売られ、急落状態になり、その後1620ドル台まで短時間で買い戻されたが、思うにこれはFOMCの先読みで一部のファンドが動いたものだろう。FRB自体も、今回のギリシャ情勢は判断材料として捉えていたわけで、先日のイエレン副議長の講演に際しての発言にそれを感じた。つまり、最悪回避ならば、すぐにQE3とは行かない可能性が高いのではないか。それで緩和プレミアムが剥がれ始めている。予断は禁物とはいえ、今回なくともいずれ進まざるを得まい。

それにしても、冒頭で「事態は変質しつつある」書いたが、週明けの本日もスペインの10年債利回りが上昇幅を拡大し、ここまでのところ一時7.154%を記録したと。格付け会社は更なる格下げに入るし、それはスペイン国内の銀行から一般企業まであまねく下げられることを意味する。金融収縮に入っており、同国の景気の落ち込みもピッチを上げそうだ。銀行に資本注入する過程で無理して支えていた不動産関連債権も下げ足を速めそうだ。その辺りの影響をFRBはどう読むのだろう。

週末は千葉そして京都。昨日は京都滞在時間3時間だった。ところで大学野球選手権。亜細亜の東浜は負けてしまった。それにしても、地方の大学にもいいピッチャーが多いのには驚く。秋のドラフトに外れなし・・・という感じ。


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3 コメント

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ギリシャの選挙結果 (ささやか)
2012-06-19 06:01:46
「問題先送り」に見えます。
QE3 (こう)
2012-06-19 08:36:52
しかし、延ばしますね。
QE3を実施しても
効果が薄いためでしょうか?
Unknown (ほのぼの)
2012-06-19 21:37:09
京都の講演会に参加しました。実物の金コインと1万円札を並べて見せられたとたん、眠気がふっとびました。見慣れたゴールドですが、センチメンタルバリューですかね。(笑)いろいろ新しい見方を教えていただき、目からウロコでした。ありがとうございました。

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