高知県メタンハイドレート開発研究会

土佐湾沖の海底にあるメタンハイドレートを掘り出す国家プロジェクトを、高知県に誘致する開発研究会を立ち上げました

メタンハイドレート実用化研究から資源大国へ・・・特区申請資料から2

2011-02-22 | 特区申請資料から

⑥ ②の戦略の実現に必要な取組・事業

(1)

取組・事業の名称: メタンハイドレート(MH)国際戦略部会の設置・運用

取組・事業の概要: 

様々な検討事項が存在し、また発生する。これらを予測し、考察を加えることが必要である。特に、メタンハイドレートの国家的プロジェクトが別途先行している。本提案はこれとは異なる掘削方法からの構想であり、どのように棲み分けるべきかが最初の最重点検討課題となるであろう。

検討すべき課題を以下に列挙する。

*ソリューション研究---将来のエネルギー安全保証上で重要、かつ有望な国産エネル ギーとなるための条件と今後の目標の設定に至る検討が必要である。膨大な規模の事業 展開に際して起こり得る事態を想定し、対応策を考えておく必要がある。

*特許戦略---一巨大なこのプロジェクトを通して、関連する特許は数知れない。基本特 許だけではなく、使う材料の選択やその製造原理に至るまで特許の山に行き当たる。国 際的な戦略を考慮した対応が必要である。より積極的に、特許の産業化を図ることも必 然的な帰結となるだろう。

*将来に向けての技術的・経営戦略的検討事項---例えば、採掘現場からの荷姿や輸送 手段等の検討、C1化学との関連、市場形成の場所など。

*資金調達の方策、各種ファンドの対応策---膨大な資金が国境を越えて動いている時 代である。そして今、円高が進行し、日本経済は大きな影響を受けていると考えること が普通である。日本だけが被害者のように報道されている。メタンハイドレートは強い 日本経済を確立する絶好の道具であり、チャンスを与える絶好の手段であり、武器であ る。この計画に参加する各種企業の予想される経済的な各種の評価は、内外の国際ファ ンドに依存する。良い面、悪い面の経済予測と対応策を検討しておく必要がある。

*広報活動、教育・啓蒙活動のあり方と発信方法---東南海地震との関連性、南海トラ フと地震とメタンハイドレート層の形成を科学的に説明できる体系化が必要である。住 民や国民に対する啓蒙によるコンセンサスの形成に工夫が必要である。

*地球環境問題への提案が必要。---炭素会計、石油ピーク(ハバート曲線の予測)、 安く豊富な石油の時代の終焉、エネルギー利益率は?、

*コンプライアンス経営の徹底---どのような運営体制が最も望ましいかの検討

*危機管理体制---危機の可能性と対応策のあり方の検討

 

取組・事業の期間:
スタート時点から5年間、その後改組の可能性あり

実施主体・運営主体:
NPO  21世紀構想研究会・メタンハイドレート実用化研究委員会内に設置


(2)

取組・事業の名称:
メタンハイドレート(MH)技術専門部会の設置・運用・実施

取組・事業の概要:
優れた発明ではあるが、技術面での詳細な解析がさらに必要である。その後、順次設計段階へ、製造過程へと進む司令塔として機能する組織とする。検討事項を順次記載しておく。

*メカニズムの原理の再検討

*詳細設計
 構造設計・・図面の作成など・・・・
 材料設計(成型法の設計と各部材の材質選択、製造プロセスの検討)

*作動シミュレーション
 3次元コンピューターによる作動シミュレーション、
 模型の作製とモデル実験、

*材料性能試験
  多数の部材の検査、

*パイロットプラント製作と稼働実験
  温度・圧力試験タンクの建設(超臨界水の条件まで)、
 温度・圧力試験タンクの建設(メタンハイドレートの地上での製造、その性状の把握  研究の試料作成)
 モデル・試作装置・ユニットなどの地上における起動テスト
  パイロットプラント稼働実験場(例えば、-5℃、100気圧の条件)の建設、

*海底におけるガス回収・採取実証実験

*将来に向けての検討事項
 採掘現場からの輸送手段・輸送荷姿(ガス、液体、シャーベット状)、船上での化学処 理の必要性等の検討、
 C1化学との関連(技術的検討)、市場形成の場所(荷揚げの方法と荷揚げの港)の検討、

 

取組・事業の期間:
スタート時点から5年間、その後改組の可能性あり

実施主体・運営主体:
NPO  21世紀構想研究会・メタンハイドレート実用化研究委員会内に設置
実務的部会であり、構成メンバーは親の委員会の構成メンバーに加えて、海洋開発や関連素材・機器製造業などの大企業が中核となるだろう。

例えば、
新日本製鐵(株)、住友金属工業(株)、日本冶金工業(株)、日本ガイシ(株)などの素材産業に加えて、(株)東芝、(株)日立製作所、三菱電機(株)などを始めとする電気機器メーカー、
及びソフト系の企業の参加が必要である。
また、石川島播磨重工業(株)、三菱重工業(株)、千代田化工建設(株)、三井造船(株)などの機械工業、建設コンサルタントの大手など、
最先端技術を持つ企業の参画を期待している。日本の技術・あらゆるノウハウを結集する仕組みが必須である。

 

(3) 

取組・事業の名称:
高知県メタンハイドレート実用化研究委員会の設置、そして活動

取組・事業の概要:
高知県の活性化も重要であるが、四国全体に裾野を広げることも視野に入れての総合的検討を行うことを目的とする。直接の設置目的と役割は、メタンハイドレート実用化研究の高知からのサポート体制の構築である。高知からの幅広い視点での協力の可能性の検討も重要課題である。具体的な検討項目を下記に示す。

*立地条件の立場からの用地取得、
*高知新港整備など受け入れ皿の体制の強化、
*県民・地域住民に対する十分な説明--ヒヤリングの開催
*環境問題の対する啓発---炭素会計、
 地域の、高知の、四国の、社会的・経済的な将来予測
*直接の恩恵はどのようなものか、間接的な影響は、波及効果は、雇用は増加するか、何 が望ましいか、
*高知の産業はどのような影響を受けるか、どのように仕向けたら活性化するか、人材の 集積は可能か、知識産業は育つだろうか、

取組・事業の期間:
発足からプロジェクトの終わりまで

実施主体・運営主体:
官民を問わず、組織・個人を問わず、広く県内に関心を持もって貰える組織とすることが望ましい。例えば、

高知県、高知市、南国市、香美市、香南市
高知県工業会、高知県経営者協会、高知県農業協同組合中央会
高知大学、高知工科大学等
高知県産業振興センター、高知県工業技術センター、
四国電力、四国ガス
日本銀行高知支店、四国銀行、高知銀行、みずほ銀行、日本政策金融公庫
等である。

 

⑦ ②の戦略の実現のため地域が独自で行う(行ってきた)取組・事業        


(11)

取組・事業の名称:
NPO 21世紀構想研究会の活動と取組み

取組・事業の概要:
中心となるこのNPO21世紀構想研究会の取組と事業については、⑤項の「②の戦略の実現に向けた実施主体・運営主体の機能・役割」において既に述べているので省略する。
取組・事業の期間: 
先の示した。
実施主体・運営主体:
NPO 21世紀構想研究会自体であり、すでに述べたとうりである。

(12)

取組・事業の名称:
NPO  21世紀構想研究会(環境・エネルギー安全委員会)活動

取組・事業の概要:
環境・エネルギー安全委員会では、委員長千葉英之氏(ジャーナリスト)を中心として、環境・エネルギー問題の識者をお招きして、議論を進めてきた。
*研究会の代表的なテーマを紹介すれば、
 「原子力平和利用と核査察の役割」、
           道正久春(科学技術国際交流センター専務理事)
 「大丈夫か?脱原子力の電力供給」(最新のヨーロッパ電力事情)、
           岸本 康 (エネルギージャーナリスト,元共同通信論説副委員長)
 「グローバルな視野から日本のエネルギー安全保障を考える」、
           深海博明(慶応大学名誉教授)          などである。
*9月6日付けで名称を「メタンハイドレート実用化研究委員会」に変更して、メタンハ イドレートに特化することにしている。本年(2010)9月17日には早速、下記のように勉 強会を開催した。
 「『ちきゅう』号による新しい地球像の探求
                               ~メタンハイドレート 熱水鉱床 地下生命圏~」
            平 朝彦(独立行政法人 海洋研究開発機構理事)
取組・事業の期間:
1997年9月26日のNPO発足の時点から活動し、継続中である。

実施主体・運営主体:
NPO  21世紀構想研究会・メタンハイドレート実用化研究委員会  

(13)

取組・事業の名称:
高知新港(高知FAZ)の建設と運用と活性化

取組・事業の概要:
高知新港は、大圏コースに最も近く、太平洋に面した西日本地域でも数少ない港であり、高知県の産業・経済の発展だけでなく、西日本地域の物流拠点として、地域の経済・産業に大きな経済効果が期待して建設が進められた。高知新港は1,500億円の費用と、10年以上の歳月をかけ現在も建設途上にある。浦戸湾の外に建設される高知新港は険しい山に囲まれた高知県にとって必須のものであると説明されている。外洋航路の展開が出来るからである。一方で、高知新港は多くの公共事業と同様に、「工事が目的の事業」であると批判も多くなっている矢先である。

今回のプロジェクトは、このような不評を霧散させるものである。新港がなければ、提案することすら出来ないと思われる。こんな幸せは先行投資のお陰であり、先見の明があったと云える。次の(13)に示す海洋コア総合研究センターが高知大学に誘致できたのもこのお陰である。2006年1月には、高知新港で地球深部探査船「ちきゅう」の一般公開があり、また2008年には掘削したコア試料の積み卸しのために寄港している。FAZのお陰であることが実感できる。

試験掘削は勿論のこと、実用操業に入っても高知新港は様々な役割を担うことが出来る。台風時の緊急避難場所として、作業員の休息の場へ、そして基礎研究・応用研究の場への経路として活用できる。

取組・事業の期間:
~2000年から現在も

実施主体・運営主体:
高知県 土木部 港湾振興課他  

(14) 

取組・事業の名称:
高知コアセンター(KU / JAMSTEC)高知大学の学内共同研究施設としての海洋コア総合研究センターの誘致・建設、運用

取組・事業の概要:
海洋コアの総合的な解析を通して、地球環境変動要因の解明や海洋底資源の基礎研究を行うことを目的として、2000年(平成12年)4月に学内共同教育研究施設として設立された(旧名称:海洋コア研究センター)。2003年(平成15年)4月には,全国共同利用研究施設に改組・拡充が行われ,これに伴い高知大学物部キャンパス内に新たな研究施設が建設された。採取した海洋コアの冷蔵・冷凍保管を始めとし、コア試料を用いた基礎解析から応用研究までを、一貫して行うことが可能な研究設備を備える国内唯一の研究機関である。

2004年からは、全国共同利用研究が本格的にスタートし、年間40件程度の研究課題が採択され、本センターの卓越した研究環境を生かした共同研究が行われている。また、本センターの施設・設備は、海洋研究開発機構との共同運用体制である。

取組・事業の期間:
~2000年4月から、そして現在まで。

実施主体・運営主体:
高知大学、および海洋研究開発機構 

(15)

取組・事業の名称:
メタンハイドレート掘削に関する特許権の取得(出願人: 杉本昭壽 )

取組・事業の概要:
出願中の特許は下記の2件である。

*出願番号:特願2005-207129号、「ガスハイドレートからのガス回収方法および回収装置 並びにガスハイドレートからの再ガス化方法」、 公開日;平成18年2月23日、公開 番号;特開2006-052395号                ---参考資料2
 および 

*出願番号:特願 2005-238783号、「ガスハイドレート層からのガス回収システム」、公  開日;平成19年3月1日、公開番号;特開2007-051508号  ---参考資料3

これら2件の特許出願は公開後に、何らの異議申し立ても出ていないようであり、間違いなく近いうちに特許が成立するものと期待している。

この特許出願は、従来から提案されている「加熱法(温水圧入)」、{加熱法(抗井加熱)」、「減圧法」や「分解促進剤注入法」などのどれにも属さない新しい提案である。海底地層内でガス化したメタンを、採取管(ライザーパイプ)を通じて、気体として地上に取り出すことに変わりはない。この特許出願の内容を要約すれば以下のようである。

掘削先端で発生した一部のメタンを、地上から導入した空気で燃焼加熱し、気体のメタンを分離し、堆積粒子汚泥を含む水分は濾過し、タービン・スクラバーで高温・高圧の超臨界状態にして、部分的に真空状態を作り出し、気体メタンを吸引し、さらに発生する圧力で押し上げる方式である。これによりガスだけを地上に持ち出すことが出来る。キーワード的に表現すれば、掘削先端・その場局所燃焼加熱・超臨界水循環・減圧・押上圧送方式となる。メタンハイドレートを効率よく汲み上げ、分離した堆積粒子汚泥も水も現場に残留させて、取り出さない方式であり、地上へはもちろんのこと、海底にも堆積粒子汚泥を持ち出さないことで、環境汚染を引き起こさないことが大きな利点である。このことは必然的に、取り出すに必要なエネルギーが小さく、生産される正味のネットエネルギーが大きいことにつながってくる。このほかにも現在、研究開発中の関連特許案件が数件あり、いずれも近いうちに出願する予定である。

取組・事業の期間:
表記の日時から本年末には認可の予想。

実施主体・運営主体:
いおん特許事務所


参考資料2
  特許申請書:「ガスハイドレートからのガス回収方法および回収装置 並びにガスハイ       ドレートからの再ガス化方法」
参考資料3
 特許申請書:「ガスハイドレート層からのガス回収システム」

(16) 

取組・事業の名称:
メタンハイドレート開発促進事業(MH21計画)

取組・事業の概要:
平成13年7月に発表された「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」を実現するため、平成13年度、官民学共同の「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(通称:MH21)」が組織された。(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、(独)産業技術総合研究所(産総研)、および(財)エンジニヤリング振興協会(ENAA)と共同で設立したものである。
メタンハイドレート開発計画は3つのフェーズに分かれており、平成20年度にフェーズ1が終わり、平成21年度からフェーズ2が開始された。
フェーズ1の成果は「減圧法」を採用して、カナダ・マッケンジーデルタ地域で実証試験を行っている。また、基礎試錐を東海沖~熊野灘で行い、メタンハイドレート層のサンプリングなどを行っている。
2009年度からはフェーズ2に進む計画であるが、ここでは我が国周辺の海洋域で産出試験を行い、生産性や回収率の向上などの研究開発を行うことになっていると聞く。

取組・事業の期間:
2001年(平成13年)に研究開始、2009年(平成21年)4月にセンター設置~

実施主体・運営主体:
独立行政法人 産業技術総合研究所(理事長 野間口 有)・メタンハイドレート研究センター(研究センター長 成田 英夫)


----おわり----

メタンハイドレート実用化研究から資源大国へ・・・特区申請資料から1

メタンハイドレート実用化研究から資源大国へ・・・特区申請資料から2

メタンハイドレート実用化研究から資源大国へ・・・特区申請資料から3

 



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