マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

林業(04、日本の林業の現状)

2008年10月24日 | ラ行
 日本の森林面積は約2500万㌶と国士の約3分の2で「森林率」はフィンランドに次ぐ世界2位。

 1950年代までは国内で消費される木材の9割は国産材だった。

 しかし、戦後復興期に大量伐採したため供給が間に合わなくなり、1960年前後から輸入を自由化し外材に依存。木造住宅の主役は次第に「いつでも大量に買えて価格も手頃な」(業界関係者)外材となり、木材自給率は1997年に20%を割った。

 2005年以降は国産材回帰の動きで微増が続き、20%台を維持。

     木材自給率

2007年、22.6%
2008年、24% (見込み)

     林業従事者

2005年、約4万6000人(国勢調査による)
 (1995年比で約4万人減)

  (朝日、2008年10月22日。堀田浩一)

     森の現状・宮脇昭氏(植物生態学者)の発言

 日本人の92%以上の人が住んでいる照葉樹林域で、本物の森が残っている面積はわずか0.06%しかありません。

 その土地本来の自然林に近い種(しゅ)の組み合わせを維持している森を「本物の森」と言います。人類生存の基盤であり、地域文化の原点でもある本物の森は、遺伝子を未来に残してくれます。

 本物の森は、どんな厳しい条件にも耐えて長持ちします。植樹後3~4年が過ぎたら、基本的には管理する必要はありません。5年たっても管理が必要なのはニセモノです。

 東京・汐留の都立浜離宮恩賜庭園は本物の森です。ここには250 年以上前に植えられた常緑広葉樹のタブノキ、スダジイなどが関東大震災や先の大戦の空襲にも耐えて今でも、たくましく生き残っています。

 しかも、土地本来の高木であるタブノキを主本に、亜高木のヤブツバキやモチノキ、低木のアオキやヤツデ、下草のベニシダやヤブランなどが見事な多層群落を形成しているのが特徴です。

 本物の森は地中深く、真っ直ぐ根を張る「深根性」「直根性」のため、地震や台風、火事などの災害にも強く、防音、防塵や水質保全、大気浄化などの機能も備えた防災環境保全林としての役割を担っています。

 常緑広葉樹が火事にも地震にも強いことは、関東大震災の時の旧岩崎別邸(現在の清澄庭園)や阪神淡路大震災の時の大国(だいこく)公園によっても証明されました。

 (朝日、2008年10月27日。山田養蜂場の広告から)

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