土木の工程と人材成長

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ヘーゲルの理性的人間とプーチンの比較、そして日本人の精神

2023-02-06 16:49:38 | 人生経営
(ヘーゲル「哲学史講義」河出書房、1992.1.25,PP26-28より)
・人間が理性を自覚したとき、はじめて人間は現実的な面をもつようになり、現実に理性的存在となり、理性にむきあうことになる。
・(潜在能力の)自覚により、自分を保持しつつ(顕在能力と)二重化される。
・ただし、思考が非理性的に堕落することもある。
・人間が理性的である場合に、人間は自由だということになる。
・精神が自己を認識し、自己を対象化し、自己を発見し、自己を自覚し、自己と合体する。
・他者に関係しないもの、他者に依存しないものは自由ではない。
・精神は自己にかえってくることによって自由を達成する。
・精神がこうした自由に到達するのは思考によるほかない。
・思考においてのみ一切の疎遠なものが透視されて、疎遠ではなくなり、精神は絶対的に自由となる。自由とは、同時に、理念や哲学の関心をいいあらわすことばでもある。
以下、理性、思考、精神、自己形成、自由について、精緻に述べられている。

以上の抜き書きの断片から愚考してみると、プーチンには理性的思考の自覚も精神の働きもなく、よって自由もなく、我利・我欲に縛られており、自由に生きているとは言えない。理性と思考を正常に働かせず、凶悪な犯罪をしでかす人がいるが、まさにプーチンはこの類いであり、かつ壮大なものだと言うことができる。生育歴に歪んだものがあったのではないだろうか。プーチンの遺伝的要素(頭の回転の速さ、自我(利・欲)を(嘘を盛り込んだ)論理として構築する脳力)や、家族環境、青年期の教育、職歴経験からの獲得、ロシアの持つ歴史と世界環境、組織を動かす強大な力の保有、クレムリンという壮麗な誇大妄想を掻きたてるほどの建物、人命を簡単に消す力を持つ裏組織、これらの中から、プーチンが選択し、組み上げ、構築していった歪んだ思考が、今のプーチンの言動として現出している。大国の指導者であり、影響力が大きいが故に、世界の歴史の超大な悲劇が続いている。ロシア国民の一刻も早い理性の目覚めを期待したい。

翻って、日本人は理性的に考え行動しているであろうか。例えば、文芸春秋2023年2月特大号で、先崎彰容が「新・富国強兵論」を20頁にわたって展開しているが、ここで「強兵」とは、国民に死ねと言っていることであるとしている。確かに、軍事費を増大させて兵器を整えれば、戦争になった場合、国民はその兵器を手に持ち、闘うことになる。結果、死も待ち構えているわけだ。日本国民一人ひとりが、そのことを自覚しているのだろうかと問いかけ、覚悟を求めているのだと思う。はたして、1億人の誰が自覚と覚悟を自覚的に思考しているのであろうか。日本国民全員が、最大限理性を働かせねばならない剣が峰に立たされているのである。精神を研ぎ澄まして考えなければならない。

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