ちょっと揺り戻し

2016年12月05日 15時51分46秒 | 国を憂う
いつからそれが始まったのかなんて定義できるものではない。あれなんかその具体的な事象だなと思い出せるのは「英国のEU離脱」「米国のトランプ当選」。「とんでもない状況だ」「これから世の中どうなるんだ」と悲観的な評論もある。確かに「驚くに値する」結果と見た。(さらに思いだしたので追記。あの「9.11」も同じ事象だろう)

ただ冷静に考えてみよう。僕は単に「これまで社会がある状況がいいとしてその状況に急ぎ過ぎた、行き過ぎた」ことに対する揺り戻しだと考えてます。おそらく目指した方向は間違ってはいないんです。でも今生きてる人間には消化できないところまで行き過ぎちゃった。だからちょっと戻そうとする力が大きくなって、それをいわゆる「ポピュリズム」とか「排他主義」とかいかにも悲惨な世界に向かってるかのような表現がされてるんだと解釈してます。
EUも将来の共同社会への膨大な社会実験なのです。EUの指導者達にはごく普通の、想定内の社会変化なんだろうけど、一般人にとっては着いて行けない変化にまでなってた。米国も「グローバル化」がベスト解として、その他を全否定してやってきた。が、ふっと足元を見たら国内産業が相当傷んできてた。その点では日本のTPPもそんな領域の話なのかもしれない。「時期尚早」「10年早い」みたいな意味で。

ちょっと抽象的な話だが、こんなグラフを想像してください。右肩上がりの直線が有ります。右肩上がりとしたのはそれが何となく「成長」だの「進歩」を連想させるからです。人間社会(文化)の成長ってこの線のように真っすぐに進むものではなく、この線の上に下に振れながら進行するというのが僕の持論です。「成長させるが故の行き過ぎ、誤り」を調整する力が社会には備わっていて、それが働いた結果として上下に振動するんだと考えてます。

ここ数年世界中で見る現象はそろそろ逆向きの力が必要な転換点にさしかかったことの証だと見てます。では今転換を迫られてる「あゆみ」はいつ頃からのものか? 僕は第二次大戦後がそのスタートだと考えます。もう一度書いて置きます。「そこにある価値観が間違ってるんじゃない。負けたのでもありません。このあたりで一度整理をして、すっきりさせて再スタートしては」なんです。 こうなるのが必然なのです。

「トランプさんが何しだすか大変不安だ」という見方もあるでしょう。僕は心配してません。戦後70年で人間が作り上げてきた(間違ってるところも多々あるが)システムはそんな「軟」なものじゃないと見てます。人間1人がでっぱって変えられるものではなくなってますよ。やってごらんなさい。やった本人が排斥される位には堅固ですよ。そういう堅固さがあるからなかなか変化できないとも言えるのでしょうが。
むしろ「トランプ効果」を考えてます。70年続けてきた中で無理してきたところ、隠してきた汚いところ、正当化してきた矛盾 そんな沈殿物を世の中ひっかきまわすことでもう一度浮遊させ、美しく見せてきた水を真の濁り水として見える化してくれると期待してるのです。
ある期間不安定にはなります。でも通らなきゃならん道なんです。それはこれまで70年歩んできた道の反動なんですから。この道の先に今までより面白くて楽しい世界があると信じましょう。
コメント (6)
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