国立大学職員日記
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国立大学職員日記:記事一覧




■最初に
 先日本省(文部科学省)から「国立大学12の真実」と題されたプレゼンテーションファイルが送付されてきました。文部科学省が国立大学に対して世間で流布している誤解を解く内容のものを各大学の広報用にまとめたものらしいです(PPTファイルで送られてきたのですが、そのファイル名が「国立大学法人に関する誤解(各大学送付版).ppt」でした)。
 国立大学関係者にとってはそこまで真新しい話でもないのですが、それでも各問題を簡素化し過ぎず、かといって難しくし過ぎておらず、なかなか綺麗にまとまっていたので本サイトでも広報を兼ねてその内容を公表したいと思います。
 ちなみにGoogleで検索したところ、このファイルを公開しているのは2009年9月4日現在で弘前大学だけのようです(PDFファイルなので本サイトよりも画像が綺麗で見やすいです)。時間が経てば他の大学でも公開するのかもしません。個人的には「本省が珍しく分かりやすいものを作ってくれたな」という感じなので、内容の是非はともかく、各大学でももっと公開して、人の目に触れるようになれば良いなと思います(ちなみに、本省から送られてくる事務文書もこれくらい分かりやすければ良いのにな、とも思わずにはいられません)。



国立大学12の真実
~国立大学法人に関する誤解~

1.国立大学の数は多すぎる?


2.国立大学の教職員は多すぎる?


3.我が国の国立大学に対する国際的な評価は低い?


4.国立大学は地域への貢献が不十分?


5.国立大学の経費はすべて税金?


6.国立大学の経営努力は不十分?


7.競争的資金の方が運営費交付金よりも効率的?


8.国立大学は巨額の「埋蔵金」を抱えている?


9.国立大学の授業料はまだまだ値上げの余地がある?


10.国立大学附属病院は国費投入により優遇されている?


11.国立大学法人評価は、関係者によるお手盛りの評価?


12.国公私は、互いに無関心?



■最後に
 話は変わりますが衆院選では民主党が圧倒的勝利を収めましたね。国立大学の運営費交付金の削減はマニフェストではあまり焦点とならなかったですが、民主党は見直しもありうると公言していたのを新聞でチラリと見ました。選挙結果なんてものは賛否両論あるし、ましてや行政府側にいる立場からは立法府のやることにあーだこーだ言える立場ではありませんが、今回の選挙を機に、なにか国立大学にも良い方向への変化があればいいなぁ、なんて晩夏の帰路にふと思ったりしている今日この頃です。


■おまけ(ファイル送付のかがみ文章)

このたび、文部科学省では、平成20年度決算の公表を機に、国立大学の状況をよりよく理解してもらうため、文部科学省にもよく寄せられる国立大学に関する疑問、誤解を正しく関係者に理解してもらうための資料を参考にとりまとめました。

第1期中期目標期間の最終年度を迎え、国立大学に対する関心が高まっている中で、各大学の経営上の諸課題についてご審議いただく経営協議会の委員の方々を含め、関係者の皆様には、国立大学の置かれている現状を十分理解していただくことが重要です。

各大学におかれては、本資料も参考としていただきながら、国立大学の状況を関係者に十分に認識してもらえるよう、お取り計らいいただければ幸いです。

なお、本資料の内容は各大学においてそのまま使用いただくことはもちろん、各大学の独自の状況を示す資料を組み合わせて使用いただくことも有効であると考えますので、その旨申し添えます。


コメント ( 10 ) | Trackback ( 0 )


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コメント
 
 
 
本省GJ!! (FLYING TO-JO-)
2009-09-07 17:31:13
初投稿の同業者です。

 国立大学=完全国営で未だに国家公務員だと
思われてるんですよね・・・。
 そういった誤解を解くためにも今回の本省作成資料は
とてもいいと感じました。
(マスコミや政権党にスルーされなければいいのですが…)

 是非高等教育へも良い政策が実施されればと期待です。

 特に1%効率化係数削減は正直限界に来ていますので,
まずは予算の減額中止をやって頂いて,国立大学の
組織運営に先行きが見えるようにしてもらいたい所です。

 それでは散文にて失礼いたします。
 
 
 
はじめまして (sv)
2009-09-08 15:18:37
興味深く各記事読ませていただきました。
私はこのたび技術系で働く予定のものです。
事務と技術系はそう違いはないようにお見受けしましたが技術系での方の勤務について思い当たるとこありますでしょうか?肯定的なものでも否定的なものでも構わないのでお答えお願いします。
 
 
 
Unknown (管理人)
2009-09-08 20:20:12
>>svさん

自分のいる部署にも「営繕」という係があって、そこに技術職員さんがいらっしゃいます。あまり技術職員さんとは話をする機会がないのですが、以前同期の技術職員さんと話をしている時に耳についた単語に「現場」というものがありました。

その職員さんは「現場を確認する」「現場にまず行ってみる」という風に使っていましたが、事務系の自分には非常に新鮮な感じがしました。事務にとって「現場」は常に自分のデスクであり、まさに業務が「デスクワーク」であるのに対して、技術職員さんにはデスクの他にもう一つの作業場である「現場」が存在する、あるいは「現場」こそが本当の作業場であり、国立大学を物理的に把握しなければならない点、事務とは違った面白さをもった職種のような気がします(反面事務は「システム」という半ば仮想空間のようなものを把握しなければならないのかもしれません)。

技術職員といっても部署や係に応じていろいろなことをやるのだと聞かされています。勤め始めて何か発見した際にはお書き込みなどいただけましたら幸いです。では、今後のsvさんのご活躍をお祈り申しあげます。
 
 
 
Unknown (aruto)
2009-09-23 17:04:12
本省に勤めている叔父が、運営費交付金の減額措置は凍結され、来年度以降微から微増させる方針に決まるかもしれないと言っていました。

希望的観測に過ぎるんじゃないかと自分でも少し思うのですが、叔父は、「教育」の大切さをやたら掲げている民主党だから、説得することもたやすいだろう・・・と、あくどい笑顔を浮かべてました^^

ですが、実際公立無料化を推進する民主党ですから、大学に何の手当ても出さないのは片手落ちに終わると批判されかねないので、なんらかの優遇措置は図られるのではないかと期待してます。
 
 
 
Unknown (管理人)
2009-09-23 19:45:46
>>arutoさん

政権交代に乗じて運営費交付金の削減停止、あるいは微増を画策するとは…、もしかしてarutoさんの叔父さんは本省上層部の方なのでしょうか?

良くも悪くも自民党が政権を手放した現状、とにかくどんな形でもいいから従来とは違う「何か」を作り出すアクションを、立法府が、あるいは行政府の中の改革推進派が立法府側と一緒になって起こしてくれることを、自分は地方大学の末端事務職のデスクから期待することにいたします。
 
 
 
給与 (まさと)
2009-09-28 16:42:00
現在33歳で、年収は360万くらいですが、
43歳平均を見ると560万くらいになる
とみたのですが、今後10年で200万も
アップするのでしょうか?
4号づつあがっても、そんなにいかないような
気がするのですが、ある年齢で一気に
あがる時期があるんですか?
 
 
 
Unknown (aruto)
2009-09-28 21:58:13
>>管理人さん

そこまで上層部でもないですが、一応幹部名簿の端には名を連ねています。が、誤解のないように言っておきますが、コネで入職したわけじゃないですよ^^

何せ、自分が就職してから、初めてお互いの職業を確認しましたから(疎遠ってほどでもなかったけど、叔父が激務のために4~5年連絡途絶えてました)。

後、独法への天下りが禁止されそうですが、その対象に大学法人は入ってるのかなぁ。
これによって、職員の士気が大分変わりそうです。
 
 
 
Unknown (管理人)
2009-09-28 22:48:18
>>まさとさん

自分も常々「本当にそのうち年収が500万円にもなるのだろうか?」とか思っています。ただ、ここで言っている「年収」とは恐らく「支給総額の年間合計」だと思うので、控除額を考慮すれば43歳と言えども560万円が手取りになる訳ではないと思います、多分。
その他中年層の平均給与が高い理由として考えられるのは給与表・俸給表における級の上昇でしょう。仮に、毎年1年で4号俸の昇級ペースであっても、級が上がるごとに4号俸で上昇する基本給与額もだんだん増えていくはずです。ずっと1級で「昇給」するよりも途中で「昇級」を入れて「昇給」する方が速いペースで基本給が高くなるわけです。
ある年齢で一気に高くなる、という訳ではないですが、年齢を重ねる毎に一回の昇給での給与の増分は増していくのだと思います。


>>arutoさん

独立行政法人への天下りの禁止、ちょうど今日の夕刊で見ました。個人的には「文部科学省における天下り先」に「国立大学法人」は入っていない気がします。それよりもどちらかというと国立大学法人は「キャリア・準キャリアの出世のための踏み台」というイメージの方が強いです。国立大学はなんだかんだ言って教員が組織のトップを務めますし、事務局長ですら理事の一人にすぎない訳ですから、効率的に天下るなら事務方がトップになれる組織に行ったほうが良いような気がするのです。
参考までに、文部科学省が自身のサイトで公表している天下り先のページを載せておきます。ない訳ではないですが、やはり国立大学は天下り先としてはいまいちパッとしない印象ですね(それが良いことなのか悪いことなのかは不明ですけどね)。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06040510.htm
 
 
 
もちろん込みこみで (まさと)
2009-09-29 09:08:36
もちろん、こみこみ年収のことです。
今、残業がないので、360-70台ですが、
(33歳)
40歳近くには
450近くなるのかなぁと。
今のままでは結婚しても、子供は無理と
考えてしまいますが、将来43歳くらいで
500万台に達するのであれば、希望が
もてますが・・。
 
 
 
Unknown (aruto)
2009-09-29 17:52:25
>>管理人さん

あ、すいません。誤解を招くような言い方になってしまいました。
自分が心配しているのは

「天下り禁止以後、大学法人が天下りポストとして機能してしまわないだろうか」

ということなのです。
今までのように独法に天下りできなくなった人たちが、大学法人に目を向けて、これ幸いとばかりに人間を送り込んで来たりしないだろうか・・・。
とそっちが心配になっているのです。

まあ、管理人さんの仰るとおり、天下り先としては魅力がない大学法人ですが、行くところがなくなれば、大学法人だろうとなんだろうと、天下ってきそうで怖いです^^
 
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