国立大学職員日記
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■はじめに
 国立大学で兼業の手続きを担当する事務職員なら、例年秋頃に日本学術振興会から科学研究費補助金の審査に関する委嘱依頼が大量に送られてきた経験があると思います。自分も兼業処理担当なので、毎年それらを各教員に配付して、同時に大学に対して兼業の手続きもしてもらっています。
 今年度もやはりこの書類が送られてきて、各先生方に兼業の手続きをお願いしたところ、先生の中に1名、海外に長期出張中で書類のやり取りに非常に手間のかかる先生がいらっしゃいました。委嘱に応じられない場合は所属機関である国立大学が学術振興会にその旨回答することになっているので、書類を送付する前にその先生にメールで「やり取りが困難で通常業務に支障が出るようなら、委嘱に応じられないことをこちらから学術振興会に回答することも出来ますよ?」と尋ねました。するとその先生は、「科学研究費補助金の審査に携われるのは名誉なことだから、海外まで書類を取り寄せてでも委嘱に応じたい」とおっしゃり、兼業の手続きをした後も、日本学術振興会から書類をわざわざ海外に送付してもらって審査を行ったそうです。
 このことが自分の中でなぜか強い印象に残り、科学研究費補助金の「審査委員」を調べるきっかけとなりました。という訳で今回のエントリーは、そんな「科学研究費補助金の審査委員」のランキングについてです。

■科学研究費補助金の「審査委員」とは何ぞや
 科学研究費補助金については、その配分額に関するランキングを以前のエントリーにまとめていますが、「審査委員」に言及するのは、このブログでは今回が初めてです。
 「審査委員」に関する公式の説明は日本学術振興会の「審査について」のページにあり、また、科学研究費補助金に関するWikipediaのページが科学研究費補助金と審査委員に関して非常に分かりやすい説明をしてくれています。
 読むのが面倒くさい方にかいつまんで(かつ乱暴に)説明すると、要するに科学研究費補助金はその交付をどっかのお偉いさんが一方的に決めるのではなく、研究者達が相互に交付内容を決定するというシステムを取っているため、例年ある時期になると「審査委員の委嘱」という名の下に、「科研費をお前らに配分するけど、どう配分するかはお前らで決めるんだよな?じゃあ今年はお前が審査委員やってね」という内容の書類が、日本学術振興会から研究者に対して送られてくる、ということです。

■データについて
 科学研究費補助金の審査委員の名簿は不正審査の防止のため、審査委員の任期が終了した後に公表されることになっています。今回集計したのは、このエントリーを作成している時点で「全データが公表されている年度の最新のもの」である平成21年度のものです。データは日本学術振興会のこのページで確認することが出来ます。今回自分が集計したものは「所属機関名」のみですが、リンク先には「審査委員」の「個人名」まで記載されており、科学研究費補助金の交付に携わった人間を追跡調査できるようになっています。

■ランキングについて
 ランキングは「全機関の審査委員人数のランキング」「全国立大学の審査委員人数のランキング」「全国立大学の委嘱率のランキング」の3つと、ピックアップとして「審査委員人数のランキングと委嘱率のランキングの差異が大きい国立大学のランキング」の上位と下位の2つです。
 「審査委員人数のランキング」だけではどうしても「教員人数が多い機関」が有利になるため、「その機関の教員の内、委嘱が行われたのはどのくらいの割合か」を示す「委嘱率のランキング」も作りました。「委嘱率」で見ると、規模は小さくても委嘱される教員がたくさんいる機関は、ランキング上位に入る訳です。「全機関のランキング」に「委嘱率」のランキングが無いのは、国立大学以外の機関の「研究者の人数」のデータを揃えられず、委嘱の「割合」が算定できなかったためです。
 「ランキングの差異が大きいランキング」の2つはあくまでおまけです。「審査委員人数の順位」に対する「委嘱率の順位」の差の、上位10校と下位10校です。「委嘱率」のランキングが既にある以上、このランキングを作る意味があるのかどうかよく分からないのですが、まとめてみると案外それぞれに「傾向」が出ていて面白いと感じたので、一応掲載しておきます。
 肝心のランキングは下記リンクからどうぞ(一つのページにまとめると恐ろしく細長くなるため、分割してあります)。











■終わりに
 エントリーではあまり触れませんでしたが、科学研究費補助金の交付と審査委員の存在について、「力のある大学が自分の大学にばかり科学研究費補助金を交付しているのではないだろうか」という疑問はあると思います。そういうのを調べるためには、恐らく「各国立大学の審査委員一人当たりの科研費獲得額ランキング」を作れば良いと思うのですが、今回は時間が無いのであきらめました。科研費交付額と審査委員人数のデータはこのブログ上で公開されているので、割と簡単に作れると思います。時間がある方は作ってみてはいかがでしょうか。

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