国立大学職員日記
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国立大学職員日記:記事一覧




 国立大学事務職員にも夏休みというものがあります。正確には「有給休暇」の一種であり、その中の「特別休暇」の一種である「夏季休暇」のことです。

■要件と休暇簿の理由欄
 この夏季休暇は年次有給休暇(いわゆるひとつの「年休」)と違って要件が定められている有給休暇です。多くの場合、その要件は「職員が夏季における盆等の諸行事、心身の健康の維持及び増進又は家庭生活の充実のため勤務しないことが相当であると認められる場合」という風に就業規則に定められていると思います。
 夏季休暇をとる場合、病休・特別休暇簿に取りたい時期を記して総務係などに提出する必要があり、その時に休暇簿の「理由欄」に理由を書き入れる必要があります。この「理由」は上記「要件」に沿ったものでなければなりません。ですので例えば「夏バテのため」では夏季休暇は取れません(自分は一度この理由で申請しようとして総務係の方に止められたことがあります。「心身の健康維持」という要件には当てはまってる気がしないでもないんですが駄目みたいです)。実際に実家に帰省する場合はその旨を記載すればよいでしょうが、簡潔にまとめたい場合や、特に予定もなく純粋に夏休みを取りたくて申請する場合は「心身のリフレッシュのため」と書くのが無難です。実際、理由欄にこう記す職員がほとんどのようです。
 ちなみに、かつて年次有給休暇簿にも理由欄がついてた時はほとんど全ての場合でこの「心身のリフレッシュのため」という文言が使われてたそうです。現在、年次有給休暇簿には理由欄はありません。年次有給休暇は要件なしで、つまり理由なしでも取得できるため、理由を問いただす行為が職員の年次有給休暇取得の促進を阻害するとして、労基署から理由欄を削除するように注意されたからだそうです(先輩談)。

■閑話休題、年次有給休暇について
 話はずれますが年次有給休暇についての補則を。年次有給休暇は夏季休暇とは違って要件が定められていないので、決められた日数(年に20日)を好きな時に好きに取ることができ、使用者の許諾を必要としません。これは労働者の権利なので使用者はその申請を拒否できないこととなっています。しかし、使用者には申請した年次有給休暇の時期をずらす権利が認められています。ですのでかなり忙しい時期に年次有給休暇を取得すべく休暇簿を提出しても時期をずらされる可能性がありますのでご注意ください。

■夏季休暇の日数について
 さて気になる夏季休暇の日数ですが、就業規則には多くの場合で「7月から9月までの期間内における休日を除いて原則として連続する3日の範囲内の期間」と記されていると思います。
 まぁ結論から言うとたった3日な訳ですが、自分のいる大学では6月あたりに事務局の職員課あたりから、「夏季休暇に関しては土日の週休日や年次有給休暇を組み合わせてなるべく長めに取ること」というお達しが発せられます。実際、月・火の年休、水・木・金の夏季休暇を組み合わせて9連休を取る職員は少なくありません。ですので「夏季休暇」はたったの3日ですが、実際の「夏休み」は結構取れる訳です。
 ちなみに、職員の福利厚生などについてよく年次有給休暇の未消化が問題となりますが、夏季休暇に限って言えば組織ぐるみでキチンと取得して、さらに週休日や年休と併せてなるべく長めに取得するような雰囲気があります。個人的にはそんなノリで年次有給休暇をキチンと消化させる雰囲気も作ってほしいんですが、なんでか通達を発してまでキチンと消化させるのは夏季休暇に限られてるみたいです。
 もう一点補足を。夏季休暇の日数として「連続する3日の範囲内」という表現があり、これだけ読むと夏季休暇を分割させることができないようにも思えます。が、実際には「週休日や年休と組み合わせて長期の休暇を取るなら夏季休暇は分割できる」ようです(うちの大学だけかもしれませんが)。要するに土日を挟んで金曜・月曜・火曜と夏季休暇を取得することができます。文言にあるのはあくまで「原則」なのでこういう運営が可能らしいです。


 そんな訳で夏休みについての話でした。長々と書きましたが、要点を言うと「夏休みは全部で3日。ただし、他の休みと組み合わせて結構長い休みを取ることが可能。大学側も長めに取ることを推奨してる」ということです。
 ちなみに自分は今年6日間の夏休みを設定。ツーリングと読書でのんべんだらりと過ごしたつかの間の休息でした。じいちゃんの墓参りに行き忘れたけど、それは家族には内緒です。

コメント ( 12 ) | Trackback ( 0 )


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コメント
 
 
 
Unknown (みあこ)
2008-09-10 15:29:25
更新ありがとうございます!
夏休みは長めに取れるということで、安心しました。
私の父親は地方公務員なのですが、やはり管理人さんと同じように3日+有給休暇で1週間くらいの夏休みを取っているようです。
私の職場も長い夏休みを取れる雰囲気であることを願います。
夏休み以外の年次休暇に関しては、申請すればずらされることはあるにせよ、必ず取得できるのでしょうか?
 
 
 
Unknown (通り人)
2008-09-10 16:08:36
労働者としての法律上の権利を主張するのであれば、必ず取得できるでしょう。上司による取得時期の変更も余程のことがない限りできません。
但し、職場は周りの人間との関係で成り立っていますから、実際はなかなか権利ばかりを主張するわけにはいきません。
ですので「取れる」「取れない」でいえば100%取れるでしょうが、「取りやすい」か「取りにくい」かになると、もはやこれは職場の雰囲気によるところが大きいでしょう。
 
 
 
Unknown (管理人)
2008-09-11 19:41:35
>>みあこさん

 「通り人」さんがおっしゃっている通り、年次有給休暇はずらされることはあっても申請すれば「原則」として必ず取得できますが、やはり「職場の雰囲気」というものが付きまとい、取りにくい場合もあります。
 しかし、年休は毎年しっかりと消化すべきだと、個人的には考えています。一人一人が年休を取らない環境が、結果として職場全体で年休を取りにくい雰囲気につながってしまうと考えるからです。
 もちろん、いくら権利といえども、忙しい部署や忙しい時期に突然年休を申し出るというのは不必要な混乱を業務に招きかねません。年休を取る際はあらかじめ上司に一声かけて、最低でも1週間くらい前には休暇簿を出すくらいの周りへの心配りはあってもいいと思います。

 夏季休暇について補足をひとつ。
 大学によっては大学全体で一斉に夏季休暇を取るところもあります。単科大学などで多いようで、夏になるとよくこの手のメールが送られてきます。

 あとエントリーにも書きましたが、とかく働きがちな国立大学職員でも夏休みだけはキチンととるぞという雰囲気が円満してて、傍から冷静に見るとなんだか面白い感じがします。年次有給休暇未消化の後ろめたさなのか、あるいは「赤信号、みんなで渡れば、怖くない」という心境なのか。とにかく国立大学で働く場合でも夏休みに関しては割と寛大な処置を受けることができるとお考えください。
 
 
 
Unknown (みあこ)
2008-09-14 22:35:28
管理人さん、通り人さん、
ご回答ありがとうございました!
とても参考になりました。
 
 
 
私立大学は・・・ (某国立大学職員)
2008-09-16 14:43:13
私立大学に較べれば、国立大学の夏休みなんて短いものです。

http://d.hatena.ne.jp/daigaku-syokuin/20080813/p1
 
 
 
うちの大学は (いちもんなし)
2008-09-16 21:55:02
夏季休暇(3日)以外に、今年から大学全体で一斉休業(2日)することになりました。

理由は、
「学内における省エネルギーの一層の推進及び教職員の心身のリフレッシュを図るため」
となっています。





 
 
 
Unknown (管理人)
2008-09-17 19:06:38
>>某国立大学職員さん

 リンク先を見ておもわず「欧米か!」というやや時期はずれのツッコミを入れたくなりました。私立大学の全てがこれほどまでに長い夏休みを取るわけではないとは思いますが、国立大学では実現し得ない長さに羨望のまなざしを向けざるを得ません。
 貴重な資料をありがとうございました。


>>いちもんなしさん

 自分はてっきり「一斉休業=全職員が一斉に夏季休暇を取ること」と思っていたのですが、一斉休業は夏季休暇を使用しているわけではないようですね。上のコメントで間違った書き込みをしてしまいました。
 理由欄、やはり「心身のリフレッシュ」という言葉は使うようですが、「省エネの推進」という理由も使うのですね。そういえば自分の大学もクールビズやウォームビズの推進に結構力を入れていて、クールビズ推進のためにわざわざ大学単体でポスターを作成するくらいでした。いつか時期をみてこの手のことに関するエントリーを組んでみたいと思います。
 いちもんなし(勤め始めても「いちもんなし」なのですか?)さんも貴重なご意見をありがとうございました。
 
 
 
勤め始めても・・・ (いちもんなし)
2008-09-18 00:04:27
やっぱり、「いちもんなし」ですよ。


現在は常勤職員といっても、育児休業代替職員(任期付職員)です。任期付職員は、何年後かには必ず職を失う事が分かってます。

ですから、今の立場では「いちもんなし」に行き着いてしまうのです。
 
 
 
夏季休暇と年休 (高年(?)大学技術職員)
2013-05-29 12:35:17
某大学のうちの部局での、今年の”夏季休暇”についてお話ししておきます。

 ほぼ全職員を集めて、教員が話し合った結果として、「8月12日から8月16日の間に取りなさい。その前後は連続して実験作業をするので出勤するよう。前記の期間に取れない場合は、11月に実験作業のない期間があるので、そこで振り替え休日(と、はっきり教員は言っていました。)を取るように。」とのことでした。
 私からの「その期間は、実験外の業務で休めません。また、夏季休暇は7月から9月以外の期間に”振り替える”ことはできないので、11月に取ろうと思ったら、”年休”で取るしかないのでは?」という質問は、見事に無視されました。
 また、うちの大学全体でも、年次有給休暇を取る場合「申請事由」を書かないといけないことになっています。(日単位でも、時間単位でも、職務規定に明記されています。)
 確かに一度組合が問題にしたことがありますが、「大学がそう決めたのだから。」と、軽くあしらわれたそうです。
 他の大学では、どうなんでしょう?
 
 
 
年次休暇の申請事由について (高年(?)大学技術職員)
2013-06-13 11:35:23
 前に”年次有給休暇”に関して、うちの大学は”事由”を書かなくてはいけないとお伝えしたことがありますが、昨日用事があったので時間単位の有給休暇を取り、”申請事由”の欄に、試しに”私用のため。”とだけ記して提出したところ、以下のようなメールが当部局の庶務係長より送られてきました。
------------------------------------------
○○様

×大××研・庶務係長の○○です。
ご申請の6/12の年休(時間単位)につきまして、時間単位の年休取得に際しては、やむを得ない事由が必要となりますので、申請事由等の欄に、差支えない範囲で結構ですので、もう少し具体的な事由の入力をお願いいたします。
当方で申請を一度差し戻しております。
お手数ですが、ワークフローから再度のご申請をお願いいたします。
------------------------------------------
以上。

 うちの大学では、日(と半日)単位でも、年休の申請事由を一応書かなくてはいけない事が内規に明記されており(もっとも、これらの場合は”私用のため”でも認められますが。)特に時間単位の場合は、4,5年前は、申請者が庶務係長に、直接口頭で具体的な事由を言わなくてはいけない事になっていたこともあり、現在は、”出退勤システム”上で具体的事由を明記するだけで済むようになりましたが、そのように規定が決められています。
 管理人さんが言われるように「労基署から理由欄を削除するように注意された。」ということがあったのに、このような事をあえてうちの大学はしているのでしょうか?
 他の大学ではどうなんでしょうか?
 
 
 
休暇の申請事由 (FLYING_TO-_JO-)
2013-06-16 22:04:11
 うちの機関の場合,「特別休暇」は事由を休暇簿に書かなければならないことになっています。
 ですので夏季休暇の場合も,休暇簿に事由を書きます。
 ただ詳細に書く必要はなく,「リフレッシュのため」,「静養のため」といったことを書きます。

 他方「年次休暇」の場合は,事由を書く必要はありませんし,休暇簿に事由を書く欄はありません。
 1日単位でも,半日単位でも,時間単位でも,事由を問われることはないです。
 ただ,労基署の指導が以前あったため,時間単位の休暇は年間40時間までに制限されています。
 労基署の指導理由は,「本来1日単位で取るべき休暇が,時間休制度のせいで形骸化してしまう」ということらしいのですが,時間単位じゃないと消化できない場合が多いので,時間制限は勘弁してくれないかなと個人的には思っています。
 
 
 
休暇の事由(自由?) (高年(?)大学技術職員)
2013-06-18 17:24:27
FLYING_TO-_JO-さん。

 うちは、やはり「年次休暇」はすべて、事由を書くことになっており、一日と半日でも一応事由を書かなかったら、事務からチェックを受けたそうです。労基署の指導も無視しているのですかね。今まで何度か労基法違反で是正命令を受けたり、不当労働行為で組合への謝罪命令が出されたり、今回も、労基法違反で告訴されることになりましたが、懲りないです。
 
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