ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

ユニフォームに着替える時間は労働時間か?

2022-09-23 12:59:41 | 労務情報

 事務系の職場では昨今めっきり少なくなったが、飲食業や製造業等では、ユニフォームを制定している会社は、まだ多い。
 さて、こういう会社において、仕事に取り掛かる前にユニフォームに着替える時間または仕事が終わった後でユニフォームから私服に着替える時間は、労働時間になるのだろうか…‥


※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  

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無期転換ルールについて通知義務化を検討

2022-09-13 12:26:23 | 労務情報

 労働契約法第18条は、「5年を超えて有期雇用契約を締結している労働者が無期雇用契約への転換を申し込めば、使用者はそれを承諾したものとみなされる」旨を定めている。
 この規定は平成30年4月から施行され既に3年以上を経過しているが、厚生労働省の実態調査によれば、この制度を利用して無期雇用に転換した有期雇用労働者は27.8%に過ぎなかった。とりわけ、「無期転換を希望するか」との問いに「わからない」と回答し、その理由として「この制度を知らない」と答えたのが53.8%にものぼった。

【参考】厚生労働省サイト > 令和3年有期労働契約に関する実態調査(個人調査) 
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/172-3.html

 この実態を踏まえ、厚生労働省に設置された「多様化する労働契約のルールに関する検討会」では、無期転換ルールについて有期雇用労働者個々に通知することを事業主に義務づける案が検討されている。そして、この通知のタイミングとして、「無期転換申込権が発生するより“前”に通知するのが望ましい」と答申される可能性がある。

 しかし、経営側の立場としては、予め通知すると、5年を超える雇用継続の期待を当該労働者に生じさせてしまうことが考えられるので、無期転換申込権が発生する契約更新の際(初めて発生する際およびその後の契約更新ごと)に行うのが現実的と思われる。実務上は、契約更新時に労働条件を明示するのに併せて無期転換ルールについても通知することとすれば、経営側の負担はそれほど重くならないだろう。
 とは言っても、公平な立場から見れば、有期雇用の更新を繰り返すよりも無期雇用に転換したほうが雇用の安定に資するので、社会的にはそれを推進するべきと言える。経営の都合や労働者本人の希望で有期雇用を続けるのは仕方ないとしても、少なくとも「制度を知らなかった」ために無期雇用にならないというのは避けたいところだ。その意味で、今般の検討会の方針自体は歓迎できる。

 もっとも、ここで検討されているのは「通知義務」についてであって、育児休業のように「個別の周知・意向確認」(今年4月から義務化)まで含めるかは、今後の検討課題とされている。現時点ではその可能性が肯定も否定もできない前提で、審議を注視していたい。

 なお、会社が、有期雇用労働者に対し無期転換しないよう強要したり、無期転換を申し出たことをもって不利益に取り扱ったりするのは、明らかな法違反であるので、厳に慎みたい。


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労働関係法令違反の公訴時効が3年とは限らない

2022-09-03 12:59:42 | 労務情報

 労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法等の労働関係法令には、違反した場合の刑事罰が設けられている。
 つまり、これらの法令に違反する行為は、すなわち“犯罪”なのだ。
 そのうち最も重たいものは、労働基準法第5条(強制労働の禁止)違反で、罰則は「一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金」(同法第117条)とされている。

 労働関係法令違反事案は、労働基準監督官が刑事訴訟法における司法警察員(同法第102条;司法警察職員等指定応急措置法第2条により「司法警察官」を「司法警察員」に読み替え)として捜査・送検(大多数が書類送検)し、検察が起訴(公訴)することになっている。 もっとも、現実に刑事訴訟にまで進むのは、悪質なケースに限られているが。

 そして、刑事事件は次の期間を経過すると時効が完成する(刑事訴訟法第250条第2項)。
  四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
  五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
  六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
  (一部略)
 これにより、民間企業(労働安全衛生法で定める特定機関を除く)にとっては、強制労働以外の労働関係法令違反は「3年」で公訴時効が完成すると解釈できる。

 しかし、これには落とし穴がある。
 というのも、例えば、職場内ハラスメントにより従業員が心身を病み、あるいは死に到ったようなケースでは、経営者が、労働関係法令違反ではなく、傷害(刑法第204条;十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金)や業務上過失致死傷等(同法第211条;五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金)の罪に問われることがあるからだ。
 そうなると、傷害なら10年間、過失致死傷でも5年間は、検察は起訴することができる。

 もし「労使間の紛争に関しては、強制労働でない限り3年を経過すれば刑事罰を科される心配は無くなる」と思っている経営者がいるとしたら、その認識は改めるべきと言える。
 また、ここで論じたのは刑事訴訟法における公訴時効の話であって、民法における消滅時効は別の定めがある。刑事上の責任を問われることは無くなっても、民事上の責任を問われる可能性は残っていることは忘れてはならない。


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