ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

不正行為の従業員であっても懲戒解雇するには手順が大事

2011-01-23 17:34:11 | 労務情報
 従業員による社金着服が発覚したような場合、経営者としては即刻その場で懲戒解雇したくもなろうが、それがトラブルに発展することも珍しくないので、慎重を期したい。

 従業員の不正が判明したら、まず、それが事実であるかどうかを確認しなければならない。そして、事実であるなら、それが就業規則等の懲戒規定に該当するかどうかを、冷静に見極めることが求められる。
 なお、懲戒規定が明文化されていない場合は、訴訟の場において裁判所が「懲戒無効」と判断することもある(注:会社の有する“懲戒権”までも否定されるわけではない)ので、現行の就業規則等を至急整備しておきたい。
 さらに、会社が処分を下す前には、必ず本人に弁明の機会を与えるべきだ。正しい手続きを踏んでいなかったことを理由に懲戒が不当とされないようにする意味もあるが、それ以上に、本人に“わだかまりを残させない”という意味が大きい。

 また、「懲戒解雇」は雇用関係を完全に絶ってしまう最終手段であるので、もっと軽い懲戒(降格や減給等)で済ませられないかを、感情的にならずに検討するべきだ。
 参考までに判例を総じて見ると、「社内の経費を不正受給したケース」では“不正行為の頻度”や“着服金額”や“本人の反省度合い”を斟酌する余地があるようだが、「顧客からの売上代金を着服したケース」では着服金額の多寡によらず労働者に厳しい判断が下されている傾向がある。

 会社はこういった不正に対して厳正な処分を下すべきであるのは言うまでもないが、それよりも、日ごろからコンプライアンス教育を徹底することと、不正を早期に発見するための社内システムを充実させることが肝要であろう。


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「育児休業取得促進等助成金」の受給を考えているなら早めに準備を

2011-01-19 16:17:23 | 労務情報

 昨年6月の厚生労働省の自主仕分けで、「育児休業取得促進等助成金」は、来年度(今年4月)以降の廃止が決定されていた。しかし、最長3年間受給できる助成金であることから、廃止されるにしても何らかの経過措置が設けられるものと見込まれていたが、今般、その内容が明らかになった。

 1月7日の厚労省発表によれば、「平成23年3月31日までに育児休業等に関する経済的支援を開始した事業主」は、4月以降も今まで通り助成金の支給申請が可能とのことだ。ここで言う「経済的支援」とは、育児休業中の者に対して手当等を支払ったり、育児短時間制度を利用している者に対して労働時間に対応する額よりも上乗せして基本給を支払ったりすることを言い、これは従来の考えと変わらない。また、経済的支援額の3分の2(中小企業は4分の3)について国が助成するという基本的な枠組みにも変更は無いようだ。
 ただし、この助成金は、単発的な経済的支援ではなく“制度化”を促進する趣旨から、労働協約や就業規則等に定めておかないと助成の対象とならないことには注意を要する。また、支給申請前に当該手当等を支払った“実績”があることも支給要件の一つとなっている。

 この助成金を受給するには、これらを完了させたうえで3月31日までに申請しなければならないので、早めに準備を始めておいた方が良いだろう。


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契約社員が契約期間満了前に退職したいと言い出したら

2011-01-13 15:13:18 | 労務情報

 いわゆる“正社員”のように期間を定めずに雇用している従業員が退職しようとする際には、民法第627条の規定が適用され、2週間前に申し出ることによって雇用関係を終了させることができる。
 その一方で、期間を定めて雇用している従業員(“契約社員”や“パートタイマー”等)については、本人からも会社からも、期間満了前に雇用関係を終了させることは、原則として、できない。「雇用期間」についても両当事者が同意した契約条件の一項目なのだから、期間中に解約できないのも当然と言えば当然のことであろう。(ただし、民法第628条は「“やむを得ない事情”があるときは、各当事者は、直ちに契約を解除することができる」としており、労働契約法第17条も「“やむを得ない事由”がある場合」の解雇を一応は認めている。)

 では、有期雇用従業員の側から本人の都合で退職したいと申し出が有った場合に、これを会社が認めないのは可能なのかというと、実質的には無理だ。と言うのも、それは本人の意に反する労働を会社が強制することになってしまうからだ。日本国憲法第18条は「苦役からの自由」を謳っており、また、「強制労働(労働基準法第5条違反)」には最長10年の懲役まで規定されているのだ…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  


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「和文タイプ技能」に資格手当?

2011-01-03 14:44:11 | 労務情報

 新年を迎え、賃金体系の見直しを考えている会社もあるかも知れないが、今回は「資格手当」にスポットを当てて考察してみたい。

 よく「旧態依然」の例として挙げられるが、「和文タイプライター技能」を対象に資格手当を支給する会社は、現に、今でも存在する。30代以下の若い人たちは「和文タイプライター」という物の存在すら知らないだろうし、確かに、その技能を発揮する場は今は皆無に近いと思われる資格ではある。
 しかし、これを簡単に「ナンセンス」と断じてしまう前に、「資格手当」をなぜ支給するのか、その意義を考えてみよう。

 特殊な資格(歯科医院における「歯科衛生士」や不動産業における「宅地建物取引主任者」など)は別として、通常は“資格”というものは「その人の持つ“能力”をデジタルに示したもの」と認識されている。そして、会社としては、“保有”するだけでなく“発揮”された能力こそを評価したいと考えがちだ。
 しかし、“発揮能力”だけを資格手当の対象とするのは考えものだ。と言うのも…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  


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