ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

三六協定に特別条項を設けておくべきなのか

2015-03-23 23:45:06 | 労務情報

 「時間外労働に関する労使協定」(以下、「三六協定」と呼ぶ)は、「労働時間の延長の限度等に関する基準(H10.12.28労働省告示第154号)」により、「1か月あたり45時間、1年あたり360時間」(3か月を超える変形労働時間制の場合は「1か月あたり42時間、1年あたり320時間」)の限度内で定めなければならない(建設業・自動車運転業等を除く)。
 とは言うものの、業務の都合で、その限度時間を超えて働いてもらわなければならないことも起こりうるだろう。そのような事態が考えられる場合は、三六協定に「限度時間を超えて労働させなければならない特別の事情」、「限度時間を超えることができる回数、時間数」等の「特別条項」(「エスケープ条項」とも呼ばれる)を設けておけば、臨時的に限度時間を超えて労働させることがあっても労働基準法違反は問われないものとされている。

 これは会社にとって使い勝手が良いので、一部の経営コンサルタントには、三六協定に特別条項を設けておくことを推奨する向きもあるが、安易に飛びつくのは危険だ。
 まず、「特別の事情」は、単なる「業務多忙」では認められず、例えば「納期のひっ迫」や「大規模なクレームへの対応」といった突発的な事情を具体的に挙げておく必要がある。そして、限度時間を超えるのは、1年の半分以内に限られる(H15.10.22基発第1022003号)。
 また、特別条項には、「限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金率」を定めておかなければならず、しかも、この割増賃金率については、中小企業であっても2割5分を超えるよう努力義務が課せられている(H21.5.29厚生労働省告示第316号)。

 もっとも、そもそも労使協定は、過半数労組または過半数代表者の同意を得られなければ締結できない。その点も踏まえ、会社側にばかり有利な条件を提示することが果たして得策なのかどうか、慎重に考えたいところだ。


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年休発生基準日の設定に関して注意すべき事

2015-03-13 10:48:12 | 労務情報

 労働基準法第39条の定めによれば、年次有給休暇(以下、本稿では「年休」と略す)は、まず6か月後に発生し、その後1年ごとに発生していくものとされている。
 ところが、実務においてこの条文通りに運用しようとすると、採用日が異なる従業員それぞれについて年休発生日も異なることになるので、年休管理が煩雑になってしまう。そのため、全従業員一律の基準日を設けてその日に一斉に年休を発生させることとしている会社も少なくない。
 しかし、この「基準日方式」は、事務の簡略化とミス防止に一定の効果があるものの、気を付けなければならない点もあるので注意を要する。

 まず、労働基準法が定める条件を下回る(労働者にとって不利になる)ことは許されない。例えば、年休発生基準日を「4月1日」としている会社において、前年9月1日に採用した従業員については、本来3月1日に10日の年休が発生するべきところ、基準日到来まで間もないからと言って「発生させない」とか「2日だけ発生させる」などとするのは、違法だ。

 また、年休発生基準日を設けると、初回年休発生までの期間が6か月より短くなることが考えられるが、その場合に「出勤率8割以上」という条件を付するのは労働者にとって不利となるので、算定期間中はすべて出勤したものとみなさなければならないこととされている(平6.1.4基発第1号)。
 とは言え、そういう扱いにすると、「まだ勤怠状況がどうなのかも分からない採用したばかりの新入社員にも、自動的に年休が発生することとなってしまう」という懸念もあるだろう。これを解決するには、「初回の年休発生についてだけは法定通り6か月後とし、その後については基準日を用いて発生させる」という方式がお奨めだ。

 なお、年休発生基準日を設けた場合は、その旨を就業規則等に明文化しておく必要がある。
 そして、基準日方式の導入が従業員にとって不利益変更とならないようにしなければならず、そのため、導入初年度に限っては、次年度年休を前倒しして発生させるしかないことも、承知しておきたい。


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清掃も朝礼も義務づけられているなら労働時間

2015-03-03 18:38:26 | 労務情報

 相変わらず労働基準監督署から賃金不払い残業(いわゆる「サービス残業」)についての是正勧告を受ける会社が多いのは、褒められた話ではない。昨今は、所定終業時刻後の就労(文字通りの「残業」)については問題が無くても、所定始業時刻前の就労(以下、本稿では「早出勤務」と呼ぶ)について、会社が労働時間を正しく把握していないことを指摘されるケースが目立ってきている。
 早出勤務も、残業と同様に、労働時間を分単位で把握して時間外賃金を支払わなければならない。「始業時刻ギリギリに出社するのは社会人としていかがなものか」と心構え的に諭す程度ならともかく、「始業5分前の着席」を会社(上司)が命じていたとしたら、その5分間も会社に拘束されているわけだから労働時間なのだ。まして、始業前に職場の清掃や朝礼への出席等を義務づけていた場合は、それらは明らかに労働であるから、当然、時間外賃金の対象となる。

 また、見落とされがちなのが、制服がある職場での「着替え時間」だ。これも、会社が制服着用を義務づけているなら、労働時間に含めなければならない。
 ちなみに、制服に着替えてからすぐに仕事に執りかからずおしゃべりに興じているなら、その「おしゃべり時間」まで労働時間に含める必要は無いのだが、だからと言って、「制服に着替えてからタイムカード打刻」を命じるのは、短慮の誹りを免れまい。それは、結果としてタイムカードの信頼性を損ねることになり、訴訟においては却って会社に不利な材料となりえてしまうからだ。

 残業であろうと早出勤務であろうと、会社が拘束している時間は、基本的にはすべて労働時間なのだ。ただし、就労していない時間については賃金を支払わないことが可能だが、その不就労時間は会社が把握しておかなければならない、と認識しておくべきだろう。


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