ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

残業単価の基礎に含めなければならない「住宅手当」とは

2016-02-23 19:53:59 | 労務情報

 労働基準法施行規則第21条は「割増賃金の基礎となる賃金に算入しないもの」の一つとして「住宅手当」を挙げている。しかし、すべての住宅手当が割増賃金の基礎に含めなくて良いわけではない。ここで言う「住宅手当」とは、“住宅に要する費用の一定割合(または住宅に要する費用によって段階的に区分した額)を補助するもの”を指しているからだ。

 したがって、次のような制度は施行規則に言う「住宅手当」に該当せず、即ち、残業単価の計算基礎に含めなければならない。
  (1) 従業員一律に定額で支給するもの(「第2基本給」的な意味合い)
  (2) 住宅の形態ごとに一律の定額で支給するもの
   例:「賃貸住宅に住んでいる者には3万円、持ち家に住んでいる者には2万円」
  (3) 住宅以外の要素に応じて支給するもの
   例:「世帯主である者には2万円、世帯主でない者には無支給」(事実上の男女差別とも言えそうだ)
 このような住宅手当制度を設けている会社では、住宅手当を含めた賃金額で時間外割増賃金を算出しなければならない。

 労働基準監督署の調査で指摘されることが意外に多い項目の一つであるので、予め社内でチェックしておきたい。


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雇用保険被保険者についてハローワークの台帳と照合を

2016-02-13 20:49:34 | 労務情報

 まったくのうっかりミスであろうが(意図的だとしたら悪質である)、従業員を雇用保険に加入し忘れているのを目にすることがある。
 雇用保険の被保険者証は、健康保険証のように携帯しておくものでないため本人に受け取った記憶が無かったり、会社によっては退職時まで会社が保管していたりするので、雇用保険に加入し損ねていることに会社も本人も気付きにくい。加えて、雇用保険料(労災保険料と合算して納付)の納期は社会保険料のように毎月ではなく、また、労使が丁度半額ずつを負担するわけでもないため、預かり金との差額がチェックしにくいという背景もある。

 そのため、退職時になって初めて雇用保険の被保険者資格が無いことに気付いて慌てるわけだ。
 証憑資料を添付すれば被保険者資格はさかのぼって取得できる(平成22年4月の法改正で、要件に該当すれば2年の時効を超えての遡及適用も可能となった)が、当然その間の保険料は労働局から納付を求められる。
 しかし、証憑不充分のためにハローワークで被保険者資格を否認された場合は、本人は、受給できるはずであった失業給付との差額を、会社に直接請求してくることになろう。会社側に反論できる材料が有るなら訴訟も恐れることはないが、大多数のケースが会社側に非のある話なので、争いにもならないだろう。

 こういった事態を防ぐには、機会あるごとに、管轄ハローワークの保管する『雇用保険被保険者台帳』を出力してもらい、会社の記録と照合しておくと良い。もし差異があったら速やかに修正しておけば手間も時間も掛からないし、何より、業務の質の向上に寄与するに違いない。


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改正派遣法で「期間制限」よりも気を付けるべきこと

2016-02-03 15:59:32 | 労務情報

 労働者派遣法による「労働契約申し込みみなし制度」が始まって、4か月が経過した。

 「労働契約申し込みみなし制度」とは、違法派遣を(それと承知しながら)受け入れた派遣先は、その派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす、という制度のことで、その「違法派遣」としては、次の5類型が挙げられている。
  (1) 派遣労働者を禁止業務(港湾運送・建設業・警備業等)に従事させること
  (2) 無許可事業主からの労働者派遣の役務の提供を受けること
  (3) 事業所単位の期間制限(原則3年以内)に違反して労働者派遣を受けること
  (4) 個人単位の期間制限(同一部署に3年以内)に違反して労働者派遣を受けること
  (5) いわゆる偽装請負等
 これらに該当した派遣労働者は、労働契約を申し込まれたものとみなされるわけだから、「承諾する」と意思表示するだけで、同じ労働条件のまま派遣先(労務提供先)に直接雇用されることになる。

 このことは、特に(3)に関して、長期ユーザーとして労働者派遣を活用してきた会社にとっては業績を左右しかねない大問題として、改正法が成立した時から再改正を求める声が(特に経営者側から)挙げられていた。
 そして、この制度が施行される直前の9月30日、「過半数労組等の意見聴取手続きを経れば3年を超えて労働者派遣を受け続けることが可能」とする再改正法案が可決された。そのため、会社としては、その手続きさえ適正に行っていれば、期間制限違反によるみなし制度適用は心配しなくて良いことになり、ユーザーとしての派遣先企業は一安心したところだろう。

 しかし、実は、会社にとっては、それよりも気を付けなければならないことがある。それは、(5)の「偽装請負」だ。
 契約上は「請負」になっていたとしても、実態が「労働者派遣」であったなら、「違法派遣」ということになるため、みなし制度が適用されて直接雇用義務が生じてしまうからだ。

 適正な請負であるか否かは、次のようなチェックポイントで確認できる。
  (1) 受託側が行うべき人事管理(配置する担当者の人数、担当者が欠勤する場合の措置、担当者の考課等)について、委託した側が決めていないか
  (2) 委託した業務が早く終わった場合には委託料が減り、逆に遅くまで時間が掛かった場合に加算されるという取り決めになっていないか
  (3) 旅費等が必要な場合に、その都度、委託した側が支払う仕組になっていないか。
  (4) 委託者が所有する設備・機器・材料等(高度な技術・専門性をもって使用している場合を除く)を無償で提供していないか。
 他にも種々挙げられるが、“業務の委託”なのか、“労務の提供”なのか、ということが判断基準になる。
 「請負」と称していても、実態が“労務の提供”であったなら「労働者派遣」になってしまう(しかも「違法派遣」になるケースが殆どである)ことを、正しく理解しておきたい。


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