ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

懲戒処分は懲戒委員会で決定するべきなのか

2017-12-13 19:30:04 | 労務情報

 従業員を懲戒するに際して、処分内容を決定するために懲戒委員会(「懲罰委員会」とも称される)を開催することとしている会社がある。
 これは法律で設置が義務づけられている機関ではないが、次のようなメリットを有するため、懲戒委員会の設置を勧める識者は多い。
  1.客観的な資料と複数の者の意見に基づいた冷静な判断が期待できる
  2.本人の弁明を聴く機会を与えることにより、本人の反省や納得を促せられ、また、会社にとっては真相究明と再発防止の一助となる
  3.労働基準監督署や裁判所に対して、公正な手続きに則った懲戒処分であることを主張できる
  4.議事録を保管しておくことにより、類似事案が発生した際の参考にできる
 これらを総じてみると、労働契約法第15条(懲戒)・第16条(解雇)の求める「合理性」と「相当性」をクリアするために懲戒委員会が活用できるということに集約できそうだ。

 しかし、懲戒委員会で懲戒処分を決定することには次のようなデメリットもあることは承知しておく必要がある。
  1.結論が出るまでに時間が掛かる
  2.議事録等に不備があると、懲戒委員会を開催しなかったとみなされることがある
 ちなみに、就業規則で「懲戒委員会を開催する」と定めているのにその手続きを経なかった場合には、原則的にはその懲戒処分は無効となる(大阪地決S47.7.12、東京高判H16.6.16等)ので、会社の規程に則った対応が必要だ。懲戒委員会を経ないで科した懲戒処分を有効と断じた裁判例(大阪地決H6.3.31等)も無いではないが例外事案と言えるだろう。

 以上を踏まえれば、懲戒委員会を設置するとしても、例えば「役員全員による」といった大規模なものよりも、「社長、人事管掌役員および当該従業員の上長たる役員の三者による」くらいの構成にしておいた方が、運用面で使い勝手が良く、また、情報漏洩を防ぐ意味でも有効と言えそうだ。
 あるいは、就業規則には懲戒委員会については明記せず、人事担当部内での「内規」として委員会の構成や審議事項(特に本人に弁明の機会を与えること)等を定めておく、というのも一策だろう。

 結論として、懲戒処分は懲戒委員会を開催して決定するのが望ましいが、それを就業規則にどのように記載するかは慎重に考えたいところだ。


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家族がインフルエンザに罹った従業員を休ませるべきか

2017-12-03 18:59:17 | 労務情報

 今年もインフルエンザシーズンが到来した。
 12月1日、厚生労働省は、平成29年第47週(11月20日~11月26日)の定点あたり報告数が1.00を上回ったため、流行シーズン入りを宣言した。

 ところで、従業員から、家族がインフルエンザに罹った旨の報告を受けたら、会社としてどのように対処したら良いだろうか。

 従業員本人がインフルエンザに罹った場合、それが鳥インフルエンザ(A属H5N1型)または新型インフルエンザであったなら、そもそも就業してはならない(感染症予防法第18条)。
 それでも本人が無理して出勤してきたら、会社としては、本人の健康と周囲に伝染させないという両面を慮って、やはり休ませるべきだろう。こうした場合には、就業規則や労働協約等で賃金を補償する特約を設けていない限り、法律上は、賃金を支払う義務は無いとされる。

 しかし、インフルエンザに罹ったのが家族であった場合には(それが鳥インフルエンザや新型インフルエンザであったとしても)、従業員本人を休ませるべきかどうかは悩ましい問題だ。
 本人も感染している疑いが濃厚であるとは言え、それでも本人が就労するつもりであるのに会社が休業を命じた場合には通常の賃金が発生するからだ。少なくとも休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければ、労働基準法違反にも問われることになる。

 詰まるところは本人の意向も踏まえたうえでの“経営判断”ということになってしまうが、このようなケースでの報告方法や休業命令のルールは、できれば事前に就業規則等に明記しておくのが望ましい。

 なお、そのルールを作るに際しては、個別の対応にとどまらず、爆発的流行(パンデミック)において従業員の大多数がこれに該当してしまうケースまで想定した対処方法を考えておくべきだろう。


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研修費用を返還させる旨の契約は違法か

2017-11-23 17:29:07 | 労務情報

 従業員の能力開発のために各種の研修メニューを用意している会社は多い。しかし、従業員の中には研修を受けるだけ受けたらすぐに転職してしまう者もいて、経営者の頭を悩ませている。

 そうした事態を防ぐため、「研修受講後一定期間内に退職する者には研修に掛かった費用を返還させる」旨を取り決めておく会社もあるが、これには法令上の問題は無いのだろうか。

 裁判例を見ると、美容室の従業員に美容指導を受けさせたケース(浦和地S61.5.30判)、会社の海外留学規程により留学先を選択し、帰国後に留学で習得した技能を生かした職務に従事させたケース(東京地H10.9.25判)等、その研修が社員教育の一環として行われたものは、使用者として当然なすべきものとして、要した費用の返還を求めることは違法と断じている。

 一方で、従業員からの申し入れにより技量資格検定試験受験のために実施した社内技能者訓練について、その費用を「立替金」と位置付け(大阪地S43.2.28判)、また、社内公募により海外留学させ、一定期間内に退職した場合には掛かった費用を返還させる旨を就業規則に定めてあったものを「返還債務免除特約付きの貸付金」として(東京地H9.5.26判)、いずれも労働契約とは区別して労働基準法第16条が禁じる「違約金」には該当しないとした裁判例も存在する。

 概して見れば、次のような要件に該当する場合は、労働基準法に違反しないと判断されているようだ。
  1.労働者本人が希望した研修であること
  2.費用を返済すべきことについて予め労働者が認識していたこと
  3.費用返済の取り決めが雇用関係の継続を不当に強要するものでないこと
 ただ、現実には、ケースバイケースで判断するしかないので、これを鵜呑みにされないよう。


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中途採用の内定取り消しは新卒のそれよりも重大

2017-11-13 09:59:29 | 労務情報

 今春、東京の旅行会社が経営破綻し、およそ50人の採用内定が取り消されたことが話題になった。内定取り消しの理由は、本件のような会社側の経営上の都合によるもの(業績の急激な悪化等)と本人の責任によるもの(「学校を卒業できなかった」など)の2つに分けられるが、トラブルになりやすいのは、俄然、前者の方だ。

 「採用内定」は、当事者間で「解約権を留保した労働契約」が成立したものと解される。
 したがって、「内定取り消し」は、その契約を会社側から一方的に終了させるという意味を持ち、「解雇」と同じ労働契約法第16条の適用を受ける。すなわち、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効」となるのだ。
 訴訟においては、(内定取り消しは解雇ではないものの)「整理解雇の四要素」と呼ばれる (1)人員整理の必要性、(2)解雇回避努力義務の履行、(3)被解雇者選定の合理性、(4)解雇手続の妥当性、の4項目を用いてその当否が判断されるので、そもそも内定を取り消す前に、これらを勘案したうえで、慎重に結論を出さなければならない。

 ところで、中途採用の内定取り消しは、新卒採用予定者の内定取り消しと比較して事の重大性が異なるので、特に注意と配慮を要する。
 というのも、中途採用では、通常、現在勤務している他社を退職してもらうことが前提となるからだ。前職を退職した挙句に内定を取り消すことになったら、その人が培ったキャリアを無にしてしまいかねないからだ。このことは、裁判所が中途採用での内定取り消しを無効と断じた事案において、その間の賃金を補償させる他に“慰謝料”も支払うよう命じた裁判例が複数ある(新卒採用における内定取り消し事案では見当たらない)ことが端的に示している。
 会社としては、経営が苦しいから内定を取り消すのだろうに、働いてもいない人の賃金やまして慰謝料まで支払うことになったら目も当てられない。

 会社としては、「内定取り消しは整理解雇の寸前でなければ発動できない」ぐらいに理解し、相応の金銭補償も含めた誠意ある説得から始めるべきだろう。
 これも、言ってみれば「解雇に準じた対処」ということになる。


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不採用者の応募書類は返却するべきか

2017-11-03 10:06:52 | 労務情報

 採用活動において、不採用とした応募者から、履歴書等の応募書類を返却するよう求められることがある。その場合、会社はこれに応じなければならないのだろうか。

 結論を先に言うと、法令上、返却する義務は負わないとされている。

 では、ここで、個人情報保護法の規定を整理しておくこととする。
 まず、「個人情報取扱事業者」の定義について、かつては「政令で定める者(事業の用に供する個人情報の数が過去6か月内いずれの日においても5千件以下の者)を除く」とされていたが、かっこ書き部分は、今年5月30日に改正施行された現行法では削除されている。そのため、今では、ほぼすべての事業者が個人情報事業者に該当すると言っても良いくらいだ。
 また、採用活動においては、当然、個人情報を取得することになること、そして、応募書類には個人情報(改正法で明確化された「要配慮個人情報」(従来「センシティブ情報」・「機微情報」とも称されてきた)を含む)が満載であることについては、異論を挟む余地は無いだろう。

 そう考えると、本人が請求してきた以上、会社は応募書類を返却しなければならないと思いがちだが、同法は、「内容が事実でないとき」には個人データの訂正や削除を、「必要な範囲を超えたり不正の手段により取得したものであったりしたとき」は個人データの利用停止や消去を、それぞれ請求することができる(改正法第29条・第30条)と定めているに過ぎないのだ。
 したがって、正しい個人情報を正当に取得し利用している限り、この求めに応じる義務は発生しない。

 しかし、そうは言うものの、利用する必要がなくなったときは個人データを遅滞なく消去するよう努めるべき(改正法第19条)と追記されたことに鑑み、また、データベースの不正提供(改正法第83条に罰則を新設)を疑われないためにも、少なくとも請求された場合には、応募書類は返却してしまうのが無難だろう。

 なお、書類返却に要する費用は本人の負担としても差し支えない。募集要項に「不採用の場合に応募書類の返却を希望するなら、切手を貼付した返送用封筒を同封すること」と記載しておくのも一策だ。ただ、そうした場合は、「個人情報に配慮している」との安心感を与えると同時に、「ケチな会社だ」とも思わせかねないので、その点は慎重に考えたい。


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特定受給資格者? 特定理由離職者?

2017-10-23 07:59:13 | 労務情報

 ちょうど10年前の平成19年10月に雇用保険法が改正され、失業給付を受給するには、原則として「12ヶ月以上」の被保険者期間が必要となった。いまだに「6ヶ月以上」で受給権を得られるものと記憶している人もいるようだが、現行制度では、それは「特定受給資格者」と「特定理由離職者」に限っての扱いとなっている。

 「特定受給資格者」とは、倒産や解雇等により離職を余儀なくされた者であって、いわゆる“会社都合”での離職者を言う。
 もう一つの「特定理由離職者」とは、平成21年に新設された区分で、「正当な理由のある自己都合により離職した者」を言う。特定理由離職者は、失業給付に際して、当面は(当初は「平成24年3月31日までの暫定措置」であったが、現在は「平成34年3月31日まで」に延長されている)特定受給資格者と同様の扱いをするものとされている。
 なお、これに「有期雇用契約の更新を希望したにもかかわらず更新されずに契約満了となり離職した者」を含む取り扱いは、今は廃止されている。

 まれに、「正当な理由=会社都合である」と誤解してか、「特定受給資格者」として扱うよう会社に求めてくる退職者もいると聞くが、会社はそれに応じる必要は無い。
 確かに、例えば「配偶者の転勤により通勤困難になったため」というような理由は、単なる「転職希望」とは性格を異にする正当な離職理由ではある。しかし、そうであっても、“自己都合”であることに変わりはないのだ。
 もし、そのように求めてくる退職者がいたら、「特定理由離職者」という区分があって、給付制限や給付日数等についても「特定受給資格者」と同様に扱われることを説明し、理解を求めるのが正しい対処だ。


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部下に資格取得を命じる際に注意しておくべきこと

2017-10-13 22:39:31 | 労務情報

 業務上、従業員に、特定の資格を取得してもらう必要がある場合には、会社はそれを命じることができる。そして、従業員は正当な理由なくその命令を拒むことはできないものとされる。このことは、すべての業務命令に共通する考え方だ。
 しかし、資格取得命令に関しては、直接的に業務を行うための命令とは扱いを異にする点があり、それに関しては、下命側(上司)・受命側(部下)ともに誤解している向きがあるので、ここで整理しておきたい。

 まず、受験そのものに掛かった費用に関しては、受験料は言うまでもなく、受験会場までの交通費や受験時間相当分の賃金も、会社が負担しなければならない。これらはすべて業務命令を遂行するために必要な経費だからだ。
 ちなみに、仮に受験結果が不合格であった場合でも、これらを会社に返還させることはできない(大阪高判S43.1.28)。なお、資格取得の成否が社内評価(人事考課や昇格査定等)に影響することについては、それが業務命令である以上、当然と言えよう。

 それから、資格を取得するために必要な学習時間については、労働時間として賃金支払いの対象しなければならない。これに関しては、従来グレーに扱われがちであったが、先ごろ策定された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(H29.1.20基発0120第3号)には労働時間に含むべきことが明記されている。
 また、労災事案ではあるが「技術士資格受験のための勉強も会社の指揮監督の下での残業というべき」と判じられた裁判例(大阪地判H21.4.20)も参考になりそうだ。

 一方で、資格取得のために学校に通うことに関しては微妙かも知れない。
 例えば自動車運転免許のように、その資格を取得するためには学校(この例では自動車教習所)に通うのが一般的とされているなら会社がその費用を負担することについて異論を挟む余地は無さそうだが、必ずしも学校に通わなくても取得できる資格の場合に、その費用や、ましてその時間分の賃金を支払うかどうかは、会社の考え方によって異なる。
 また、資格が取得できた折に奨励金(一時的なもの)や資格手当(恒久的なもの)といった金員を支給するかどうかも、会社ごとに異なって然るべきものだ。
 もっとも、こうした制度は、一般的に“自己啓発”を促すモティベーションとしての機能を期待されていることが多いが。

 経営者や管理職としては、これらを踏まえたうえで、安易に資格取得を命じるのでなく、自己啓発とも組み合わせながら、部下のポテンシャルを向上させることを考えるべきだろう。


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死亡退職金は誰が受け取ることになっているか

2017-10-03 18:49:09 | 労務情報

 退職金には、①賃金の後払い、②功労への報償、③退職後の生活保障、という3つの性格があるとされる。これらは従業員本人が死亡したことによっても否定されるものではない(③は「遺族の生活保障」と読み替えられる)ので、従業員が死亡退職した場合であっても、会社は退職金を支給しなければならない。その点、賞与には「将来の労働への意欲向上」という4つめの性格があるため「支給日に在籍しない者には賞与を支給しない」旨の定めを置くことが許されるが、それとは異なる。

 では、本人が死亡してしまった場合、会社は誰に対して退職金を支給するのか。

 それは、会社の退職金規程がどう定めているかによる。
 もし退職金規程に死亡退職金の受取人について定めが無ければ、相続人全員による遺産分割協議が整った後に、各相続人に対してそれぞれの相続分に応じて退職金を支給することになる。
 一方、退職金規程に死亡退職金の受取人が明記してあれば、遺産分割協議を待たずに、定められた受取人に退職金を支給すれば良い。その方が実務面で簡便であり、また、遺族間のトラブルも生じにくいので、一般的には定めを置いておくことが推奨されている。

 ところが、その定めを「労働基準法施行規則第42条から第45条までに準じる」としている場合(実際このように定めている例が数多く見受けられる)は、これが新たなトラブルの火種となることが往々にしてあるので、要注意だ。
 というのも、ここで準用する労働基準法施行規則第42条第1項は、「遺族補償を受けるべき者は、労働者の配偶者(婚姻の届出をしなくとも事実上婚姻と同様の関係にある者を含む。以下同じ。)とする」と定めており、事実婚を認めているからだ。
 つまり、退職金規程にこれと同じ規定があったなら、死亡した従業員が戸籍上は独身であっても、あるいは戸籍上の配偶者がいたとしても婚姻が破綻しているとみなされる場合は、内縁関係にある者がいたなら、その者に対して退職金を支給しなければならないことになる。
 なお、同規則第43条第2項には「労働者が遺言又は使用者に対してした予告で前項に規定する者のうち特定の者を指定した場合においては、前項の規定にかかわらず、遺族補償を受けるべき者は、その指定した者とする」とあるが、この規定は第42条に劣後するので、遺言等があっても配偶者(内縁を含む)が第1順位であることは揺るがないことも覚えておきたい。

 死亡退職金の受取人について定めがあったらあったで、こういった事態も起こりうることを担当者は承知しておかなければならない。また、退職金制度の新設や改定を予定している会社は、こうした点も勘案して死亡退職金の受取人をどうするかを検討するべきだろう。


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『外国人雇用状況届出書』は出していますか?

2017-09-23 22:29:02 | 労務情報

 平成19年10月に雇用対策法が改正されて、まもなく丸10年が経過しようとしている。
 具体的には、外国人を雇用する際には国籍・在留資格等を確認することが事業主に義務付けられ、それを管轄ハローワークに届け出ることになったものだ。

 手続きとしては、新たに外国人を雇用した事業所は、その外国人が雇用保険被保険者となる場合には『資格取得届』によって、雇用保険被保険者とならない場合は『外国人雇用状況届出書』によって、外国人の雇用状況をすべて管轄ハローワークに届け出なければならない。届出期限は、『資格取得届』は翌月10日まで(一般の資格取得届と同じ)、『外国人雇用状況届出書』は翌月末日まで、となっている。
 これは、すべての事業者に義務付けられている(届け出を怠ると「30万円以下の罰金」が科されることとなっている)。特に、当該外国人が雇用保険の被保険者とならない場合に、『外国人雇用状況届出書』の提出を失念しているケースが多く見られる(「提出を失念」以前に「制度を知らない」というのも珍しくない)ようだ。

 なお、この届け出にあたっては、日本国籍を持つ「帰化した人」はもちろんのこと、「特別永住者」(在日韓国人等)も対象外であるので注意したい。併せて、この取扱が、国籍による差別につながらないよう、配慮が必要だ。

 10年前に外国人雇用のルールが変わった背景としては、外国人の不正入国・不正就労が後を絶たないことも挙げられるが、他面、不正就労であることを承知で雇い入れる事業主が少なくないという実態も存在したからだ。
 しかし、手続き厳格化についての賛否はさておき、もし外国人を雇用する動機が「安い賃金で使えるから」という理由によるものだとしたら、それでは外国人労働者にモラールもロイヤリティも期待するのは無理な話だろう。「外国人である」ことも“個性の一つ”と認識して、その人の持つ能力や適性を最大限に引き出すのが経営者の役割とは言えまいか。


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実は怖い最低賃金法違反。事業廃止に追い込まれる事態も。

2017-09-13 16:59:03 | 労務情報

 今年10月(大阪府のみ9月30日)から改定される最低賃金は、「生活保護水準との乖離解消」を目的の一つとして、すべての都道府県で従前よりも1時間あたり22円以上の大幅アップとなることが公表された。
 これを受けて、多くの(常識的な)会社は自社の賃金を見直し、必要があれば臨時昇給等の措置を考えているに違いない。

 ただ、賃金の見直しにより最低賃金をクリアしたようでも、よくよく見ると、依然として最低賃金を下回っている事例が散見されるので、要注意だ。
 例えば、清算期間を1か月とするフレックスタイム制を導入している場合に、すべての月において所定労働時間を「171時間25分(30日分)」と設定して賃金を計算していると、大の月(暦日数31日)で不足が生じてしまったり、あるいは、「定額残業代」(「固定残業代」とも呼ばれる)を支払っている場合に、その前提とした見込み残業時間(1か月あたり30時間としておく例が多い)を実際の残業時間が上回ってしまったりして、割り戻した単価が最低賃金未満になってしまうということが起こりうる。
 このように最低賃金額を下回る賃金は、たとえ労使双方がその賃金額に合意していたとしても無効となり、会社は最低賃金額以上の賃金を改めて支払わなければならない(最低賃金法第4条)。そして、最低賃金法に違反した会社には、一部の例外を除き、50万円以下の罰金が科せられることとされている(同法第40条)。

 3年ほど前には、「最低賃金との差額については既に退職した者には支払わない」と主張し(もちろんこれは認識違いであり、退職者であっても在職していた期間については最低賃金の適用を受ける)、労働基準監督署による不払賃金を支払うよう求める行政指導に従わなかった都内の企業経営者が逮捕されるという事件が発生した。この経営者が支払いを拒否していた金額は、わずか97,940円(1人の賃金17,250円、もう1人の賃金80,690円)だったという。
 通常、最低賃金法に違反したとしても、是正勧告を受けるか、悪質なケースでは在宅のまま書類送検されることがあるくらいで、経営者が逮捕されて身柄を拘束されるケースは非常に稀とはいえ(この事案では、当該経営者が労働基準監督署による再三の出頭要求に応じず、罪証隠滅の恐れがあったことから、逮捕に至ったという)、こんな例を見聞きすると、労働基準監督官が逮捕権を有し、それゆえ、その勧告や指導には強制力があることを改めて思い起こさせる。

 また、さらに経営に支障の出そうな問題として、最低賃金法に違反して罰金以上の刑を受けた場合には、助成金(例えば、特定求職者雇用開発助成金、キャリアアップ助成金、職場意識改善助成金、介護事業者の介護職員処遇改善加算など)を受給できなくなったり、事業に必要な免許(例えば、労働者派遣業の許可、有料職業紹介業の許可、在宅就業支援団体の登録など)が取り消されることもある。
 助成金が受給できないのは諦めるしかない(それでも痛い)としても、事業に必要な免許を取り消されたら、事業を継続していくこと自体、困難になるかも知れない。実際、「最低賃金法違反により罰金刑を受けた会社が労働者派遣事業の許可を取り消された」というニュースは、枚挙にいとまが無い。

 「最低賃金に満たない額は後から払えば良い」という話では終わらないのだ。
 最低賃金法違反は“刑法犯”であることを認識し、コンプライアンスの徹底に努めたい。


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