尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

熊本県の事情その後-教員免許更新制の問題点

2011年06月18日 20時58分36秒 |  〃 (教員免許更新制)
 なかなか書いてるヒマがなかったけれど、熊本県の事情でその後わかったことを報告しておきます。
 熊本県は全国最多の9人の免許失効者が出て、「失職者」が出た県です。免許更新講習に問題があったわけではなく、いずれも更新手続き上の問題だと思われるので、この教員免許更新制度と言う仕組みのバカバカしさを象徴する事例です。そのことはさきに「熊本県教委の責任」で報告しました。

 さて、熊本県の来年度教員採用試験の実施要項に興味深い部分があることに気づきました。
 小中高、特別支援、養護、栄養など様々な募集合計240名のほかに、「教員免許失効者等特別選考」というカテゴリーがあるのです。人数は若干名となっています。
 さらに詳しくみると、「熊本県公立学校における教員免許更新等に係る申請が未完了の者等を対象にした特別選考」とあり、「本県公立学校における教員免許更新等に係る申請が未完了の者で志願する者は、本人宛別途通知する要領により受考すること。」となっています。

 ホームページ上ではそれ以上わかりませんが、このように公表されているということは事実上県教委が自らの責任を一定程度認め、救済の方向性を打ち出していると見ることができると思います。採用試験はどの都道府県でももう締め切られ倍率等も発表しているところもありますが、熊本は未発表です。それにこの「特別選考」の「倍率」が発表になることは考えにくいでしょう。しかし、このカテゴリーで応募した人がいた場合は、本人に責任があって「停職」になっているわけではないのですから、県の責任で救済すべきです。まだ事態は途中ですが、ホームページで公表されているので報告しておきます。

 他にも失効者が出た都府県がありました。全部は確認してませんが、複数の失効者がいた府県で、このような特別選考を実施するところはありません。「臨時免許状」で雇用が継続している場合は、あらためて「選考」の対象になるわけはないので、たぶんそういうことなんでしょう。熊本の場合は、一度失職という事態まで行ってしまい、雇用関係が一端途絶えたことになるので、形式上「選考」となるのだと現時点では理解しておきたいと思います。
 (震災被災者の特別選考など別の特別選考を行うところはあります。また東京では高知、大分、秋田と協力した特別選考も行われます。各都道府県で様々な「特別」な選考があります。)

 しかし、これで救済されればオシマイというものではないでしょう。制度のおかしさがこれほど明白になった事例はありません。単なる制度上の事務的ミス(としか思われない)で、突然退職金もなしに職を失う、こんな人権無視の出来事が現代の日本でおこり、大きな問題にもならない。
 今東北の被災地では4月の異動辞令が凍結されているような教員が多数います。とても教員免許更新講習を受講申し込みするような余裕はないと思います。全国学力テストは事実上できなくなりました。教員免許更新制度も早く「停止」して、熊本のような事態が被災地で起きないようにすることが緊急の課題ではないでしょうか。

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