「韓国人と中国人は嫌いです。日本精神を継承するべきです」。大阪府内に住む30代の女性は子どもが塚本幼稚園に通っていた昨年2月、こう手書きした副園長からの手紙を受け取った。

 元々在日コリアンで、今は日本国籍の女性は「自分が在日だったことは園に伝えていたのに、教育者がこんな言葉を浴びせるとは」とショックを受け、数日後に子どもを退園させた。

 園はホームページで「日本人としての礼節を尊び、愛国心を育てる」とうたい、籠池泰典園長は保護者向け文書などで「日本民族の統一性」を強調。2015年の運動会を撮影した映像では、園児に「日本を悪者にする中国や韓国は心を改めて。安倍(晋三)首相頑張れ」と選手宣誓させていた。

 繰り返し韓国や中国を名指しで批判することに対し、大阪府内の私立幼稚園の経営者からは「卒園後、外国人とのコミュニケーションに影響が出ないか」と懸念の声もある。

 府内の私立幼稚園経営者の男性は「運営費は少なからず公の補助金で賄われている。私立としての独自性は守られるべきだが、経営側は公教育を担う自覚をもつべきだ」と指摘する。

 籠池氏は16日までに、共同通信の取材に「園はどの国の人にも門戸を開いているが、日本人になったのなら、日本の文化に沿ってもらわないと困る」と話した。(共同