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ミステリ感想-『仮面幻双曲』大山誠一郎

2018年08月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
昭和22年、私立探偵の川宮兄妹は、琵琶湖畔で製糸会社を営む占部文彦に招かれる。
彼は双子の弟の武彦に命を狙われていると言い、身辺警護を依頼。
武彦は顔を整形したうえで外科医を殺し逃亡中で、すでに周辺に潜伏しているらしく……。

2006年本ミス10位


~感想~
舞台といい時代設定といい横溝風ワールドで描かれる、余計なものを全て削ぎ落とした推理ゲーム。
前半に顕著だが同じ話を何度となく繰り返され、そこに仕掛けがあることを疑いたくなるが、単に当時の筆力の限界なので安心して読み飛ばして欲しい。
背景その他を横溝正史から拝借してきたが、怪奇味などは一切なく淡々と話が進み、淡々と事件が起こり淡々と解決へとなだれ込むため、あっさり読める一方で退屈を感じるのも事実。
だが読者の意表を突くことだけに特化した謎と解決は、とにかく一から十まで粗いものの意外性にはあふれ、ミステリ小説としてはどうかと思うが、たとえば犯人当て朗読会のような推理ゲームとしてならギリギリで成立している。
その粗さについてネタバレにならない範囲で言うと、特に第二の事件の被害者がトリックを成立させるために絶対にありえない行動を山程とっており、捜査する警察もありえない見落としをわんさかしている始末で呆れるばかり。
細かい点は黄金の羊毛亭さんのネタバレ解説で事細かに指摘されているので、ぜひ一読を勧めたいし、ここまで丁寧に拾っていただければ自分の出る幕は無い。
しかしデビュー作の「アルファベット・パズラーズ」や後に刊行された「密室蒐集家」などを読んだところそういった瑕疵はおそらく作者も織り込み済みであり、本作もこまけぇこたぁいいんだよ!!と純粋に推理ゲームとして楽しむのが吉だろう。


18.8.20
評価:★★☆ 5
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