内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

「新たな指示があるまで」という不確実性の中で生きる非日常的日常

2020-03-15 15:05:49 | 雑感

 フランス全国で15日日曜日午前零時から、すべてのレストラン、カフェ、映画館、ディスコ等が閉鎖された。しかも、食料品、薬局、ガソリンスタンド、銀行、タバコ・新聞販売所といった国民生活に必須のものを除き、全ての商店も閉鎖された。いつまでか。「新たな指示があるまで」。
 これまでの一連の新型コロナウイルス対策が発表される度毎にこの「新たな指示があるまで jusqu’à nouvel ordre」という表現が繰り返し用いられている。今回も同じだ。つまり、いつまで続くのかわからないということである。
 フィリップ首相は、昨夜の会見において、移動を少なくし都市間の移動を避けることを国民に求めた。集まるのを最大限避け、家族や友人との会合を制限し、公共交通機関は、職場で働くことが必須な場合に限ってその職場に向かう際のみ利用することも国民に求めた。さらに、真に必要な買い物、運動、投票等を除いて、外出しないでほしいとまで述べた。
 これではまるで敵に国土を襲われつつある戦時下の生活のようではないか。実際、テレビの情報番組で「対コロナウイルス戦争」という表現が使われていた。ヨーロッパ中で急速に増殖しつつあるこの肉眼では見えない無数の敵を前に、最新の軍事兵器も化学兵器もまったく無力であり、敵の襲撃に徒手空拳で曝された国民は、それぞれ自宅への退却を強制され、そこでただひたすら敵の勢いが弱まるのを待つ「籠城」を余儀なくされている。敵の退却が始まるのがいつになるか、まだまったくわからないままに。