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米論文「中国の成長はもはやこれまで」 中所得国の罠にはまりつつある中国

2021年11月01日 06時08分42秒 | 日記

米論文「中国の成長はもはやこれまで」 中所得国の罠にはまりつつある中国

<picture>米論文「中国の成長はもはやこれまで」 中所得国の罠にはまりつつある中国</picture>

 
英フィナンシャル・タイムズ紙動画より

《本記事のポイント》

  • 低成長と中国包囲網が中国を苦しめる
  • 中所得国の罠にはまりつつある中国
  • 「共同富裕」とは「富裕層のつるし上げ」

 

中国最大の民間デベロッパー「中国恒大集団」の破綻危機が叫ばれる中、中国政府が不動産税の試験的導入という悪手を打っている。中国のGDPに占める不動産投資の割合は1割と高い。このため、この習近平国家主席の政策は不動産市場をさらに低迷させ、バブル崩壊を加速させる可能性がある。

 

そうした中、中国経済の成長を疑問視する声がアメリカで数多く出始めている。

 

その一つがフォーリン・アフェアーズ誌に10月に発表された「中国の成長はもはやこれまで──中国に世界をつくり変える時間はもうない──(The End of China's Rise Beijing Is Running Out of Time to Remake the World)」と題する論文である。

 

アメリカン・エンタープライズ・インスティトゥートの研究員であるマイケル・ベッカリー氏とハル・ブランズ氏の共同執筆による論文だ。

 

以下に要点を紹介する。

 

  • 「中国はアメリカを追い抜く」という通説が一般的だ。

  • 1971年に始まった米中国交回復の動き以降、アメリカとの良好な関係に支えられ、中国は経済成長を遂げてきた。1970年代半ばから2007年の貿易額は6倍に増加している。

  • 1950年代と60年代に共産党政権が出産を奨励したため、人口は30年間で80%も増加した。

  • だが幸運は永遠に続くわけではない。約半数の河川がなくなり、地下水の6割はもはや飲料に適さない。40%の農地は過度な使用に耐えかねて破壊され、農産物の最大の輸入国に転落した。

  • 人口動態も深刻だ。2020年から2035年にかけて7000万人の就業者数が消え、1億3000万人が高齢者となる。つまり向こう15年間でフランスの人口と同じ規模の消費者、納税者、就業者が消え、日本の人口と同じ規模の高齢者が増えることになる。

  • 経済への影響は甚大だ。2050年までに中国は、社会保障に関係する政府支出を今の3倍に増やさなければならない。現在GDPの10%程度だが、これが30%に跳ね上がるということだ。

  • 民間企業が国の富のほとんどを創出しているが、習近平氏が国家主席に就任後、資本獲得の困難さが増している。その一方で、非効率な国営企業が政府から優先的に貸し出しを受けている。

  • これまで中国の成長は地方政府の企業家によって主導されてきた。だが習氏の腐敗撲滅運動で、地方の企業家は起業しなくなった。また政治目的の規制はイノベーションを阻んでいる。

  • 低成長と中国包囲網──中国はこの2つの課題に直面している。

  • 政府の財政出動を除けば、中国は全く成長していない。成長の鍵となる生産性は、2010年から2019年にかけて10%も低下。1980年代のソビエト以降、最大の落ち込みだ。

  • 低い生産性はいたるところに見られる。50以上のゴーストタウン、中国のインフラ投資の3分の2は建設費の元さえ取れていない。

  • 政府債務を勘案すると、バブル崩壊後の日本やリーマン・ショック後のアメリカよりもっと激しい落ち込みとなる。恒大集団は氷山の一角だ。

  • 中国は資源を動員するのは得意だ。だがイノベーションをするには、情報と資本の自由な移動が必要であり、それを疎外する要因が甚だしい。多額の資本を投資しても、開発が追い付かず、半導体の80%を輸入に依存している。

  • そして、ここにきて中国は戦略的包囲網を敷かれ始めた。

  • 中国は「台頭する国家」ではなく「台頭した国家」である。最良の日は過ぎ去ったと言っていいだろう。

  • 習氏は壮大な約束を国民に実現できないのではないかと思い始める日も来るだろう。その時こそが、世界が心配しなければならない時である。

  • 修正主義者は、野望と能力との間の差が埋められないと分かった時に、最も危険な存在になる。

  • 共産党のリーダーは「時間は味方ではない」と気づいて、素早い行動に出るかもしれない。

 

中所得国の罠にはまりつつある中国

論文の著者らは、「中国の最良の日」は過ぎ去って今後は低成長に陥る、国民に約束した「中国の夢」を実現できなければ、覇権的野心をむき出しにする危険もあると説いている。

 

根本的な問題は、GDPの1割を占める不動産主導の経済成長を代替する産業が育っていないことと、内需拡大に必要な中間層が育っていないことである。

 

一人当たりのGDPで見た場合、中所得国と高所得国との境界線は「2万ドル」であると言われている。中国の一人当たりのGDPは約8000ドル超なので、中所得国の初期の段階にある(ちなみに日本の一人当たりのGDPは、3万6千ドルほどなので、「高所得国」である)。

 

中国がGDP成長率を年率で6.5%程度維持すると、15年後に高所得国の仲間入りをすると見られていたが、人口増加率とGDP成長率がともに低下しているので、高所得国への道は夢のまた夢であろう。

 

つまり一人当たりのGDPが8000ドルあたりに到達した時に成長率が鈍化し、長期的な停滞に苦しむ「中所得国の罠」にはまりつつあるのだ。

 

これを解消するには、付加価値の高い製品を輸出する輸出主導の成長モデルに移行するか、中間層を厚くし輸出依存型から内需主導型の経済の確立に向けた抜本的な構造改革が必要である。

 

前者の選択肢の実現は、民間における情報と資本の自由な移動が許されないため、イノベーションが疎外されているため、厳しい道のりとなる。

 

また後者の選択肢を実現するには、中間層に厚みが必要だが、現在の中国の内需を支える富を持つ人口は3億人程度しか存在しない。しかも、李克強首相の爆弾発言で暴露されたように、月収1000元(16000円)前後の低所得層は6億人もいるとされ、中間層を厚くする政策は待ったなしである。

 

 

「共同富裕」とは「富裕層のつるし上げ」

内需主導型に向かうには、この底辺にうごめく人々を引き上げ、所得の均てん化をしなければならない。そのために習氏は「共同富裕」という方針を打ち出している。だが、その方法には疑問符をつけざるを得ない。

 

共同富裕モデル地区とされた浙江省の杭州に本社を置くアリババがターゲットにされ、グループ企業のアントグループの上場を妨害されたり、独禁法違反で巨額の罰金が科されたりしている。また多数の企業に寄付や慈善事業が"強いられ"始めたりしているので、共同富裕による「分配政策」は、富裕層や民間企業から財産を巻き上げるための口実にしか見えない。それでは、資本家が安心して資本蓄積ができる社会ではなくなるだろう。

 

一方「共同富裕」による分配政策は、目下のところ騒がれている「不動産バブル」を苦々しく見ている国民受けする政策であることは間違いない。

 

中国で投資用のマンションを購入している人は、2%(2800万人ほど)に過ぎないと言われている。都市部に自宅の不動産を保有している2.5億人がいるとして、残りの11.5億人にとって、現在騒がれている「不動産バブル」など知ったことではないのだ。

 

とすれば、富裕層のためだけのクラブになりつつあった共産党を、本来の農民や労働者の党へと回帰させる習氏の政策は、庶民の気持ちを代弁するものと映ろう。

 

来年秋に開かれる共産党大会で3期目の続投を睨む習氏は、統治の正当性を何としてでも確保したい。そのために社会主義的な統制を強め、富裕層のつるし上げで広く一般市民の受けを狙うことが必要だと考えているのかもしれない。

 

だが、ここに習氏の「経済音痴」が表れている。企業家への弾圧に近い仕打ちや、富裕層への増税によって実現されるのは「共同富裕」ではなく、「貧しさの平等」である。

 

懸念すべきは、「共同富裕」など幻想で、約束した「中国の夢」など絵に描いた餅だったことが国民に暴露された時である。この論文にあるように、「修正主義者は、野望と能力との間の差が埋められないと分かった時に、最も危険な存在になる」。その時に向けて、民主国家は決して備えを怠ってはならない。

(長華子)

 

【関連書籍】

愛は憎しみを超えて

 

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幸福の科学出版 大川隆法著

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【関連記事】

2021年10月20日付本欄 「中産階級を厚くする」のはヒットラーのメイン政策 大川総裁が語る「新しい資本主義の風景」

https://the-liberty.com/article/18870/

 

2021年9月20日付本欄 大物芸能人を次々に標的にする習政権──第二次文化大革命が始動した【澁谷司──中国包囲網の現在地】

https://the-liberty.com/article/18773/

 

2021年8月号 習近平は敗れるか? 経済と中国軍の弱点を見抜け

https://the-liberty.com/article/18509/


米フェイスブック、「メタ」への社名変更は「GAFAバブル」崩壊の予兆

2021年11月01日 06時06分28秒 | 日記

米フェイスブック、「メタ」への社名変更は「GAFAバブル」崩壊の予兆

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画像: Blue Planet Studio / Shutterstock.com

《ニュース》

米フェイスブック社がこのほど、創業以来の社名を「Meta(メタ)」に変更し、波紋を呼んでいます。

 

《詳細》

2004年以来の社名を変える理由として、同社は事業の軸足をSNSから、「メタバース」という仮想空間事業に移していく「イノベーション」だと説明しています。

 

同社の収益の主力はSNSによる広告収入でしたが、米アップル社がスマートフォンのプライバシー保護策を強化したことで大きく打撃を受け、7-9月期の売上がアナリストらの予想を下回るなどしていました。

 

一方、社名変更の本当の理由について、「昨今のさまざまな問題によるブランドイメージ払しょくの狙いがある」とも指摘されています。

 

同社は不公正なビジネスによって市場を独占し、反トラスト法(独占禁止法)に抵触している疑いで、米当局より提訴されています。

 

また内部告発で、傘下のサービス「インスタグラム」に中毒性があり、若者の精神的健康にとって有害であるということを知りながら、それを見て見ぬふりをして開発・運営を続けてきた実態が明らかになっています。

 

さらには同社がベトナム市場を維持するために一党独裁のベトナム共産党の要求を受け入れ、反政府派の投稿を検閲することを認めたことを、25日付米ワシントン・ポスト紙がスクープして、大炎上していました。

 

加えて米連邦取引委員会(FTC)が、同社の情報管理体制に問題がないかなどの調査に乗り出すともこのほど報じられ、大きな話題となっています。