切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

大行寺 京都市下京区・・・特別公開 阿弥陀如来立像~快慶作  2022.5.2

2022-05-05 22:46:02 | 撮影


『大行寺
 長谷山北ノ院と号する真宗佛光寺派の寺で ある。
 寺伝によれば、文政四年(一八二一) 佛光寺高倉の月見御殿(豊臣秀吉が月を賞した御殿) 跡に、清和源氏佐竹の流れをくむ学頭信暁僧都によって創建されたと伝える。 度々の災禍に より焼失し、現在の本堂は昭和四年(一九二九) に再建されたものである。
 堂内に安置する本尊阿弥陀如来立像(重要文化財)は、来迎形の阿弥陀で、左足柄外側には「巧匠法眼快慶」の銘が記されている。 仏師快慶が法眼位にあった時期の秀作である。
 また書院には安政三年(一八五六)信暁によって建てられた仏足跡(石)の断片が残る。 大行 寺型とも呼ばれ、四系統ある仏足跡の一系統を代表するものであるが、元治元年(一八六四) の兵火によって粉砕された。境内にある仏足跡 (石)は昭和六十二年(一九八七)に原図を基に 復元されたものである。
  京都市』
   (駒札より)



 大行寺は佛光寺の北側に面している。佛光寺の山内寺院となる。この日は春季特別公開ということで訪れた。
 実は2ヶ月前に単独で何の予備知識もなく訪れている。その時には門に竹の仕切りが貼られていて境内に入れないようになっていた。しかしすぐ横の壁には駒札があり、それを読んでいると快慶の名前が目に入った。おそらく普段は非公開の寺院だろうということで、その日はわずか2枚の写真だけ撮って帰った。
 それが今回、特別公開ということで中に入ることができる。もちろん行かないわけにはいかない。ネット等で調べてみると、この寺院は普段非公開で、お寺の写経の会に入っていれば、写経が実施される日にはお堂の中に入ることができるとのこと。もちろんそこまではとてもではないができないので、このような特別公開の日を待っていた。ただし境内を含め、写真撮影は全て禁止ということだった。
 
  やはりそのことを知っている人が多いようで、かなり人が来ていた。境内は非常に狭く門を入ってすぐに本堂の入口となる。春季特別公開というのは京都市内の何箇所もの寺院で行われており、毎年の恒例となっている。もちろんお寺としても住職さんだけではとても足りないので、各大学の仏教や仏像関係のサークルに依頼して、受付や案内、あるいは説明をするというのが恒例になっている。
 参拝はどこの寺院でも1000円で統一されている。お寺や仏像等の修復などの費用に充てられると説明があった。本堂内もかなり狭い方となる。そこにはずいぶん大勢の人が入っている。大学生が説明するのかと思いきや、女性住職が前に立ち説明を始めた。ずいぶん背の高い女性で、声もよく通り、特に説明文も何も見ずに色んなエピソードを交えながら話をしていく。その話しぶりから単なる女性住職さんではないような気がした。約30分近くにわたる説明が終わると、住職さんの友人が訪れていたようで楽しそうに談話されていた。


  (案内ポスターより)

 私の方は説明を受けた本尊の阿弥陀如来立像をしっかりと見ていた。快慶晩年の作で、仏像の一番下の木枠の台座に快慶の刻銘がある。そのことから間違いなく本物ということで、国の重要文化財に指定されている。このようにしてみると快慶の彫った仏像は各地にあることがよくわかる。かつては運慶とともに将来を嘱望された仏師であったが、次第にその生き方から袂を分かち、運慶は貴族たちの権力者の元へ、そして快慶は各地の民衆の中へと歩むことになっていった。
 京都のあちこちのお寺を回って、今まで運慶作の仏像というのはほとんど見ていない。しかし快慶作のものはあちこちで目にしている。そこが二人の生き方の違いなんだろう。

 その後お寺の関係者に女性住職さんのことについて尋ねてみた。するとその窓口にはここの住職さんが書かれた著作本が何冊も並んでいる。名前は英月氏。関係者によるとかなり名前の知られた住職さんで、著作本の出版だけではなくブログでも、あるいはテレビ出演も多々あって多方面で活躍されている方のようだ。ネットで調べてみると確かにブログがあり、また簡単なプロフィールもあってなかなか興味深いお人のようだ。もともとは銀行員だったというので、何か筋の通った姿勢や話し方を見ていると、なんとなくキャリアウーマンという雰囲気が感じられる。


 (特別公開案内チラシより)

 大行寺での特別公開を拝見した後、隣接する佛光寺を訪れる。もう何度も来ている。こちらも素晴らしい宝物があるが、未だかつて見たことがない。機会があればということだ。


コメント
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