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「華僑」ならぬ「和僑」として地方だからこそできる「ふるさとB級グルメ」の海外展開をネクストビジョンとして描き、マネジメントしていく小説を読んでます。その第四章を読み終えたところ。
首長と副首長との絶妙なコンビで話が展開していきます。何処の町でも当てはまる指摘に頷きながら、それがまた心地よく、面白いのです。しかし、作者は、よく下調べされてますね。
四章の中から紹介。
日本が行き詰まるのは目に見えている。当たり前だよ。人が減るってことは、市場そのものが縮小していくってことだからな。そして、その影響が一番先に現れるのが地方だ。だから、華僑に倣い、日本人も和僑となって海外に出て、リスクの分散を図るべきだとー。
要は、まちをグローバルな世界に組み込めばいいんだ。人は出ていけないにしても、まちの生産物の販路を海外に求め、安定したビジネスに育てりゃ結果は同じだ。いながらにして、町民が和僑になることじゃないか。
結果、若い人たちがまちにやってくるようになれば、まちは活性化する。子どもも生まれる、農畜産業が安定した産業になれば、後継者も育つというわけ。
「どうすんだ、次の選挙。また立つのか?」
「実は、町長辞めようかと思ってさー」
「お前も来年には六十五だしな。なんぼ経験がと語っても、政っつうもんは長えことやるもんでねえ。居座れば弊害の方が大っきくなるもんだ。潮時だべなあ」
「それもあるけど、実はやりたいことがあってさー」
最初からうまくいった時のことなんか考えてもしょうがねえ。どんな事業だって、最初はどうやって軌道に乗せるのか。心配せねばならないのはそこだ。
商売いうもんは、海のものとも山のものとも見えねえうちは、誰も見向きもせんもんだ。ところが、うまくいったとなれば、黙っていても人は向こうからやってくる。うちのもの使って下さい、俺も扱わさせてくださいって。
事業が軌道に乗って、本当に販路が広がれば、集まってくるのは人ばかりでない。カネだって同じだ。銀行は貸す金が唸ってるっていうのに、借り手がみつからないっていうのが今の世の中だ。有望な事業だと分かった途端、借りて下さいって向こうから頭下げてくるもんだ。
やってみれ。その事業を成功させて、まちが昔のように、子どもの声で溢れ返るようなまちさしてみれ。安心して農業がやれるまちさしてみれ。
……
経験したことのない問題ばかりに直面していく時代にあって、地方の活性化は不可欠。もっと知恵を絞らなければ、ということを示唆。