書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

谷川理宣  「『大無量寿経』と中国思想 翻訳語を通して」

2017年06月24日 | 東洋史
『印度学仏教学研究』38-2、1990年3月掲載、同誌230-236頁。

 「格義」それ自体は、どの言語のどの外国語翻訳の際にも起こる、いわばテクニカルな現象であり話柄にすぎないが、この論文は、中国の“格義仏教”の本当の意味と、それが中国仏教史上また宗教・哲学・思想史上において持った意義について、“格義”、“格義仏教”といった概念や用語を全く使うことなく(正確には最後に「格義仏教(中国独自の仏教)」と1度だけ名が挙がる)、解き明かしている。量的には小編だが、問題の核心を一挙に指し示す大論考と謂うべし。