書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

石原昭平/津本信博/西沢正史編 『女流日記文学講座』 第3巻 「和泉式部日記・紫式部日記」

2016年12月27日 | 人文科学
 これら日記の叙述また著者の視点の客観性と主観性の境界が、作品を読み解き分析するうえでの重要概念となっている(たとえば中野幸一「女流日記文学における『紫式部日記』の位置」)。だが、こんにちの意味でいうところの「客観(性)」「主観(性)」そのままの存在は、当時の人間、個別具体的には表題の二作の作家、および、本論で言及される他作家において担保されていたのだろうか。

(勉誠社 2000年7月)

磯谷孝 『演習ロシア語動詞の体』

2016年12月27日 | 人文科学
 買ってから40年経って、これは体をマスターしていないと読めない本であることがわかった。体をマスターするためではなく、マスターしている人間が確認のために読む者である。おびただしい練習問題はやるものではなく、答えを丸暗記すべきものである。そのほうが上達は早いだろう。なぜそうなるのかはそのあとで考えるべきものである。あるいはそのあとでないと、考えてもたぶんわからない。

(吾妻書房 1977年1月)