書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

正岡子規 『子規全集』 4 「俳論俳話」

2014年05月08日 | 文学
 子規が大学2年生の折に書いた英文の芭蕉・俳句論を発見("Baseo as a Poet"、誰か他者の朱筆入り)。俳句の訳は原語にひきずられてやや妙なことになっているが、本文(朱筆前の原文)は平明である。英語が苦手だったと云われているけれども、辞書を引き引きという感じはしない。英語を英語として書いていると思った。

(講談社 1975年11月)

近藤光男 『清朝考証学の研究』

2014年05月08日 | 東洋史
 碩学の著である。「清朝経学にあって、呉郡恵氏の学は求古の学であったのに対し、載段二王の学は求是の学であった」(「段玉裁の学問」同書354頁)と。あるいは前者は「(修学好古、)実事求是」、後者は「好学深思(、心知其意)」の学であると。
 両者に程度の差はあれ共通する西洋科学(数学・天文学を主とするところの)の素養もしくは業績も考察されているが、それと清朝考証学=清朝経学=漢学との関わりについては、明確な――有機的連関という見地からの、あるいは全体の一部として位置づけようとする――、言及はない。

(研文出版 1987年7月)