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第1,124話 心理的な安全の重要性が叫ばれている

2022年07月13日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

最近、組織における「心理的安全性(psychological safety)」という言葉が注目されています。

組織行動学を研究するハーバード・ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授(Amy Claire Edmondson)が1999年に提唱した心理学用語です。エドモンドソン教授は心理的安全性を自身の考えや気持ちを安心して発言できる状態、つまり「チームのメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義しています。

それは、チームの中で自分の意見(それが仮に的外れだったり、間違っていたりする意見であったとしても)を臆することなく発信できる状態であり、心理的安全性が高くなれば、組織にとっても様々なプラスの要因が働きます。具体的には、コミュニケーションが活発になり、仕事の生産性が上がったり、エンゲージメントが高くなったりするなどが望めます。

しかし、この心理的安全性を構築することは、簡単なことではありません。そのような組織の風土や文化を作ることは、決して一朝一夕ではないからです。私は日々様々な組織の研修を担当させていただいていますが、外部の人間だからこそ感じることができる「組織の風土」というものがあります。発言が活発に行われている組織がある一方で、遠慮がちな組織もあります。また、入社年次が若い時には活発にコミュニケーションをとっていたのに、しばらくするとあまり積極的にコミュニケーションをとらないようになってしまうような組織もあります。

弊社が担当させていただく研修は、通常1~4日間と短い期間なのですが、私はそういった中でも受講者に主体的に臨んでいただくためには、心理的安全性がとても重要だと考えています。それは、自身の考えや気持ちを安心して発言できる状態が担保されていないと、大勢の中で自分の考えを発言することが難しいからです。

そこで私は研修の冒頭には必ず、主体的に発言していただくことを推奨するとともに、「こちらが行う質問に対して唯一絶対の答えがあるわけではありませんから、どういう発言であってもダメ出しをするようなことは決してしません」とお伝えしています。そのようにお伝えすると、率先して挙手をして発言してくれる受講者が出てくれ、そうすると徐々に他のメンバーにもプラスの影響が働いて大いに盛り上がり、結果、受講者にも満足いただける研修になるのです。

一方、繰り返し発言を促してもそれがなかなか伝わらず、自ら発言する人が最後までいないこともあります。これは、受講者だけの問題でなく、そもそもその組織では心理的安全性が十分に構築されていないことの現れなのではないかと思うことがあります。

このように、「考えや気持ちを安心して発言できる」状態であるか否かは、私たちが思っている以上に大きな影響を及ぼしているのではないかと強く感じているのです。

これまでこのブログでも何度も書いてきたとおり、組織の風土や文化を変えるのは決して簡単なことではありませんが、心理的安全性を構築しそれを維持できるかどうかということが、今後組織が発展を続けられるかどうかの重要なキーポイントになるのではないでしょうか?

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