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コミュニケーションとは「伝わらない」ことが前提だということを知っておこう

2017年08月02日 | コンサルティング

ほとんどの研修会社は「コミュニケーション」をテーマにした講座を持っています。ホームページには概ね次のような言葉が書かれています。「相手の話を傾聴し、適切な質問を行うコミュニケーション・スキルを身に付けることで、職場の上司や同僚、顧客とのより良い関係を築くことができます。」・・・もちろん当社も同様の研修を行っています。

ところで、トレーニングよってコミュニケーション力はアップするのでしょうか。

答えははっきり、YESです。

ただし、コミュニケーションとは「伝わらない」ことが前提だということを認めなければ、そのスキルも宝の持ち腐れになってしまいます。

人間は言葉を話す能力を獲得したことによって、非言語的な能力がかなり低下してしまったそうです。言葉を持たない動物同士がコンタクトするときに、目つきや動作、微妙な雰囲気のようなものから相手の意図(攻撃的かそうではないか)を瞬時に判断します。

人間同士であっても、言葉がまったく通じない場合では似たようなことになるでしょう。たとえば、古代のヨーロッパ大陸のように、様々な民族が接触する機会が多い状況を考えてみます。髪や目の色が違い、体の大きさも異なる人間同士が始めて出会ったら、お互いに敵意がないことを示すためにジェスチャーをしたり、互いの身体に軽く接触したりすることでしょう。欧米人の「握手」という習慣はその名残かもしれませんね。

一方、日本では握手をする習慣がありません。外部と海で隔てられた島国であったため、見た目が極端に違う者同士が接触するということが、ほとんどなかったからです。

しかし、現代のビジネスの現場においては、(見た目はさておき)異なる考え方や行動パターンを持つ人間同士が接触します。古代のヨーロッパのように「伝わらない」ことを前提にコミュニケーションをとることが必要なのです。

極論を言ってしまえば、同じ職場の上司や先輩、同僚、部下、後輩に対しても「自分が本当に言いたいことは伝わらないかもしれない」ということを前提にしなければなりません。もちろん、相手を疑ってかかれというのではありませんが、研修でスキルを身に付けたからコミュニケーションは完璧である、などと思わないことです。

その点をきちんと伝えていない研修講師のなんと多いことでしょう。

さて、今回の話、伝わったでしょうか?

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