中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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「常識を疑え」は疑わしい

2013年11月23日 | コンサルティング

自己啓発書やビジネスパーソン向けの本を読むと「常識を疑え」、「常識にとらわれるな」、「常識やぶりのXX」などの言葉がおどっています。

では、常識とは疑ったり破られたりするべきものでしょうか。

私の知り合いに、長野県でいちご農園を経営している人がいます。

いちごはビニールハウスで育てていますが、ハウス内の環境はパソコンで管理しています。ハウス内の温度や日照量、二酸化炭素の濃度などをデータに取り、それらを分析してパソコンが直接設備を動かしています。異常があればパソコンから即座にアラームメールが携帯に飛んできます。

その結果、従来の経験と勘に頼った農家をしのぐ収穫量を得ています。しかも、品質にバラツキがなく安全で美味しいいちごをタイミングよく供給できるので、近隣の有名ホテルや旅館からの注文も殺到し、評判も上々です。

「パソコンでイチゴ栽培の自動化ですか。常識やぶりの農家ですね!」この話をマーケティングの研修の中で話したとき、1人の受講者がそう言いました。

「とんでもない!常識の勝利ですよ。」と私は答えました。

料理を作るときに包丁や鍋ではなく、フードプロセッサや電子レンジを使ったからといって「常識やぶりの料理」になるわけではありません。

同様に、この農家は「いちご栽培の常識」を忠実になぞっているだけです。パソコンは道具に過ぎません。

人材育成に長年携わっていると、高い業績を上げる人ほど仕事の常識をよく理解し、非常に大切にしていることがわかります。

常識なんて要らないと言う人がいますが、そういう人に限って当たり前のこともできないことがよくあります。

「常識を疑え」という人がいたら、その人の能力を疑った方が良いでしょう。

(人材育成社)