見もの・読みもの日記

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若冲の動植綵絵 ・第2期/三の丸尚蔵館

2006-05-11 23:42:52 | 行ったもの(美術館・見仏)
○三の丸尚蔵館 第40回展『花鳥-愛でる心、彩る技<若冲を中心に>』

http://www.kunaicho.go.jp/11/d11-05-06.html

 このブログは、実際の生活に少し遅れながら、しかし、なるべく先後関係は守って書いている。というわけで、この日は連休最終日。動植綵絵・第2期でシメることにした。翌週の仕事をスムーズに始めようと思って、ちょっと職場に寄っていたら、東御苑に着いたのは午後4時近くになってしまった。慌てて、閉館間際の三の丸尚蔵館に飛び込む。

 人影もまばらになった館内には、時が凍結したような、色鮮やかな動植綵絵・第2期の6点が待っていた。今季の展示品は、『雪中鴛鴦図』『梅花皓月図』『梅花群鶴図』『棕櫚雄鶏図』『桃花小禽図』『菊花流水図』である。反射的に目に入ったのは『菊花流水図』だった。

 この絵を知ったのは古い。しかし、むかしは、あまり好きではなかった。若冲といえば、やっぱり『雪中錦鶏図』(第1期)のような、「執拗に写実を極めて幻想に突き抜けた」作品こそが華であると思う。『菊花流水図』は、極度に装飾化されていて、この動植綵絵シリーズの中では、やや異質なのだ。「琳派みたいな」と言おうと思ったが、ちょっと違う。むしろ20世紀の抽象画みたいだ。菊の花は、増殖したルドンの目玉みたいだし。

 若冲の『梅花群鶴図』に合わせたのか、応挙の『双鶴図』と狩野探信の『松薔薇に鶴・竹梅に鶴図』が並んでいる。鶴の顔を見比べてみるのも一興。応挙ののんびりして眠そうな鶴が微笑ましい。

 それから、作者表記のない『群鶴図屏風』に見とれてしまった。左右に細長い六曲一双の画面に、背毛の黒い鶴が群舞するさまを描いているのが、まるで金地に散らばった音符のようだ。足並みを揃えたり乱したり、首を立てたり、低くしたりする様子が、フーガとなって聴こえてくるようである。
コメント
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