漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「名メイ」 <なまえ> と 「銘メイ」

2017年06月23日 | 漢字の音符
 メイ・ミョウ・な  口部

解字 後漢の[説文解字]は、「夕(暗い夜)+口(くち)」の会意とし、暗い夜に相手が見えないので自分から口で名乗る意とした。しかし、甲骨文字は、「夕+口(祭祀の器)」で、①(夜間の)祭祀名。②地名、の意だという[甲骨文字辞典]。金文になると、しるす(銘)意や、名付ける意が発生し、その後「名前」の意味で用いられるようになった。これは、発音の名メイが、明メイ(あきらか)に通じ、物の名前などを明らかにすることから名付ける・名前の意味が発生したと考えられる。しかし覚え方としては、説文解字がすっと頭にはいる。
意味 (1)な(名)。なまえ。呼び名。名乗る。「名称メイショウ」「姓名セイメイ」「名字ミョウジ」 (2)なづける。「命名メイメイ」 (3)なだかい。「名声メイセイ」 (4)人数を数える語。「両名リョウメイ
覚え方 くらい(ゆう)べに(くち)で前を乗る

イメージ 
 「なまえ」
(名・銘・茗)  
 「同音代替」(酩)
音の変化  メイ:名・銘・茗・酩

なまえ
 メイ・しるす  金部
解字 「金(金属)+名(なまえ)」の会意形声。金属器にしるされた人名。また、金属器に名前をしるすこと。鼎(かなえ)など金属器にしるされた名前は、消えることがない。そこで、深くきざまれる・一流の、等の意味ともなる。
意味 (1)しるす(銘す)。きざむ。金属や石碑などに名をきざむ。「銘文メイブン」「刻銘コクメイ」 (2)製作者の名前。「刀銘トウメイ」「無銘ムメイ」 (3)深く心にきざむ。「銘記メイキ」「感銘カンメイ」 (4)上等な。一流の。「銘菓メイカ」「銘柄メイガラ
 メイ・ミョウ  艸部
解字 「艸(くさ。葉)+名(なまえ)」の会意形成。(味がおいしいと)名前の知られている葉(名高い葉)の意で、茶の木の若芽をいう。茶の字は、陸羽が『茶経』(760年頃成立)の中で使ってから一般的になったが、それまでは、荼(苦い草)や、茗メイなどが使われていた。茗は、茶の字が定着してからも、茶を表す字として使われる。
意味 (1)ちゃ(茶)。チャの木。茶の木のやわらかい芽。「茗宴メイエン」(茶会。茶の湯の会)「茗器メイキ」(茶の湯の道具)「茗園メイエン」(茶ばたけ) (2)[国]「茗荷ミョウガ」とは、ショウガ科の宿根草。暖地の山林に野生化、また、栽培もする。夏、根本から花穂を出す。花穂と若芽は食用とする。

同音代替
 メイ・よう  酉部
解字 「酉(さけ)+名(メイ)」の形声。メイは冥メイ(奥深い)に通じ、酒に深く酔うこと。「酩酊メイテイ」という語に使われる。酩酊は中国語発音で、mǐng/dǐngであり、両字の語尾(韻母)が ingでそろっている。これを畳韻ジョウイン(同じ韻をかさねる)の語という。畳韻の語は、聞いて心地よい響きがある。さらにこの語は、部首が酉でそろっており大変珍しい(こういう語を連綿語というらしい)。部首がそろうと、目で見ても心地よい語となる。おそらく、酒にひどく酔った状態を表す語として詩人が作り出したのであろう。酩酊は、この組み合わせでしか使われない漢字であるから、酩と酊は、それぞれ半人前の字であり、二つそろって一人前となる。いわば相互依存症になっている漢字といえる。
意味 よう(酩う)。酒にひどく酔う。「酩酊メイテイ」(ひどく酒に酔う)「大酔酩酊ダイスイメイテイ」(ひどく酔って、ぐてんぐてんになる)
<紫色は常用漢字>

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