漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「䜌 ラン・レン」<つながる・みだれる>と「恋レン」「蛮バン」「変ヘン」「湾ワン」

2024年04月13日 | 漢字の音符
  改訂しました。
䜌[亦] ラン・レン・バン  言部 luán               

解字 金文から現代字まで「糸+言+糸」の会意。言(ことば)が糸に挟まれた形で、言葉が糸でつながる形。また、この字の発音ランは「乱ラン」に通じ、みだれる意味もある。新字体の一部になるとき、䜌⇒亦と変化する。※亦エキ(同じものが両方にある)とは別字。音符イメージは「つながる」「みだれる」
意味 つながる。みだれる。おさめる。

イメージ 
  言葉で「つながる」(恋・鸞・巒・孿・鑾
 「みだれる」(変・蛮)
 「形声字」・湾・
音の変化  ラン:鸞・鑾・欒・巒  レン:恋・孿  バン:蛮  ヘン:変  ワン:・湾

つながる
 レン・こう・こい・こいしい  心部 liàn
解字 旧字はで「心(こころ)+(つながる)」の会意形声。相手と心がつながること。新字体は⇒恋に変化。
意味 こい(恋)。こいしい(恋しい)。こう(恋う)。「初恋はつこい」「恋愛レンアイ」「悲恋ヒレン」「失恋シツレン
 ラン  鳥部 luán
解字 「鳥(とり)+(神とつながる)」の会意形声。神とつながる鳥。神格のある鳥。
 
鸞鳥ランチョウ(中国ネット「凤育九雏・个个雷同」より)
意味 (1)らん()。神鳥の名。ニワトリに似て羽の色は赤色に五色を交え、鳴く声は五音(低音から高音まで)を出すといわれる中国の想像上の鳥。「鸞鳥ランチョウ」 (2)すず。鸞鳥の鳴き声がよく響くことから。「鸞刀ラントウ」(柄頭の輪に鈴を付けた刀) (3)天子のものに関する語。「鸞殿ランデン」(天子の御殿) (4)人名。「親鸞シンラン」(鎌倉初期の僧。浄土真宗の開祖)
 ラン・すず  金部 luán
解字 「金(金属)+(ラン)」の形声。ランはランに通じる。鸞鳥の鳴き声がよく響くことからランに「すず」の意味があり、金をつけたは、すずの意を表す。
意味 (1)すず。天子の車馬や旗にもちいる。「鑾音ランオン鑾声ランセイ」(すずの音)「鑾刀ラントウ」(柄頭の輪に鈴を付けた刀) (2)天子の車駕。「鑾駕ランガ」(天子の車駕)「鑾輿ランヨ」(天子の輿こし。輿は人がかつぐ乗り物)
 ラン・やまなみ・みね  山部 luán
解字 「山(やま)+(つながる)」の会意形声。山がつながって続くこと。やまなみ。
意味 (1)やまなみ。みね。やま。「巒嶂ランショウ」(そそり立つ峰)「巒壑ランガク」(山と谷)「巒嵐ランラン」(山の嵐)
孿 レン・ふたご  子部 luán
解字 「子(こ)+(つながる)」の会意形声。子がつながって生まれる意で。ふたごをいう。
意味 ふたご。「孿子レンシ」(ふたご)「孿生レンセイ」(双生)

みだれる
 ヘン・かわる・かえる  夊部 biàn
解字 旧字はで「攵(うつ)+(みだれる)」の会意形声。乱れている状態を打ちすえて変えること。新字体では、攵⇒夂に変化し、⇒変になった。
意味 (1)かわる(変わる)。かえる(変える)。うつりかわる。「変化ヘンカ」「変更ヘンコウ」 (2)普通でない。「異変イヘン」「変則ヘンソク」「事変ジヘン」(天災その他の変わった事)
 バン・えびす  虫部 mán
解字 旧字はで「虫(へび)+(みだれる)」の会意形声。(みだれる)は、南方未開民族の意味に仮借カシャ(当て字)され使われていたが、のち、南方未開民を蛇種とする考えから、虫(へび)をつけたの字ができた。古代中国では周囲の未開民を、さげすんだ言葉で表現した。新字体は蛮に変化。
意味 (1)えびす(蛮)。中国南方の未開民族。「蛮習バンシュウ」「蛮夷バンイ」(蛮は南方、夷は東方の異民族)「南蛮ナンバン」(中国では南方の民族。日本では南の海から船で来た西欧人や品物を言った)(2)あらあらしい。「野蛮ヤバン」「蛮行バンコウ」「蛮勇バンユウ」(向う見ずの勇気)
 レン・つる  手部 luán
解字 「手(て)+(みだれる)」の会意形声。手がひきつってふるえること。
意味 (1)つる(る)。ひきつる。「痙攣ケイレン」(筋肉がひきつる)「攣縮レンシュク」(収縮して、すぐもどること) (2)かがまる。手足がのびない。「攣曲レンキョク」 (3)(恋レンに通じ)したう。ひく。「牽攣乖隔ケンレンカイカク」(牽攣はお互いに心が惹かれあうこと。乖隔は遠く離れていること。心はお互いに惹かれあっていても、遠くに離れていること。)

形声字
 ワン・まがる  弓部 wān
解字 「弓(ゆみ)+(ワン)」の形声。後漢の[説文解字]は「弓を持して矢をひく也(なり)」とし、弓をひく意。また、引いた弓が曲がるさまをいう。
意味 (1)まがる(る)。「彎曲ワンキョク」「ワンゲツ」(弓張り月)「彎蛾ワンガ」(弓なりの眉まゆ。蛾はここで眉の意) (2)弓をひく。「彎弓ワンキュウ」(弓をひく)
 ワン  氵部 wān  
解字 旧字はで「氵(みず)+(まがる)」の会意形声。は水辺が弓のように曲がった入り江をいう。新字体は湾に変化。
意味 (1)入り江。入り海。「湾岸ワンガン」「伊勢湾イセワン」(地名)「湾口ワンコウ」(湾の入り口) (2)まがる。「湾曲ワンキョク
 ラン・まどか  木部 luán
解字 「木(き)+(ラン)」の形声。ランはラン(さえぎる)に通じ、これに木のついたは、葉に虫をさえぎる防虫効果をもつオウチ()をいう。また、 ラン(まるい・まどか)に通じ、まどか・まるい意となる。
意味 (1)おうち()。センダン科の落葉高木で街路樹、庭木などに植樹される。葉は強い除虫効果をもつ。 (2)まどか。まるやか。人があつまる。「団欒ダンラン」(集まってなごやかに楽しむ) (3)「朱欒シュラン」は、ザボン。ミカン科の常緑樹。花は白色5弁。果実は大きく黄色、果皮を砂糖漬けにする。
<紫色は常用漢字>

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