漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「㐱シン」<体のできもの> と 「疹シン」「診シン」「軫シン」「畛シン」「珍チン」「趁チン」「餮テツ」「殄テン」

2024年03月23日 | 漢字の音符
  増訂しました。
 シン 人部  zhěn
 
解字 「人(ひと)+彡(たくさん)」の会意。人の体に多くのできもの(発疹)がでること。

イメージ
 「多くのできもの」(疹・診・殄・
 「形声字」(珍・趁・軫・畛)

音の変化 シン:疹・診・軫・畛  チン:珍・趁  テツ:  テン:殄

多くのできもの
 シン  疒部 zhěn          
解字 「疒(やまい)+㐱(多くの吹き出物が出る)」の会意形声。身体に多くのできものが出る病気を表す。
意味 (1)皮膚に小さな吹き出物のできる病気。とくに、はしかをいう。「発疹ハッシン・ホッシン」(皮膚に吹き出物が出ること)「湿疹シッシン」(かきむしると膿汁がでる発疹)「風疹フウシン」(風疹ウィルスによる発疹性の急性皮膚伝染病。三日ばしか。風によって拡がると考えられた。)「麻疹マシン」(麻疹ウィルスによる急性熱性発疹性の感染症。語源は蕁麻疹ジンマシンから。蕁麻ジンマ(イラクサ)の葉に触れると皮膚がはれることから名付けられた。) (2)とびひ。皮膚病の一種。「疱疹ホウシン」(皮膚に小さな水疱と膿疱ができること。ヘルペス)「帯状疱疹タイジョウホウシン」(痛みと赤い斑点や水ぶくれが帯状に現れる病気)
 シン・みる  言部 zhěn
解字 「言(ことば)+㐱(多くのできもの)」の会意形声。発疹した患部を、言葉を交わしながら診ること。
意味 みる(診る)。しらべる。病状を調べる。「診察シンサツ」「診断シンダン」「往診オウシン」「誤診ゴシン
 テン・つきる・つくす  歹部 tiǎn
解字 「歹(死ぬ)+㐱(多くのできもの)」の会意。体に多くのできものが出て死ぬこと。
意味 (1)つきる(殄きる)。たやす(絶やす)。「殄滅テンメツ」(死に絶える) (2)ことごとく(殄く)。「殄廃テンハイ」(ことごとくすてる)
 テツ・むさぼる  食部 tiè

 饕餮文とうてつもん
解字 「食(たべる)+殄(ことごとく)」の会意形声。ことごとく食べること。むさぼること。発音は、テン⇒テツに変化。
意味 る(むさぼる)。「饕餮トウテツ」(饕も餮もむさぼる意。饕餮トウテツは人をむさぼり食うという悪い獣。後代には魔除けの意味をもった。模様化したものが青銅器などの装飾に用いられている。

形声字
 チン・めずらしい  玉部 zhēn
           
解字 「王(玉)+㐱(シン⇒チン)」の形声。[説文解字]は「(宝)也(なり)」とし貴重な玉の意。めずらしい・とうとい意となる。また、めずらしい意から普通と変わっている意ともなる。
意味 (1)めずらしい(珍しい)。「珍事チンジ」「珍客チンキャク」 (2)だいじな。とうとい。「珍重チンチョウ」(珍しいとして大切にする)「珍宝チンポウ」 (3)かわっている。「珍奇チンキ」「珍妙チンミョウ」(①珍しくてすぐれる。②変わっていておかしい)
 チン  走部 chèn
解字 「走(はしる)+㐱(チン)」の形声。走って追うことを趁チンという。発音字典の[広韻]は「逐(お)う也(なり)」とする。また、ある機会を利用して・~に乗じて、の意味になる。
意味 (1)おう(趁う)。走る。「花の底にいる山蜂は遠くまで人を趁(お)う」(杜甫の詩)「趁食チンショク」(食をおう。食を求める)「涼趁リョウチン」(涼しさをおう) (2)ある機会を利用して。乗じて。つけこむ。「趁時チンジ」(その時に乗じて)「趁間チンカン」(隙間につけこむ。機会に乗ずる)
 シン・よこぎ  車部 zhěn

車の車箱の軫(轸)。(中国のネットから。車箱底部四周の木を指している)
解字 「車(くるま)+㐱(シン)」の形声。㐱シンは枕シン(下部に配置する木)に通じ、車の車箱底の四囲の横木を軫シンという。
意味 (1)よこぎ(軫)。車箱下部を囲う横木をいう。また、車をいう。「車軫シャシン」(車箱の横木) (2)ことじ。琴の糸をささえるこま。 (3)疹シンに通じ、いたむ。うれえるさま。「軫懐シンカイ」(心をいためる)「軫恤シンジュツ」(いたみあわれむ)「軫悼シントウ」(いたみかなしむ) (4)星座の名。二十八宿のひとつ。みつかけぼし。「翼軫ヨクシン」(隣り合う星座の翼宿と軫宿)
 シン・あぜ  田部 zhěn
解字 「田(耕地)+㐱(シン)」の形声。[説文解字]に「井田(井字形の土地)間の陌(みち)也(なり)」とあり、あぜみちをいう。
意味 (1)あぜ(畛)。あぜみち。耕地の境の道。 (2)さかい。境界。「畛域シンイキ」(境界)「封畛ホウシン」(領地の境界を定める)
<紫色は常用漢字>

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