漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「半ハン」<ふたつに分ける>と「判ハン」「畔ハン」「伴ハン」

2020年07月28日 | 漢字の音符
 ハン・なかば  十部         

解字 金文・篆文は「牛(うし)+八(二つに分ける)」の会意。牛を二つに分ける意。角つののある部分(頭部)を体から切り分けることを解カイで代表させる頭をで切りはなす)といい、この後、背割りといって牛の背骨を二つに分けて半分にする。これが半の字の成り立ちである。旧字は牛の部分が二本線にタテ棒になり、現代字はさらに八⇒ソになった半になった。意味は、二つに分ける・半ば・なかほど、となる。検索のための部首は十。
意味 (1)二つに分ける。「半分ハンブン」「折半セッパン」 (2)なかば(半ば)。なかほど。「半途ハント」「夜半ヤハン」 (3)ちいさい。「半鐘ハンショウ」 (4)[国]さいころの目の奇数。「丁半チョウハン」(双六のサイの目の偶数と奇数)

イメージ  
 「二つに分ける」
(半・判・・胖・畔・拌・袢)
 「分かれたもの」(絆・伴)
音の変化  ハン:半・判・胖・伴・畔・絆・拌・袢  かけす:

二つに分ける
 ハン・バン・わける・わかる 刂部りっとう
 肉質を判断する「格付け」
解字 「刂(刀)+半(ふたつに分ける)」の会意形声。牛の頭を切り(=解)、背割りして半分に分けた牛(=半)は、吊るされて肋骨のあいだに刂(刀)を入れ隙間をつくる。その断面をのぞき込んで、この肉の脂ののりや肉質を見分けること。魚市場でマグロの尾を切り、脂ののりや身の質を判断するのと同じ。わける・わかる・見分ける・区別する意となる。
意味 (1)わける(判ける)。見分ける。区別する。「判別ハンベツ」「判断ハンダン」 (2)可否をきめる。「裁判サイバン」「判定ハンテイ」 (3)はっきりしている。わかる(判る)。「判然ハンゼン」「判明ハンメイ」 (4)[国]はん。いん。「判子ハンコ」「印判インバン」 (5)金貨。「大判オオバン」「小判コバン
<国字> かけす  鳥部
解字 「鳥(とり)+判(わかる。区別する)」の会意。他の動物や鳥の鳴き声や物音を聞き分けて真似をするのがうまい鳥。
意味 かけす(鵥)。カラス科カケス属の鳥。ハトよりやや小さい。日本では北海道から九州までの低山にすむ。他の動物や鳥の鳴き声や物音を真似するのがうまい。カシの実を好んで食べたり貯蔵するのでカシドリ(橿鳥)ともいう。また、懸巣カケスとも書き、この鳥の名の由来ともなっているが理由は明らかでない。低い木に巣をつくることが多く、人が巣懸けを良く見かけるので付いた名と思われる。
 ハン 月部にく
解字 「月(にく)+半の旧字(二つに分ける)」の会意形声。半は、牛を角のある部分(頭部)を切り分けてから、背割りして二つに分ける意。そこに月(にく)がついた胖は、牛の脚を含む胴部を分けた片身の肉をいう。牛の片身肉は肥えてゆたかな部分であるから、ゆたかの意となる。現代中国では人が肥る意で使う。
意味 (1)かたみ(片身)。祭礼に用いた、いけにえの半身の肉。(2)ゆたか。「心広ければ体胖(ゆた)かなり」[大学](2)ふとる(肥る)。肥える。「肥胖ヒハン」(肥満。肥も胖も、ふとる意)
 ハン・ほとり・あぜ  田部
解字 「田(耕作地)+半(二つに分かれる)」の会意形声。田を二つに分ける境界。境界の意から、水と陸とのさかいめの意味も生まれた。
意味 (1)さかい。耕地のさかい。あぜ(畔)。「畔道あぜみち」 (2)水ぎわ。ほとり(畔)。「湖畔コハン」「池畔チハン
 ハン  扌部
解字 「扌(て)+半の旧字(半分にする)」の会意形声。手で物を半分に割ること。たたき割るが本来の意。のち、かきまわす意となった。
意味 (1)わる。さく。「拌蚌ハンボウ」(貝を割る)(2)かきまわす。かきまぜる。「攪拌カクハン」(かきまわす。かきまぜる)「攪拌機カクハンキ
 ハン・バン  糸部
解字 「衣(ころも)+半の旧字(半分)」の会意形声。半身の短い衣。
意味 (1)上半身に着る白地のはだぎ。あせとり。「襦袢ジュバン・ジバン」(ポルトガル語のgibao[ジバン・肌につける短衣]の当て字。日本で和服の下に着る肌着をいう) (2)なつふく。「袢暑ハンショ」(なつふくを着る汗ばむ暑さ)「袢溽ハンジョク」(なつふくを着る汗ばむ蒸し暑さ)

分かれたもの
 ハン・バン・ともなう  イ部
解字 「イ(人)+半(二つに分かれているもの)」の会意形声。二人のうちの一方、つまり相棒の人をいう。
意味 (1)とも(伴)。「伴侶ハンリョ」 (2)ともなう(伴なう)。「伴奏バンソウ」「同伴ドウハン」「伴食バンショク」(主客のともをしてご馳走になること)
 ハン・バン・きずな  糸部
解字 「糸(ひも)+半の旧字(分かれているもの)」の会意形声。分かれているものを紐でつなぐこと。
意味 (1)きずな(絆)。人間同士の結びつき。「親子の絆」 (2)ほだし。ほだす(絆す)。牛馬などの足をつなぎとめる縄。 (3)ほだされる(絆される)。①束縛される。②人情にひかれて心などが束縛される。「情に絆される」 (4)物をつなぎとめるもの。「脚絆キャハン」(歩きやすくするため脛すねに巻く布。=脚半)「絆創膏バンソウコウ」(傷口にあて皮膚とガーゼをつなぎとめる粘着テープ。膏コウ(=膏薬あぶらぐすり)がついているので本来は布片に塗って体の患部に貼る膏薬)
<紫色は常用漢字>

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音符「兼ケン」<あわせ持つ>と「嫌ケン」「謙ケン」「鎌レン」「廉レン」と「秉ヘイ」

2020年07月22日 | 漢字の音符
 ケン・かねる    八部

解字 「二本の禾(いね)+手の形」の会意。二本の禾(いね)をあわせ持つ形で、合わせ持つ、兼ねる意となる。
意味 (1)かねる(兼ねる)。二つ以上のものをあわせ持つ。「兼業ケンギョウ」「兼備ケンビ」 (2)かねて。あらかじめ。「兼日ケンジツ」(期日より以前の日)

イメージ  
 「あわせ持つ」
(兼・鎌・蒹・嫌・廉・蠊・簾・賺)
 「まとめて減らす」(謙・歉)
音の変化  ケン:兼・蒹・嫌・謙・歉   タン:賺  レン:鎌・廉・蠊・簾

あわせ持つ
 レン・かま  金部
 鎌で刈った稲の束
解字 「金(金属)+兼(稲をあわせ持つ)」の会意形声。あわせ持った稲を刈る金属製のかま。
意味 かま(鎌)。草を刈る道具。「草刈り鎌」「鎌首かまくび」(鎌のように曲がった首。蛇が攻撃姿勢をとった様子をいう)「鎌利レンリ」(鎌のようにするどいこと)
 ケン・おぎ  艸部
解字 「艸(くさ)+兼の旧字(=鎌。鎌で刈る)」の会意形声。鎌で刈る草の意で、ここではアシなどと同じく屋根材料となる荻(おぎ)を指す。
意味 (1)おぎ(蒹)。=荻。イネ科の多年草。多くは水辺に自生し群落をつくる。ススキに似ており、屋根を葺く材料となる。「蒹葭ケンカ」(①水辺に生えるオギとアシ。②アシの成長しきらないもの。ヒメヨシ) (2)人名。「蒹葭堂ケンカドウ」(木村蒹葭堂。江戸中期の大阪の文化人。文人画家・本草学者・蔵書家・コレクター。蒹葭堂とは彼の書斎の名)
 ケン・ゲン・きらう・いや  女部  
解字 「女(おんな)+兼(あわせ持つ)」の会意形声。男が正妻のほかにも妻をあわせもつこと。妻となる女同士は、きらう・にくむ意。
意味 (1)きらう(嫌う)。いやがる(嫌がる)。いや(嫌)。いやらしい(嫌らしい)。にくむ。「嫌悪ケンオ」(にくみきらう)「嫌気いやけ」「嫌厭ケンエン」(嫌も厭も、きらう意)「嫌煙権ケンエンケン」 (2)うたがう。「嫌疑ケンギ」 (3)おもわく。気分。「機嫌キゲン
 レン・やすい  广部
解字 「广(いえ)+兼(かねる)」の会意形声。家の中で一つのものをいろんな用途に兼ねて用い、贅沢をしないこと。また、家の東西・南北の方向が合わさる「かど」の意味もある。
意味 (1)いさぎよい。きよい。「清廉セイレン」 (2)やすい(廉い)。値段が安い。「廉価レンカ」 (3)つつましやか。 (4)かど・すみ。「廉遇レングウ
 レン  虫部
解字 「虫(むし)+廉の旧字(かど・すみ)」の会意形声。家のかどや、すみにいる虫。
意味 「蜚蠊ヒレン」に用いる字。蜚蠊とは、ごきぶりの仲間を表す字。
 レン・す・すだれ  竹部
解字 「竹+广(いえ)+兼の旧字(合わせる)」の会意形声。「竹+兼(合わせる)」で竹を編んだ「す」、これを「广(いえ)」の周りや室内に、たらすのが「簾(す・すだれ)」である。兼の字は、旧字の第1字の形。
意味 す(簾)。すだれ(簾)。竹などで編んだとばり。「簾中レンチュウ」(すだれの内側。高貴な家の婦人)、「御簾みす」(神前・宮殿などに用いるすだれ)、「暖簾のれん」(軒先や部屋の仕切りに垂らす布。もともとは暖房した部屋の暖かさを保つ簾(布)の意)
 タン・レン・すかす  貝部
解字 「貝(貨幣)+兼の旧字(二つをまとめる)」 の会意形声。貨幣を用いて仕入れ、そして売ること。二つをかねた結果もうける意となる。この行為をあくどく行うと、すかす・だます意となる。
意味 (1)うる。もうける。「賺利タンリ」(もうけ)「賺銭タンセン」(お金をもうける) (2)すかす(賺す)。だます。だまして高くうる。あざむく。「賺詐タンサ」(だます)「賺得タントク」(だましとる)

まとめて減らす
 ケン・へりくだる  言部  
解字 「言(ことば)+兼(まとめて少なくする)」の会意形声。言葉を控え目にすること。
意味 へりくだる(謙る)。ひかえめにする。「謙虚ケンキョ」「謙譲ケンジョウ」(へりくだってゆずる)「謙遜ケンソン」(謙も遜もへりくだる意)
 ケン・あきたりない  欠部
解字 「欠ケン(口をあける)+兼の旧字(まとめて少なくする)」の会意形声。食事の回数(口をあける)をまとめて少なくすること。食い足りない。飽き足りない。転じて、不作の意となる。欠ケンは、前に向かって口をひらいている人の側身形。
意味 (1)あきたりない(歉りない)。もの足りない。食い足りない。「歉然ケンゼン」(あきたりないさま) (2)不満に思う。「抱歉ホウケン」(残念に思う。中国では申し訳なく思う意) (3)穀物が実らない。不作。「歉歳ケンサイ」(穀物の不作の年)「歉収ケンシュウ」(不作。凶作)

   ヘイ <稲を手でもつ>
 ヘイ・ヒョウ・とる  禾部

解字 一本の禾(いね)を手で持つ形で、とる・もつ意。
意味 (1)とる(秉る)。手にもつ。にぎる。「秉燭ヘイショク」(①燭ともしびを手に持つ。②燭を持つころ。夕方。宵。) (2)(手にもって)まもる。たもつ。「秉心ヘイシン」(正しい心をたもつ)「秉徳ヘイトク」(道徳をまもる) (3)手に握った権力。(=柄)「秉権ヘイケン」(権力をにぎる) (4)穀物の量をはかる単位。

イメージ 「とる・もつ」(秉・棅)
音の変化  ヘイ:秉・棅

とる・もつ
 ヘイ・え  木部
解字 「木(き)+秉(とる・もつ)」の会意形声。器物についている持つための棒状の部分。
意味 え(棅)。取っ手。握る。掌握する。=柄。柄の異体字となっており、柄と同字。

<紫色は常用漢字>

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音符「丵サク」と「鑿サク」「業ギョウ」「対タイ・ツイ」

2020年07月14日 | 漢字の音符
  サクの字形をふくむ業ギョウと対ツイ・タイは成り立ちに諸説ありますが、以下に私見を述べます。お読みいただき皆さんの感想をお寄せください。
 サク  丨部    

解字 上に4つのギザギザがついた字で、この音符および字形は以下の多義的な意味をもつ。
意味 (1)草がむらがる。 (2)ギザギザした山が突き出てならぶ形。 (3)鑿サクの音符になる。 (4)業ギョウ・對タイ・ツイの構成要素になる。

イメージ 
 「サクの音」(鑿)
 「ギザギザ歯の道具」(業・対)
音の変化  サク:鑿  ギョウ:業  タイ・ツイ:対

サクの音
 サク・のみ・うがつ  金部

解字 甲骨文は形のノミの刃を手にもった槌状の道具で打ち、下の四角に穴をあけているさま。篆文および現代字は、形⇒丵サク、四角と穴⇒臼、槌を打つ形⇒殳に変化し、さらにノミが金属製であることを示す金がついたサクになった。従って、丵サクは、ここでノミの刃を表しているが、叩く面はほぼ平でありギザギザしていない。ノミの発音がサクなので音符として丵サクを当てたと思われる。
意味 (1)のみ()。木材や石に穴をあけたり、加工する道具。 (2)うがつ(つ)。穴をあける。「開カイサク」(山野を切り開いて道路や運河などを通ずる)「サクセイ」(井戸を掘ること。掘り抜き井戸)「穿センサク」(うがちほる。たずね求める)

ギザギザ歯の道具
 ギョウ・ゴウ・わざ  木部
 編磬ヘンケイ

解字 金文は上に3本のギザギザ飾りがつく楽器をかける左右2つの支柱台(「説文解字」は楽器を掛ける横木としているが私は支柱とした)。その間に発音を表す去キョがつく。では、この支柱台の楽器とは何を表すのか? 私は編磬ヘンケイ(上の写真)だと思う。編磬とは磬ケイという異なる大きさの石片をいくつも掛け並べ音階とし、それを叩いてメロディーを奏でる打楽器である。編磬を掛けた横棒を演奏者の高さに合わせて固定する役割が、左右2つの支柱台である。(この支柱台の発音を表す去キョの古代音は渓魚部で復元音はkʰǐaなど、磬ケイの古代音は渓耕部で復元音はkʰieŋなど、で類似しており、去の発音で楽器の磬を表したものと考えられる)
 字形は篆文で片方が省略され、全体も上がギザギザが4つある丵の形になって簡略化された。現代字は「丵サク+木」の業になった。意味は、楽器の編磬を打つことから、演奏する、わざ(業)。おこない。編磬を打つ人は、それが「しごと・つとめ」となる。
意味 (1)しごと。つとめ。なりわい。「業務ギョウム」 「職業ショクギョウ」 (2)わざ(業)。おこない。「修業シュギョウ」(学問・技芸などを習いおさめる)「神業かみわざ」(①神のしわざ。②神の力でしかできない素晴らしい技術。=神技シンギ。※「かみわざ」と言うときは「神業」をあて、神技はシンギというのが通例)「業師ワザシ」(①技の巧みな人。②策略家) 「業物わざもの」(名工が作った切れ味のよい刀剣) (3)[仏]ごう(業)。善悪のむくいを引き起こす行為。「悪業アクゴウ」(前世の悪事)「業火ゴウカ」(①悪業を火にたとえていう。②罪人を焼く地獄の火)「自業自得ジゴウジトク
[對] タイ・ツイ・むかう  寸部


3本柄の蛸胴突タコドウズキ(ヤフオクの写真)           
解字 甲骨文字は上に三本の柄がある道具を手にもつ形。この道具が何かについて諸説があるが、私は土突きをする蛸胴突タコドウズキ(蛸土突き)と考えたい。略称・タコ(蛸)とは、円筒形の木材に2本~4本の柄をつけ1人~2人がその柄を持って土を突き固めるもの。蛸の足を上にしたような形になぞらえてタコ(蛸)と呼ばれる。
 甲骨文字を見ると、手の位置が3本の柄の近くに置かれており柄を持つように見える。金文第1字は下部に土を描く。第2字は両手を出した人を描き両手で持つさま。篆文で頭部が4つのギザギザがある丵に変わり手が寸になった。楷書は「丵の略体+土+寸」の對になり、現在は左辺を文に代えた対が新字体として用いられる。
 意味は甲骨文字で地形などをさす語。金文は鼎(かなえ)の土製鋳型を打って銘を對(しる)す意[字統]。篆文は応答(こたえる)の意となり、さらに対面(向かい合う)の意となるが、これは蛸胴突が2人ですることが多いことからと思われる。

向かい合ってする蛸胴突(昭和15年ごろのため池作りの地固め。香川県東かがわ市福栄地区。「来てね!見てね!遊んでね!ふくえ」より)
意味 (1)うつ。 (2)むかう(対かう)。むきあう。あいて。「対面タイメン」「対岸タイガン」 (3)こたえる(対える)。「応答オウトウ」「応対オウタイ」「対策タイサク」(相手の対応によってとる方策) (4)つりあう。「対称タイショウ」 (5)つい。そろい。「対句ツイク

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音符「冬トウ」<ふゆ>と「疼トウ」「終シュウ」「柊シュウ」「螽シュウ」

2020年07月08日 | 漢字の音符
 トウ・ふゆ  冫部

解字 甲骨文は、糸の両端を結びとめた形の象形。糸の末端を結んで終結の意とするもので終の原字。もと、冬は終わる意味で使われていた。金文は間に日を加えて、太陽が終わりに近づく意(冬至)。篆文は日がはずれたが、下に冫(氷)を加えて氷のはる寒い冬を示す。旧字は、「夂(下向きの足:おりる)+冫(氷)」の会意に変化した。氷が降りてくる冬の意。よくみると、現代字は下が冫でない冬である。これでは冬に氷がこない。意味のない変化をしたものである。
意味 ふゆ(冬)。「冬眠トウミン」「越冬エットウ」「冬至トウジ

イメージ
 「ふゆ」
(冬・鮗)
  もとの意味である「おわる」(終)
 「形声字」(疼・柊・螽)
音の変化 トウ:冬・疼  シュウ:終・柊・螽  このしろ:鮗

ふゆ
<国字> このしろ  魚部
 
このしろ(「玉島魚市場 お魚情報」より)
解字 「魚(さかな)+冬(ふゆ)」の会意。冬が旬の時期である魚のこのしろ。
意味 このしろ(鮗)。鰶とも書かれる。ニシン科の海水魚。成魚は全長25センチほど。東アジアの内湾や河口の汽水域に群れで生息する。日本では冬を中心に11月~3月が旬の時期の魚。

おわる
 シュウ・おわる・おえる  糸部
解字 「糸(いと)+冬(おわる)」 の会意形声。もと、冬の古音はシュウ。冬は甲骨文字で分かるように糸の両端を結びつけた形で終わる意味であった。それが、太陽が終わる「ふゆ」の意味になったので、そこに糸をつけて元の意味である終わる意を表わす。
意味 (1)おわる(終わる)。おえる(終える)。はてる。しまう。「終結シュウケツ」「終業シュウギョウ」「終幕シュウマク」 (2)おわりまでずっと。「終日シュウジツ」「終生シュウセイ

形声字
 トウ・うずく  疒部
解字 「疒(やまい)+冬(トウ)」の形声。トウは痛トウ・ツウに通じ、痛むことをいう。
意味 うずく(疼く)。いたむ。ずきずきいたむ。「疼痛トウツウ」(うずき痛む)
 シュウ・ひいらぎ  木部
ヒイラギ
解字 葉にトゲのあるヒイラギは日本で、「疼木ひいらぎ」(痛い木の意)と書かれ、触れると痛いヒイラギの木を表した。また「疼木」から疒(やまいだれ)をはずして一字にした「柊」とも書かれ、この字が定着した。しかし、この字は国字かと思いきや中国にもあり、芭蕉に似た木を指すという。「ひいらぎ」の名は、ひりひり痛む意の、ひひらぐ(疼ぐ)木から。
意味 (1)[日]ひいらぎ(柊)。疼木とも書く。モクセイ科の常緑小高木。葉は光沢があり鋭い刺となった鋭鋸歯がある。節分の夜、この葉と鰯の頭を門戸に挿すと悪鬼を払うと言われる。(2)木の名。芭蕉に似た木。
 シュウ・いなご  虫部
解字 「虫虫(むし)+冬(シュウ)」の形声。シュウは衆シュウ(数が多い)に通じ、数が多く発生する虫のいなごをいう。[説文解字]は「螽、或いは虫に従い眾(衆)聲(声)。公羊經(春秋時代の儒家の経書)は此(かく)の如く作る」として「虫+衆」の字があることを示している。
意味 (1)いなご(螽)。蝗コウとも書く。いなむし。 (2)「阜螽フシュウ」「土螽ドシュウ」は、いなごやバッタの類。 (2)きりぎりす。「草螽ソウシュウ」(きりぎりす)「螽斯シュウシ」(きりぎりす。一度に99匹の子を生むとされ子孫繁栄のしるし)「螽斯詵詵シュウシシンシン」(夫婦和合して子孫の多いたとえ。詵詵は和らいで多く集まるさま)
<紫色は常用漢字>

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音符「蜀ショク」<いもむし・はなれオスの獣>と「触ショク」「嘱ショク」「属ゾク」「独ドク」「濁ダク」

2020年07月06日 | 漢字の音符
 ショク  虫部

 イモムシの仲間であるカイコ(「幼虫の写真図鑑」より)
 鹿蜀(~『山海経』談義~より)
解字 甲骨文は大きな目をもち、長く曲がった胴をもつ生物の象形。これは蛾や蝶の幼虫であるイモムシとされる。写真はイモムシの仲間であるカイコだが、頭部に眼状紋という模様があり目と間違いやすい(これは体を大きくみせて身をまもるためとされる)。他のイモムシにも眼状紋をもつ種類がある。甲骨文は何故イモムシを描いたのか。それは野蚕としてのイモムシを描いたと考えられる。おそらく、木の葉を食べるイモムシがサナギ(蛹)になるとき作るマユを集め、糸を作るのに利用していたのであろう(これらの野蚕から選びだされたイモムシが後に家蚕のカイコになった)。
 字形は金文で虫がつきイモムシであることをはっきりさせ、篆文をへて現代字の蜀になった。しかし、意味は甲骨文で地名、金文からは国名で現在の四川省地方を言う。なお、古代中国の神話と地理書である「山海経センガイキョウ」(戦国時代~秦・漢代)に「蜀には鹿蜀ロクショクという獣がいる。馬に似るが、頭は白く胴は虎の縞模様で赤い尾を持つ。鹿蜀の毛皮を身につけると子孫に困らない」という記述がある。「子孫に困らない」という記述は鹿蜀がオスであることを暗示している。蜀の音符家族をみると、「オスの獣」というイメージでなければ解けない字が多くあり、これらの音符字はオスの獣としての鹿蜀獣の伝説の影響を受けていると考えられる。
 蜀は古くから現在の四川省を指す地名・国名に使われている。四川省は西に急峻な山岳地帯、東に四川盆地が広がり中心都市の成都を中心に古くから文化が栄えた。1986年、成都に隣接する広漢市で三星堆サンセイタイ遺跡が発掘され、約3,000年前に古蜀の地に存在した青銅器文化が明らかになった。
意味 (1)いもむし。あおむし。 (2)ひとつ。ひとり。(=独)。 (3)古代中国の神話のなかの野獣の名。「鹿蜀ロクショク」(南山の杻陽山(ちゅうようざん)にいる獣。馬の姿に似ているが、頭は白く胴は虎の縞模様で赤い尾を持つ。鹿蜀の毛皮を身につけると子孫に困らないとされた。 (4)中国古代の国名。 ①古代の蜀にあった国「古蜀コショク」(建国者を蚕叢サンソウといい、叢ソウ(草木がむらがり生える)の中のイモムシ(野蚕)からカイコ(家蚕)を作りだしたとされる。後期には三星堆文化を産んだ) ②三国時代の国「蜀漢ショッカン」(劉備が建てた国) ③五胡十六国のひとつ。 ④五代十国のひとつ。「後蜀ゴショク」 (5)四川省地方。蜀の別名。「蜀江ショッコウ」(蜀の成都付近を流れる川)「蜀江の錦」(蜀から産出した錦にしき。蜀は漢代から蜀錦ショッキンの名で知られた錦の特産地だった)「蜀黍ショクショ・もろこし」(コーリャンの別称)「玉蜀黍とうもろこし」(中南米原産の一年生作物)「蜀道ショクドウ」(蜀に通じるきわめて危険な山道。蜀の桟道がある)

イメージ 
 「いもむし」(蜀・蠋・触・躅)
 「オスの獣」(属・嘱・矚)  
 オスの獣は群れから「はなれる」(独・燭・髑)
 「同音代替(ダク)」(濁)
音の変化  ショク:蜀・蠋・嘱・矚・触・燭   ゾク:属  ダク:濁  チョク:躅   ドク:独・髑

いもむし
 ショク  虫部
解字 「虫(むし)+蜀(いもむし)」の会意形声。蜀は、もともと「いもむし」の意だが、国名に当てられたので、本来の意味を表すため虫をつけた。
意味 (1)蠋(いもむし)。チョウ・ガの幼虫で毛の無いものの総称。春夏にかけて草木の葉を食べる。体の色が緑色のものを「あおむし」ともいう。
 チョク・たちもとおる  足部
解字 「足(あしの動き)+蜀ショク⇒チョク(いもむし)」の会意形声。いもむしは草や木の葉にとりついて食べ続け、それが終わると近くの葉に移動する。したがって意味は、①じっと立ち止まる。②行っては止まる。となる。
意味 たちどまる。行っては止まる。たちもとおる。「躑躅テキチョク」(①行っては止まる。ためらうこと。②つつじ)「跼躅キョクテキ」(行きなやむ) 
[觸] ショク・ふれる・さわる  角部
解字 旧字は觸で「角(つの)+蜀(いもむし)」の会意形声。この蜀はイモムシが羽化し成虫になった蛾や蝶から出ている角(つの)で触角をいう。頭部にある感覚器官で、転じて触れる・触る意となる。
意味 (1)ふれる(触れる)。さわる(触る)。あたる。「触角ショッカク」(多くの節足動物の頭部にある感覚器官)「触覚ショッカク」(触れた感覚)「接触セッショク」「抵触テイショク」 (2)広く通達する。ふれ。おふれ。「触書ふれがき

オスの獣
[屬]ゾク・つく  尸部

解字 旧字はで、「尾の変形(メスの尾)+蜀(オスの獣)」の会意形声。オスの獣がメスの尻にのって交尾をすること。また、交尾の結果、同じ母親から次々と生まれてくる子供たちとその家族のグループを指す。新字体は、尾の毛と蜀⇒禹に変化した属になった。
意味 (1)つく(属く)。くっつく。つきしたがう。従属関係にある。「属国ゾッコク」「帰属キゾク」 (2)身内。血族。「尊属ソンゾク」(父母と同列以上の親族、すなわち、父母・祖父母など) (3)なかま。たぐい。同類。「金属キンゾク」「属性ゾクセイ
[囑] ショク  口部
解字 「口(くち)+属(つきしたがう⇒つながる)」の会意形声。口で依頼して自分の意をしてもらうこと。相手に物事をたのむ・相手にまかせる意となる。また、相手とつながりをつける意から、(関係を)つける、(期待などを)よせる意となる。
意味 (1)たのむ。まかせる。ゆだねる。「嘱託ショクタク」(たのんでまかせる)「委嘱イショク」(たのんでゆだねる)(2)つける。よせる。「嘱望ショクボウ」(望みをよせる=望)「嘱目ショクモク」(目をつける=目)
 ショク  目部
解字 「目(め)+(=属。つながる)」の会意形声。目でつながること。注目してよく見る意。
意味 みる(矚る)。注目する。つける。「ショクボウ」(望みをかける=嘱望)「ショクモク」(①注目する。②人の将来に期待をかける。=嘱目)

はなれる
[獨] ドク・ひとり  犭部
解字 旧字は獨で、「犭(けもの)+蜀(はなれる)」の会意形声。群から離れて棲むオスの獣。いわゆる離れオスである。新字体は、旧字の蜀から虫を取り出し、独とした。
意味 (1)ひとり(独り)。ひとつ。相手がいない。「独身ドクシン」「独占ドクセン」(一人で占める) (2)一人よがり。自分だけの。「独善ドクゼン」「独創ドクソウ」 (3)ドイツ。「独語ドクゴ
 ショク・ソク・ともしび  火部
解字 「火(ひ)+蜀(はなれる)」の会意形声。たき火でなく、地上から離れて人の手で管理される火。
意味 ともしび(燭)。あかり。「燭台ショクダイ」(ろうそくを立てる台)「燭光ショッコウ」(ともしびの光り)「蝋燭ロウソク」(蜜蜂の巣である蝋を固めてつくった灯火具)「華燭カショク」(結婚式場などのはなやかなともしび)「手燭てショク」(携帯用の蝋燭立て)
 ドク  骨部
解字 「骨(ほね)+蜀(はなれる)」の会意形声。風雨にさらされた死骸から離した骨の意で、特に頭蓋骨をさす。
意味 されこうべ。風雨にさらされて白くなった頭骨。「髑髏ドクロ」(されこうべ。しゃれこうべ。髑ドクは、はなれた頭骨、髏は、つながった骨の意。髑髏とは野ざらしとなった死骸から、はなした頭骨をいう。されこうべ。しゃれこうべ。※「され」は、さらす(晒す)意で、「されこうべ」は日光や風雨に晒された頭骨の意。しゃれこうべは、その転音)

同音代替
 ダク・にごる・にごす  氵部
解字 「氵(水)+蜀(ダク)」の形声。ダクは濯タク・ダク(すすぐ)に通じ、水をかき混ぜること。自然のたまり水をかきまぜると底の泥が混じって濁る。また、オスの獣が水たまりで水浴して濁ると解することもできる。
意味 (1)にごる(濁る)。にごす(濁す)。「濁流ダクリュウ」「濁音ダクオン」(五十音図のガ・ザ・ダ・バ行の各音節) (2)みだれる。けがれる。「汚濁オダク」(よごれけがれる)
<紫色は常用漢字>

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音符 「皿ベイ」< さ ら > と「血ケツ」「卹ジュツ」「恤ジュツ」 

2020年07月03日 | 漢字の音符
 ベイ・さら  皿部

解字 液体をいれたり、食物を盛る皿を描いた象形。飲食の容器を表わす。皿は部首となる。日本で皿というと平らな器のイメージがあるが、古代文字を見ても分かるように丸みを帯びた器である。中国では古代の食器の総称として使われる。
意味 (1)[国]さら(皿)。食物を盛る平らな皿。「大皿おおざら」「小皿こざら」「皿鉢さわち」(浅い大きな皿) (2)食器の総称。うつわ。 (3)皿状のうつわ。「灰皿はいざら」「受け皿うけざら
参考 皿は部首「皿さら」となる。漢字の下部について食器や容器の意を表す。
常用漢字 8字
 ベイ(部首)
 エキ・ます(皿+水の変形の会意)
 カン・みる(皿を含む会意)
 セイ・もる(皿+音符「成セイ」)
 トウ・ぬすむ(皿+次の会意)
 ボン・はち(皿+音符「分ブン」)
 バン(皿+音符「般ハン」)
 メイ・ちかう(皿+音符「明メイ」)
常用漢字以外の主な字
 カン・たらい(皿+水+両手の会意)
 コウ・おおう(皿+去の会意)
 ゴウ・ふたもの(皿+音符「合ゴウ」)
 ハイ・さかずき(皿+音符「不フ」)
 ロ・めしびつ・すびつ(虍+田+皿の会意)
以上のうち、益エキ・監カン・盍コウ・盧ロ、は音符になる。

イメージ 
 「さら」
(皿)
 「血のはいった皿」(血・卹・恤)
音の変化  ベイ:皿  ケツ:血  ジュツ:・卹・恤

血のはいった皿
 ケツ・ち  血部           

解字 甲骨文は食器の皿の中に血液を表す〇印を加えた形。篆文は「皿(さら)+一(ち)」の会意。皿の中にちが入っている形。現代字は一 ⇒ノに変化した血になった。。血は部首となる。
意味 (1)ち(血)。ちしお。「血液ケツエキ」「出血シュッケツ」(2)血のつながり。「血縁ケツエン」「血統ケットウ」 (3)さかんなさま「血気ケッキ」「熱血ネッケツ」  
参考 血は部首「血ち」になる。しかし、血部の主な字は衆シュウジク・はなぢ(血+音符「丑チュウ」)ぐらいしかない。しかも、衆シュウの上部の血は、本来は日(太陽)が変化したと考えられており、血とは関係のない字である。音符「衆シュウ」参照。
 ジュツ・シュツ・つつしむ・うれえる・あわれむ  卩部

解字 金文は血の入った皿の横に卩セツ(ひざまずく人)を配した形の会意。血を飲んで誓約する儀式に臨んで、ひざまずきつつしむ意を表す[字統]。金文で、つつしむ意で使う。のち、後漢の[説文解字]が、「憂うるなり」としたので、うれうる・あわれむ意に用いるようになった。
意味 (1)つつしむ(卹しむ)。「敬卹ケイジュツ」(うやまいつつしむ) (2)うれえる(卹える)。あわれむ(卹れむ)。「憂卹ユウジュツ」(憂も卹も、うれえる意)「卹隠ジュツイン」(あわれみいたむ)「卹民ジュツミン」(民をあわれむ)
 ジュツ・シュツ・うれえる・あわれむ  忄部
解字 「忄(こころ)+血(=卹ジュツ)」の会意形声。この字の血は卹ジュツの略体。卹は本来つつしむ意だが、ここでは後の意である「うれえる・あわれむ」意を忄(こころ)を付けて表す。
意味 (1)うれえる(恤える)。「失得勿恤」[失得シットクを恤(うれ)えること勿(なか)れ] (2)あわれむ(恤れむ)。「恤民ジュツミン」(民をあわれむ) (3)(あわれんで)めぐむ。すくう。「賑恤シンジュツ」(罹災者などをすくうため金品をほどこす。賑はほどこす意)「撫恤金ブジュツキン」(いつくしみあわれんで出すお金) (4)(本来の意味の)つつしむ。「恤刑ジュツケイ」(刑罰をみだりに加えないようにする)
<紫色は常用漢字>

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音符「晶ショウ」と「星セイ」<星は もと晶だった>「醒セイ」

2020年07月01日 | 漢字の音符
    ショウ  <星三つ>
 ショウ・セイ・あきらか  日部

解字 日三つは星が多数あることを表わし、澄みきった空に多数の星がきらきら光るさまを描いた象形。ひかり・あきらかの意を表わす。
意味 (1)あきらか(晶か)。明るくきらきら輝く。「晶光ショウコウ」(きらめく光) (2)(光が当たると)きらきら光る物質。純粋な鉱物。「水晶スイショウ」(無色透明の石英。水玉)「結晶ケッショウ」(原子が規則正しく作られている個体)「液晶エキショウ」(分子が結晶のように規則的に配列した液体)


     セイ  <きらめく星のひかり>
 セイ・ショウ・ほし  日部

金文・篆文は、「晶(きらめく星のひかり)+生ショウ・セイ」の形声。晶はたくさんの星が光るさま、それに発音を表わす生セイ・ショウを加えた。現代字は、「日(ほし)+生」に簡略化された。
意味 (1)ほし(星)。「星雲セイウン」「星座セイザ」「明星ミョウジョウ」 (2)星のように小さい。点。「星星セイセイ」(点々) (3)としつき。「星霜セイソウ」 (4)めあて。めぼし。「図星ずぼし」 (5)勝ち負け。「黒星くろぼし

イメージ   
 「ほし」
(星・腥)
 星が光る空はさえぎる雲がなく「すっきりと」(醒・惺・猩)
音の変化  セイ・ショウ:星・腥・醒・惺  ショウ:猩

ほ し
 セイ・ショウ・なまぐさい  月にく
解字 「月(にく)+星(ほし)」の会意形声。[説文解字]に「星の見あらわるる食豕ショクシ(食用豚肉)なり。肉中をして小息肉(脂肉)を生ぜしむるなり」とあり、脂肪の多い生肉をいい、臭気の強いものである[字通]」とあり、星のように点々と脂肪が出ている豚肉のこと。生肉なのでなまぐさい意となる。一見したところ月(つき)と星を合わせたロマンチックな字に見えるが、何と霜ふり肉ならぬ星ふり肉のことであった。
意味 (1)なまにく。また、生肉のにおい。なまぐさい(腥い)。「腥臭セイシュウ」(腥い臭い)「腥風セイフウ」(なまぐさい風。殺伐とした気配) (2)けがらわしい。みにくい。「腥聞セイブン」(けがらわしい評判)

すっきりと        
 セイ・ショウ・さめる  酉部
解字 「酉(さけ)+星(すっきりと)」の会意形声。酒の酔いがやんですっきりすること。
意味 (1)さめる(醒める)。酔いや眠りから覚めて頭がすっきりする。「醒酒セイシュ」(酒の酔いからさめる)「夢醒ムセイ」(夢からさめる)「醒然セイゼン」(さめたさま) (2)迷いからさめる。「覚醒カクセイ」(目がさめる。迷いからさめる)「覚醒剤カクセイザイ」(中枢神経を興奮させ一時的に眠気や疲労感を抑える薬)
 セイ・ショウ・さとる  忄部
解字 「忄(こころ)+星(すっきりと)」の会意形声。心ですっきりとわかること。さとる意となる。また心が落ち着いてしずかなこと。
意味 (1)さとる(惺る)。すっきりとわかる。さとい。「惺悟セイゴ」(さとる。惺も悟も、さとる意) (2)しずか。心が落ち着いてしずか。「惺惺セイセイ」(心が落ち着いてしずか)「惺然セイゼン」(落ち着いてしずかなさま) (3)人名。「藤原惺窩ふじわらせいか」(戦国~江戸初期の儒学者。朱子学を究め、林羅山ら門人を輩出した)
 ショウ・セイ  犭部
解字 「犭(けもの)+星(すっきりと)」の会意形声。頭のすっきりした(賢い)動物。
意味 (1)猿に似た想像上の動物。「猩猩ショウジョウ」(猿に似ていて毛は朱紅色で人の言葉を理解する想像上の怪獣)「猩紅ショウコウ」(猩猩の毛のような紅色)「猩紅熱ショウコウネツ」(全身に鮮紅色の発疹が出る病気) (2)オランウータン。 ※漢字しかない中国では、この字を使って3種類の類人類を次のように表現している。猩猩xīngxīng(オランウータン)・大猩猩dàxīngxīng(ゴリラ)・黒猩猩hēixīngxīng(チンパンジー)。
<紫色は常用漢字>

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