漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「目モク」 <め> と 「眉ビ」 <まゆ>

2016年09月29日 | 漢字の音符
 モク・ボク・め・ま  目部          

解字 めを描いた象形。甲骨文・金文は、目の形をそのまま描いているが、篆文からタテになった。目は、目の動きや状態、見るなどの意で部首となる。
意味 (1)め(目)。ものを見るめ。見る。「目前モクゼン」「注目チュウモク」「目(ま)のあたりにする」 (2)めあて。大切なところ。「目当(めあ)て」「目的モクテキ」 (3)見出し。区切った一つ一つ。「目次モクジ」「項目コウモク」 (4)かお。名誉。「面目メンボク」(人に合わせる顔)
参考 部首としての目モク目は部首としての活躍が中心で、音符「目モク」で、モク・ボクの発音を受け継ぐポピュラーな字は見当たらない。ここに収録した泪ルイは会意である。部首「目め・めへん」に属する字は、常用漢字で20字、約14,600字を収録する『新漢語林』では156字が収録されている。
目部の主な字は以下の通り。
モウ(目+音符「亡ボウ」)・省セイ・ショウ(目+音符「少ショウ」)・看カン(目+音符「手シュ」)・眠ミン(目+音符「民ミン))・眺チョウ(目+音符「兆チョウ」)・眼ガン(目+音符「艮コン)」・睡スイ(目+音符「垂スイ」)・督トク(目+音符「叔シュク」)・睦ボク(目+音符「坴リク」)・瞬シュン(目+音符「舜シュン))・瞳ドウ(目+音符「童ドウ」)・瞼ケン(目+音符「僉セン」)・眦(目+音符「此シ)」・瞭リョウ(目+音符「尞リョウ)」・瞑メイ(目+音符「冥メイ)」・瞰カン(目+音符「敢カン)」・瞠ドウ(目+音符「堂ドウ」)」・拳ケン(目+音符「巻カン」)・瞥ベツ(目+音符「敝ヘイ」)
なお、以下の字は目部に属し、かつ音符となる。
冒ボウ・直チョク・相ソウ・盾ジュン・眉ビ・県ケン・真シン

イメージ   「め」 (目・泪)
音の変化  モク:目  ルイ:泪


 ルイ・なみだ  氵部
解字 「氵(水)+目(め)」の会意。目から流れる水、つまりなみだの意。涙ルイの異体字。現代中国では、涙が異体字で、泪は標準字として使われている。
意味 なみだ(泪)。なみだを流す。



            ビ <まゆ>
 ビ・ミ・まゆ  目部

解字 甲骨文・金文は、目の上にあるマユを描いた象形。篆文から、目がタテ書きになったのに伴い、マユのかたちもタテ書きになって変形し、現代字は尸のなかにタテ棒が入った形になった。
覚え方 め()の上のコノ()ぼう(I)は毛なり。[漢字川柳]
意味 (1)まゆ(眉)。まゆげ。「眉目ビモク」(眉と目。容貌)「白眉ハクビ」(同類の中で最も傑出している人や物)「眉墨まゆずみ」「眉間ミケン」(まゆとまゆの間)「焦眉ショウビの急」(火が眉をこがすほどの急) (2)としより。老年。「眉雪ビセツ」(雪のような眉)

イメージ  「まゆ」 (眉・媚)
音の変化  ビ:眉・媚

まゆ
 ビ・こびる・こび  女部
解字 「女(おんな)+眉(まゆ)」 の会意形声。女が眉をうごかして色っぽくふるまうこと。
意味 (1)こびる(媚びる)。こび(媚)。へつらう。なまめかしい。「媚笑ビショウ」「媚態ビタイ」(男にこびる女の態度)「媚薬ビヤク」(性欲を増進させるとされる薬) (2)うつくしい。「風光明媚フウコウメイビ
<紫色は常用漢字>

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音符「止シ」<あしのかたち・あしの動作> と 「歯シ」

2016年09月26日 | 漢字の音符
 シ・とまる・とめる  止部
 足裏をかたどると甲骨文字の止になる。
解字 足うらの形の象形。足の指を三本に簡略化した。甲骨文は右足と左足の二種類が描かれているが、第二字の形が受け継がれ、金文・篆文で少し変形したのち、現代字の止になった。あし・あしがとまる意を表わす。止部の部首となる。止は単独では、「とまる」意に用いられるが、足の形であるため音符では、歩く・走るなど「足の動作」を表わす意味でも用いられる。
意味 (1)あし。あしあと。(2)とまる(止まる)。とどまる(止まる)。「静止セイシ」「停止テイシ」(3)とめる(止める)。とどめる(止める)。「制止セイシ」「抑止ヨクシ」(4)やめる(止める)。やむ(止む)。禁ずる。「中止チュウシ」「禁止キンシ」(5)さす(止す)。途中でやめる。「読み止しの本」
<参考> 部首「止とまる」に属する主な漢字に、歩・歴レキ・武・此・歳サイ・正セイ・歪ワイ(正+音符「不フ」)、がある。このうち、歪以外はすべて音符となる。

イメージ  「とまる・とめる」(止・祉・肯・凪・渋)
       「あしの動き」(走・奔)
       「つま先立ちする」(企)
音の変化  シ:止・祉  ジュウ:渋  ソウ:走  ホン:奔 
        キ:企  コウ:肯  なぎ:凪

とまる・とめる
 シ・さいわい  ネ部
解字 「ネ(=示。神の祭壇)+止(足をとめる)」の会意形声。神が足を止めて福を与えること。
意味 さいわい(祉)。神より受ける幸せ。「祉福シフク」(神から受けた幸せ)「福祉フクシ」(幸福:公共サービスによる生活の安定)
 コウ・うなずく   月部にく
解字 「止(とまる)+月(きんにく)」 の会意。筋肉が骨について止まっているところ。この肉は腱肉ケンニクで、肯とは骨と腱肉とがつながっている部分をいう。物事の急所・要点の意。また、刃物でここを切ると簡単に肉を切り離せることから、うまくいく・よしの意となる。
意味 (1)骨に筋肉がついているところ(=肯綮)。物事の急所・要点。「肯綮コウケイ」(物事の急所・要所)(2)よしとする。うなずく(肯く)。うべなう(肯う)。がえんじる(肯じる)。がえんずる(肯ずる)。「肯定コウテイ」(3)あえて。すすんで~する。
<国字> なぎ  几部
解字 「几(風の略体)+止(とまる)」 の会意。風が止まること。
意味 なぎ(凪)。なぐ(凪ぐ)。風がやんで波がおだやかになること。「夕凪ゆうなぎ」「朝凪あさなぎ
[澁] ジュウ・しぶ・しぶい・しぶる  氵部
解字 旧字は、「氵(みず)+(とまる足三つ)」 の会意。止まる意の足三つをおき、水がうまく流れずとどまる意。新字体は、旧字の澁⇒渋に変化した。
意味 (1)しぶる(渋る)。とどこおる。「渋滞ジュウタイ」(2)しぶい(渋い)。かきしぶ。「渋味しぶみ」「渋柿しぶがき」(3)苦々しいさま。「渋面ジュウメン

あしの動き
 ソウ・はしる  走部          

解字 古代文字は、「大(走る人の姿)+止(足の動作)」の会意。人が大の字に手をひろげ、足で走るさま。走る姿の大は、現代字で土に変化し、「土+龰(止の変形)」となった。走は部首になる。
<参考> 部首「走そうにょう」に属する主な漢字に、起(走+音符「己キ」)・超チョウ(走+音符「召ショウ」)・越エツ(走+音符「戉エツ」)・赴(走+音符「卜ボク」)・趨スウ(走+音符「芻スウ」)・趣シュ(走+音符「取シュ」)、がある。
意味 (1)はしる(走る)。「走破ソウハ」「奔走ホンソウ」(2)にげる。「遁走トンソウ
 ホン・はしる   大部          

解字 金文は、「大(走るひと)+止三つ(足の動作)」の会意。足早に走る意。止三つは篆文で屮が三つ、旧字で十が三つになり、新字体で卉に変化した奔になった。
意味 (1)はしる(奔る)。勢いよく駆ける。「奔走ホンソウ」「狂奔キョウホン」(2)勢いがよい。「奔流ホンリュウ」(3)思うままにする。「奔放ホンポウ

つま先立する
 キ・くわだてる  人部

解字 「人(ひと)+止(つま先立する)」 の会意。甲骨文は、「横に向けたあし+人」の形。踵(かかと)をあげて立つ人を表しており、つま先立ちして遠くを望む形。そこから先を見る意となり企てる意となる。
意味 (1)くわだてる(企てる)。事をはじめる。「企画キカク」「企図キト」(2)たくらむ(企む)。悪事をくわだてる。「謀反ムホンを企(たくら)む」(3)あこがれる。待ち望む。「企及キキュウ」(あこがれて追いつく)



         シ <は>
[齒] シ・は    歯部         

解字 甲骨文は歯の形の象形。篆文以降は、上部に「止」を付け「前歯+止(とめる)」の会意形声で、前歯で噛んで止める意をもたせた。歯で部首となる。新字体は、旧字の齒⇒歯に変化した。なお、止は歯の発音であるシを表している形声字ともいえる。歯は部首となる。
<参考> 部首「歯は」に属する主な漢字に、齢レイ(歯+音符「令レイ」)・齧ゲツ(歯+音符「丰刀ケイ」)・齟(歯+音符「且ソ」)・齬(歯+音符「吾ゴ」)・齷アク(歯+音符「屋オク」)・齪セク(歯+音符「足ソク」)・齦ギン(歯+音符「艮コン」)・齲(歯+音符「禹ウ」)がある。
意味 (1)は(歯)。「門歯モンシ」(前歯)「歯牙シガ」(2)年齢。よわい(歯)。とし。「年歯ネンシ」(よわい)

イメージ  「は」 (歯・噛)
音の変化  シ:歯  ゴウ:噛


 ゴウ・かむ・かじる  口部
解字 「口(くち)+歯(は)」の会意。口をうごかし歯でかむこと。
意味 かむ(噛む)。かじる(噛る)。歯でかむこと。
<紫色は常用漢字>

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音符 「安アン」 <やすらか・やすんじる>

2016年09月20日 | 漢字の音符
 アン・やすい  宀部            

解字 「宀(やね)+女(おんな)」 の会意。宀は祖霊をまつる廟(ビョウ)の屋根、その中で女がひざまずき静かに祈っている形で、静かで落ち着いた安らかなさまを意味する。値段が安い意は、後に日本で付けられた意味である[字統]。
 安の音符には「おく・おろす」イメージがある。なぜこのイメージがあるのだろうか。女ジョは、女性がひざまずいて手を前に交えておろしているかたちである。その女性が廟の中で静かに祈る形が安であり、私見であるが、祈るとき手を床におろすのが普通の姿だったのではなかろうか。そのため、手を「おく・おろす」イメージができたと思われる。
意味 (1)やすらか(安らか)。しずか。おだやか。「平安ヘイアン」「安康アンコウ」(世の中が平穏無事) (2)やすんじる(安んじる)。おちつく。「安心アンシン」 (3)おく。すえる。「安置アンチ」(据えて置く) (4)たやすい。「安易アンイ」 (5)[国]やすい(安い)。値段が安い。「安価アンカ

イメージ  「やすらか・やすんじる」 (安・案・鞍) 
       女が頭を下げ、手を床に置く姿から 「おく・おろす」 (按・晏)
       「アンの音」 (鮟)
音の変化  アン:安・案・按・鞍・晏・鮟

やすらか・やすんじる
 アン  木部  
解字 「木(き)+安(やすんじる。安定した)」 の会意形声。脚のある安定した木の台で、つくえの意。また、机の上で練った計画や下書きをいう。
意味 (1)つくえ(案)。物をのせる台。「几案キアン」(つくえ。几も案も、机の意) (2)考える。考え。机の上で練った計画。「考案コウアン」「案出アンシュツ」 (3)下書き。「草案ソウアン」「案文アンブン
 アン・くら  革部
解字 「革(かわ)+安(やすんじる。安定する)」 の会意形声。馬の背において乗るひとを安定させる革製のくら。
意味 くら(鞍)。人や荷物をのせるために牛や馬の背につける道具。また、鞍のような形。「鞍馬アンバ」(①鞍をおいた馬。②体操競技の種目の一つ)「鞍替(くらが)え」(馬の鞍をかえる。職などをかえる)「鞍部アンブ」(山の稜線のくぼんだ所)

おく・おろす
 アン・おさえる  扌部
解字 「扌(て)+安(おく)」 の会意形声。手をおいて、おさえたり、なでたりすること。また、手でおさえる意から転じて、とりしまる意ともなる。
意味 (1)おさえる(按える)。なでる。もむ。「按摩アンマ」(もんで、さする) (2)さだめる。おちつける。「按排アンパイ」(ぐわいよく並べる) (3)取り締まる。調べる。「按察使アンサツシ」(地方の行政・風俗を検察する長官)
 アン・おそい  日部  
解字 「日(太陽)+安(おろす⇒おりる)」 の会意形声。太陽が下りて暗くなること。
意味 (1)おそい(晏い)。暮れる。夕方。「晏駕アンガ」(日暮れに出発する霊柩車。天子の崩御を忌んでいう語) (2)おそい(晏い)。時刻・時期がおそい。「晏起アンキ」(朝おそく起きる。朝寝坊) (3)やすい。やすらか。(=安)「清晏セイアン」「晏晏アンアン」(楽しく平和なさま) (4)人名。「晏子アンシ」(中国・春秋時代の政治家)

アンの音
<国字> アン  魚部
解字 「魚(さかな)+安(アン)」の形声。アンという名の魚。
 鮟鱇アンコウ(ウィキペディアより)
意味 鮟鱇アンコウに用いられる字。鮟鱇とは海底にすむアンコウ科の海魚。体は平たく口は大きい。背びれに突起があり、これで小魚を誘引して呑みこむ。「あんこう」の語源は、口をあんぐり開けるから「あん口コウ」という説がある。日本語の「あんこう」という名の魚に、魚へんに安康をつけて表したもの。「鮟鱇形アンコウガタ」(鮟鱇のように太って腹の出ている力士)
<紫色は常用漢字>

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音符 「女ジョ」 <おんな> と 「如ジョ」

2016年09月19日 | 漢字の音符
 ジョ・ニョ・ニョウ・おんな・め  女部

解字 女性がひざまずいて手を前に交えているかたちの象形。交わった手はひざの上においているのであろう。この姿は何を表しているのだろうか。「廟で神や祖先の前にひざまずき手をおろした女」という説がある。女は部首となる。
意味 (1)おんな(女)。め(女)。婦人。「女性ジョセイ」「女房ニョウボウ」「天女テンニョ」 (2)むすめ。おとめ。「処女ショジョ」「息女ソクジョ」(身分ある人のむすめ。また、他人のむすめを敬っていう語) (3)なんじ。(=汝)

イメージ  「おんな」 (女・姦) 
       「ジョの音」 (汝)
音の変化  ジョ:女・汝  カン:姦

おんな
 カン・かしましい  女部
解字  「女+女+女」の会意。女が3人集まり悪だくみをすること。また、奸カン(おかす)に通じ、男女間の不義をいう。日本では、女が3人集まって「かしましい」意となる。
意味 (1)わるがしこい。よこしま。「姦計カンケイ」(わるだくみ) (2)みだら。男女間の不義。「姦通カンツウ」(浮気をすること) (3)[国]かしましい(姦しい)。やかましい。

ジョの音
 ジョ・なんじ  氵部
解字 「氵(みず)+女(ジョ)」 の形声。ジョという名の川の名。仮借カシャ(当て字)されて、二人称に用いる。
意味 なんじ(汝)。おまえ。

<参考>
部首としての女偏 おんなへん
 女は、女性や女性の状態などを表す部首となり女偏とよばれる。常用漢字(2136字)のうち女偏は36字あり部首の第14位。また、約1万4000字余りを収録する『新漢語林』では、210字が女偏に含まれている。これらのうち、如ジョ、奴ド、妟エン、妻サイ、妾ショウは音符となり、さらに他の部首と組み合わさって同じ音符をもつ字をつくる。
音符「奴ド」 へ
音符「妟エン」 へ
音符「妻サイ」 へ
音符「妾ショウ」 へ


           ジョ <神のお告げをうける>
 ジョ・ニョ・ごとし  女部  

解字 「口(神への祝詞を納める器)+女(みこ)」 の会意形声。口は神への祝詞(願いの言葉)を納める器のかたち。如は、女(みこ)が神へ願いをかけ、また、その結果として神のお告げを受ける状態をいう。そこから神意を「はかる」、神意に「したがう」意となる。また、甲骨文は女の手の向きが通常と逆で、女が身をよじって口(器)に向く形で、祈祷や神託をうける時に、神がかりとなる動作を伴ったものと思われる。そんな巫女の状態をあらわす「ごとし」の意となる[字統を参考]。
意味 (1)いかがか。「如何いかん・いかが」 (2)したがう。「如意ニョイ」(意にしたがう。思うようになる) (3)ごとし(如し)。状態を表わす。「如実ニョジツ」「欠如ケツジョ」 (4)もし(仮定)。 (5)「如月きさらぎ」とは、陰暦2月の別称。

イメージ 「神意にしたがう」 (如・恕)
      意味(3)の 「ごとし」 (絮・茹)
音の変化  ジョ:如・恕・茹・絮

神意にしたがう
 ジョ・ゆるす  心部
解字 「心(こころ)+如(神意にしたがう)」の会意形声。神意にしたがう心。神の大きな心で相手をおもいやり、ゆるすこと。
意味 (1)おもいやり。いつくしみ。「忠恕チュウジョ」(真心とおもいやりがあること) (2)ゆるす(恕す)。大目にみる。「寛恕カンジョ」(ひろい心でゆるすこと)「宥恕ユウジョ」(ゆるすこと。宥も恕も、ゆるす意)

ごとし
 ジョ・わた  糸部
解字 「糸(いと)+如(ごとし)」 の会意形声。糸のごとしの意で、古くはマユ(繭)から作った真綿(まわた)を言い、のち綿のわたを言う。
 柳絮
意味 (1)わた(絮)。まわた(真綿)。のち、綿わた。古いわた。 (2)柳のわた毛。柳は楊ヨウ(葉の垂れないヤナギ)も含めて言う。「柳絮リュウジョ」(春に柳の熟した実から綿毛をもった種子が飛び散るさま。また、柳のわた毛) (4)(まわたのように)こんがらかってつながる。「絮説ジョセツ」(くどくどした説明=絮語ジョゴ
 ジョ・ゆでる  艸部
解字 「艸(草)+如(ごとし)」 の会意形声。草のごとしの意から、葉物の野菜をいい、また、その野菜を食べる意。日本では、野菜をゆでてやわらかくする意で使われる。
意味 (1)野菜。「茹菽ジョシュク」(野菜と豆) (2)くう。野菜をたべる。「茹菜ジョサイ」(野菜をたべる) (3)[国]ゆでる(茹でる)。ゆでたもの。 (4)[国]うだる(茹だる)。暑さのため体がぐったりする。
<紫色は常用漢字>

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音符 「非ヒ」 <互いに背を向けた人>

2016年09月18日 | 漢字の音符
 ヒ・あらず・そしる  非部

解字 頭部を強調した人が互いに背を向けた姿の象形[甲骨文字小字典]。背を向け合って相手を拒否しているので、否定の意味に、また転じて悪い意に使われる。篆文から形が変化 し、現代字は非になった。
意味 (1)あらず(非ず)。~でない。否定を表わす助字。「非常ヒジョウ」「非凡ヒボン」 (2)正しくない。わるい。過ち。「非行ヒコウ」「非道ヒドウ」 (3)そしる。「非難ヒナン

イメージ  「わるい・あらず」 (非・罪・匪・榧・誹・蜚)
       人が 「左右に分かれる」 (扉・排・俳・悲・徘)
       人が 「左右にいる」 (輩・斐・琲・靡)
       「その他」 (腓・緋・翡)
音の変化  ヒ:非・匪・榧・誹・蜚・扉・悲・斐・琲・腓・緋・翡  
        ビ:靡  ザイ:罪  ハイ:排・俳・徘・輩

あらず・わるい
 ザイ・つみ  罒部よこめ
解字 「罒(法のあみ)+非(わるい)」の会意。罒は网モウの変形で網の意。悪事を働き法の網にかかること。
意味 つみ(罪)。つみする。「罪人ザイニン」「犯罪ハンザイ」「罪名ザイメイ
 ヒ・あらず  匚部はこがまえ
解字 「匚(かくれる)+非(わるい者)」 の会意形声。隠れ住んでいる悪者。
意味 (1)わるもの。「匪賊ヒゾク」(徒党を組んで掠奪などをする盗賊)「匪徒ヒト」(=匪賊) (2)あらず。否定の助字。
 ヒ・かや  木部
解字 「木(き)+匪(かくれ住む)」の形声。耐陰性が強く樹林内部であまり日の当たらないところでも育つことができる木。
意味 かや(榧)。イチイ科の常緑高木。成長は遅いが寿命は長い。実は食用・薬用となり、また油を搾る。材は堅く最高の碁盤の材料となる。「榧実ヒジツ」(榧の種子。漢方薬や食用とする)
 ヒ・そしる  言部
解字 「言(いう)+非(わるい)」 の会意形声。悪口を言うこと。
意味 そしる(誹る)。悪口をいう。「誹謗ヒボウ」(誹も謗もそしる意)
 ヒ  虫部
解字 「虫(むし)+非(わるい)」 の会意形声。悪い虫。稲などにつく害虫。また、飛に通じ、飛ぶ意がある。
意味 (1)あぶらむし。ごきぶりのなかま。「蜚ヒレン・ごきぶり」 (2)とぶ(蜚ぶ)。「蜚鳥ヒチョウ」(飛鳥)「蜚語ヒゴ」(作りごとをいいふらす。=飛語)「流言蜚語リュウゲンヒゴ」(デマ)

左右に分かれる
 ヒ・とびら  戸部
解字 「戸(出入り口)+非(左右に分かれる)」 の会意形声。左右に分かれて開くとびら。
意味 とびら(扉)。開き戸。「門扉モンピ」(門のとびら)「開扉カイヒ
 ハイ  扌部
解字 「扌(手)+非(左右に分ける)」 の会意形声。手で左右に押しのけること。また、配ハイ(ならべる)に通じ、並べる意味もある。
意味 (1)おしのける。しりぞける。「排斥ハイセキ」「排外ハイガイ」 (2)ならぶ。つらねる。「排列ハイレツ」「按排アンバイ」(ほどよく並べる)
 ハイ  イ部
解字 「イ(人)+非(左右に分かれる)」の会意形声。左右に分かれて掛けあいの芸をする人。もと、二人が組になり、おどけて笑わせる道化の芸人。
意味 (1)わざおぎ。役者。「俳優ハイユウ」 (2)おどけ。たわむれ。「俳諧ハイカイ」(①おどけ・たわむれ。②滑稽味を帯びた和歌) (3)俳句のこと。「俳壇ハイダン」「俳聖ハイセイ」(特に松尾芭蕉をいう)
 ヒ・かなしい・かなしむ  心部
解字 「心(こころ)+非(左右に分かれる)」 の会意形声。心が左右に裂けた状態をいう。
意味 (1)かなしい(悲しい)。かなしむ(悲しむ)。「悲哀ヒアイ」(悲しく哀れ)「悲運ヒウン」 (2)[仏]あわれみの心。「慈悲ジヒ」(あわれみいつくしむ心)「悲願ヒガン」(①仏が、その慈悲心から発する願い。②どうしても達成したい願い)
 ハイ  彳部
解字 「彳(ゆく)+非(左右に)」 の会意形声。左右に行ったり来たりする。
意味 さまよう。ぶらぶら歩く。「徘徊ハイカイ」(歩きまわる)

左右にいる
 ハイ・やから  車部  
解字 「車(くるま)+非(左右にいる)」 の会意形声。車が左右に並ぶこと。車に乗る者同士が並ぶので、仲間の意となる。
意味 ともがら。やから(輩)。なかま。「先輩センパイ」「後輩コウハイ」「輩出ハイシュツ」(才能のある者が続々と世にでる)
 ヒ・あや  文部
解字 「文(もよう)+非(左右にならぶ)」 の会意形声。文様が続いて並ぶこと。
意味 (1)あや(斐)。文様が並んで美しいさま。「斐然ヒゼン」 (2)地名。「甲斐国かいのくに」(山梨県の旧国名。甲州)
 ヒ・ハイ  玉部
解字 「王(玉)+非(左右にならぶ)」 の会意形声。並んでつながる玉飾り。
意味 (1)玉を連ねた飾り。 (2)コーヒーの音訳字。「珈琲コーヒー」(中国では咖啡と書く)
 ビ・ヒ・なびく  非部
解字 「麻(麻の皮)+非(左右にならぶ)」 の会意形声。繊維をとるため精製した麻皮を乾燥させるため竹竿に並べ干したかたち。その麻皮が風にゆれるさまをいう。部首は本来「麻」のはずだが、なぜか非になっている。
意味 (1)なびく(靡く)。風などになびく。「風靡フウビ」(風になびく。風が草をなびかすように、その時代の人々をなびき従わせること)「一世を風靡する」 (2)ある者の意思にしたがう。「権威に靡く」

その他
 ヒ・こむら  月部にく
解字 「月(からだ)+非(ヒ)」 の形成。ヒは肥ヒ(ふとる)に通じる。月(からだ)のどの部分がふとっているか明確でないが、腓は、脛ケイ(すね)に対し、その後ろのふくらんだ所である「ふくらはぎ」をいうので、腓の月は、脛ケイの略体であると思われる。これに対し、骨に卑(=肥ヒ。ふとる)がついた脾は、ふとももをいう。脾ヒを参照。
意味 こむら(腓)。ふくらはぎ。すねの後ろのふくらんだところ。「腓返(こむらがえ)り」(こむらが急にけいれんすること)「腓骨ヒコツ」(脛すねの外側背面の細い骨)
 ヒ・あか  糸部
解字 「糸(ぬの)+非(ヒ)」 の形声。ヒという名の色のぬの。濃い赤色の絹をいう。転じて、赤い色の意。非のイメージは不明。
意味 (1)あか(緋)。こい赤色。ひいろ。「緋鯉ヒゴイ」「緋色ヒイロ」 (2)あかい絹。
 ヒ  羽部
 カワセミ(ウィキペディアより)
解字 「羽(はね)+非(=緋。あかい)」の会意形声。腹部の羽毛があかい鳥。
意味 「翡翠かわせみ」に用いる字。「翡翠かわせみ」とは、腹部の羽毛があかく(翡)、つばさの羽が緑色(翠)の水辺に生息する小鳥。
「翡翠ヒスイ」とは、カワセミの羽に似た鮮やかな翠緑色の玉。装身具・装飾品として用いられる。
<紫色は常用漢字>

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