漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

紛らわしい漢字 「矢シ」 と 「失シツ」

2018年01月21日 | 紛らわしい漢字 
  の上が突き抜けたかたちが失シツだが、この両字の関連はまったく無い。偶然似てしまったのである。矢は甲骨文字を見れば一目瞭然で矢のかたち。一方、失は、手から骨ベラがするりと落ちるかたちで、失う意。日本人は、この2字を間違えることはないが、非漢字圏の日本語学習者にとっては、矢の上が突き出ただけで何故意味がちがうのか首をかしげるだろう。そのときは、失の上が出ているのは、古代文字の5本指の変化したかたちなので、出ているのは中指だと説明したらどうだろう。

               シ <や>
 シ・や  矢部          

解字 甲骨文字は矢の象形で、上部は矢じり(矢の先端のとがった部分)、下部は矢羽を表している。金文は矢羽の上部に肥点がついた形。篆文はかなり変形し、現代字はさらに変化した矢になった。この字形は甲骨文字のおもかげを留めていないが、しいて言えば、上部の𠂉が矢じり、下部の𠆢が矢羽になる。矢は誓いをするときに用いるので、ちかう意もある。
意味 (1)や(矢)。「矢立やたて」「矢面やおもて」「矢鏃やじり」 (2)ちかう。「矢言シゲン
参考 矢は部首「矢や」となる。漢字の左辺について矢の意味を表す。常用漢字では、矢・知(「矢+口」の会意)・短タン(矢+音符「豆トウ」)・矯キョウ(矢+音符「喬キョウ」)の4字。その他に、矩(「矢+音符「巨キョ」)、矮ワイ(女+音符「委イ」)、などがある。

イメージ  「矢」 (矢・疾・嫉)  
音の変化  シ:矢  シツ:疾・嫉

 シツ・やまい・はやい  疒部          

解字 甲骨文字と金文は、大の形の人の脇に矢が刺さっている形で、矢の攻撃で傷を負う意。篆文は、「疒(やまい)+矢(や)」 の会意形声で、矢傷のほか、矢のように速く進む急性や流行性の病気の意。また、矢の意から、はやい意味もある。
意味 (1)やまい(疾)。急性・流行性の病。「疾病シッペイ」(疾も病も、やまいの意)「疾疫シツエキ」(はやりやまい) (2)はやい(疾い)。「疾走シッソウ」「疾雨シツウ」(激しくふる雨)「疾風シップウ
 シツ・ねたむ・そねむ  女部
解字 「女(おんな)+疾(急性の病)」 の会意形声。急にでる短気や短慮からくる感情をいう。女性に多いわけでないが、男性が漢字を作ったので女性に多いと感じたのだろう。
意味 ねたむ(嫉む)。そねむ(嫉む)。にくむ。「嫉妬シット」(うらやみねたむ)「嫉視シッシ」(ねたましく思って見る)


               シツ <うしなう>
 シツ・シチ・イツ・うしなう  大部         

解字 篆文は、「手(て)+乙オツ・イツ(骨べら)」 の会意形声。乙は十干(甲・乙・丙・丁など10字からなる順序を表す字)の第二位に仮借カシャ(当て字)されているが、実際は骨べらと推定されている。失は手から骨べらが滑り落ちて、手にあったものを「うしなう」こと。転じて、忘れる・誤る・その場を去る意ともなる。現代字は失に変化した。この字の㇏(右はらい)が骨べらに当たり、残りの部分が古代文字の五本指の手が変化したかたち。
意味 (1)うしなう(失う)。なくす(失くす)。「失望シツボウ」「紛失フンシツ」 (2)忘れる。「失念シツネン」「忘失ボウシツ」 (3)誤る。しくじる。「失敗シッパイ」「過失カシツ」 (4)にげる。にがす。その場を去る。「失跡シッセキ」「失踪シッソウ

イメージ  「うしなう」 (失・迭)
       「同音代替」 (秩・鉄)
音の変化  シツ:失  チツ:秩  テツ:迭・鉄
うしなう
 テツ・かわる  之部
解字 「之(ゆく)+失(うしなう)」 の会意形声。人が現在いる場所をうしない、その場を去り、別の人がくること。入れ替わる意。
意味 かわる(迭る)。かわるがわる。入れ替わる。「更迭コウテツ」(人がかわる、また、かえること)「迭立テツリツ」(かわるがわる立つ)
同音代替
 チツ・ジチ  禾部
解字 「禾(こくもつ)+失(チツ・ジチ)」 の形声。ジチは実[實]ジチ・ジツ(中身がいっぱいつまる)に通じ、収穫した穀物を倉庫に積み重ねること。順序よく積むことから、重なった物事の順序を表わす。
意味 (1)物事の順序。次第。「秩序チツジョ」(①順序・次第。②社会のきちんとした状態) (2)くらい。官職。役人の俸給。扶持ふち。「秩禄チツロク」(官職によって支給される俸給)「俸秩ホウチツ
 テツ  金部
解字 「金(きんぞく)+失(テツ)」  の形声。旧字はテツで、「金+の右辺テツ(黒い)」の会意形声で黒い金属の意。鉄は、同じ発音の失テツに当てた文字。失に迭テツの音がある。
意味 (1)てつ(鉄)。くろがね。「鉄鉱テッコウ」「鉄器テッキ」 (2)刃物。兵器。「鉄血テッケツ」(兵器と兵隊)「寸鉄スンテツ」(小さい刃物) (3)鉄のようにかたい。「鉄人テツジン」「鉄腕テツワン
<紫色は常用漢字>

参考 音符「矢シ」
    音符「失シツ」

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音符 「正セイ」 <都邑を攻撃し征服する>

2018年01月18日 | 漢字の音符
 セイ・ショウ・ただしい・ただす・まさ  止部

解字 甲骨文は、「口(城壁に囲まれた都邑)+止(あし)」の会意。足(止)が都邑をめがけて進むさま。正は、城壁に囲まれた都邑に向かって進撃する意で、その都邑を征服することをいい「征」の原字。金文から、都邑の口⇒一に変化した正になった。正はもと征服を意味し、征服した人々から税を徴収し、納税義務を強制することを正当化し、これを正義とした。[字統]
意味 (1)ただしい(正しい)。「正義セイギ」 (2)ただす(正す)。「校正コウセイ」 (3)ちょうど。まさ(正)。「正午ショウゴ」 (4)本当の。本来の。「正体ショウタイ」「正味ショウミ」(本来の部分) (5)年の初め。「正月ショウガツ

イメージ  「都邑を攻撃し支配する」 (正・征・政)
       「ただしい・ただす」 (整・柾) 
       正の意味④の 「本当の」 (証・症)
       「同音代替」 (鉦)
音の変化  セイ:正・征・政・整  ショウ:証・症・鉦  まさ:柾

都邑を攻撃し支配する
 セイ・うつ・ゆく  彳部
解字 「彳(ゆく)+正(都邑を攻撃し支配する)」 の会意形声。正が正しい意となったため、征の字で、まっすぐ進み城壁の中の敵をうつ(征服する)意を示す。
意味 (1)ゆく(征く)。敵をめがけて進む。「出征シュッセイ」「征旅セイリョ」(遠征の軍) (2)うつ(征つ)。攻めて滅ぼす。「征討セイトウ」(攻めて討つこと。征も討も、うつ意)「征服セイフク」「(征(う)って服従させる) (3)もとめる。とりたてる。「征税セイゼイ」(税をとりたてる)
 セイ・ショウ・まつりごと  攵部
解字 「攵ボク(=攴。うつ)+正(都邑を攻撃し支配する)」 の会意形声。都邑を攻撃して支配し、人民をたたいて納税させさせ、世の中を治めること。これが政の基本である。
意味 (1)まつりごと(政)。世の中を治めること。「政治セイジ」「行政ギョウセイ」 (2)物事をおさめること。「家政カセイ」「財政ザイセイ

ただしい・ただす
 セイ・ととのえる・ととのう  攵部
解字 「束(薪などをたばねる)+攵(=攴。うつ)+正(ただす・きちんと)」 の会意で、薪などの束ねたものを打ってきちんと整える意。
意味 (1)ととのえる(整える)。ととのう(整う)。「整理セイリ」「整頓セイトン」「均整キンセイ」 (2)きちんとそろって半端のないこと。「整数セイスウ」(小数点以下の端数をもたない数字)
<国字> まさ  木部
 柾目と板目
解字 「木(木材)+正(ただしい・まっすぐ)」の会意。木目のゆがんでいない、まっすぐな木材。
意味 まさ(柾)。木材の木目が縦にまっすぐ通っているもの。「柾目まさめ」⇔「板目いため

本当の
 ショウ・あかし  言部 
解字 「言(ことば)+正(本当の)」 の会意形声。本当のことを言うこと。篆文には証と證の2種があり、旧字まで両方が使われていたが、新字体で証に統一された。
意味 (1)あかす。「証言ショウゲン」 (2)事実を述べて裏づける。「証明ショウメイ」「証左ショウサ」 (3)あかし(証)。しるし。「物証ブッショウ」「証文ショウモン
 ショウ  疒部
解字 「疒(やまい)+正(=証。しるし)」 の会意形声。病気のしるしが出るさま。
意味 病気のしるし・状態。外にでた特徴。「症状ショウジョウ」「炎症エンショウ」「軽症ケイショウ」「重症ジュウショウ」「症候ショウコウ」(身体に表れた病状の変化)

同音代替
 ショウ・かね  金部
解字 「金(金属)+正(ショウ)」 の形声。ショウは鍾ショウ(かね)に通じ、金属製の楽器である「かね」の意。中国では軍隊で用いられた。日本では雅楽や念仏に用いる楽器をいう。
 中国の鉦
意味 (1)かね(鉦)。どら。軍隊で用いる打楽器の一つ。行軍のときの合図に用いた。 (2)[国]仏具のたたきがね。 (3)[国]雅楽の打楽器の一つ。 (4)「鉦鼓ショウコ」とは、①軍の合図に使う鉦かねと太鼓。②仏具の青銅製のまるいかね。③雅楽に使う銅製の打楽器。
<紫色は常用漢字>

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音符 「昆コン」 <昆虫の象形>

2018年01月16日 | 漢字の音符
 コン  日部

解字 小虫が飛んでいる形の象形。比の部分は小虫の足のかたちである。昆虫の意味を表わす[字統]。昆虫は群れをなして棲むので、「非常に多い」意がある。なお、「兄」の意味は仮借カシャ(当て字)の用法。
意味 (1)むし。「昆虫コンチュウ」 (2)非常に多い。「昆布コンブ」(まとまって多く生える布のような海藻) (3)あに(昆)。「昆弟コンテイ」(兄と弟)
覚え方 らりらりとまう虫 (「漢字川柳」を参考)

イメージ  「昆虫」 (昆) 
       昆虫は「群がりあつまる」 (混・焜・鯤) 
       群集してかたまり 「まるくなる」 (棍)
       「コンの音」 (崑)
音の変化 コン:昆・混・焜・鯤・棍・崑

群がりあつまる
 コン・まじる・まざる・まぜる・こむ  氵部
解字 「氵(みず)+昆(群がりあつまる)」 の会意形声。昆には虫が群集する・こみ合う意味がある。混は、水の上に多くのものが集まって混み合うこと。また、水が動くとまじる意ともなる。
意味 (1)こみあう。こむ(混む)。入り乱れる。「混雑コンザツ」「混乱コンラン」 (2)まぜる(混ぜる)。まじる(混じる)。「混合コンゴウ」「混入コンニュウ」「混迷コンメイ
 コン  火部
解字 「火(ひ)+昆(群がりあつまる)」 の会意形声。群がりあつまる火で、かがやく・ひかる意、日本では、炉の中の群がる火で焜炉の意で使われる。
意味 (1)かがやく。ひかる。「焜輝コンヨウ」(かがやかす。焜も輝も、かがやく意) (2)[国]「焜炉コンロ」(本来は運搬可能な小型の調理用の炉。現在は調理用加熱器の類をいう)「電気焜炉」「ガス焜炉」
 コン  魚部
解字 「魚(さかな)+昆(群がりあつまる)」 の会意形声。群がりあつまってぎっしりと詰まっている魚の卵をいう。また、想像上の大魚の意味で使う。
意味 (1)はらご。魚のたまご。 (2)北海にすむという想像上の大魚の名。「鯤鵬コンホウ」(想像上の大魚と大鳥)

まるくなる・まるい
 コン   木部
 棍棒
解字 「木(き)+昆(まるい)」 の会意形声。先に丸くふくらんだものをはめこんだ木の棒。打撃具として使われた。のち、木の先を太くした棒や、木の棒にもいう。
意味 (1)先が丸い木の棒。先が太い木の棒。木の棒。「棍棒コンボウ」(①先が太い棒。木の棒。②[国]体操競技で使うとっくり形の木の棒) (2)わるもの。ごろつき。「棍徒コント

コンの音
 コン   山部
解字 「山+昆(コン)」 の形声。コンという名の山。
意味 「崑崙コンロン」という山の名に使われる字。天の仙人が地上に降りて住む山で、仙女の西王母がいるとされた。 (1)崑崙は中国西方の伝説上の霊山。 (2)崑崙山脈の略。チベット高原の北を東西に走る山脈。
<紫色は常用漢字>

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音符 「賛 サン」 <財貨を差し出して助ける>

2018年01月13日 | 漢字の音符
[贊]  サン・たたえる  貝部

解字 旧字は贊で、「貝(財貨)+兟シン」 の会意。兟は先(進む足さき)を二つ並べ「そろって進む」意。それに貝(財貨)を加えた贊サンは、財貨を持ち大勢がそろって進み、相手に差し出すこと。相手を助けて賛成する意となる。転じて、相手をたたえる意ともなる。新字体は旧字の兟⇒夫夫に変化した。夫に変わっても「夫(おとこ)二人が貝(財貨)を差し出してたすける」と解釈することができる。
意味 (1)たすける(賛ける)。力を添える。「賛助サンジョ」「協賛キョウサン」 (2)同意する。「賛成サンセイ」「賛同サンドウ」 (3)ほめる。たたえる(賛える)。「賛美サンビ=讃美)」

イメージ  「たたえる」 (賛・讃)
       旧字の贊に含まれる兟シンの意である 「先へ進む」 (鑽)
音の変化  サン:賛・讃・鑽

たたえる
讃[讚] サン・ほめる・たたえる  言部
解字 旧字は讚で、「言(ことば)+贊(たたえる)」 の会意形声。言葉で相手をたたえること。新字体に準じ、賛を用いた讃が通用する。常用漢字でないため、現代表記では多くが賛に置き換える。
意味 (1)ほめる(讃める)。たたえる(讃える)。「讃美サンビ=賛美」「賞讃ショウサン=賞賛」「画讃ガサン=画賛」(絵などに書き添える詩や文) (2)仏の功徳をほめたたえる言葉。「和讃ワサン」(和語で讃える)「梵讃ボンサン」(梵語で讃える。仏教の声明ショウミョウのひとつ) (3)地名。「讃岐さぬき」(香川県の旧国名=讃州サンシュウ

先に進む
鑽(鑚) サン・きり・きる  金部
解字 「金(金属)+贊(先へ進む)」の会意形声。先へ進んで穴をあける金属の工具。
意味 (1)きり(鑽)。錐スイとも書く。物に穴をあける工具。 (2)きる(鑽る)。きりもみする。ほる。うがつ。「鑽(き)り火」(きりもみした熱で起こした火)「鑽灼サンシャク」(鑽はうがつ、灼は焼く。穴をうがって焼くこと。占いのため亀甲に穴をうがって焼くこと) (3)物事を深くきわめる。「研鑽ケンサン」(研究。学問など深くきわめる)
<紫色は常用漢字>

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紛らわしい漢字 「朿シ」「刺シ」 と 「束ソク」「剌ラツ」

2018年01月12日 | 紛らわしい漢字 
  「朿シ」と「束ソク」の違いは、木のあいだに「朿シ」は冂が入り、「束ソク」は口が入っていることである。冂と口の意味の違いが、この両字の違いになる。

               シ <とげ>
 シ・セキ  木部

解字 甲骨文は矢の形が含まれているもの(第一字)があり、武器の一種の象形。先が尖った武器であろう。[甲骨文字辞典]によると、意味は①武人、②軍事攻撃や狩猟、③軍事駐屯地など。金文もほぼ同じ形だが、篆文で木が含まれる形に変化したので、後漢の[説文解字]は、木のトゲと解釈した。武器の意味は、古代文字が「朿(武器の一種)+貝(財貨)」である責セキに含まれるが、音符「朿シ」のイメージは「とげ」で解釈できるので(同音代替をのぞく)、意味も「とげ」であることから、刺(さす・とげ)の原字としてさしつかえないと思う。部首は木部。
意味 とげ。草木のとげ。のぎ(芒)。
覚え方 にとげ()がはえた、(とげ) 
 ※冂ケイは、とげの意味はないが、朿では字源からみてトゲ(武器の尖った先)の一部を表している。

イメージ  「とげ」 (朿・刺) 
       「同音代替(サク)」 (策)
音の変化  シ:朿・刺  サク:策
と げ
 シ・さす・ささる・とげ  刂部
解字 「刂(刀)+朿(とげ)」 の会意形声。とげのようにとがった刀。この刀でさすこと。また、トゲの意味で用いられる。
意味 (1)さす(刺す)。つきさす。ささる(刺さる)「刺客シカク」(暗殺をおこなう人)「刺激シゲキ」「刺繍シシュウ」「刺青シセイ・いれずみ」 (2)相手の弱みをつく。そしる。なじる。「風刺フウシ」 (3)とげ(刺)。とがったもの。はり。「有刺鉄線ユウシテッセン」 (4)(刺して)様子をさぐる。「刺探シタン」(漢方で針を刺して病気の所在を探る)「名刺メイシ」(①名前や来訪目的を木竹簡に書いて玄関で渡し面会を探るもの。②姓名・住所・職業などを印刷した紙片)「刺を通ず」(名刺を渡して面会を求める)「刺謁シエツ」(名刺を渡して目上の人に会う)
同音代替
 サク ・むち・ふだ・はかりごと  竹部
解字 「竹(たけ)+朿(サク)」 の形声。サクは、A 責(サク・セキ)、B 冊(サク・サツ)に通じる。
A「竹+サク(責サク・セキ:せめる)」で、竹で馬を責める。むちの意。また、竹のむちが転じて、つえの意ともなる。
B「竹+サク(冊サク・サツ:ふだ)」で、竹のふだ、竹簡・文書の意。
意味 A(1)むち(策)。むちうつ。「策馬サクバ」(馬をむちうつ) (2)つえ。つえをつく。「散策サンサク」(杖をついて散歩するようにぶらぶら歩く) B(3)ふだ(策)。ふみ。書きつけ。「簡策カンサク」(手紙)「対策タイサク」(相手の策(ふみ)に対応する。転じて、相手や事件の状況に応じてとる方法) (4)はかりごと(策)。「策略サクリャク

               ソク <木をたばねる>
 ソク・たば  木部

解字 甲骨文字から現代字まで、木の枝と根本のあいだに〇や口を描き、(複数の)木を縄などでたばねるさま。甲骨文字では2か所をたばねるものもある。木以外にも、糸や髪などを紐などでたばねる意となる。
意味 (1)たばねる(束ねる)。たば(束)。ひとまとめに括ったもの。「束髪ソクハツ」「束縛ソクバク」「束子たわし」 (2)つなぎとめる。「拘束コウソク」(自由に行動させない) (3)[国]つか(束)。①指4本を握った幅。②短い時間。「束の間」③短い木材。「束柱つかばしら」(床の下などに立てる短い柱)

イメージ  「たばねる」 (束)
       束ねるとき「引き締める・つめる」 (速・勅)
音の変化  ソク:束・速  チョク:勅
引き締める・つめる
 ソク・はやい・はやめる・はやまる・すみやか  之部
解字 「之(ゆく)+束(引き締める・つめる)」 の会意形声。行く行程で、かかる時間を引き締める(つめる)こと。時間を短くすることから、はやく行く意となる。
意味 (1)はやい(速い)。すみやか(速やか)。「速達ソクタツ」「速断ソクダン」 (2)はやさ「速度ソクド」「速力ソクリョク
[敕] チョク・みことのり  力部
解字 「力(ちから)+束(引き締める)」  の会意。力を込めて引き締めること。旧字は敕で「攵(うつ)+束(引き締める)」 で、打って引き締める意。「勅」は、もと「敕」の俗字として用いられていた。
意味 (1)いましめる。「勅戒チョッカイ」(いましめ) (2)みことのり(勅)。天皇のおおせ。「勅命チョクメイ」「勅語チョクゴ」(3)天皇に関係する物事に添える語。「勅撰チョクセン」「勅使チョクシ

              ラツ <はげしい>
 ラツ  刂部          

解字 「束ソク+刂(刀)」 の会意。束はものをしっかり束ねている形。そこに刀が付き、「まとまっていたものが切り離される」「統制がとれない・そむく」意となる。
意味 (1)もとる。たがう。そむく。 (2)勢いよくとびはねるさま。「溌剌ハツラツ
注意 「刺」(さす)と間違いやすいので注意。

イメージ  まとまっていたものが「とびちる」 (剌・溂・喇)
       飛び散る様子から「はげしい」 (辣)
音の変化  ラツ:剌・溂・喇・辣
とびちる
 ラツ  氵部
解字 「氵(水)+剌(とびちる)」 の会意形声。水のしぶきがとびちるさま。勢いのよいさま。
意味 勢いのよいさま。「溌溂ハツラツ」(魚が勢いよくはねるさま。生き生きと元気なさま=溌剌)
 ラツ  口部
解字 「口(くち)+剌(とびちる)」の会意形声。口から勢いよく言葉が出ること。
意味 (1)おしゃべり。はやくち。 (2)外国語の音訳字。「喇叭ラッパ
はげしい
 ラツ  辛部
解字 「辛(はり・からい)+剌の略体(はげしい)」 の会意形声。辛は針の形で、針が舌をさすような辛さの意。辣は、はげしいからさを表わす。また、物事がきびしい意。
意味 (1)からい。ぴりっとからい。「辣油ラーユ」(からい調味料。ラの発音は現代中国音) (2)きびしい。はげしい。むごい。「辣腕ラツワン」(うできき。すご腕)「辛辣シンラツ」(手厳しい)
覚え方 らばで向かおう、腕家ラツワンカには辛シンラツに (「漢字川柳」を参考)
<紫色は常用漢字>

参考 音符「朿シ」
    音符「束ソク」


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