漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「師シ」 <軍の師団> と 「遣ケン」

2016年05月24日 | 漢字の音符
 シ  巾部            

解字 「帀(かたな)+二枚の祭肉(タイ)」 の会意。二枚の祭肉は軍が奉ずる祭礼用の肉。軍隊が途中で軍を分けて行動するとき、その祭肉を分け、持たせて出発させる。その祭肉を刀で切る形が師で、師とは軍隊の分けられた師団のこと。また、その師団を率いる人から転じて、後に、教え導く人の意となった[字統]。
意味 (1)軍隊。いくさ。「師団シダン」「師旅シリョ」(古代中国の軍隊組織で500人を「旅」といい、五旅を「師」と言った。また五師で「軍」を構成した) (2)多くの人の集まる所。みやこ。「京師ケイシ」(みやこ。京都) (3)先生。「教師キョウシ」「師範シハン」(4)専門的な技術をもった人。「医師イシ」「絵師エシ」(5)「師走しわす」とは、日本で12月の異称。

イメージ 「祭肉を奉ずる軍隊」 (師・帥)
      「シ・サイの音」 (獅・篩)
      「師走(12月)」 (鰤)
音の変化  シ:師・獅  サイ:篩  スイ:帥  ぶり:鰤

祭肉を奉ずる軍隊
 スイ・ひきいる  巾部
解字 「巾(はた)+師の左辺(=師。祭肉を奉ずる軍隊)」  の会意。旗幟で軍隊を率いること。
意味 (1)ひきいる(帥いる)。したがえる。(2)軍をひきいる最高の将官。「元帥ゲンスイ

シ・サイの音  
 シ  犭部
解字 「犭(けもの)+師(シ)」 の形声。シと呼ばれる獣。ライオンは、サンスクリット語でシンハ、シンハラ語でシーハと呼ばれており、最初のシ・シーの音を師で表し、犭へんを付けた字。獅子の二語でライオンを表す。
意味 しし(獅子)。ライオン。また、ライオンに似た想像状の動物。「唐獅子からじし」(日本のしし[鹿・猪]と区別する言い方)「獅子舞ししまい
 サイ・シ・ふるい・ふるう  竹部
解字 「竹+師(サイ)」 の形声。サイは西サイに通じる。西はもと、竹かごの象形で「にし」の意は仮借カシャ(当て字)の用法。篩は目のつまった竹かごで、中にものを入れて振り、大小を選別すること。
意味 (1)ふるい(篩)。曲げ物などの底に網(以前は竹で編んだ網)をはった道具で、中にいれたものを振り動かして大小を選別する。(2)ふるう(篩う)。ふるいにかける。

師走(12月)  
<国字> ぶり  魚部
解字 「魚(さかな)+師(=師走)」 の会意。師は、師走(しわす)の意で12月を表す。鰤は、石川県から関西地方では歳取り魚とされ、年末年始に食べる文化があり、年末の12月に鰤を買うことから師走の魚の意。
意味 ぶり(鰤)。アジ科の海水魚。全長約1.5メートル。温帯性の回遊魚で、夏季に日本の沿岸沿いに北上し、冬季に南下する。成長するにつれて名前が変わる出世魚で最後の名前がブリとなる。定置網や1本釣りで漁獲される。俳句の季語は冬。「寒鰤カンぶり」(冬の日本海で漁獲される大きな鰤で美味)



              ケン <軍隊をつかわす>
 ケン・つかわす・つかう・やる  之部       

解字 金文は二枚の祭肉を両手で奉げる形。篆文はそれに辵チャク(=之。ゆく)がついて、祭肉を両手で奉げ持って行く形。本隊から分かれる軍が祭肉を奉じてつかわされること。現代字は、篆文の両手で持つ形 ⇒「中+一」に、二つの祭肉⇒呂の変形になった遣に変化した。
意味 (1)つかわす(遣わす)。やる(遣る)。さしむける。「派遣ハケン」「遣唐使ケントウシ」(2)[国]つかう(遣う)。使用する。「金遣(かねづか)い」「仮名遣(かなづか)い」(3)〜しむ。せしむ。使役の助字。

イメージ  「軍隊をつかわす」 (遣・譴)
       「その他」 (鑓)
音の変化  ケン:遣・譴  やり:鑓

軍隊をつかわす
 ケン・せめる  言部
解字 「言(ことば)+遣の旧字(軍隊をつかわす)」 の会意形声。軍隊をつかわし武力を背景にして話すこと。威圧的に相手をせめる・とがめる意となる。
意味 せめる(譴める)。とがめる。「譴責ケンセキ」(,△笋泙舛簓埓気鬚箸めること。公務員などの過失にたいする懲戒処分のひとつ)

その他
 <国字> やり  金部
解字 「金(金属)+遣の旧字(やり=やるの連用形)」 の会意。遣ケンは日本語で「やる(遣る)」の訓があり、その連用形「やり(遣り)」を鎗やりに掛けた国字。
意味 やり(鑓)。やり(槍)。やり(鎗)。武器の一種。長い柄の先に先を尖らせた刃をつけた武器。
<紫色は常用漢字>

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音符 「睪エキ」 <次々とつらなる> と 「駅エキ」

2016年05月23日 | 漢字の音符
 エキ・タク・ト  罒部  

解字 「罒(め)+幸(手かせ。手かせをした罪人)」の会意。手かせをはめた罪人を、数珠つなぎにして歩かせ、目で見て面通しをするさま。○―○―○の形に次々と並べて、その中から選びだす意[学研漢和]。なお[字統]は、獣の死体が風雨にさらされて分解する状態で、目の部分があたま、幸の部分が肢体とする。いずれの解釈をとっても、睪を音符に含む字は、「次々とつらなる」「並べた中から選び出す」イメージを持つ。(漢字を記憶するためには学研漢和のほうが覚えやすい)。新字体の音符になるとき「尺」が用いられる。

イメージ 「次々とつらなる」(駅・沢・釈・懌・鐸・繹)
      「並べた中から選び出す」(択・訳)
音の変化  エキ:駅・懌・繹  シャク:釈  タク:沢・鐸・択  ヤク:訳

次々とつらなる
 エキ・うまや  馬部
解字 旧字は驛で、「馬(うま)+睪(次々とつらなる)」の会意形声。乗り換えのための馬を置いた「うまや」が次々とつらなること。馬を置いた中継所をいう。新字体は駅に変化。
意味 (1)うまや(駅)。馬を置いた中継所。「駅馬エキバ」(駅に用意し官用に使う馬)「駅鈴エキレイ」(公務出張の折、駅馬を使用できる印の鈴)「駅伝エキデン」(駅から駅へと人や馬が交代しながら伝えてゆくこと) (2)鉄道の停車場。「駅舎エキシャ」「駅弁エキベン
 タク・さわ  氵部   
解字 旧字は澤で、「氵(水)+睪(次々とつらなる)」の会意形声。水が浅くたまって続いているところをいう。水分がたくさんあるところから、うるおう・うるおす意ともなる。また、体から分泌する液体(汗や脂)の意にも用いたため、脂でひかることから、「つや」の意ともなる。新字体は沢に変化。
意味 (1)さわ(沢)。水たまりと草地がつながる湿地。また、よどみが連なる山間の渓谷。「沼沢ショウタク」(沼と沢) (2)うるおう。めぐみ。「潤沢ジュンタク」(潤も沢も、うるおう意。また、十分ゆとりがあること)「沢山タクサン」(十分あること)「沢雨タクウ」(めぐみの雨) (3)つやのあるさま。「光沢コウタク」(なめらかな面が光を受けて輝く)
 シャク・とく  釆部  
解字 旧字は釋で、「釆ハン(分ける)+睪(次々とつらなる)」の会意。釆は、けものの指の分かれた形の象形で、分ける意。釈は次々とつらなっているものを分けて解き放つこと。解く意となる。転じて、解き明かす意ともなる。新字体は釈に変化。
意味 (1)ときはなつ。ほどく。ゆるす。「釈放シャクホウ」「保釈ホシャク」 (2)とく(釈く)。ときあかす。「解釈カイシャク」「注釈チュウシャク」 (3)言い訳をする。「釈明シャクメイ」 (4)薄める。「希釈キシャク」 (5)仏や仏教を表わす語。「釈迦シャカ」「釈門シャクモン
 エキ・よろこぶ  忄部
解字 「忄(こころ)+睪(=釋・釈の略。ときはなつ)」 の会意形声。心がときはなたれて感じるよろこび。
意味 よろこぶ(懌ぶ)。たのしむ。「欣懌キンエキ」(欣も懌も、よろこぶ意)「懌悦エキエツ」(懌も悦も、よろこぶ意)
 タク  金部  
解字 「金(金属)+睪(つらなる)」の会意形声。もと、並べ吊るして使う鈴に似た楽器。のち、一つ一つの鈴を言うようになった。
 銅鐸
意味 (1)祭礼の大鈴。「銅鐸ドウタク」(青銅製の釣鐘形の楽器。古代、西日本で祭器として使われた) (2)大きな鈴。鈴。「金鐸キンタク」(舌が金属でできた鈴)「木鐸ボクタク」(舌が木でできた鈴。法令を人民に示すとき鳴らした。∪い凌佑魘気導く人)
 エキ  糸部
解字 「糸(いと)+睪(次々とつらなる)」の会意形声。糸がもつれずに次々と引き出されること。
意味 (1)引く。糸を引き出す。ぬく。 (2)つらなる。つらなりつづく。「絡繹ラクエキ」(絶え間なく続くこと)「繹騒エキソウ」(さわぎが続く)(3)のべる。陳述する。「演繹エンエキ」(^譴弔了柄から他の事柄に押し広めて述べる。 deduction(推論の結果)の訳語。前提を認めるなら結論も認めざるをえないもの。数学における証明などをいう)
    
並べた中から選び出す
 タク・えらぶ  扌部   
解字 旧字は擇で、「扌(て)+睪(並べて選ぶ)」の会意形声。並べた中から選び出すこと。新字体は択に変化。
意味 えらぶ(択ぶ)。えらびとる。「選択センタク」「択一タクイツ」(二つ以上の中から一つを選ぶ)「採択サイタク」(えらびとる)
 ヤク・わけ  言部  
解字 旧字は譯で、「言(ことば)+睪(並べて選ぶ)」の会意形声。いろんな言葉から最も適当なものを選んで異民族の言葉を通訳すること。新字体は訳に変化。
意味 (1)やくす(訳す)。「翻訳ホンヤク」「通訳ツウヤク」 (2)訳したもの。「英訳エイヤク」 (3)[国]わけ(訳)。意味。ゆえ。いわれ。
<紫色は常用漢字>

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音符「匊キク」 <まるく包む> と 「菊キク」 

2016年05月20日 | 漢字の音符
 キク  勹部つつみがまえ

解字 金文・篆文とも、「米(こめつぶ)+勹(つつむ)」 の会意。勹ホウは、人が身体をまげたかたちで、つつむ意。これに米を合わせた匊キクは米をつつむようにすくいとる形。掬キク(すくう)の原字。単独では使われないが、「まるく包む」イメージをもつ。
意味 すくう。

イメージ  「まるく包む」 (菊・掬・鞠・麴)
音の変化  キク:菊・掬・鞠・麴

まるく包む
 キク・すくう  扌部
解字 「扌(手)+匊(まるく包む)」 の会意形声。手のひらをまるくしてすくいとること。
意味 すくう(掬う)。むすぶ。両手ですくいあげる。「掬水キクスイ」(両手で水をすくう)「掬飲キクイン」(すくって飲む)
 キク  艸部 
 花弁がまるく包む菊の花
解字 「艸(くさ)+匊(まるく包む)」 の会意形声。多くの花弁がまるく包むように集まる菊の花の意。
意味 きく(菊)。キク科の多年草。「菊花キッカ」「菊月キクゲツ」(旧暦九月の別名)「残菊ザンギク」(秋の末に咲き残った菊の花)
 キク・まり  革部
解字 「革(かわ)+匊(まるく包む)」 の会意形声。革で外をまるく包んだまり。また、「身+匊(まるく)」 の身匊キク(これで一字。身をまるくかがめる)に通じ、身をかがめて子を抱き育てる意味にも使われる。
意味 (1)まり(鞠)。けまり。「蹴鞠けまり」「鞠庭まりば」(蹴鞠をおこなう場所) (2)やしなう。そだてる。「鞠育キクイク」(養い育てる)
麴[麹] キク・こうじ  麥部むぎ
解字 正字は、「麥(むぎ)+匊(まるく包む)」 の会意形声。蒸した麦(大麦)の表面をまるく包むように繁殖するこうじカビ(菌)をいう。麦を材料としたこうじ菌の意だが、米や豆のこうじも含めて言う。現在は新字体に準じた「麦+匊」の麹が通用する。
意味 こうじ(麹)。糀こうじとも書く。米や麦・豆などを蒸して、こうじかびを生じさせたもの。酒・味噌・醤油などを造るのに用いる。「麹菌こうじキン」「麹室こうじむろ」(麹をつくるための温室)「麹花こうじばな」(蒸した米に麹菌がついて淡黄色になったもの)
<紫色は常用漢字>

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音符 「旁ボウ」 <かたわら・ひろがる>

2016年05月16日 | 漢字の音符
 ボウ・ホウ・かたわら・つくり  方部

解字 甲骨文と金文は、「凡ボン・ハン(木製の容器)+方(四方)」の会意形声。 凡は、木製の角ばった水槽などの象形と考えられる。盤バン・ハン(たらい・はち・大さらなどの器)にも通じ、どこの家にもある容器なので、すべて・みなの意となる。そこに方(四方)がついた旁は、あまねく・ひろい意味を表わす。また、ひろがった周辺の意から、、かたわらの意となる。篆文から字形がおおきく変形し、現代字は旁となった。人のついた傍の字を、ごろ合わせで覚えておくと、この字も書けて便利。
 「かたわら」の意は、日本では人をつけた傍ボウが受け持っており、現在、旁の字は、漢字の「つくり(旁)」の意がポピュラーである。なお、あまねくの意は、「ひろがる」イメージで音符となる。
意味 (1)あまねく。ひろい。「旁引ボウイン」(広く調べ出す。広く考証する。博引。)「博引旁証ハクインボウショウ」(広く引用し広く証拠を示して説明する) (2)かたわら(旁ら)。(=傍ら) (3)つくり(旁)。漢字の右辺の部分。

イメージ  「かたわら」 (旁・傍・榜・牓)
       あまねくの意から 「ひろがる」 (膀・謗)
       「その他」 (蒡)
音の変化  ボウ:旁・傍・榜・牓・膀・謗・蒡

かたわら
 ボウ・かたわら・はた  イ部
解字 「イ(人)+旁(かたわら)」 の会意形声。かたわらにいる人。転じて「かたわら」の意となる。旁が、あまねく・かたわら両方の意があるので、人をつけて、かたわらの意を明確にした字。
意味 (1)かたわら(傍ら)。はた(傍)。そば(傍)。わき(傍)。「傍線ボウセン」(文字や文章のわきに引く線)「傍観ボウカン」(かたわらで見る)「傍若無人ボウジャクブジン」(傍らに人無きが若(ごと)し) (2)分かれた。派生した。「傍系ボウケイ」「傍流ボウリュウ」「傍証ボウショウ」(証拠となる傍系の資料。間接の証拠)  
覚え方 ひと()たつわ(立ワ)ほう()ぼうに 観者 (※立の下とワの上は重なる)
 ボウ  木部
解字 「木(いた)+旁(かたわら)」 の会意形声。道や建物のかたわらに立てた木製の掲示板。
意味 (1)たてふだ。掲示板。「榜札ボウサツ」(たてふだ)。(2)官吏登用試験の合格者を発表する掲示板。「金榜キンボウ」(金色の字で書いた合格者の掲示板)「榜元ボウゲン」(官吏登用試験の首席合格者) (2)かかげしめす。「標榜ヒョウボウ」(かかげあらわす)
 ボウ  片部
 牓示石
解字 「片(木の板)+旁(かたわら)」 の会意形声。土地の境界(かたわら)に立てた目印の木札。
意味 (1)たてふだ。「牓札ボウサツ」(たてふだ=榜札)(2)境界の表示札。「牓示ボウジ」(木の杙くいや石などで領地の境界を標示したもの)「牓示杙ボウジぐい」(荘園などのさかいぐい)「牓示石ボウジいし」(荘園などの境界石)

ひろがる
 ボウ  月部にく
解字 「月(からだ)+旁(ひろがる)」 の会意形声。尿をためて拡がる体の器官の膀胱ボウコウに使われる。なお、「月(からだ)+旁(かたわら)」 の意から、身体のわきの意もある。
意味 (1)「膀胱ボウコウ」(ゆばりぶくろ)に使われる字。旁ボウも光コウ(光がひろがる)も、ひろがる意。これに肉月をつけて身体のなかで尿をためて拡がる器官を表した。 (2)わき。わきばら。
 ボウ・そしる  言部
解字 「言(いう)+旁(ひろげる)」 の会意形声。人々の前でひろく言いふらすこと。特に相手の欠点をあげつらう言葉をいうことをいう。
意味 そしる(謗る)。悪口をいう。「謗言ボウゲン」「誹謗ヒボウ」(誹も謗も、そしる意)

その他
 ボウ  艸部
 葉付きの牛蒡
解字 「艸(草)+旁(ボウ)」の会意形声。ボウという名の草。音符のイメージは不明。葉が大きくひろがる意か。
意味 牛蒡ゴボウに使われる字。牛蒡はキク科の二年草。古くは薬草として中国から伝来。日本では根菜として栽培される。牛は草木の大きいものに冠され、蒡ボウのなかでも大きいものを指して言った言葉。
<紫色は常用漢字>
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音符「羊ヨウ」<ひつじ>と 「羔コウ」<こひつじ>

2016年05月14日 | 漢字の音符
 ヨウ・ショウ・ひつじ  羊部

解字 前からみた羊の象形。羊の角の下部に羊のからだを描いている。牛が角を上に向けて描かれているのに対し、羊は角を下に向けている。ひつじの意を表す。羊は古くから家畜として飼われ、毛は毛織物、肉は食用として利用された。古代の中国人にとって重要な動物で神事に使われることも多かった。また、羊の字はその発音:ヨウ・ショウで同音代替されることが多い。
意味 ひつじ(羊)。ウシ科の哺乳類。「羊毛ヨウモウ」「牧羊ボクヨウ

イメージ  「ひつじ」 (羊・養・祥・詳・遅・美・躾・様)
       「同音代替」 (洋・痒・恙・翔・窯)
音の変化  ヨウ:羊・養・様・洋・窯・痒・恙  ショウ:祥・詳・翔  
        チ:遅  ビ:美  しつけ:躾

ひつじ
 ヨウ・やしなう  食部

解字 「食(たべる)+羊の略体(ひつじ)」 の会意形声。羊の肉を食べて力をつけること。なお、甲骨文・金文は「羊+攴(うつ)」の形で、羊を放牧しムチを打って群れを誘導しながら飼う意。途中から字形が変わった。従って、放牧して飼う・育てる意と、羊の肉を食べて養生する意がある。
意味 (1)やしなう(養う)。育てる。世話をする。「養育ヨウイク」 (2)飼う。「養蚕ヨウサン」「養殖ヨウショク」「養鶏ヨウケイ」 (3)身体を大事にする。「養生ヨウジョウ」「静養セイヨウ」  (4)心をやしなう。「教養キョウヨウ」「修養シュウヨウ
 ショウ・さいわい ネ部
解字 「ネ(示:祭壇)+羊(ひつじ)」 の会意形声。羊を神にそなえて願うこと。すると、神からの前ぶれが表れること。その結果、さいわいがもたらされる。
意味 (1)きざし。前ぶれ。「祥雲ショウウン」「祥瑞ショウズイ」(めでたい前ぶれ) 「発祥ハッショウ」(‥兄劼箸覆襪瓩任燭い靴襪靴あらわれること。∧事が起こりあらわれること)「発祥地ハッショウチ」(ある物事が初めて起こりあらわれた土地)(2)さいわい(祥い)。さち。めでたいこと。「吉祥キッショウ」(めでたいきざし)
 ショウ・くわしい・つまびらか  言部
解字 「言(ことば)+羊(=祥。羊を神にそなえる)」 の会意形声。羊を神にそなえて願った結果、出てきた前ぶれをくわしく話すこと。
意味 くわしい(詳しい)。つまびらか(詳らか)。「詳細ショウサイ」「詳報ショウホウ
[遲] チ・おくれる・おくらす・おそい  之部
解字 「之(ゆく)+尸(尾の略体)+羊(ひつじ)」 の会意。歩みの遅い動物である羊の尻尾を見ながら行くこと。旧字体は、羊の尾でなく犀サイになっている。
意味 (1)おそい(遅い)。のろい。にぶい。「遅遅チチ」「遅筆チヒツ」 (2)おくれる(遅れる)。間に合わない。「遅刻チコク」「遅延チエン」「遅配チハイ
 ビ・うつくしい  羊部
解字 「羊(立派なひつじ)+大(おおきい)」 の会意。大きく立派な羊の意。大きな羊は、「すぐれる・よい」「うまい」意となり、さらにその良さを「たたえる」、最後に「美しい」意となる。
意味 (1)よい。すぐれる。「美徳ビトク」 (2)うまい。おいしい。「美味ビミ」「美酒ビシュ」 (3)ほめる。たたえる。「賛美サンビ」 (4)うつくしい(美しい)。きれい。「美人ビジン」「優美ユウビ
<国字> しつけ  身部
解字 「身(からだ)+美(うつくしい)」の会意。身のこなしを美しくするよう仕込む意。
意味 しつけ(躾)。礼儀作法などを身につけさせる。
[樣] ヨウ・さま  木部
解字 旧字は樣で 「木+永(ながく)+羊の略体(立派な羊)」 の会意形声。立派で永く生きている樹木(栃の木)。転じて、その立派な「すがた・かたち」の意。新字体は旧字の永⇒水に変化する。
意味 (1)さま(様)。ありさま。「様子ヨウス」「様相ヨウソウ」 (2)あや。図柄。「模様モヨウ」 (3)きまった形式。かた。「様式ヨウシキ」「仕様シヨウ」 (4)敬意を表す語。「上様うえさま

同音代替
 ヨウ  氵部
解字 「氵(水)+羊(ヨウ)」 の形声。ヨウは漾ヨウ(水の広大なさま・川の長いさま)に通じる。この意をうけて、洋はさらに広大な海の意として使われる。
意味 (1)大きな海。「海洋カイヨウ」「遠洋エンヨウ」 (2)世界を二つに分けたそれぞれの部分。「東洋トウヨウ」「西洋セイヨウ」 (3)西洋の略。「洋式ヨウシキ」「洋食ヨウショク
 ヨウ・かゆい  疒部
解字 「疒(やまい)+羊(ヨウ)」の形声。ヨウは瘍ヨウ(かさ・できもの)に通じる。痒ヨウは、かさ・できもので病むこと。また、できものがかゆい意となる。
意味 (1)やむ(痒む)。 (2)かさ。できもの。はれもの。 (3)かゆい(痒い)。「痛痒ツウヨウ」(痛みと痒み)「掻痒ソウヨウ」(痒いところを掻く)「隔靴掻痒カッカソウヨウ」(靴を隔てて痒いところを掻く。もどかしい)
 ヨウ・つつが  心部
解字 「心(こころ)+羊の略体(=痒。やむ)」の会意形声。心が病むこと。すなわち、うれいをいう。
意味 つつが(恙)。 (1)病気。心配。憂い。「微恙ビヨウ」(気分が少しすぐれない)「恙無(つつがな)し」(うれいがない。平安無事である。) (2)ツツガムシ(恙虫)の略。ツツガムシ科のダニの総称。噛まれると高熱を発し感染症となる。
 ショウ・かける・とぶ  羽部
解字 「羽(はね)+羊(ショウ)」 の形声。ショウは升・昇ショウ(上にあがる)に通じ、鳥が羽で高く舞い上がること。
意味 鳥が羽を広げたまま空を旋回する。空高くとぶ。かける(翔る)。とぶ(翔ぶ)。「飛翔ヒショウ」(空高く飛ぶ)「高翔コウショウ」(高く飛ぶ)「翔破ショウハ」(長い距離をとびきる)
 ヨウ・かま  穴部
解字 「穴(あな)+灬(火)+羊の略体(ヨウ)」 の形声。ヨウは䍃ヨウ(かめ・もたい)に通じ、かめを丘の斜面の穴がまにいれて火で焼くこと。陶器を焼く穴窯や登り窯をいう。䍃に穴のついた窰ヨウは、窯の異体字。
意味 かま(窯)。すえもの。陶器。「窯業ヨウギョウ」(窯を用いる工業、陶磁器・ガラス・煉瓦などの製造業)「陶窯トウヨウ」(陶器を焼く窯)「窯変ヨウヘン」(窯の中で陶器の色や形に予期しない変化がおこること)



            コウ <こひつじ>
 コウ・こひつじ  羊部

解字 「羊の略体(ひつじ)+灬(火)」の会意。羊を丸焼きする形で、丸焼きするのに適している子羊をいう。
意味 こひつじ(羔)。羊の子。「羔裘コウキュウ」(子羊の皮で作った衣服)「羔羊コウヨウ」(子羊と大きな羊)
イメージ  「こひつじ」 (羔・羹)
音の変化  コウ:羔・羹

こひつじ
 コウ・カン・あつもの  羊部  
解字 「羔(こひつじ)+美(おいしい)」の会意形声。子羊のおいしい料理。子羊の肉を野菜と煮た、あつものが原義。子羊の肉に限らず、肉と野菜のあつものをいう。
意味 (1)あつもの(羹)。肉と野菜を混ぜて煮た熱い吸物。あつものとは熱物(あつもの)の意。「斎羹サイコウ」(精進料理のあつもの)「羹に懲りて膾(なます)を吹く」(熱い汁ものに懲りて、冷たい膾(魚や生肉を細く切ったもの)を吹いて食べる)(2)とろりとした濃いスープ。(3)「羊羹ヨウカン」(カンは唐音)とは、小豆を主体とした餡(あん)を型に流し込み寒天で固めた和菓子。最初は羊肉の濃いスープとして禅僧により中国から伝わったが、禅宗では肉食が禁じられているため、精進料理として羊肉の代わりに小豆を用いたものが、日本における羊羹の原型になったとされる。
<紫色は常用漢字>

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