漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「乍サク・サ」 <衣服をつくる形> と 「作サク」

2017年01月19日 | 漢字の音符
 私はこれまで「乍」を、字統の「木の枝をたわめて垣根などを作る作業」説で解字してきましたが、今回、「甲骨文字小事典」「甲骨文字辞典」の衣服をつくる形説が、縫い目のある異体字も出して説明しているので共感し、この説をもとに音符「乍」を作り直しました。  
 サ・サク・ながら  ノ部

解字  甲骨文は衣の下部を含んでいるので、衣服を作る形と考えられる。異体字には縫い目の状態を表したものもある[甲骨文字小事典]。金文は甲骨文字の面影を残すが、篆文から変化し現代字は乍になった。作サク(つくる)の原字で、のち人を加えた作ができたため、本来の意味でなく仮借カシャ(当て字)で「たちまち」「ながら」の意となる。音符イメージは「つくる」である。
意味 (1)たちまち(乍)。「乍存乍亡」(たちまち存し、たちまち亡ぶ。あるかと思えば、たちまち亡びる。物の存亡の急なこと) (2)[国]ながら(乍ら)。

イメージ  「仮借カシャ」 (乍)
       衣服を 「つくる」 (作・詐・窄・搾・炸)
       「同音代替」 (昨・酢・鮓)
音の変化  サク:作・窄・搾・炸・昨・酢  サ:乍・詐・鮓

つくる
 サク・サ・つくる  イ部
会意 「イ(人)+乍(つくる)」 の会意形声。人がものを作ること。
意味 (1)つくる(作る)。おこなう。はたらく。つくられたもの。「作文サクブン」「著作チョサク」「作為サクイ」 (2)耕す。実り。「耕作コウサク」「豊作ホウサク」 (3)ふるまい。うごき。「作法サホウ」「動作ドウサ
 サ・いつわる  言部
解字 「言(いう)+乍(つくりごと)」 の会意形声。つくりごとを言うこと。
意味 いつわる(詐る)。あざむく。だます。「詐取サシュ」(だまし取る)「詐欺サギ」(だまして利益を得る)「詐称サショウ」(偽って言う)
 サク・せまい・せばまる・すぼむ  穴部
解字 「穴(あな)+乍(つくる)」 の会意形声。衣服を作るとき、袖の穴をつくること。袖の穴は、①せまい、②布を縫い「せばめて」穴を作る意となる。
意味 (1)せまい(窄い)。心がせまい。「狭窄キョウサク」(狭も窄も、せまい意) (2)せばまる(窄まる)。すぼむ(窄む)。
 サク・しぼる  扌部
解字 「扌(手)+窄(せばめる)」 の会意形声。手でしめつけたり、しぼること。
意味 (1)しぼる(搾る)。「搾乳サクニュウ」「搾油サクユ」 (2)しめつける。「圧搾アッサク
 サク・サ  火部
解字 「火(ひ)+乍(つくる)」 の会意形声。火が急にできること。爆発などで火が飛び散る意となる。中国では、油で揚げる意にも用いる。
意味 (1)はじける。爆発する。「炸裂サクレツ」(爆弾などが爆発してはじけ散ること) (2)油であげる。また、あげもの。

同音代替
 サク・シャク  日部
解字 「日(その日)+乍(サク・シャク)」 の形声。シャクは昔シャク・セキ(むかし)に通じ、昔(前)の日、また、昔(前)の年を指す。
意味 (1)きのう。前日。「昨日サクジツ」 (2)前の年。「昨年サクネン」 (3)むかし。以前。「昨今サッコン」(このごろ。近い過去から現在まで)
 サク・シャク・す  酉部
解字 「酉(さけ)+乍(サク・シャク)」 の形声。シャクは昔シャク・セキ(むかし・日をかさねる)に通じ、酒が発酵してさらに日をかさねると酢酸発酵してできる酢。本字は醋サク
意味 (1)す(酢)。酸味のある調味料。解字で分かるように醋が本字。現代中国では醋を使う。「食酢ショクす」「酢酸サクサン」(食酢の酸味の主成分) (2)すい。すっぱい。「酢豚すぶた
 サ・すし  魚部
解字 「魚(さかな)+乍(=酢。発酵する)」 の形声。魚をご飯と塩で漬け、発酵させたなれずし。
意味 (1)つけうお。魚を塩とご飯(または糟)などで漬けたもの。なれずし。 (2)[国]すし(鮓)。鮨とも書く。酢をまぜたご飯に魚介類をのせたもの。
<紫色は常用漢字>

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音符 「真 シン」  <中身が詰まる>

2017年01月15日 | 漢字の音符
[眞] シン・ま・まこと  目部 

解字 金文は、「ヒ(さじ)+鼎(かなえ。煮炊きの器)」 の会意。鼎で煮炊きした食べ物を匙ですくう形で、鼎のなかに食べ物がいっぱい入っているさまを表す。その中身がいっぱいに詰まっていることから、「ほんもの」「まこと」の意味に仮借カシャ(当て字)された。篆文から眞の形になり、新字体は、さらに真に変化する。
意味 (1)まこと(真)。ほんとうの。「真実シンジツ」「真理シンリ」 (2)まったくそのままの。「純真ジュンシン」「真性シンセイ」 (3)ものの姿。「写真シャシン

イメージ  「まこと(仮借)」 (真・槙)
       「中身がつまる」 (鎮・塡・嗔・瞋)
       中身がすみずみまで 「ゆきとどく」 (慎)
       「同音代替」 (顚・癲)
音の変化  シン:真・槙・慎・嗔・瞋  チン:鎮  テン:填・顚・癲

まこと
 シン・まき  木部
解字 旧字は槇で、「木(き)+眞(まこと)」 の会意形声。日本では真木(まき)とよんで、すぐれた木の意。もと、こずえの意があった。新字体に準じた槙が通用する。
意味 (1)[国]まき(槙)。古くは杉やヒノキをいい、現在はイヌマキ・コウヤマキなどの総称。「高野槙コウヤまき」(和歌山県の高野山に自生する槙をいい、枝葉を供花の変わりに御仏前に供える習わしがある) (2)こずえ。樹木のいただき。(眞を顚テン(いただき)の略体とみた使い方)

中身がつまる  
  テン・ふさぐ  土部  
解字 旧字は塡で、「土(つち)+眞(中身がつまる)」 の会意形声。穴などに土をつめること。ふさぐ・みたす意となる。旧字の塡⇒填に変化。
意味 (1)ふさぐ(填ぐ)。ふさがる。うずめる。 (2)みたす。「充填ジュウテン」「補填ホテン」「装填ソウテン」(中につめこんで装置する) (3)はめる。うめこむ。「填漆テンシツ」(彩漆をうめて飾る技法)
 チン・しずめる・しずまる  金部
解字 旧字は鎭で、「金(金属)+眞(中身がつまる)」 の会意形声。容器などに金属を詰めて重しとすること。重みをかけて押さえること。転じて、威力で安定させる意となる。旧字の鎭⇒鎮に変化。
意味 (1)しずめる(鎮める)。しずまる(鎮まる)。重みをかけて押さえる。「鎮圧チンアツ」 (2)しずめ(鎮め)。「重鎮ジュウチン」(重いおさえ。重きをなす人物)「文鎮ブンチン」(紙が動かないように置く文房具) (3)地方の押さえとなる軍隊。 「鎮守チンジュ」(鎮め守る。鎮め守る神)「鎮台チンダイ」(地方を鎮守する軍隊) (4)鎮台が置かれた地方の大きな町。「景徳鎮ケイトクチン」(地名)
 シン・いかる  口部
解字 「口(くち)+眞(中身がつまる)」 の会意形声。心の中が不満でいっぱいになり、口からその不満を言葉に出すこと。
意味 いかる(嗔る)。はげしくいきどおること。「嗔訶シンカ」(叱責する)「嗔視シンシ」(怒り視る)
 シン・いかる  目部
解字 「目(め)+眞(=嗔。いかる)」 の会意形声。目をいからせること。
意味 いかる(瞋る)。目をいからせる。「瞋目シンモク」(目をいからす)

ゆきとどく
 シン・つつしむ  忄部
解字 旧字は愼で、「忄(心)+眞(ゆきとどく)」の会意形声。すみずみまで行き届いた心。愼⇒慎に変化。
意味 (1)つつしむ(慎む)。念をいれる。気を配る。「慎重シンチョウ」「謹慎キンシン

同音代替
 テン・たおれる・いただき  頁部
解字 「頁(あたま)+眞(テン)」 の形声。テンは転テン(回転する)に通じ、頭が回転するかたちで、頭が下になって倒れる、ころぶ意。また、頭が下になって地についた部分の「いただき」(頭の上)の意となる。
意味 (1)たおれる(顚れる)。さかさになる。「顚跌テンテツ」(ころびたおれる。失敗する)「顚覆テンプク」(=転覆) (2)いただき(顚)。一番高いところ。「山顚サンテン」(山の頂き) (3)(頂きから転じて)はじまり。「顚末テンマツ」(始まりと終り。一部始終)
 テン  疒部
解字 「疒(やまい)+顚(さかさになる)」の会意形声。精神状態が正常でないやまい。
意味 精神が病む。「癲癇テンカン」(発作などを伴う脳の疾患)「瘋癲フウテン」(①精神状態が正常でないこと。②定まった仕事をもたず、ぶらぶらしている人)
<紫色は常用漢字>



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音符 「弋ヨク」 <いぐるみ・くい> と 「式シキ」

2017年01月10日 | 漢字の音符
 ヨク・いぐるみ  弋部しきがまえ    

 弋射の図
解字 甲骨文はクイの象形であり杙くいの原字。原義での用例はなく、地名またはその長として用いられている[甲骨文字辞典]。弋は甲骨文から戈(ほこ)の字と似た形であり、現代字も戈からノを取ったかたちだが、戈との関連はないようだ。この字は、のち「いぐるみ」の意に仮借カシャ(当て字)された。「いぐるみ」とは、参考甲骨文字・雉(きじ)の矢の部分に紐がまきついている形が示しているように、紐をつけた矢のこと。弓でこの矢を鳥に向かって射て、矢の紐を鳥にからませて獲る猟に用いられた。この猟を描いた弋射図をみると、射手が鳥の群れに向かって弋矢ヨクヤを射て紐を鳥にからめる様子が描かれている。紐の末端にまるい重りのようなものが見え、紐が鳥に触れると重りが反動で鳥に巻きついたと思われる。
意味 (1)いぐるみ(弋)。鳥をとるために弋矢に紐をつないだもの。また、それで鳥を射る方法。「弋射ヨクシャ」「遊弋ユウヨク」(①いぐるみで鳥をとる遊猟。②艦船が海上を往復して警戒する) (2)とる。狩りをする。「弋猟ヨクリョウ」(狩りをする。弋は鳥の狩り、猟は獣の狩り) (3)くい。地中に打ち込むくい。

イメージ  「仮借(いぐるみ)」 (弋)
       「くい」 (杙)
       「同体異字」 (鳶)
音の変化 ヨク:弋・杙  エン:鳶

く い
 ヨク・くい  木部
解字 「木+弋(くい)」の会意形声。弋ヨクは元々くいの意だが、いぐるみの意となったので、これに木をつけて元の木のくいを表す。
意味 くい(杙)。牛などをつなぐくい(=弋)。「杙屋ヨクオク」(水上の家)


同体異字 
 エン・とび  鳥部

解字 甲骨文は、「戈(ほこ)+隹(とり)」の会意。武器の象形である戈(ほこ)と隹(とり)から成り、猛禽類を表している。武器を用いたのは猛々しさの象徴であろう[甲骨文字辞典]。金文は頭に戈の上半部をのせた鳥を描く。現代字は、戈⇒弋に変化した鳶になった。狩りをする猛禽類の鳥の意で、日本で「とび」を表す。発音のエンは円エン(まるい)に通じ、空をまるく円を描いて飛翔する鳥の意。
意味 (1)とび(鳶)。とんび。タカ科の猛禽。くちばしが鋭く曲がる。ほとんど羽ばたかずに尾羽で巧みに舵をとり、上昇気流に乗って輪を描きながら上空へ舞い上がり、餌を見つけると急降下して捕える。 (2)たこ。「風鳶フウエン」(鳶のかたちをした凧。いかのぼり) (3)とび色。とびの羽に似た茶色。 (4)[国]とび(鳶)。①鳶口とびくちの略。鳶のくちばしのような鉄のかぎをつけた消防用具。②消防夫。③高い足場で仕事をする工事に携わる者。「鳶職とびショク




           シキ < だんどり・順序 >
 シキ・ショク  弋部                 

解字 「工(工具)+弋」 の会意。弋ヨクは、杙(くい)。式は、工具を用いてクイを順番に設置して式場を整えること。ある一定の順序で行なって完成させることをいい、型やきまりにはめる意となる。
意味 (1)のり。きまり。やりかた。「形式ケイシキ」「様式ヨウシキ」 (2)儀式。一定の作法で行う行事。「「式典シキテン」「卒業式」 (3)敬礼する。 (4)計算の順序や方法を示したもの。「数式スウシキ

イメージ  「だんどり・順序」 (式・試・拭・弑)
音の変化  シキ:式  シ:試・弑  ショク:拭

だんどり・順序
 シ・こころみる・ためす  言部
解字 「言(いう)+式(だんどり・順序)」 の会意形声。だんどりや順序を口で伝え、仕事のやり方を見ること。
意味 (1)ためす(試す)。こころみる。「試作シサク」「試合シアイ」 (2)ためして評価する。「試験シケン」「試問シモン
 ショク・ぬぐう・ふく  扌部
解字 「扌(手)+式(だんどり・順序)」 の形声。だんどりよく手を動かして、きれいにしてゆくこと。ぬぐう・ふく意となる。
意味 ぬぐう(拭う)。ふく(拭く)。きよめる。「払拭フッショク」(すっかり取り除く)「拭目ショクモク」(目をぬぐって見る)「拭浄ショクジョウ」(ぬぐい清める)
 シ・シイ  弋部
解字 「杀(ころす)+式(順序)」の会意形声。相手を殺して順序を変えること。
意味 (1)シイする。臣が君主を、子が親を殺すこと。「弑逆シギャク・シイギャク」(=弑虐シギャク・シイギャク) (2)ころす。
<紫色は常用漢字>

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音符 「鼠ソ」 <ねずみ> と 「巤(鼡)リョウ」 <けもの>

2017年01月07日 | 漢字の音符
 ソ・ねずみ  鼠部

解字 甲骨文は口を開けた頭部に胴と足と尾をつけた形に3点がつく。3点は小(ちいさい)で口を開けた小さな齧歯類ゲッシルイ(物をかじるのに適した歯と顎をもつ動物で、ビーバー・リス・ネズミなど)で、齧歯類の小動物であるネズミの意[甲骨文字辞典を参照]。篆文は頭部が臼に変化し(齧かじるための門歯の奥にある臼歯の意か)、下部はリョウ(けもの)の下部とまったく同じ作りで両脚としっぽを表す鼠になった。
 ネズミの歯。右が門歯、左が臼歯。
意味 ねずみ(鼠)。ネズミ科の哺乳動物。「鼠算ねずみザン」「鼠盗ソトウ」(鼠のようにこそこそと盗みをする泥棒)「鼠賊ソゾク」(=鼠盗)

イメージ  「ねずみ」 (鼠・竄)
音の変化  ソ:鼠  ザン:竄

 ザン・サン・のがれる・かくれる  穴部
解字 「穴(あな)+鼠(ねずみ)」 の会意。ねずみが穴に逃げかくれること。これを人に移して言う。転じて、もとの字を隠して別の字を書く意味にも使う。
意味 (1)のがれる(竄れる)。かくれる(竄れる)。にげる。「竄入ザンニュウ」(逃げ込む。誤って紛れ込む) (2)あらためる。書き換える。「改竄カイザン」(文章の字句を書き直してしまうこと。悪用する場合に使う)




           巤[鼡] リョウ <けもの>
巤[鼡] リョウ  巛部
    
解字 けもの(獣)をかたどった象形。たてがみがついた頭部に足と尾をつけた形。鼡は巤を簡略化した形で、新字体で用いられる。
意味 (1)たてがみ。 (2)「鼡」は日本で鼠(ねずみ)の異体字として使われることがある。

イメージ   「けもの」 (猟) 
        けものはえものを「さがし求める(猟)」 (蝋・臘)
音の変化  リョウ:猟  ロウ:蝋・臘

けもの
 リョウ・かる・かり  犭部
解字 旧字は獵で、「犭(犬)+巤(けもの)」 の会意形声。犬を使ってけものを狩りすること。新字体は巤⇒鼡に変化した猟になった。
意味 (1)かる(猟る)。かり(猟り)。鳥獣をとる。「狩猟シュリョウ」「猟師リョウシ」「猟犬リョウケン」 (2)あさる。さがし求める。「渉猟ショウリョウ」(広くわたり歩いてさがし求める。転じて、書物を読みあさる)「猟奇リョウキ」(異様なものを探し求める)

さがし求める(猟) 
蠟[蝋] ロウ  虫部
解字 「虫(はち)+巤(=猟。さがし求める)」 の会意形声。ミツバチが材料をさがし求めて作った蜂の巣。巣をとかして作るのが蠟である。新字体に準じた蝋が一般に使われる。
意味 ろう(蝋)。みつろう。ミツバチの巣を加熱・圧縮して採取したろう。ロウソクなどに利用する。「蜜蝋ミツロウ」(蜜蜂の巣から作った蝋)「蝋燭ロウソク」(より糸を芯とし、そのまわりに蝋ををつけ円柱状にしたもの。灯火用とする)「木蝋モクロウ」(ハゼの実から採った蝋)「蝋人形ロウニンギョウ」「蝋石ロウセキ」(蝋のように光沢のある石)
 ロウ  月部にく
解字 「月(にく)+巤(=猟。かりをする)」 の会意形声。狩りをした動物の肉。猟の獲物を先祖の百神にそなえること。
意味 (1)冬至後の第三の戌(いぬ)の日に猟の獲物を先祖百神にそなえ年をおくる祭。「臘祭ロウサイ」 (2)年の暮。陰暦12月の異称。「臘月ロウゲツ」(陰暦12月)「臘日ロウジツ」(大晦日)
<紫色は常用漢字>

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音符 「比 ヒ」 <右向きの人が二人ならぶ>

2017年01月04日 | 漢字の音符
 ヒ・くらべる  比部  

解字 右向きの人が二人一緒にならんでいる形の象形。ならぶ、ならべる、(ならべて)くらべる意味になる。比は部首になるとともに、音符ともなる。なお、左向きの人が二人ならぶ形は、从ジュウで、したがう意となり、そのかたちは従(したがう)の旧字「從」に含まれている。
意味 (1)ならぶ。ならべる。「比肩ヒケン」(肩をならべる) (2)くらべる(比べる)。照らし合わせる。「比較ヒカク」「比類ヒルイ」 (3)したしむ。たすける。

イメージ  「くらべる」 (比・批) 
       「ならぶ」 (陛・庇)
       「ヒ・ビの音」 (屁・砒・枇・琵・毘) 
       「同音代替」 (秕・妣)
音の変化  ヒ:比・批・庇・屁・砒・秕・妣  ビ:毘・枇・琵  ヘイ:陛

くらべる
 ヒ  扌部
解字 「扌(て)+比(くらべる)」 の会意形声。物事を手でならべ比べて良し悪しを見極めること。また、悪い点を指摘すること。
意味 (1)良し悪しを判定する。品定めする。「批評ヒヒョウ」「批判ヒハン」「批点ヒテン」(詩文などのたくみな所、重要な所のわきに点を打つこと) (2)(良し悪しを判定したのち)君主が書類を認める。「批准ヒジュン

ならぶ
 ヘイ・きざはし  阝部こざと  
解字 「阝(神が降りてくるハシゴ)+比(ならぶ)+土(つち)」 の会意形声。「比+土」の坒ヒ・ヘイは、きちんと並んだ土の意で階段のこと。これに阝を付けた陛は、神がそこに降りたつ階段の意。
意味 (1)きざはし(陛)。天子がいる宮殿にのぼる階段。「陛見ヘイケン」(天子にお目にかかる)「陛下ヘイカ」(天子の尊称。直接天子を指さず、階段の下を指して暗示した言葉)
※同じような用法。「殿下デンカ」(皇太子などの敬称)「閣下カッカ」(高位高官に対する敬称)
 ヒ・かばう・おおう・ひさし  广部
解字 「广(片やね)+比(ならぶ)」の会意形声。片屋根の下に人が並んでいる形で、人々をおおって保護する意。また、日本では、ひさしの意になる。
意味 (1)おおう(庇う)。かばう(庇う)。保護する。「庇護ヒゴ」(かばいまもる) (2)[国]ひさし(庇)。「雪庇セッピ」(山の稜線に庇のように張り出した雪の吹き溜り)

ヒ・ビの音
 ヒ・へ  尸部
解字 「尸(=尻。しり)+比(ヒ)」 の形声。お尻からヒッという音を出してもれる屁。
意味 へ(屁)。おなら。「放屁ホウヒ」(屁をひる)
 ヒ  石部
解字 「石(鉱物)+比(ヒ)」 の形声。ヒという名の鉱物。砒素をいう。
意味 ひそ(砒素)。非金属元素の一つで、化合物は猛毒。農薬・医薬の原料となる。元素記号はAs。「砒石ヒセキ」(砒素・硫黄・鉄などからなる鉱物)
 ヒ・ビ  木部
解字 「木(樹木)+比(ビ)」 の形声。ビという名の木。中国南西部原産のビワ(ビハ)という木とその果実を表す字として使われる。
意味 枇杷ビワとは、バラ科の常緑高木で果樹。初夏に黄橙色の実がなる。ひわ。
 ビ  王部
解字 「琴の略体+比(ビ)」の形声。ビという音の琴に似た弦を張った楽器。ペルシャから伝わった楽器・ビワ(ビハ)の音訳に使われる。
意味 「琵琶ビワ(ビハ)」に用いられる字。琶ハも同じ用法。琵琶とは、弦楽器の一つで、大きなしゃもじ形の胴に4本(5本)の糸を張り、バチで鳴らす。「琵琶法師ビワホウシ」「琵琶湖ビワコ」(滋賀県にある琵琶の形をした湖)
 ヒ・ビ  田部
解字 「田+比(ヒ・ビ)」の形声。もとの意味は不明の字だが、古くから発音のビが梵語の音訳字に用いられる。
意味 梵語の音訳字。「毘沙門天ビシャモンテン」(仏教の四天王の一つ。日本では七福神の一つ)「荼毘ダビ」(火葬。また葬式)

同音代替
 ヒ・しいな  禾部
解字 「禾(イネ)+比(ヒ)」 の形声。ヒは非(あらず)に通じ、実がないイネ。
意味 (1)しいな(秕)。よく実がはいらない穀物。「秕糠ヒコウ」(しいなとぬか。役立たない残り物)(2)粗悪。実質がともなわない。「秕政ヒセイ」(悪い政治)
 ヒ  女部

解字 「女(おんな)+比(ヒ)」 の形声。ヒは、ヒ(女性の祖先)に通じる。甲骨文字は腕を曲げている人の側面形。甲骨文では二世代以上前の女性祖先の意味で使われている[甲骨文字辞典]。金文第2字で女がついた「女+ヒ」の字があらわれ女性祖先の意味をはっきりさせた。篆文から、死去した母親の意となり、ヒが同音の比に変化した妣となった。なお、女偏のつかないヒは、仮借カシャ(当て字)され、さじや、匕首あいくちの意になっている。<参考>音符「ヒ」
意味 なきはは(亡き母)。はは。「先妣センピ」(亡き母)⇔先考センコウ(亡き父)。「考妣コウヒ」(亡き父と母)「祖妣ソヒ」(亡くなった母と先祖)
<紫色は常用漢字>

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